時短調理が人気であっても、圧力鍋を使った玄米の調理に対しては、「その調理法はダメ!」と批判的なことを言われがちです。
圧力鍋を使った調理法のダメな部分も理解しながらも、あきらめてしまうことに納得がいかない方も多いことでしょう。
そのため今回は、どうしても玄米を圧力鍋で調理したい時のために、ダメな部分を可能な限り減らせる調理方法をご紹介します。
玄米を圧力鍋で炊くとダメと言われる理由は?
「玄米を圧力鍋で炊くとダメな理由…」と聞いて真っ先に何を思い浮かべるでしょうか?
例えば考えるのは、玄米の発芽毒であるアブシジン酸かもしれません。
ところがアブシジン酸の場合には、浸水時間をきちんととった上で玄米を炊くことで、体内に発芽毒を入れることはなくなります。
実は、玄米の圧力鍋調理がダメと言われる理由は、圧力鍋の長所である高い温度で調理ができる点に問題があるのです。
この場合に、発がん性物質のアクリルアミドが発生してしまいます。
アクリルアミドの特徴で、玄米に含まれるアミノ酸や糖質が高温で加熱されることにより、化学反応が起こることで発生することになります。
アクリルアミドは玄米の圧力鍋調理から発生するだけではなく、かぼちゃやリンゴをオーブンで加熱することでも発生する物質です。
そして子供も大人も大好きな、ポテトチップス、コーンスナックの菓子類、インスタントコーヒーにも多く含まれます。
一方で玄米の場合は、炊飯器で炊くとアクリルアミドは発生することはありません。
そのため、できれば炊飯器を選択した方がよいという理由も含め、玄米を圧力鍋で炊くとダメと言われがちなのです。
ダメでも玄米を炊く!「毒」が発生しにくい圧力鍋選びのポイントとは?
玄米は炊飯器で炊くよりも時短調理できてしまうので、ダメな理由になるアクリルアミドのことを聞いてもあきらめられないかもしれません。
そんな時には、アクリルアミドの発生しにくい圧力鍋を選んでみるのはいかがでしょうか。
まず、アクリルアミドは圧力鍋で120℃以上の高温で調理することで発生するため、その温度を超えない圧力鍋選びが大切ですよね。
その場合には、2気圧で120℃、2.5気圧で128℃以上で中の水分は沸騰し、調理されることになると言われている点を参考にしてみましょう。
ただし温度のことは実際が何度なのかは、自分で計れないない部分があるため正確にはわからず、アクリルアミドの発生についてもしないとは言い切れません。
それでも128℃以上で調理の、2.5気圧の商品は避けるべきであると感じます。
また、圧力鍋の単位は「気圧」と「kPa(キロパスカル)」で、1気圧が約100kPaになり、一般的には気圧の上昇は80kPa~150kPaになるようです。
元の状態を1として気圧の上昇分を加えることで、1.78気圧~2.48気圧の商品となっています。
例えば、1.78気圧の商品であれば120℃以下の調理温度となるため、この温度ならアクリルアミドの発生する可能性は少なくなります。
それに、圧力鍋で蒸らす段階でも熱が通る方が、調理温度が低い場合、その間も余熱で温められることはメリットとなるでしょう。
そのため冷めやすいアルミよりは、ステンレスや多層構造の圧力鍋を選んでみてはいかがでしょうか。
便利な圧力鍋調理が「ダメ!」になる!毒のアクリルアミドの正体は?
玄米の圧力鍋調理をするとおいしく炊けるのに、何がダメなのか疑問に思われる方もあることでしょう。
そのおいしいごはんをダメと言わせてしまうアクリルアミドの正体ですが、発がん性物質となるため味や風味には関係がないものです。
アクリルアミドはデンプンを含む食品を、120℃以上の高温調理した時に発生するものとなります。
圧力鍋の調理では120℃を超える場合が多いため、便利な調理法なのですが、避けた方がいいと言われることも多くなるのです。
このアクリルアミドは、スウェーデンでは2002年に発がん性物質の疑いがあると公表されています。
発がん性物質というと、具体的にどのようなガンになるおそれがあるのか気になりますよね。
ところが、人間にとってどのガンが影響を受けているのかは、まだ研究中の段階となっています。
ただし国は2007年のオランダの調査で、婦人科系のガンと関連があることを公表しており、アクリルアミドは控えるべき物質であることを伝えています。
まだ国内での含有量の規制はされていませんが、企業ではアクリルアミドに対する対策を考えるところも出てきているようです。
玄米の圧力鍋調理で発生するアクリルアミド!体内への影響を減らすには?
時短調理が人気の世の中であるにもかかわらず、玄米を圧力鍋で調理するのはダメと言わせてしまうアクリルアミドです。
ただし、その毒性が発がん性物質と聞くと納得できる方は多いことでしょう。
この物質は体内で消化し吸収されると、全身に運ばれることになります。
肝臓で解毒され尿として出されるのですが、赤血球のヘモグロビンや体を作るための大事な栄養素のタンパク質とも結びつきます。
現在のところ体内に摂り入れることを控える以外、排出方法など詳しいことはわかっていません。
例えば国が公表するある資料によると、ジャガイモの場合は常温ではなく冷蔵保存の後に調理すると、還元糖が増えた分、アクリルアミドの量は2倍になることがわかっています。
そう考えると圧力鍋で玄米を炊く場合には、浸水させている時、また玄米の保存なども常温で置く方がいいでしょう。
そして、加熱時間が長くなるほどアクリルアミドの発生する量は増えることになります。
そのため、必要以上に火にかけ続けることもやめ、玄米を焦げないようにすることがおすすめです。
120℃以上の高温で調理した場合には、野菜、トースト、フライドポテトなど、焦がすほどにアクリルアミドの濃度が上がるデータもあるため注意しましょう。
身体にとってダメじゃない!圧力鍋を使った玄米の調理の仕方とは?
ダメと言われがちな圧力鍋を使った玄米の調理法ですが、身体にいい要素も見つけて調理してみませんか。
そのために大切なことの一つ目として、浸水時間を12~17時間とることを忘れないようにしましょう。
時短調理できる上、浸水なしでもふっくらと炊けるかもしれませんが、浸水時間をとることは大切です。
もしも浸水しなければ、玄米の発芽毒のアブシジン酸も、アクリルアミドに加えて体内に入れてしまうことになります。
アブシジン酸も体内の細胞に悪影響を与えエネルギーが作れなくなり、深刻な病気に導く原因を持つ物質になるためご注意ください。
そして、ごはんはおこげを作ると香ばしくおいしいのですが、圧力鍋を使っておこげを作るとアクリルアミドの濃度が上がるため避けるようにします。
また体内に存在する活性酸素は、深刻な病気とかかわりの深い物質であるため、抗酸化作用のある栄養素を摂るようにしたいです。
その栄養素としては、既に玄米の中にもビタミンC、ビタミンE、βカロチン、ポリフェノール等が含まれています。
玄米は噛みごたえがあり消化吸収されにくい食品ですが、栄養素を体内に吸収させるために、よく噛み砕いて食べるようにしましょう。
抗酸化作用を持った栄養素はお互いに酸化することを防ぐため、玄米と共に食べるおかずにも入れるのもいいですね。
他にも、にんじんやかぼちゃなどの抗酸化力を持つ具材を使った、かやくごはんもおすすめとなります。
栄養価ではダメと言わせない!圧力鍋を使った玄米の調理法とは?
圧力鍋を使って炊く玄米の場合は、アクリルアミドのことでダメと言われがちですが、玄米に栄養が豊富なことは変わりません。
それに発芽毒を無毒化するために浸水時間を12時間以上とると、その栄養価はいつもの玄米よりもより高まっていることになります。
その一つはGABA(ガンマ-アミノ酪酸)で、リラックスやストレスを和らげる効果も期待できるものです。
またコレステロールを抑えたり、肝臓の働きも促すという点では、アクリルアミドを摂取した場合はプラスに働くでしょう。
GABAは浸水をすることで、通常の玄米の何倍にも増えている状態になっています。
他にはポリフェノールの一種のフェルラ酸は、強い抗酸化作用を持つことが特徴で、活性酸素に対して働く成分です。
そしてフィチン酸から作られるイノシトールは、コレステロールの影響でできた血管内の血栓の改善のために働きます。
このように玄米を浸水させることで、栄養価は高まっていることになるので、その点は身体にいい成分を入れていることになるでしょう。
玄米の圧力鍋を使った調理をするために大切なこと
玄米の発芽毒の場合は正しい下準備をすることで、身体に悪い影響を避けられることになります。
また、圧力鍋を使った玄米の調理法は、高温で熱した時に発生するアクリルアミドが、「ダメ!」と言われる元となっていましたよね。
それならば圧力鍋選びから注意をしたり、調理法を考えることで、玄米の圧力鍋調理もダメな部分ばかりではないものとなりそうです。