日本の食卓に欠かすことのできない味噌ですが、身体にいいことは誰しもがご存知ですよね。
味噌はスーパーなどで簡単に入手できますが、手作り味噌を始めたら、そのおいしさに夢中になる人が続出しているそうです。
「味噌を手作りするというと難しいのでは」と思われる人もいるかもしれませんが、仕込みが済めばあとは熟成を待つだけなので、意外と簡単です。
大豆や麹の配合を変えて、自分だけの味噌を手作りしている人もいるようです。
用意する道具も鍋や入れ物があればすぐに作れます。
手作り味噌に挑戦してみましょう。
地域に根付いた味噌は歴史ある調味料
日本の食卓に欠かせない調味料のひとつである味噌。
どこのご家庭でも、味噌ケースやパックの入れ物で常備してあるのではないでしょうか。
料理の基本「さしすせそ」の「そ」として日本の家庭料理を古くから支えてきました。
伝統食品としての歴史も古く、鎌倉時代にはご飯と味噌汁という献立が確立し、江戸時代には庶民の食卓に浸透していたといわれています。
味噌には大きく分けて4つの種類があります。
●米味噌
米・大豆・塩で作られます。
一般的な味噌は米味噌を指します。
●麦味噌
麦・大豆・塩で作られます。
九州や四国、中国地方でよく使われています。
●豆味噌
大豆・塩で作られます。
東海地方、主に愛知県の周辺でよく使われています。
●調合味噌
米味噌・麦味噌・豆味噌の中から2種類以上を調合したものです。
もしくは、2種類以上の麹を調合して作られたものを指します。
ここからさらに塩分量や麹の量、色などによって白味噌・赤味噌・甘口味噌・辛口味噌などに分類されます。
産地によって甘さや辛さ、味わいが異なるので、食べ比べてみるのも楽しいです。
このように、地方や地域によってさまざまな種類があるのが味噌の特徴です。
日本の「ご当地グルメ」がバラエティ豊かなのは、味噌のバラエティが豊かであることも影響しているのかもしれませんね。
そんなご当地色が強い味噌ですが、「手前味噌」という言葉がある通り自分だけの味噌を手作りするという人が増えているようです。
手作り味噌を始めよう!鍋と入れ物ですぐに作れる!
「健康を作るのは食事から」という考え方が広まり、素材から食にこだわる人が増えているといわれています。
手作りの良さが見直されている中、大豆・麹・塩という3つの材料だけで作れる味噌を手作りするのがひそかなブームになっているようです。
味噌の奥深い味わいから「手作りするのは難しそう」と思われる人もいるかと思いますが、作り方はシンプルです。
奥深い味わいは発酵によって生み出されるため、仕込みをすればあとは待つだけです。
道具と材料を準備したら、すぐにでも作り始められますよ。
それでは、道具から見てみましょう。
【道具】
・鍋もしくは圧力鍋
・大きめのボウルなど(材料を混ぜ合わせるため)
・マッシャーやフードプロセッサー(大豆を潰すため)
・はかり
・入れ物(保存して熟成させる)
・重石
大豆は水を吸うと2~3倍ほどに膨らむため、鍋は大きめのものを用意してください。
大きめの鍋がない場合は、2回に分けて煮るという方法もあります。
大豆を潰す道具はマッシャーやフードプロセッサーがありますが、ない場合は手や足を使って潰すこともできます。
瓶などを使って潰すこともできますので、わざわざ用意せずに工夫して潰しましょう。
保存・熟成のための入れ物は、さまざまなものがありますが、初心者であればジッパー付き袋やタッパーがおすすめです。
道具の準備ができたら、次に材料です。
手作り味噌の基本の材料は割合で覚える!
さきほど、手作り味噌の材料は3つだけとお話しした通り、味噌は大豆・麹・塩というシンプルな材料でできています。
材料は割合で覚えておくと楽です。
大豆と麹を「1:1」の分量で用意します。
そして、塩はその総量の2割です。
具体的な分量を例に出してみます。
【材料】
・大豆 500g
・麹 500g
・塩 200g
大豆と麹が500gずつ、トータルで1kgなので、塩はその2割の200gです。
この割合を守れば少量からでも作れますので、少人数の家族や「試しに作ってみたい」というときにも作りやすいです。
入れ物も小さめのもので大丈夫なので、キッチンが狭いご家庭でも挑戦しやすいです。
これが基本の味噌ですが、慣れてきたらお好みで麹や塩を増やして自分だけの味噌を作ってください。
大豆や麹で味噌の味はかなり変わります。
初心者におすすめなのは、自分の生まれ育った地元の材料を使うことです。
地元の材料であれば、子どもの頃から慣れ親しんだ味になるはずです。
仕込みは簡単!手作り味噌の作り方
道具と材料が揃ったら、手作り味噌に挑戦しましょう。
【作り方】
①大豆を洗い、たっぷりの水に一晩浸けます。
②大豆を鍋に入れて強火で熱し、沸騰したら弱火にします。
大豆が柔らかくなるまで2時間ほど煮ます。
③大きめのボウルに麹と塩を入れよく混ぜ合わせておきます。
④煮あがった大豆をマッシャーやフードプロセッサーで潰して、人肌まで冷まします。
⑤麹と塩が入っているボウルに、潰した大豆を加えてよく混ぜ合わせます。
⑥大豆のゆで汁を適量(分量外)加え、おだんごにできるくらいの硬さにします。
⑦⑥をすべておだんごにします。
⑧消毒した入れ物に、空気が入らないようにおだんごを詰めていきます。
プラスチック容器などの硬い入れ物であれば、投げ入れて空気を抜きます。
ジッパー付き袋の場合、1段ずつ手で押さえ付けて隙間ができないようにしてください。
⑨詰め終わったら、表面に塩(分量外)をひとつまみ振ります。
⑩入れ物のふちや側面などをアルコール消毒し、空気が入らないようにラップをします。
⑪重石をのせます。
重石は雑誌やペットボトルなどでもOKです。
⑫フタをして風通しの良い冷暗所で熟成させます。
半年から1年程度で手作り味噌の出来上がりです。
手作り味噌で気をつけよう!入れ物のカビ対策と熱
味噌を手作りするときに、気をつけてほしいポイントをお話しします。
●カビ対策
味噌は発酵によって熟成されるため、カビが大敵です。
入れ物は清潔に、衛生管理をしっかりしましょう。
●よく混ぜる
材料はよく混ぜ合わせることが大事です。
混ぜムラがあると発酵にもムラが出てしまいます。
●しっかり冷ます
大豆を潰したらすぐに麹と混ぜ合わせたくなるかもしれませんが、必ず冷めるまで待ってください。
麹菌は熱に弱く、熱い大豆と混ぜ合わせてしまうと発酵ができなくなる恐れがあります。
●空気を抜く
入れ物に詰めるときは、しっかり空気を抜きます。
空気が入るとカビが生える原因になるためです。
もし熟成中にカビが生えた場合は、その部分を取り除けば大丈夫です。
慣れてきたら味噌の入れ物にもこだわろう
簡単に味噌の手作りの仕方についてお話ししてきました。
手作り味噌を何度か作っていると、入れ物も凝りたくなるものです。
ジッパー付き袋やタッパーでは味気ないですよね。
ここでは、手作り味噌におすすめの入れ物をご紹介します。
●野田琺瑯
ホーロー製品で定番の野田琺瑯は、手作り味噌に最適と評判です。
サイズや形も豊富で、量や使い勝手に合わせて選ぶことができます。
ホーローは耐食性や強度にすぐれ、においが付きにくく衛生的です。
難点は重いことですが、少量の味噌を作るのであれば問題ありません。
見た目もおしゃれで、キッチンや冷蔵庫に置いてあるだけで気分が上がります。
●富士ホーロー
同じくホーロー製で、もうひとつおすすめなのが富士ホーローです。
デザイン性が高く、カラフルなシリーズや花柄、北欧風の柄などバラエティ豊かです。
白だとシンプル過ぎると感じる人にはこちらがおすすめです。
●常滑焼 梅壺
まさに昔ながらの味噌といった味わいなのが陶器のかめです。
陶器は外気温に影響されにくく、昔から保存食品の入れ物として使われてきました。
味わいのあるたたずまいに、味噌作りのやる気もアップすることでしょう。
ただ、とても重いので取り扱いには注意が必要です。
手作りだからおいしさに感動する
半年から1年もの間熟成させた手作り味噌が、おいしく出来上がったときの感動は格別です。
仕込みそのものは簡単というのも良いですね。
毎年違う大豆や麹で仕込んで、食べ比べて楽しむのもおすすめです。
材料を揃えるのが面倒であれば、材料がセットになっている手作り味噌セットもありますので、そこから始めてみても良いですね。