日本食というと、ご飯と味噌汁、お漬物が定番ですね。
この3点があるだけで十分といえるほど、慣れ親しんだメニューです。
今回は、味噌汁を作るときに欠かせない味噌を、ご家庭で作れる工程をご紹介します。
大豆をつぶすのが大変な時に便利な道具も、併せてご覧ください。
手作り味噌を作るときに適している大豆とは
はじめに、味噌をご家庭で作るときの主な工程を見てみましょう。
1.もどす
硬いままの大豆をよく洗って、水に浸漬してもどします。
2.煮る
水を吸収した大豆を煮ていきます。
3.つぶす
柔らかく煮た大豆をつぶします。
4.混ぜる
つぶした大豆に塩きり糀を混ぜます。
5.発酵
混ぜ合わせた味噌を容器に移して、発酵熟成していきます。
味噌を手作りするときは、まず大豆選びからはじまります。
手作り味噌を作るための大豆選びのポイントは次の通りです。
●大豆が大粒
小粒のものですと、実入りが少ないので、大粒の大豆を選びましょう。
●水を吸収する大豆
大豆が水を吸いにくいと柔らかく煮ることができず、後々つぶせません。
●煮あがり後に食べても美味しい大豆
食べても味の良い大豆でなければ、満足のいく味噌は作れないですよね。
大豆を煮る工程で、味噌の味や香りが決まります。
炊きあがり次第で、美味しくできあがるか否かに関わってきます。
大豆は味噌の要です。
ぜひ、良質な大豆で味噌を作りましょう。
前日から大豆の仕込みを行う
手作り味噌ならではですが、材料や道具を用意できても、すぐに味噌はできあがりません。
まずは、大豆をもどす必要があります。
大豆の3倍の水で、およそ18~20時間かけて大豆をもどしていきます。
味噌を作るときは、ある程度スケジュールを立ててから行いましょう。
前日の作業の手順を、お話します。
①大豆をよく洗う
見た目は綺麗な大豆でも、汚れている場合があります。
少量でも水でお米を研ぐような感覚で、洗っていきましょう。
水が澄んでくるまで、5回ほど洗います。
②大豆に水を吸収させる
大豆に対して3倍の水を加え、約18~20時間浸漬します。
時間は目安です。
大豆の芯まで吸収させることが本来の目的です。
芯があるまま煮あげるとムラが生じ、大豆をつぶす工程でも、うまくいきません。
上記の時間で浸漬させたら、大豆を何個かとって縦に割ってみてください。
芯がなければ、味噌作りに最適な浸漬が完了したと言えます。
大豆の柔らかさを確認するときは親ゆびと小ゆびでつぶす
続いての工程では、大豆を煮あげていきます。
①圧力鍋に、浸漬させた大豆と、大豆に対して1.5倍程度のひたひたになるくらいの水を入れます。
およそ20分間、煮あげていきましょう。
圧力鍋に対して大豆の量が多い場合は、何回かに分割して炊いても良いですよ。
吹きこぼれる可能性もありますので、鍋から目が届くところで待ちます。
圧力鍋をお持ちでないかたは、一般的な鍋でも大豆を炊くことはできます。
鍋を使う場合は、アクをとりながら3時間ほど煮ていきましょう。
②大豆が煮あがったら、大豆の硬さを確認してください。
確認は特別な機械を使わなくても、ご自身の手を使って簡単にできます。
大豆を親ゆびと小ゆびで持ってつぶす方法です。
つぶれれば、柔らかく煮あがった証拠です。
そしてこのときに、ぜひ食べてみてください。
美味しく頂ける大豆であれば、味噌の味も良くなりますよ。
では、大豆をつぶす工程に移りましょう。
豆をつぶす工程を楽にする味噌豆専用の道具
柔らかくなった大豆を、温かいうちにつぶしていきます。
ご自身の手でつぶす場合は、大豆が熱いままだと火傷をしてしまいます。
少し冷ましてから行いましょう。
また、オリーブオイルなどの空のガラス瓶で叩きながら、つぶしても構いません。
少量の大豆をつぶすのであれば、手を使ったりガラス瓶でも問題はありません。
しかし、一度にたくさんの大豆をつぶしたいときや、つぶす工程を楽にしたいときは、道具に頼ってみましょう。
☆豆ミンサー
味噌豆をひく専用の道具です。
大量の味噌を作るときには、活躍してくれること、間違いなしです。
大きなホッパーは、3㎏もの豆が入れられます。
それほど大きなものではないので、ご家庭でも使いやすいですよ。
☆豆ひき・豆すり
およそ8合の豆を入れられて、手動でひいていきます。
味噌豆以外にも対応しているものもありますので、幅広くお使いになれますよ。
つぶすことができたら塩きり糀を混ぜて最終工程へ
大豆をつぶすことができたら、もう一息です。
①大豆に塩と糀を一緒に入れて混ぜてしまうと、混ざりかたにムラができてしまいます。
あらかじめ、塩と糀を混ぜて、塩きり糀を作っておきましょう。
②大豆に塩きり糀を加えて、丁寧にしっかり混ぜ合わせます。
十分に混ざっていないと、混ざっていない箇所が腐りやすくなってしまいます。
丹精込めて、十分すぎるほどしっかりと混ぜ合わせましょう。
③しっかりと混ざったら空気を抜く意味でも、味噌を団子のように丸めていきます。
④保存する容器に丸くした味噌を押し込み、空気を入れないように詰めていきます。
空気に触れないように、ラップや落とし布を密着するように被せてから中蓋を乗せましょう。
最後に、重しになる石やペットボトルなどを乗せます。
重さは、味噌のできあがりの2割ほどのものを用意しましょう。
⑤保管は常温で10ヶ月から1年間、置きます。
あなただけの手作り味噌の完成です。
味噌にカビが!どう対処すればいい?
味噌は、熟成期間が10ヶ月から1年間と長いので、どうしてもカビが発生しやすいものです。
また、添加物が入っていない手作り味噌だからこそ、避けられない問題と言えます。
カビが生える主な原因としては、水分や塩分が少なすぎたり多すぎた場合や、炊き具合や密封性によるものです。
これは、手作り味噌のデメリットでもあります。
デメリットとしては、以下のことが挙げられます。
●カビをとる必要がある
●黒く変色しやすい
●カビ臭・不快臭の原因になる
●見た目で食欲がなくなる
●保管していた容器もカビで汚れてしまう
黒や青が混じっているカビが味噌の表面や容器の全体に及ぶ場合は、発酵不良が考えられます。
発酵不良でなければ、カビが生えたからといって食べられないわけではなく、カビを取り除けば食べられます。
しかし、できることなら、カビを発生させたくはありませんよね。
カビを発生させないポイントは、2つあります。
☆味噌の表面の密閉度
カビは空気が大好きです。
その空気をできるかぎり触れさせないことがポイントになります。
ラップや落とし布などをして、防ぎましょう。
☆重しをする
水は、上から下に流れる性質を持っています。
味噌に重しを乗せることで、下から上に水分を押し上げてくれる効果があります。
以上の2点を行うことで、カビが生えにくい環境を作ることができます。
味噌作りの工程は、もどす→煮る→つぶす→混ぜるです。
いずれの工程も、丹精込めて作ることで、美味しくできあがることでしょう。
ぜひ、大豆選びから熟成期間までを、お楽しみください。
こだわりの味噌を目指して
いかがでしたでしょうか。
手作り味噌は、添加物を入れずに長期保管するのでカビが生えやすいですが、今回ご紹介した対策方法ポイントを試してみてください。
味噌作りの工程をマスターできたら、大豆や糀、塩にこだわって作ってきるのも、おもしろいですよ。
市販では手に入らない、あなただけの味噌が味わえることでしょう。