日本人ならササニシキ!アミロース豊富なお米を食べて健康に

私たち日本人にとって、お米はなくてはならないものです。

そんなお米の品種は、400種類以上あると言われています。
しかし、その品種や特徴について十分に知っているという人は、意外と少ないですよね。

今回はその中でも、特にアミロースという成分が豊富で、ずっと昔から愛され続けている品種「ササニシキ」についてご紹介していきます。

お米の味はアミロースの量で決まる!

私たちが、なにかを食べて「美味しい」と感じるには、様々な要因があります。

例えば、お米でいうと、甘みの強さや香りなどですね。

そのほか、もちもちなのかあっさりなのかというような舌触りも、お米の味を判断する上では、とても大切なポイントです。

実はお米の食感は、含んでいるデンプンの性質と、その量によって決まっています。

では、そもそもデンプンとは、なんでしょうか?

デンプンとは、アミロペクチンとアミロースという、異なる構造物から構成されている物質のことです。

植物の光合成により、水と空気中の二酸化炭素から作られたブドウ糖分子が結合して作られています。

実は、普段わたしたちが食べているお米「うるち米」は、その品種によって、それぞれのデンプンの量が異なります。

例えば、コシヒカリ。
この品種は、アミロペクチン量が多いお米です。

アミロペクチンは吸水性が高く、炊飯時に水分を多く含みます。

つまり、アミロペクチン含有量が多いお米ほど、炊き上がった際に粘りが出て、もちもちとした弾力のある食感となります。

反対に、ササニシキのようなアミロースが多いお米は、さっぱりした食感になります。

アミロース豊富で体に優しい!ササニシキ

粘りが少ないため、口の中にまとわりつかず、あっさりした風味が特徴のササニシキですが、これはアミロースが豊富だからです。

ササニシキのアミロース含有量は、私たちが普段食べている一般的なお米「うるち米」の品種の中でも、比較的多いとされています。

数値で表すと大体20%前後で、コシヒカリが15%前後です。

数値だけ見ると、大きな違いはないように感じてしまいますが、この5%の違いが、お米の炊き上がり具合に大きな差をつけます。

アミロースが豊富な食べ物を摂取することは、健康を維持するうえで、とても良いとされています。

実はアミロースは、その分子構造上、アミロペクチンよりも消化・吸収がしづらい成分なのです。

消化酵素であるα‐アミラーゼの働きに時間がかかるため、血糖値が上がりにくいのです。

血糖値の上昇が緩やかということは、すい臓にかかる負担が少ないということです。

血糖値の急激な上昇は、糖尿病のリスクを上げてしまいます。

その他にも、老化や肥満・動脈硬化や脳卒中、さらには骨粗しょう症などの、生活習慣病の原因になることもあります。

血糖値が上がりにくく、身体に優しいアミロース。
そんなアミロースを豊富に含んだササニシキは、毎日の食卓に最適なお米と言えますね。

アミロースとお米アレルギーの関係

「お米アレルギー」という言葉を知っていますか?

アレルギーと言えば、乳製品やそばなどが一般的に広く知られていますが、実はお米にアレルギーを持つ人もいるのです。

お米を食べることによって発疹や体の赤み、痒みなどの症状が出る、お米アレルギーの人は、年々増加傾向にあります。

しかし、その原因については、まだはっきりとはわかっていないのが現状です。

「残留農薬」や「腸が欧米化したことによる消化不足」「品種改良によるもの」など諸説ありますが、全て推測の域です。

お米アレルギーを引き起こす「アレルゲン」は、2つあります。

まず1つめは、タンパク質です。

お肉や卵などと同様、お米もタンパク質が主成分です。
タンパク質は腸が弱い人や、まだ未発達な子どもでは、消化がしづらい物質です。

そのため、身体が「良くないもの!」と判断し、アレルギー症状を引き起こすというわけです。

特定のデンプンが、アレルゲンの場合もあります。
このタイプのアレルギーは、お米の品種によって、アレルギー症状の現れ方が違います。

お米の中でも症状が出やすいのが、もち米です。

高アミロペクチン米など、もちもち感を重視した品種も、アレルギーを起こしやすいとされています。

つまり、ササニシキのようにアミロースを多く含む品種のほうが、アレルギー反応は出にくいということですね。

もちろん、お米アレルギーを持つすべての人に、ササニシキが有効というわけではありません。

ですが、お米アレルギーで悩んでいる人にとっては、ひとつの希望とも言えるのではないでしょうか。

以前はコシヒカリのライバルだったササニシキ

アミロースを多く含むササニシキの特徴は、なんといっても、そのくちどけの良さです。

無駄に主張せず、あっさりした風味を持つこのお米は、おかず本来の味を上手に引き立ててくれる、いわば名脇役です。

コシヒカリと比較するとあまり粘らず、甘さも控えめです。

そんな日本人の食生活には、ぴったりのササニシキですが、かつては、あの有名なブランド米「コシヒカリ」と並ぶほどの人気品種でした。

コシヒカリが作られ始めてから、7年後の1963年。
宮城県の農場で、ササニシキは誕生しました。

ハツニシキとササシグレを親に持つのがササニシキです。
そして、ハツニシキの兄弟なのがコシヒカリです。

特徴が大きく異なり、名前も似ていないので、全く異なる品種だと思われがちな2つのお米ですが、実はけっこう近い親戚関係なんです。

当時は、どちらの品種も人気があり、非常にニーズがありました。

お米市場は、この2つの品種によって支えられていたといっても過言ではありません。

あっさりして食べやすいササニシキと、もちもちした甘みの濃いコシヒカリ。
どちらのお米も多くの人から愛され、支持されていたんですね。

ササニシキはなぜ消えた?

アミロースを多く含み、さっぱりとした食感のササニシキと、アミロペクチンを多く含み、もちもちとした食感のコシヒカリは、お米界の2大ブランドでした。

人気はどちらも大差ありませんでしたが、現在スーパーなど多くの店舗で取り扱われているのは、コシヒカリ由来のお米ばかりです。

ササニシキは、ほとんど売っていません。

一体どうしてササニシキだけが、お店から消えてしまったのでしょうか?

1990年、ササニシキの生産量はピークを迎えました。

その作付面積は、東北地方で堂々の第1位で、全国でも第2位という、圧倒的な規模での生産量です。

寒暖差や年間の平均気温など、お米の生産がしやすい宮城県をはじめとし、様々な県の農家がこぞって栽培をしていました。

作れば必ず売れるお米なので、農家さんに人気なのもわかりますよね。

しかし、そんな時代は長く続きませんでした。

1993年、記録的な大冷害によって、ササニシキは壊滅的なダメージを受けてしまったのです。

もともとササニシキは寒暖差や風などに弱く、病気にかかりやすい品種です。
また、茎が弱いために、お米が実ると、その重さに耐えきれず倒れてしまいます。

そうした作りにくさもあり、冷害をきっかけにササニシキの生産量は激減し、代わりにコシヒカリ系列である「ひとめぼれ」が、広く普及するようになりました。

ササニシキはどこで買える?

1993年の記録的な大冷害で生産量が激減してしまったササニシキの流通量は、今もなお、少ないままです。

デパートやスーパーなどのお米売り場を覗いてみても、ササニシキの文字はほとんど見ませんよね?

現在、売り場に並んでいる品種の多くは、コシヒカリ系のものです。

アミロペクチンを多く含み、もちもちした食感に、風味豊かな粘り気のあるお米です。

うるち米でありながらにして、まるでもち米のようなコシヒカリ系の品種は、私たち日本人が「美味しい」と感じやすい味なんですね。

しかしながら、ササニシキも負けてはいません。

アミロースを多く含んだ控えめな風味と、さっぱりした食感には、根強いファンがいます。

スーパーなど気軽に行ける店舗でこそ、あまり取り扱われていませんが、インターネット上では広く流通しています。

ネット通販の強みは、新鮮なお米を手に入れることができることです。

収穫してから日が浅いうちに出荷されるため、スーパーなどで売られているものよりも、お米の鮮度が落ちにくいというわけです。

ササニシキ発祥の地である宮城県では、以前は難しいとされていた「無農薬のササニシキ」を中心に、生産・販売している農家もありますよ。

自分好みのお米を見つけてみよう

今回は、お米の品種のうち「さっぱり代表」であるササニシキについてご紹介しました。

ササニシキは昔から日本人に親しまれ、長年愛されてきたお米です。

アミロース豊富でさっぱりした味は、他の品種にはない、大きな魅力です。

ほろりとほぐれる柔らかな食感と、噛むほどに増すうまみ。
ぜひ一度、味わってみてくださいね!