畑の肉と呼ばれ、昔から私たちの食卓には欠かせない存在だった大豆。
今またその優れた栄養素が健康的であると注目が集まっていますが、一方で意外にもカロリーが高く、太るといわれているのをご存知でしょうか。
果たしてどれくらいカロリーがあるのか、太らないためにはどうしたら良いのか、またどんな栄養素が含まれているのかなど、今回は大豆についていろいろお話しいたします。
太るのが心配!大豆はカロリーが高いって本当?
大豆のカロリーは、100gで417kcalあります。
といわれても、多いのか少ないのかピンと来ませんよね。
ご飯1膳分のカロリーが269kcalです。
1膳がだいたい150gですから、ご飯100gですと約180kcalになります。
大豆のカロリーはだいぶ高いといえますね。
しかし、417kcalは、乾燥した大豆100gのカロリーです。
節分時に食べる煎った大豆100gのカロリーだと思ってください。
茹でた大豆ですと、だいぶ数値が変わります。
茹で大豆100gのカロリーは180kcalで、ご飯と同じです。
ご飯を大豆に置き換えるダイエットをしても、太ることはないのです。
にもかかわらず太るといわれているのは、単に食べ過ぎるからです。
特に炒り大豆はついポリポリとつまんでしまい、気がついたら1袋全部食べてしまっていた、なんてことになりがちです。
食べるときは予め食べる量だけ出し、残りは手の届かない奥の方へしまってしまいましょう。
大豆を他の食物と比較!太るほどカロリーは高くない?
乾燥大豆100gのカロリーが417kcalと、他の豆類が軒並み300kcal台であるのに比べたら、高カロリーといわれる大豆ですが、ナッツ類と比較するとまた違った結果が出てきます。
100gあたりのカロリーをご紹介します。
・乾燥大豆 417kcal
・落花生 560kcal
・アーモンド 600kcal
落花生やアーモンドの方がずっとカロリーが高いですよね。
タンパク質、脂質、炭水化物についても見てみましょう。
タンパク質 脂質 炭水化物
・乾燥大豆 35.3g 19.0g 28.2g
・落花生 25g 48g 19g
・アーモンド 19g 54g 20g
大豆はナッツに比べたら脂質が低く、カロリーもそれほど高くありません。
素晴らしいのはタンパク質の多さです。
さすが「畑の肉」といわれるだけのことはあります。
では、肉とカロリーを比べるとどうでしょうか。
100gの肉のカロリーを調べてみました。
・牛バラ 517kcal
・牛サーロイン 498kcal
・牛ロース 468kcal
・牛肩ロース 411kcal
・ベーコン 405kcal
・豚バラ 386kcal
最も脂が多そうな豚バラやベーコンが、大豆よりカロリーが低いとは驚きです。
牛肉類は脂質が多いためカロリーが高く、しかもコレステロールを上昇させます。
肉なら畑の肉である大豆の方が体にとって良さそうです。
適量を食べている限り、太る心配はないといえるでしょう。
カロリーだけじゃない!大豆は脂質も炭水化物もたっぷりだから太る?
大豆はカロリーが高いことをお話ししましたが、栄養価が非常に高い食物でもあります。
乾燥大豆100gのうち、水分が12.5g、タンパク質が35.3g、脂質が19.0g、炭水化物が28.2gあります。
「畑の肉」といわれるくらいですから、タンパク質の割合がとても高いです。
そして、脂質と炭水化物もたっぷり含まれています。
脂質の含有量を100gの枝豆、バターピーナッツと比べてみましょう。
・乾燥大豆 19.0g
・枝豆 6.2g
・バターピーナッツ 51.3g
さすがにバターピーナッツは脂質がとても高いですが、枝豆はグッと少ないです。
ダイエットには大豆より枝豆の方が良いといえますね。
しかし大豆の脂質は、肉の脂質のようにコレステロール値を上げず、むしろ悪玉コレステロールを下げる働きがあります。
そのため、脂質が枝豆より多いからといって太る心配はありません。
炭水化物が多いのも、イコール糖質が多いわけではありません。
炭水化物とは糖質と食物繊維を合わせたもので、大豆には野菜より多くの食物繊維が含まれているのです。
ごぼう100g中の食物繊維量と比べてみましょう。
・ごぼう 5.7g
・煎り大豆 17g
大豆には、繊維質の野菜の代表であるごぼうの約3倍もの食物繊維が含まれているのです。
このことから、炭水化物が多いからといって太る心配はなく、むしろ腸内環境を整え、肥満の敵である便秘を解消してくれるのです。
カロリーが高くても太る心配なし!大豆に含まれるダイエット効果の高い栄養素とは?
大豆はカロリーが高い食物ではありますが、体に良い栄養がたっぷり含まれています。
なかでも下記に記す栄養素はダイエットをサポートする働きがあるので、適量を食べている限り、太る心配はないといえるでしょう。
①タンパク質
畑の肉と呼ばれる大豆は、35%がタンパク質でできています。
大豆加工品と比べても、乾燥大豆のタンパク質の多さは群を抜いています。
以下に100g中の含有量を比較してみました。
カロリー タンパク質 脂質 炭水化物
・乾燥大豆 417kcal 35.3g 19.0g 28.2g
・納豆 200kcal 17g 10g 12g
・絹ごし豆腐 60kcal 5g 3g 2g
・豆乳 50kcal 4g 2g 3g
タンパク質は筋肉を作り、脂肪を消費してエネルギーを生み出します。
しっかりとした筋肉の形成は、太りにくい体へと変革する大切な栄養素です。
②サポニン
体脂肪を減らす働きがあるといいます。
コレステロール値、中性脂肪を下げ、代謝を上げる作用があるため、ダイエットに効果的です。
③ぺプチン
脂肪をエネルギーに変換する働きがあります。
まだまだある!体に良い大豆の優れた栄養素とは?
大豆にはほかにも体に良い優れた栄養素がたくさん含まれています。
代表的なものをご紹介しましょう。
・大豆イソフラボン
女性ホルモンと似た働きをするため、骨粗鬆症や更年期障害を抑制し、ホルモンバランスを整える作用があるようです。
また乳がん、前立腺がんの腫瘍の増殖を抑える効果があるといわれています。
さらに動脈硬化や不眠の改善効果もあるようです。
・大豆レシチン
脳を活性化するといわれています。
集中力や学習効果が上がったり、認知症を抑制したりするようです。
・亜鉛
新陳代謝を促して美肌を作る働きがあります。
・カルシウム
豊富なカルシウムが骨の形成に役立っています。
・カリウム
浮腫みを解消し、高血圧を改善する働きがあります。
・ビタミンB群
代謝を上げ、脂肪の燃焼を促すため、ダイエットに効果的なビタミンです。
他にも鉄分、マグネシウムなどのミネラルも豊富です。
このように大豆には優れた栄養素がたっぷり含まれているため、カロリーが高いから太ると敬遠していたのではもったいありません。
適量をいただく限り、ダイエットにも嬉しいサポート効果があります。
毎日の食事に少しずつ摂り入れるようにしましょう。
大豆の食べ過ぎによるデメリットは?
大豆は腹持ちが良いので、ダイエットをサポートする食物といえます。
しかし、煎り豆などはついつい余分に食べてしまいがちです。
うっかり食べ過ぎると、もともとカロリーが高いために、太る可能性があります。
そればかりか普段から食べ過ぎていると、かえって体にとって良くありません。
デメリットをお伝えしましょう。
・大豆イソフラボンによるホルモンバランスの乱れ
イソフラボンは女性ホルモンと似た働きをするので、更年期障害や骨粗鬆症で苦しんでいるかたにはメリットがあります。
しかし、すでに婦人科系の疾患があるかたはかえってホルモンバランスを乱しやすいため、主治医によく聞いてから食べましょう。
大豆と豆製品それぞれ100gにおけるイソフラボン含有量は下記の通りです。
・乾燥大豆 約140㎎
・木綿豆腐 約40㎎
・絹ごし豆腐 約38㎎
・醤油 約1.0㎎
・味噌 約59.1㎎
大豆が圧倒的です。
イソフラボンの1日の摂取目安は70~75㎎なので、大豆を半分の量にすればイソフラボンが70㎎となって、ちょうど良くなります。
・ホルモンバランスの乱れによる体調不良
自律神経の乱れや胃炎、腸が過敏になることがあります。
・体の冷え
ホルモンバランスの乱れとカリウムの過剰摂取による冷えが起こることがあります。
・甲状腺機能低下
バセドウ病などがあるかたは、長期間の過剰摂取で甲状腺機能が低下することがあります。
・下痢
食物繊維による消化不良で下痢になることがあります。
食べ過ぎなければ大豆は太らない
いかがでしょうか。
大豆はカロリーが高くても、食べ過ぎない限り太る心配はありません。
それより大豆イソフラボンをはじめとして、含まれている栄養素がすばらしいため、ぜひとも普段の食卓に載せていただきたい食材です。
畑の肉と呼ばれ、日本人の栄養を補っていた食材を見直してみても良いかもしれませんね。