お米は、私達日本人にとって、非常に身近なものですよね。
ほぼ毎日、口にするお米ですが、どのようにして育ち、稲になり、私達が口にしているお米になるのか、その過程を見たことはありますか?
子供達の「食」の乱れも問題になっている昨今、バケツという小さな田んぼで、稲を育ててみませんか?
ここでは、バケツ稲の栽培の流れと、土を混ぜる割合などについてご紹介します。
バケツ稲を栽培したい!バケツ稲のメリットは?
稲の生育過程を観察するためにバケツ稲を栽培してみます。
バケツ稲のメリットとして
①育苗時に適切な温度に加温・保湿するので 苗が順調に育つ
②苗床で管理するため、病害虫や雑草・鳥からの日が被害を 避けることができる
③移植前の田んぼで麦や野菜などを栽培できる
④田んぼでの株の配置や1株本数を移植の仕方で調整できる
⑤稲という植物の体作りと実作りの時期がハッキリしている為、学びやすい
植物全体に共通する体つくりの時期である「栄養成長期」と実づくりの時期である「生殖成長期 」を理解するために、バケツ稲は子供たちの教材としてもとても優れています。
また
「種もみ選び→種まき→田植え→分けつ期→雑草と害虫防除→中干し→出穂→開花→実の充実→稲刈り→脱穀→籾すり→精米」
と言った稲の生育過程は一般的に存在する田んぼとは、規模こそ違えども基本はバケツ稲も同じなので、栽培の進み具合に沿った体験と観察ができるのも大きな魅力です。
そして生育過程が同じという事は、もちろん育つ稲も同じなので、順調にいけば立派な稲が育つことになり、当然お米も収穫でき、さらに餅などに加工することも可能です。
1本の苗がその土の栄養を吸収し、きちんと栽培する事で立派な稲に成長。
その後収穫して加工するまでの過程を体験できるという事は、子供たちにとって命の育みが体験できる貴重な体験と言えるでしょう。
バケツ稲を栽培する為にまず土を準備しよう
<土の準備>
土は、田んぼや畑などの土を活用するか、JAの店舗やホームセンターなどで売っている「黒土」「赤玉土」「鹿沼土」を混ぜた物を代用します。
「黒土」がない場合は 田んぼの土として市販されている「荒木田土」でも代用できます。
「培養土」でも可能ですが、田んぼは本来「水田」というくらいですので、水を溜め育てる過程で発酵する場合がありますので注意が必要です。
肥料は育成状態に合わせて投入します。
土は黒土6、赤玉土3、鹿沼土1を目安で混ぜ合わせ、混ぜた土は小石やゴミを除去し、塊を砕いておきます。
その後、菌を活性化させ、稲の栽培を手助けできるよう、雨が当たらない場所に広げて乾かしておきます。
稲はやや酸性の土を好み、通常田んぼの土はpH6ですが、稲の育苗用の床土は病気を防ぐためにpH5程度に調製します。
(ちなみに畑の土はpH6〜7、山の土はpH5〜6で、酸性の程度を表すpHの数値は0〜14まであり、0~6が酸性、7が中性、8~14がアルカリ性となります)
土選びから稲になるまでの栽培の流れ
1.苗を作る
①4月中旬/種籾の選別〜発芽
②4月下旬/発芽した種籾を蒔く~発芽した長さが1mm程になれば種まきが可能な状態となります。
2.苗を植える
①5月中旬には田植えの準備をして5月下旬頃に田植えをします。
3.その後の管理
①6月~8月/稲の生育に合わせて水を入れます。
この時期は土が乾かないように水を切らしてはいけません。
②7月下旬〜8月/栽培を促すためにチッソを含む化成肥料を小さじ半分(2g)与えます。 この時期に日照不足や栄養不足、水不足になると中身が実らない籾が出来てしまうので、それぞれの栄養が不足しないように注意して下さい。
③8月上旬/出穂~穂が出ると同時に雄しべと雌しべによる受粉が始まります。
受粉されると籾の中に牛乳状の液が溜まり、8月中旬に糊状、8月下旬には固まりだして9月には玄米となります。
④9月/稲は黄色く色づき、中身がしっかり詰まったきれいな稲穂となって垂れていきます。
この頃になると、水はあまり必要なくなっていくので、少しずつ水をきって稲刈りへの準備をします。
稲からお米になるまでの流れ
4.刈取り・脱穀・籾摺・精米
9月下旬/刈り取り~9月下旬になり栽培の時期は終了となります。
稲刈りのタイミングとしては、稲全体が黄色味を帯び、栽培面積のおよそ90%が黄金色に変われば丁度いい頃合いとなります。
収穫日のおよそ10日前になると、水田から水を抜いて土を乾かす「落水(おとしみず)」と呼ばれる作業をします。
この作業で稲を乾かし、そうすることにより登熟を完了させることになります。
ここからは刈り取りから精米までの手順を具体的に紹介します。
①根元あたりから鎌やハサミなどで稲を刈り取ります。
②刈り取った稲は根本のあたりで、紐やわらなどで、両手で握れるくらいの太さで束てねおきます。
③お米の変質や劣化などを防ぐ為、逆さまにして10日ほど吊るして天日で屋外で干します。
(雨などで濡れないように、またスズメなどの野鳥の被害に合わないように、必要に応じてネットなどで保護して下さい)
④脱穀は割り箸や金属製のクシを使い、しごくように行います。
またトレイや牛乳パック、ペットボトル、茶碗などの容器を使って脱穀すると、飛び散りを防ぎながら脱穀ができ便利です。
⑤脱穀した籾を玄米にします。
少量の籾をすり鉢に入れます。
そのすり鉢の中に野球の軟球ボールを入れ、そのボールで静かにこすると、籾が剝がれるように離れ、そして玄米になっていきます。
⑥玄米が出来るといよいよ次は精米をして白米を作ります。
自分で精米する方法としては、昔から使われている方法で、最もポピュラーな「瓶搗き(びんつき)」という方法を用います。
やり方は簡単で、ビンの中に玄米を入れ、そのビンの口からビンより長い棒を突き刺し、その棒でお米を突くように上下に棒を動かすだけです。
方法は簡単ですが地道な作業なので根気よく行って下さい。
これをすることで、玄米についた薄茶色の糠(ぬか)が削り取られます。
⑦糠が削り取られ、これでようやく白米の完成です。
稲から玄米へ・・・玄米の栄養効果とは?
玄米の持つ効能をいくつか紹介します。
①体内の毒素を強制的に排出してくれる作用があり、食べ続けていると便秘に効果があり、その結果ダイエットにもつながります。
②白米と比較すると、カルシウム約2倍、ビタミンB1は約5倍、ビタミンB2は2倍も含み、とくに疲れやすい方や疲れを感じた時の回復に非常に大きな効果を発揮します。
③身体の中の余分なナトリウムを排出し、血圧を下げるカリウムも含有。
カリウムの持つ利尿作用でむくみにも効果的です。
④白米の6倍以上含まれる食物繊維で、便秘の解消に加え、余分なコレステロールや脂肪分、糖分などが吸収されにくくなり、体外に排出してくれます。
玄米は、健康な方はのみならず、病気がちな方には根本的な体質改善が期待でき、その効果も抜群な、まさに他に類を見ないほどの完全食と言えます。
土の栄養と太陽の恵みをで栽培された稲の根はとても深く長く力強いと言われています。その稲から取れた玄米の持つ素晴らしい栄養とパワーを、あなたもぜひ存分に味わい、そして体感してみて下さい。
土鍋で玄米を美味しく炊く方法
土づくりからこだわり、手塩に掛けて栽培した稲から取れた玄米は、味もまた格別です。
その大切な玄米をよりおいしく頂くために、土鍋での玄米の炊き方を紹介します。
「土鍋での玄米の炊き方」(2〜3合分)
【2合を炊くとき】 玄米/2合 自然塩/小さじ1/2 水/土鍋なら500ml
【3合を炊くとき】 玄米/3合 自然塩/小さじ2/3 水/土鍋なら750ml
①土鍋に、浸水させた玄米、水、塩を加え、静かにかき混ぜ塩を溶かします。
②土鍋に蓋をして中火で沸騰させます。
(慣れるまでは蓋を開け、沸騰の具合を確認して構いません)
※土鍋は強火だと、底が濡れていたら割れる可能性がありますので始めは必ず中火にして下さい。
③沸騰したら弱火にして25〜30分炊きます。
④約25分で蓋の穴から出ていた蒸気が弱くなり、鍋肌から出ていた泡もなくなります。 ここで一度蓋を開け、水分が残っていないかを確認します。
(とくに鍋肌に残っていないかをよく確認して下さい)
⑤水分がなくなっていれば一度30秒ほど強火で過熱し、その後火を止め、蓋をしたまま10分ほど蒸らします。
⑥蒸らした後は全体的に大きくさっと混ぜ合わせて出来上がりです。
土鍋で炊くと美味しさも2割増しです。
ぜひお試し下さい。
身近な場所でお米作りを学ぼう
稲は、私達の食生活にかかせない、日本の主要作物ですよね。
大きな田んぼがなくても、バケツで稲を栽培し、その過程を見守ることができるなんて、素晴らしいですね。
規模は小さいながらも、本格的にお米作りを体験でき、収穫まで楽しめるバケツ稲作りに、是非チャレンジしてみてはいかがですか。
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