玄米や雑穀米は栄養豊富で、ヘルシーだと言われていますが、パサパサした触感や特有のえぐみ、匂いがあるから食べにくいと感じている方も多いかと思います。
しかし下ごしらえや炊き方を工夫すれば、白米と変わらず、くせなく、ふっくらもちもちに仕上がるのです。
これで苦手意識のある方も玄米や雑穀米を克服できるはず。
今回は、玄米と雑穀米のそれぞれの栄養や健康効果から美味しい炊き方、炊き込みご飯のレシピまで幅広くご紹介します。
玄米の栄養や健康効果は?
私たちが一般的に食べている精白米は、玄米から表面の薄皮であるぬかと胚芽を除去して胚乳のみにしたお米ですが、玄米は、稲の果実であるもみからもみ殻だけを取り除いたお米を言います。
米の栄養素であるでんぷんとたんぱく質は胚乳の部分に多く含まれていますが、脂質、ビタミン、無機質、食物繊維などは、ぬか層と胚芽の部分に多く含まれています。
よって玄米から精白米になるまでに、脂質、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養がどんどん失われていきます。
玄米は人間が健康を維持するために必要な栄養素をほとんど摂取できるため、完全栄養食と呼ばれていますね。
特に玄米は精白米と比較して食物繊維やビタミンB1、マグネシウムを多く含んでいます。
食物繊維は、余分なコレステロールや糖分、発がん性物質などと一緒に体の外へと出ていくので、肥満や生活習慣病、がんの予防にも効果があると言われています。
また腸内環境を改善し、便秘を解消してくれます。
ビタミンB1は、糖質からエネルギーを産生したり、皮膚や粘膜の健康維持を助けたり、脳神経系の正常な働きに関係しています。
ビタミンB1が不足すると食欲が無くなったり、疲れやすくなったりしますね。
またマグネシウムは生命維持に必要な様々な代謝に関与していますので、不足すると、不整脈が生じやすくなります。
玄米や玄米を含む雑穀米の美味しい炊き方をマスターして、ぜひ健康のためにも積極的に玄米を食べたいですね。
雑穀米とは?栄養や健康効果は?
最近は、白米と混ぜて炊くだけで雑穀米ができるものも市販されていますよね。
健康ブームから、食べられている方もいらっしゃることかと思います。
そんな雑穀米ですが、具体的にどんなもので、どんな栄養、健康効果があるのでしょうか?
雑穀米とは、玄米や赤米、黒米、発芽青玄米などの米類や、粟、ひえ、きび、ハト麦、大麦、押し麦、アマランサス、とうもろこし、胚芽押麦、黄大豆、黒豆などの雑穀類を、白米と混ぜて炊くご飯のことを言います。
炊き方は白米と同じです。
含まれる穀類の種類によって五穀米とか十六穀米とか言われますが、この五穀十六穀に定義はなく、販売するメーカーによって含まれる種類は異なります。
栄養価は含まれる雑穀によって異なりますが、雑穀米はビタミンやミネラル、食物繊維など、体に必要な栄養が白米よりも多く含まれています。
雑穀米で主に使われる雑穀としてまず挙げられるのが、便秘解消や体内の老廃物の排出をしてくれる食物繊維が豊富な大麦やひえです。
次に古代米と言われる赤米、黒米ですが、これらは老化やがんの原因となる活性酸素の発生を抑えると言われるポリフェノール類を含んでいます。
きびは体内では生成されない必須アミノ酸であるメチオニンを多く含みます。
このメチオニンはコレステロールを下げ、活性酸素を除去すると言われています。
あわはビタミンB1、食物繊維、貧血予防に役立つ鉄分などを多く含みますし、アマランサスは骨や歯を作るカルシウムが豊富です。
自分の体調に合わせて、雑穀をうまく組み合わせて食べることで、より健康効果が上がりそうですね。
玄米の美味しい炊き方は?
玄米の炊き方には圧力鍋や土鍋を使うと美味しくできると一般的には言われていますが、炊飯器でもコツをつかめばふっくらもちもちに炊けますよ。
まず玄米は、白米を洗米する時のようにゴシゴシと研ぐ必要はありません。
ボウルにお米を入れて、玄米に付いている汚れやゴミをサッと水で洗い流し、優しく両手でお米をすくい上げながらもみ洗いします。
この作業を2~3回繰り返し、玄米を洗い終えたらざるなどに移してしっかりと水気を取ります。
お米の表面に少し傷をつけると、よく吸水するため、柔らかく炊き上がりますよ。
玄米炊きボタンが付いていない炊飯器を使う場合は、洗米後に目安として7~8時間程水に浸けておく必要があります。
玄米は、白米よりも水を吸収しにくいので、しっかりと浸漬させるのがポイントです。
さらに玄米を発芽状態になるまで水に浸すと、甘味や旨味、栄養価も増しますし、食感もふっくらとして柔らかくなりますよ。
炊飯器に玄米炊きボタンが付いている場合は、規定の水分量をセットすれば大丈夫です。
目安としては玄米の量の約1.5倍の水が必要です。
炊く前に、塩を加えるのもポイントです。
1合につき、ひとつまみの塩を入れればOKです。
塩を入れることで、玄米の吸水率も良くなりますし、柔らかく炊けると言われています。
さらに玄米特有の苦みが消えて、甘くなり、美味しくなります。
備長炭をお米の上にのせたり、日本酒を入れて炊いたりすることで、ふっくらと香りのいい玄米ごはんが楽しめるとも言われています。
では雑穀米の炊き方にコツはあるのでしょうか。
雑穀米の美味しい炊き方は?
市販されている雑穀米は、白米に混ぜて炊き上げるだけの非常に簡単なものが多いですが、ちょっとしたひと手間でより美味しく食べられますよ。
白米と雑穀米は、白米1合に対して小さじ1杯の割合で販売されていることが多いですが、ご自身のお好みに合わせて、ブレンドを変えてみるのもいいでしょう。
雑穀米は基本、洗わなくても大丈夫ですが、気になる方は軽く流水をかけて表面についているゴミなどを洗い流す程度でOKです。
しっかりと研いでしまうと、雑穀が割れてしまうこともありますので要注意です。
また中には浸水が必要なものもありますので、表示はよく読んでおきましょう。
しっかり浸水をしないと、消化吸収が悪くなってしまいますよ。
さらに米と水を炊飯器にセットしたら、冬なら30分程度、夏なら1時間程度白米と雑穀米を浸水させてから炊くとより美味しく炊けますよ。
あとは白米に合わせた水加減で炊いて大丈夫です。
その際に、玄米の炊き方と同じように白米1合に対して、塩をひとつまみ程度加えて、軽く混ぜてから炊くと、穀物の甘みを引き出してくれます。
みりんやハチミツを加えても甘みが増すと言われています。
また酒を加えても、風味が増して美味しくなりますし、オリーブオイルやサラダ油を加えるとツヤが増しますよ。
玄米炊き込みご飯の圧力鍋での炊き方は?
今回は、圧力鍋を使った玄米の炊き込みご飯の炊き方をご紹介します。
きのこのうま味がしみ込んだふっくら食感の炊き込みご飯です。
3種のきのこの食感も楽しいです。
もちろん玄米を雑穀米に代えてもできますよ。
【材料 2人分】
・玄米 2合
・だし汁 500ml
・しょうゆ 大さじ2
・砂糖 小さじ1
・みりん 大さじ2
・ごま油 大さじ1
・酒 大さじ2
・塩 ひとつまみ
・しめじ 1/2パック
・えりんぎ 1本
・しいたけ 2個
【作り方】
①玄米は水で洗い、浸漬し、ざるに上げて水気を切っておきます。
②しめじは石突きを切り落とし、手でほぐします。
③えりんぎ、しいたけは食べやすい大きさに切ります。
④圧力鍋に全ての材料を入れて軽く混ぜ合わせたら、蓋をして中~強火にかけます。
⑤圧がかかったら弱火にして、20分程加圧し、火を止め10分程蒸らします。
⑥圧が下がったら蓋をあけてふんわりと混ぜ合わせて完成です。
圧力鍋の種類によって、だし汁の量や火にかける時間等異なってきますので、いろいろと自分のお好みで試してみてくださいね。
また注意点としては玄米の炊き込みご飯を作るときは、調味料を入れる前に必ず浸水させてください。
浸水せずに調味料につけると、お米の芯が残って硬い食感になってしまいますよ。
食感が楽しい!雑穀米の炊き込みご飯レシピ
根菜類と雑穀の食感を楽しめる炊き込みご飯をご紹介します。
しょうがを加えることで、しょうがの香りが広がり、雑穀米や玄米の独特の臭みを緩和することもできますし、より食べやすくなりますよ。
【材料 2人分】
・雑穀米 2合
・だし汁 炊飯器の目盛り2合分・調味料とツナの汁分
・しょうゆ 小さじ2
・酒 大さじ1
・ごぼう 1/2本
・にんじん 1/2本
・しょうが ひとかけ
・ツナ缶 1缶
・塩昆布 ひとつまみ
【作り方】
①雑穀米は30分程水に浸しておきます。
②ごぼうはささがきにし、人参は短冊切りにします。
③しょうがは細切りにします。
④炊飯器の内釜に雑穀米、酒、しょうゆ、ツナの汁を入れ、だし汁を炊飯器の2合分まで入れます。
⑤ツナの身、ごぼう、にんじん、しょうが、塩昆布を入れます。
⑥炊飯器のスイッチをONにします。
⑦炊けたら、しゃもじで全体をさっくりと混ぜ合わせて完成です。
雑穀米と具材を一緒に炊飯器で炊くだけ。
とっても簡単に炊き込みご飯ができる炊き方ですね。
時間が無い時でもおすすめのヘルシーご飯です。
ぜひ試してみてくださいね。
玄米と雑穀米を美味しくふっくら炊いて、健康的になろう
玄米も雑穀米もとても健康にいいことがわかりました。
またひと手間加えたり、ポイントをおさえた炊き方をマスターしたりすることで、ふっくらともちもちに仕上がりますし、玄米や雑穀の独特の臭みやえぐみもとれるのです。
炊き込みご飯にすれば、栄養価もより高まりますし、美味しいしとてもおすすめです。
ぜひ食卓の選択肢のひとつとして、玄米や雑穀米を取り入れてみませんか。