高齢化社会を迎え、食生活の改善に注目が集まっています。
中でも日本人の食の根幹とも言えるお米を、体に良いといわれる玄米に替えることで心身の不調を改善しようとする方が増えています。
玄米にはさまざまな健康効果がありますが、そのひとつに血圧を下げる働きがあるといわれています。
今回は、どんな成分が血圧を下げるといわれているのか、他にどんな健康効果があるのかなどを詳しくご紹介していきたいと思います。
玄米に含まれている栄養には血圧を下げる効果があるのか?
玄米はご存知のように精製する前のお米ですから、糠や胚芽部分がそのままついています。
ここに健康上優れた効果を発揮する栄養素がぎっちり詰まっているのです。
中でも近年注目されているのが、GABA(ギャバ)という成分です。
ギャバはアミノ酸の一種で、血圧を下げる効果が期待できます。
また頭痛や記憶障害、耳鳴り、意欲低下などを改善し、神経を鎮めたり、不眠やイライラの解消、腎臓や肝臓の機能を高める効果も期待できるとして、医薬品としても用いられています。
ギャバは玄米の胚芽部分に多く含まれており、精白米には含まれていません。
そのため高血圧でお悩みのかたにとっては、白米より玄米をいただくほうが効果的です。
また今現在は高血圧ではなくても、運動不足や偏った食事を続けてコレステロールが高めなかたは、いずれ血圧が上がって血管障害を招き、心筋梗塞など重篤な疾患を招きかねません。
高血圧を予防するためにも、白米食から玄米食に切り替えてみてはいかがでしょうか。
ギャバだけじゃない!玄米に含まれる高血圧予防効果が期待できる栄養素とは?
玄米の胚芽部分に含まれるギャバには、高い血圧を下げる効果が期待できますが、そのほかにも栄養素がいろいろ含まれています。
例えば玄米には白米の5倍もの食物繊維が含まれています。
この食物繊維が腸の働きを活発にしてお通じを改善し、便秘によるいきみの結果起こる高血圧を予防するといわれています。
また、カリウムやマグネシウムといったミネラルには、血圧の調子を整える働きがあり、特にカリウムには血圧が高くなると自然に下げてくれる効果が期待できます。
亜鉛やイノシトールには動脈硬化を防ぐ働きが、またビタミンEには活性酸素を除去してコレステロールの増加を防ぐ働きがあるため、いずれも高血圧を防いでくれるといわれています。
他にも、不足すると高血圧を招くカルシウムが豊富に含まれていたり、貧血を防ぎつつ高血圧を予防するフィチン酸が含まれていたりと、玄米には血圧を下げて健康を維持する効果が期待できる栄養素がたくさん含まれています。
健康志向のかたにとって玄米食は外せない大きな魅力といえるでしょう。
玄米を劇的においしく炊くコツは?
玄米は精製される前のお米なので、ぽそぽそして食べにくい、おいしく感じられないといった欠点があります。
しかしそのせいで、せっかく血圧を下げる効果が期待できる玄米を食べないのでは、もったいないと思いませんか。
まずいと思われる玄米が劇的においしくなるちょっとしたコツを集めてみましたので、ぜひお試しいただけたらと思います。
・水に浸す時間は長めに
炊飯器の玄米モードで炊けば簡単に炊けますが、その前に注意していただきたいのは、玄米を水に浸しておく時間は最低6時間以上にすることです。
玄米は白米に比べ、水の吸収率が悪いので、出来るだけ長く水に漬けておくことが大切なのです。
夕食分は朝食が終わったらセットし、翌日の朝・昼食分は夕食後にまとめてセットすればOKです。
このとき少量の塩を加えると、さらに吸水率が高まります。
日々のルーチンになれば面倒なことではありませんので、長めに漬けておくことを心がけてください。
・炊き込みご飯も
それでも玄米の風味が好きじゃないというかたは、炊き込みご飯にすると良いかもしれません。
具材からうまみとともに水分も出るので、しっとりとした食感になります。
おすすめはトマトご飯です。
だしのうまみとトマトの酸味が玄米の独特な風味を消し去ってくれるので、意外なおいしさに満ちています。
・圧力鍋
お持ちのかたは是非、圧力鍋を使って玄米を炊いてみてください。
劇的なおいしさにびっくりするはずです。
気になる硬い食感がなくなって、しっとりふっくら仕上がりますよ。
玄米と白米のいいとこどり!発芽玄米でおいしく血圧を下げる
血圧を下げる効果が期待できるのはわかっても、やはり玄米はニガテというかたにおすすめなのが、発芽玄米です。
発芽玄米とは、玄米をほんのわずかだけ発芽させたもので、硬い糠の食感が柔らかくなるため普通の玄米よりずっと食べやすいのです。
発芽のためのエネルギーが働き、必要な栄養素を次々に生み出すため、栄養価は玄米よりはるかに高く、まさにいいとこどりのお米といえます。
特に血圧を下げるといわれているギャバが、玄米よりずっと多く含まれているのが特徴です。
1日に発芽玄米ご飯を1杯半食べる実験を8週間続けたところ、高血圧のかたは血圧が下がり、正常な血圧のかたでは下がらなかったという実験結果があります。
つまり、発芽玄米はただやみくもに血圧を下げるのではなく、高い血圧を正常に戻そうとする効果があるのです。
このように発芽玄米は健康効果が高く、しかも食べやすいとあって人気を呼んでいます。
玄米がニガテなら、発芽玄米を試してみても良いかもしれませんね。
血圧だけじゃない!玄米はメタボ全般に効果がある?
玄米は高血圧を防いでくれる働きが期待できることがわかりました。
玄米を2か月間毎日摂取するグループと、白米を摂取するグループとを比較した結果、血圧はもちろん、コレステロール、中性脂肪、食後血糖値、腹囲、体重のすべてで玄米グループに効果があったという報告があります。
その後玄米グループの食事を普通の白米に戻したところ、2か月後には玄米を摂る前の数値に戻ってしまったそうです。
つまり、玄米を食べ続けていれば、メタボが解消される可能性があるといえます。
そればかりかギャバによるストレス緩和効果など、メタボ解消以外にも下記のような優れた健康効果がたくさん含まれています。
・フェルラ酸 抗酸化作用、メラニンの生成の抑制
・ビタミンB1 脚気予防、神経の働きを正常に戻す
・ビタミンB2 目や粘膜の健康を守る
・ビタミンB6 皮膚の健康を守り、貧血を予防
玄米はまるで、優れた健康効果を発揮するサプリメントのようですね。
玄米とあわせて食べたい健康効果のある食事とは?
高血圧は生活習慣病の中で最も多いとされ、50代以上の約半数以上が高血圧といいます。
「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれる高血圧は、不摂生な食事を繰り返しているうちにひたひたと進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞といった形で爆発し、寝たきりになったり最悪命を落とす危険があります。
そうならないために今から食事を改善していきましょう。
ご飯を玄米に切り替えるのもそのひとつです。
さまざまな健康効果が期待できます。
他にも、塩分の摂取は十分注意するようにします。
日本人男性の塩分の摂取量は1日平均11gといいますが、高血圧のかたは6g以下に抑える必要があります。
減塩タイプの調味料を使ったり、ラーメンの汁は飲まない、むやみに何にでも醤油や塩をかけない、など意識して塩分を控えましょう。
他に、下記のような栄養素を含む食品を積極的に摂るようにしましょう。
①カリウム
玄米にも豊富に含まれていますが、ナトリウムを排出させる働きがあり、血圧を下げる効果があるといわれています。
海藻やバナナ、ほうれん草などに多く含まれています。
②食物繊維
玄米にも豊富に含まれていますが、腸の働きを活発にし排出を促します。
海藻、野菜、納豆、こんにゃくなどに多く含まれています。
③不飽和脂肪酸
DHA、EPAとして有名な成分で、血液サラサラ効果が期待できます。
いわし、さば、さんまなど青魚に多く含まれています。
④タウリン
コレステロールの吸着を防ぐ働きがあります。
貝類、いか、たこなどに多く含まれています。
上手に食事にとり入れて、血圧を下げる意識を持ちましょう。
高血圧予防に玄米を上手にとりいれて
いかがでしょうか。
玄米に含まれる成分には血圧を下げる効果が期待できるものが多く、中でもアミノ酸の一種であるギャバが血圧降下に有効といわれていることがわかりました。
毎日の主食を玄米に切り替えるには勇気がいるかもしれませんが、最初は白米に混ぜる形で少しずつ取り入れていくことをおすすめします。
慣れると結構おいしくいただけるので、ぜひ玄米食にトライしてみてくださいね。