健康ブームに乗って見直されている玄米ですが、炊飯器ではなく土鍋で炊く場合、水の量はどれくらいにすれば良いのか、ちょっと迷ってしまいませんか。
今回は、適切な水の量をお知らせすると共に、よりふっくらと、おいしく炊くための手順とポイントをご紹介したいと思います。
玄米を土鍋で炊く時の水の量はどれくらいが適切か?
最近は炊飯器でも簡単に玄米が炊けるようになりましたが、昔ながらの土鍋で炊くのもまた、格別のおいしさですよね。
しかし、難しいのは水加減です。
炊飯器には目盛りがあるので、玄米の目盛りに合わせればOKですが、土鍋に目盛りは付いていません。
水の量はどれくらいにすれば良いのでしょう。
玄米は硬い外皮に覆われているため水を吸収しにくく、白米より多くの水を必要とします。
米を水に浸けておく時間や好みにもよりますが、おおむね米の1.2~1.6倍の水があれば良いようです。
初めての場合は米の1.5倍にし、出来あがりに応じて次回からもう少し水の量を増やすなり減らすなりするとわかりやすいでしょう。
それでは実際、この水の量でどうやって土鍋で玄米を炊けば良いのか、順を追ってご説明したいと思います。
玄米を土鍋で炊く時、水の量に注意する前にやるべき大切なこととは?
玄米を土鍋で炊く前に、やらなければならない工程がいくつかあります。
順を追ってご説明しましょう。
①米を洗う(洗米)
計量した玄米をボールに入れて水を注ぐと、ほこりや色のついたお米などが浮いてきます。
これらはゴミですから取り除きましょう。
そうしてから、軽くサッサッと洗います。
時間があれば、拝み洗いといって、手をこすり合わせて拝むように、玄米の皮と皮をこすり合わせ、傷をつけるように洗うと良いでしょう。
傷口から水が吸収されやすくなるからです。
水を取り替えながら、この作業を3~4回行います。
②米を水に浸ける(浸水)
洗った玄米をざるに入れ、ざるごと水を張ったボールに浸します。
浸水といって、玄米は白米より多くの浸水時間を必要とします。
柔らかくふっくらとした仕上がりにするには、できるだけ長く浸水させるのがポイントです。
玄米の場合、朝食べる分は前日の夜に、夜食べる分は朝にセットして浸けておくのを基本としましょう。
浸水時間が12時間にもなると、胚芽部分が発芽して発芽玄米になるといいます。
発芽玄米は普通の玄米よりパワーがあるため栄養価もグンとアップします。
玄米の浸水は水分をたっぷり吸収させるためにも、また栄養価を高めるためにも、長い時間をかけることが大切なのです。
この場合の水の量は、浸けておく時間と違い、特に問題にはなりません。
たっぷりの水に浸けておけば間違いないでしょう。
ただし、夏場はその場に放置しておくと衛生上良くないため、冷蔵庫に入れておくようにしてください。
水の量を玄米の1.5倍にして土鍋で炊いてみよう!
浸水が終わったらいよいよ炊飯に入ります。
まず、浸水した玄米をざるごと持ち上げてよく水を切ったら、一気に土鍋に入れます。
そして炊飯用の水を注ぎ入れます。
最初は水の量を米の1.5倍にしてみましょう。
1合は180mlですから玄米2合を炊く場合、180ml×2=360ml、360ml×1.5=540mlなので、540mlの水を入れます。
米の計量カップで3杯分です。
玄米3合なら180ml×3=540ml、540ml×1.5=810mlなので、810mlの水を入れます。
米の計量カップで4杯半です。
さらにひとつまみの塩を加えると、吸水率が高まって、ふっくらおいしく炊けます。
ひとつまみがわからなければ、玄米2合で小さじ1/2杯、3合で小さじ2/3杯の塩を入れます。
土鍋に玄米・1.5倍の水・ひとつまみの塩が入ったら、全体を軽く混ぜ合わせます。
それから火にかけましょう。
火加減がポイント!土鍋で玄米を炊く手順
玄米は炊飯器で炊くよりも、土鍋のほうが早く炊けます。
しかし、水の量にもよりますが、火加減にちょっとしたコツがあります。
スイッチを入れたらそれでおしまい、の炊飯器に比べ若干手間はかかりますが、いかにも自分で炊いている感じがかえって新鮮です。
出来上がりまでの工程を楽しみたいかたにはピッタリな作業といえます。
それでは順を追って炊き方をご説明しましょう。
①中火にかける
蓋をして沸騰するまで中火にかけます。
土鍋は強火にかけると底が濡れていた場合、割れてしまう可能性があります。
また量が少ないと火の通りが早いため、中火のほうが安全です。
②火を弱めて30分
ぶくぶく沸騰して蓋の周りが泡だらけになってきたら、吹きこぼれないよう火を弱火にしますが、その前に一瞬だけ強火にしてから火を弱めてください。
土鍋は火加減を変える時に、一回強火にしてから変えると良いといいます。
弱火にしたら、そのまま30分じっくりと火を通していきましょう。
蓋の穴を箸やラップで埋めると内部の圧力が高まりおいしく炊けますが、特に特に埋めなくても構いません。
③強火にしてから火を止め、蒸らす
ぶくぶく言っていたのがだんだん音がしなくなってきます。
ほぼ炊けた状態になっているので、いったん強火にして水分を飛ばしてから一気に火を消し、そのまま蒸らしましょう。
土鍋炊きの場合、この「蒸らし」がいちばんのポイントです。
全体をタオルで覆っても、蓋の穴を埋めてもOKです。
そのままであっても一向に構いません。
蓋をしたまま10~20分放置しておきます。
④全体を底からさっくり混ぜて出来あがり
蒸らしたら蓋をとり、底から上下をひっくり返すように全体を大きく混ぜ合わせて出来上がりです。
玄米の香ばしい香りが鼻腔をくすぐることでしょう。
浸水時間が短くてもOK!玄米のびっくり炊きとは?
うどんを茹でている途中で差し水をするびっくり水のように、玄米を土鍋で炊いている最中に冷水を入れる炊き方をびっくり炊きといいます。
米どころ秋田の伝統的な炊飯方法で、浸水時間を長くとらなくても、ふっくらおいしく炊けると評判です。
さっそく炊き方をご紹介しましょう。
①洗米します。
②土鍋に洗った玄米と1.2~1.5倍の水を入れ、蓋をして強火にかけます。
③沸騰して吹きこぼれてきたら火を弱くします。
③15~20分後に香ばしい臭いがしてきたら、蓋を開けて冷水(びっくり水)を入れます。
この時の水の量は米の0.8~1.2倍です。
④よく混ぜて蓋をし、そのままさらに火にかけておきます。
⑤10~15分後、火を止めてそのまま5分くらい蒸らします。
⑥蓋をとって全体によく混ぜたら出来あがりです。
びっくり炊きは洗米の後、すぐに炊けるのがメリットです。
また普通の炊き方よりふっくら炊けるため、全体のカサが増します。
玄米の皮が破けてそこから水分をたくさん吸収するために、量が増えるのです。
しかも普通に炊くより白くなります。
忙しい時に便利な炊き方として覚えておくと良いでしょう。
なぜ玄米を土鍋で炊くとおいしいのか
土鍋には、熱伝導性が低いために内部の温度が上がるのに時間がかかるという特性があります。
しかし保温性が高いために、いったん温まったら冷めにくく、土鍋全体が加熱された状態が長く続きます。
こうした土鍋の特性が、玄米をおいしく炊き上げるのにぴったり合致しているのです。
米はアミラーゼという酵素がデンプンを分解することで、甘みやうまみを引き出しています。
このアミラーゼが最も良く働く温度が40~50度の時です。
土鍋で炊くと、じわじわと時間をかけて温度が上がり、火を止めた後も冷めにくく、いつまでも温度がキープされています。
つまり、アミラーゼが最も良く働く温度が長い時間持続するため、土鍋で炊くとおいしく炊き上がるのです。
加えて蓋をして蒸らすことで、土鍋の内部に程よく水分が充満します。
炊飯に過不足ない水の量を入れることで、しっとりと蒸気が行きわたるのです。
土鍋は鍋物だけではなく、煮たり炊いたりするのにも適した鍋なのです。
水の量は玄米の1.5倍に!土鍋でおいしいご飯を召し上がれ
いかがでしょうか。
玄米は浸水時間を長くすること、1.5倍くらいの水の量で炊くこと、炊き上がったらしばらく蒸らすことなどのポイントを押さえることで、土鍋でおいしく炊き上がります。
炊飯器のオートマチックな炊き方に物足りなくなったら、アナログな土鍋に替えてみませんか。
期待以上のおいしさにびっくりしますよ。