健康に良いと言われている玄米ですが、どんな栄養があり、白米とは何が違うのでしょうか。
硬いイメージの玄米は、どうやって炊くのがいいのでしょうか。
玄米の特徴をご紹介しながら、浸水なしで炊ける圧力鍋を使ったレシピもご案内します。
苦手意識があった方も、玄米の特徴をつかんで、一度玄米炊きにチャレンジしてみてはいかがですか?
玄米ってそんなに健康にいいの?
健康食の代表と言われる「玄米」。
さて、いったいどのような栄養があるのでしょうか?
一般的によく食べられている白米は、玄米を精米したものです。
お米は「外皮」と「胚芽」と「胚乳」から出来ており、精米するときに「外皮」と「胚芽」が取り除かれます。
ところが、この「外皮」と「胚芽」にこそ、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれているのです。
つまり、白米が失った栄養の宝庫を、玄米ならばしっかり摂ることができるわけです。
健康志向の高い人が、玄米食を好むようになり、今では、玄米ご飯のみならず、玄米パンや玄米のお餅、玄米シリアルも登場するほど人気です。
ところが、家庭で白米に替えて玄米を摂ろうとしても、面倒になってやめてしまうという話も耳にします。
その理由は、白米と違って急いでいるときにささっと炊けないことにあります。
玄米は外皮に包まれているため、なかなか水が浸透しないのです。
その為、白米よりも、浸水時間をたっぷり取らないとおいしく炊けません。
では「圧力鍋」ならばどうでしょうか?
あの固い豆を短時間で炊くのが大得意な「圧力鍋」。
圧力鍋ならば、玄米を浸水なしで炊くことができるのではないでしょうか?
本当においしい玄米ご飯が炊けるのか?
日本人と玄米のかかわりと一緒に探っていきましょう。
炊き方が難しい玄米ご飯と日本人のかかわり
昔の人は玄米を食べていたのかと言うと、そうでもないようです。
日本では、古代から精米した米が食べられていた形跡があったと言われています。
玄米が食べられなかった理由として、じっくり炊かないと硬くて食べにくいので、時間と燃料がかかり過ぎることが理由のようです。
とは言え、精米技術も発達しておらず、完全な白米にするには、時間と労力がかかります。
それゆえに、完全な白米は、身分の高い者が口にするものだったそうです。
徐々に精米技術が進歩すると、一般庶民も白米を食べるようになります。
ところが、現代のように、栄養素を豊富に含んだ食材が溢れていたわけではないので、栄養素を取り除いた白米中心の食事により、脚気が流行してしまいました。
そこで昭和初期に、栄養が豊富な玄米食を食べるように推進する声が上がり、玄米が見直されるようになりました。
しかし、古代の人々が玄米を炊くのに苦労をしたように、玄米をおいしく炊くには工夫が必要だということは、現代も変わりません。
そこで玄米食を好む人が増えた現代では、玄米対応の炊飯器も登場しました。
また圧力鍋は、玄米の中に水分を押し込むので、浸水なしですぐに炊けて、時短になり便利だと言われています。
それでは、炊飯器、土鍋、圧力鍋で、玄米炊きを比べてみましょう。
玄米の炊き方・炊飯器VS土鍋VS圧力鍋 浸水あり?なし?
玄米の炊き方として、最も大事なことは「浸水」だといってもいいでしょう。
外皮に包まれた玄米は、白米と違って水分を吸収するのに時間がかかります。
基本的には浸水時間は6時間以上とされています。
炊飯器や土鍋で炊くときは、しっかり浸水させてから炊くことが基本です。
土鍋炊きのご飯がおいしいとされるのは、鍋が分厚く熱がゆっくり伝わることから、じんわりとお米を温めて、甘みを出すからだと言われています。
そこで、土鍋風の炊飯器も次々と登場しています。
玄米にとって大事な浸水ですが、浸水なしで炊けることを謳っているのが圧力鍋です。
炊飯器や土鍋だとだいたい1時間以上かかるとされる玄米炊きが、圧力鍋だと約半分の時間で炊きあがります。
浸水が必要な炊飯器ですが、安定した炊きあがりがメリットなことに対して、やはり浸水が必要で、お鍋や火加減により炊きあがりが違う土鍋。
しかし、ふっくらとした炊きあがりが土鍋の特徴です。
一方、浸水なしで炊ける圧力鍋は、時短には最適です。
それぞれ、その時の目的に応じて使い分けるといいですね。
浸水なし!圧力鍋でおいしい玄米の炊き込みご飯
玄米が苦手な人も、サツマイモを入れた炊き込みご飯にすれば、サツマイモの甘みと玄米との相性が良く、おいしくいただけます。
圧力鍋を使って、浸水なしでささっと炊ける、玄米の炊き込みご飯をご紹介します。
【材料】
・玄米 2合
・サツマイモ 中1本
・水 400ml
・酒 大さじ1
・塩 小さじ1
【作り方】
①玄米はよく洗い、ざるにあげます。
②サツマイモは食べやすい大きさの乱切りにして、水にさらします。
③圧力鍋に玄米、水気を切ったサツマイモ、水、酒、塩を入れて、フタをして強火で炊きます。
④沸騰したら弱火にして、約20分加圧し、火を止めたら自然放置します。
⑤圧力が下がったらフタを開けて、ざっくりかき混ぜます。
慣れてきたら水分を少し多めにして、加圧時間も少し長めにすれば、おこげができます。
玄米ご飯のおこげは、香ばしくて一層風味が増します。
ご使用の圧力鍋により、出来上がりには差が出ますので、水分量や加圧時間を調節して、理想の炊きあがりを見つけてください。
圧力鍋で炊く場合は、目安として、玄米2合に対して水は400mlとされていますが、これもお鍋の種類により、調整が必要です。
はじめて炊く場合は、10%ほど多めの水で炊く方が失敗は少ないでしょう。
少し多いかな?と思ったら、次回から減らすようにします。
そして、困った時はおじややおかゆにすれば大丈夫です。
柔らかすぎても、硬くなっても、おじややおかゆでおいしくいただけます。
浸水なし!圧力鍋で作る玄米のチーズリゾット
玄米食を取り入れるならば、炊き方を工夫すると、飽きずに楽しくおいしくいただけます。
柔らかくなったり硬すぎたりといった、炊きあがりを心配することなくおいしく仕上がる玄米のリゾットは、圧力鍋を使って、浸水なしで調理できるので、うれしいメニューです。
【材料】
・玄米 1.5合
・玉ねぎ 1/4個
・チキンスープ 600ml(お湯と固形スープでOK)
・バター 50g
・ローリエ 1枚
・白ワイン 1/4カップ
・パルメザンチーズ60g
・塩 小さじ1
・コショウ 適宜
【作り方】
①玄米はよく洗い、ざるにあげます。
②玉ねぎはみじん切りにします。
③スープは温めておきます。
お湯で固形スープを溶いてください。
④圧力鍋を中火にかけてバターを溶かし、玉ねぎを炒めます。
透き通ってきたら玄米も加えて炒め、スープとローリエ、白ワインと塩、コショウを加えてフタをして、強火にかけます。
⑤約20分加圧して、自然放置します。
⑥圧力が下がったらふたを開け、パルメザンチーズを加えます。
さめたリゾットは器に入れて、上からスライスチーズをのせて、電子レンジで温めます。
溶けたチーズとリゾットをかきまぜていただくと、チーズの風味が増して、また違ったおいしさが楽しめます。
玄米を炊くなら浸水なしで圧力鍋!ひと手間でもっとおいしく
玄米食については、実は賛否あるのも事実です。
問題となっているのは、玄米や雑穀に含まれる「アブシジン酸」。
植物ホルモンの1種で、発芽抑制因子です。
然るべき時に発芽できるように、種子が持っているこの因子を、人間の体に良くないと捉える情報があったり、「アブシジン酸」は熱に弱いので、炊飯すれば消える…といった意見もあったりと、情報は専門家の間でもさまざまに分かれています。
しかし、ネガティブな意見を持つ研究者からも、玄米を「空煎り」することで解消できるといった意見が出ています。
この玄米を空煎りする作業は、玄米の外皮を破り浸水しやすくする効果があるので、圧力鍋で炊く際にも、ひと手間加えると炊きあがりが違ってきます。
フライパンに洗って水を切った玄米を入れて、少し色が変わり香ばしい香りがするくらいまで空煎りするのです。
この、空煎りのひと手間を加えた玄米を圧力鍋で炊くと、浸水なしでもよく水分を吸収するので、ふっくら炊きあがります。
圧力鍋を味方にすれば、炊くのに時間がかかると言って、玄米ご飯を敬遠しなくても大丈夫です。
栄養たっぷりの玄米を、気軽に食卓に取り入れてみてはいかがですか。
主食に玄米も気軽に取り入れて、健康的な食卓を
炊くのが難しいとか、硬くておいしくないといったイメージが強い玄米ですが、浸水なしで炊ける圧力鍋を利用して、まず一度チャレンジしてみると、ハードルがぐんと下がります。
白米と同じように、炊き込みご飯にしたり、リゾットやおじやにもアレンジできるので、飽きることなく食べられます。
玄米を取り入れて、栄養たっぷりの食事で元気に過ごしたいですね。