優れた栄養の詰まった玄米。
その栄養価が見直され、最近食卓に上ることも増えてきたのではないでしょうか。
しかし、玄米には意外と虫が付きやすいのです。
今回は、玄米に付きやすい虫の種類をお伝えします。
また、予防対策も併せてご覧ください。
米には様々な種類の虫が付きやすい?
スーパーなどで購入してきた、または農家の方から頂いたなどの方法で手に入れた米は、その後ご自宅で保存しますよね。
ご自宅の台所等で保存している米に、いつの間にか虫がついてしまった経験をお持ちの方は、少なくないと思います。
米袋を開封した後、袋の口をしっかり閉じて保存していたはずでも、なぜか虫が中に入っていて、どうしていいか迷ってしまいますよね。
開封したばかりの米を捨てるわけにはいきませんし、そんなときは本当に困ってしまいます。
米は私たちにとって、毎日の食事に欠かせない主食です。
エネルギー源であるとともに栄養を豊富に含む食品で、私たちにとって大切な食糧ですが、それは虫にとっても同じことのようです。
また、米の袋は頑丈なように思えますが、虫にとっては簡単に超えられる壁で、それを食いちぎって中に侵入することが可能であることはご存知でしょうか。
白米、玄米にかかわらず、様々な種類の虫は米が大好物なのです。
玄米に付く虫の種類を知ろう
実は玄米には、白米よりもより多くの種類の虫が付きやすい傾向があります。
その理由は、糠にあります。
私たち人間は、栄養を摂りたいという目的で玄米を食べます。
玄米には白米にはない部分、つまり精米で落ちてしまう糠がしっかりと残っているのですが、まさに、その糠に栄養がギュッと凝縮されているのです。
虫もその栄養を目的に、玄米を求めてやってきます。
玄米に付く虫には、コクゾウムシ、ノシメマダラメイガが挙げられ、コクゾウムシは、米の白米部分を好みます。
米に穴をあけてそこに産卵し、孵化した幼虫は米を食べて育ち、ひと月ほどかけて成虫となるのです。
そしてほかの米に産卵し、同じように繁殖を繰り返します。
ノシメマダラメイガは、糠部分を好む虫です。
ガなので飛ぶことができ、活動範囲も広いです。
米の袋を食いちぎって侵入し、米の糠や胚芽の部分に産卵します。
コクゾウムシ同様、ひと月ほどで成虫となり、繁殖を繰り返すのです。
虫が好む環境とは?
私たちが玄米や白米に付く虫に対する対策を行うためには、まず虫の習性を知る必要があります。
家の中で害を及ぼすゴキブリやダニなどに代表される、いわゆる害虫と呼ばれる虫たちは、共通して温度と湿度の高い環境を好みます。
玄米に付く虫も同様に、その種類に関わらず、いずれも温度が高い状態を好んで活動しているのです。
具体的には、虫が活動をはじめるのは気温20度以上、さらに気温が23度以上になると、活発に繁殖をはじめるといわれています。
そのため、冬場よりも春~秋に特に注意してみましょう。
また、季節という要因以外にも、米の保存場所が虫の繁殖に関わる大きな要因となります。
例えば、暖房をかけている部屋のそばでの保存、シンク下での保存、袋のままの保存などです。
いずれも高温、多湿、匂いを発するなどの要因になり、それが虫を呼び繁殖を促進させる原因となってしまいます。
虫を寄せ付けないためには、このような要素を中心に排除する工夫をしてみましょう。
虫を寄せ付けない!虫の種類ごとの対策!
では、玄米に付く虫を寄せ付けないための対策について、虫の種類ごとに解説しましょう。
先にあげた2種類の虫を取り上げます。
まず、コクゾウムシです。
コクゾウムシの弱点は、なんといっても「寒さに弱い」ということです。
そのため、低温の場所で玄米を保管することが、コクゾウムシを予防する対策のひとつといえます。
目安としては、15度以下の低温の場所での保存が良いようです。
なぜなら、15度以下になると、コクゾウムシのみでなく、虫全般の活動が鈍るとされているからです。
また、保存方法として、袋から密閉容器やペットボトルなどに玄米を移し、野菜室などの低温での保存をおすすめします。
次に、ノシメマダラメイガです。
こちらは、飛散できることから活動範囲が広く、米の袋などは食いちぎってしまう力を持っています。
対策としては、やはり米を袋から出して、密閉容器やペットボトルなどでの保管をおすすめします。
糠の匂いを嗅ぎつけてガがやってくるのを防ぐためにも、容器に付いた糠の除去をまめに行いましょう。
また、ガもほかの虫と同様、温かい時期に繁殖を行いますので、玄米は年間通して冷所での保存をしてくださいね。
虫に注意が必要な食品は玄米以外にもある!
各ご家庭には、玄米や白米のほかにも、様々な穀物を保存されていることでしょう。
一般的なものですと、小麦粉、パスタ、などでしょうか。
実は、玄米や白米を好んで食糧にする種類の虫たちは、同時にほかの穀物も好むのです。
好むということは、それなりに対策しないと、虫が付いてしまうということになりますね。
例えばコクゾウムシは、米のほかにも麦やパスタなどを好んで繁殖します。
また、玄米の糠を好むノシメマダラメイガは、糠のように油分を含む食品を好むのです。
そのため、玄米以外の麦などの穀物のほか、インスタントラーメン、油脂を含む菓子類などをも狙ってやってきます。
ご家庭の台所を想像していただくと、比較的常備することの多い食品ばかりなのではないでしょうか。
そして、保存方法を考えたとき、これらはいずれも常温保存しがちな上、密閉を怠りがちな食品ですよね。
玄米や白米以外にも、これらの食品にも虫の被害がありうることを念頭に置いて、保存するときは密閉、冷所保存を心掛けましょう。
虫が付いてしまった玄米や白米を美味しく食べきるコツ
充分に対策していたのに、いろいろな種類の虫が湧いてしまうこともあります。
そのようなときは、少し工夫して玄米や白米を食べましょう。
コクゾウムシが付いた米は、まず水を張ります。
成虫、幼虫いずれも水に浮かぶため、水を使うと除去が容易です。
また、虫の付いた米はパサつきがちです。
パサつきが気にならないようにするための工夫として、多めの水加減で炊きましょう。
そして、具材を入れて味付けをしたり、油を利用したメニューで調理すると、美味しくいただけますよ。
ただし、アレルギーのあるかたは、虫がアレルゲンとなる可能性があるので、虫の付いた米類は無理に食べない方が無難かもしれません。
ガが付いた玄米は、ガを逃すため、風通しの良い場所へしばらく広げておくと良いですよ。
コクゾウムシにしろノシメマダラメイガにしろ、虫たちは消毒されていない自然な米だからこそついてしまうのです。
虫が付く米は、見かたによっては、それだけ美味しいということなのかもしれませんね。
虫がつくのは美味しい米の証
コクゾウムシにしろノシメマダラメイガにしろ、虫が付くということは、あまり気持ちの良いものではありません。
しかし、虫たちは消毒されていない自然な米だからこそ、狙ってやってくるのです。
虫も人間も、美味しさと栄養を求めて、玄米、白米をいただくのですね。
予防できることは上手に予防し、お互いが気持ちよく共存できれば、いうことなしですね。