精製法の発達により、以前より美味しくなっている無洗米。
研がずに炊ける手軽さで、ますます需要が高まっていますが、無洗米の1合は、普通の精白米とグラム数が違うのをご存知ですか?
今回は無洗米の開発の経緯や、美味しい炊き方、そして1合あたり何グラムになるかなど、無洗米についてのあれこれをお伝えしたいと思います。
無洗米はなぜ開発されたの?その理由と目的は?
無洗米とは、家庭で研ぎ洗いする必要のないお米のことです。
精白米は、玄米から「胚芽」と「ぬか」を取り除いたお米ですが、無洗米は、さらにその下の「肌ぬか」まで洗い落として出荷されています。
なぜ、洗わなくてよい無洗米が開発されたかというと、河川の水質汚染を防ぐためというのが、はじめの目的でした。
米ぬかの研ぎ汁の中には、窒素やリンが含まれていて、この台所排水が、川の水を汚す大きな原因のひとつになっていたからです。
各家庭で洗米し、研ぎ汁を排水溝に流した場合と比べると、工場で一括してぬかを除去した方が、環境汚染につながりにくいのです。
また、無洗米の製造過程で出る大量のぬかは、有機肥料として利用できるというメリットもあります。
今まで、無洗米は美味しくないという声もありましたが、最近では、ぬか除去に化学物質を使わない方法が開発されました。
そのお陰で、お米の栄養成分や風味を損なうことなく、生産できるようになりました。
このような点からも、無洗米は今後ますます、家庭に普及するのではないでしょうか。
ところで、無洗米はぬかがないぶん、普通の精白米と1合あたりの分量が違うのですが、いったい何グラムか存知ですか?
無洗米1合は精白米と何グラム違うの?その水加減は?
先ほどもお伝えしましたが、無洗米はぬかをきれいに取った状態にしてあるため、普通の精白米とは1合あたりの分量が違います。
普通の精白米の場合、お米1合は180ml、グラムに直すと150グラムです。
無洗米の場合は、ぬかが落とされているぶん、米粒が小さいです。
そのぶん、計量カップに入る1合あたりのお米の量が多くなるのです。
何グラムくらいかと言いますと、1合およそ160グラムくらいです。
これを普通のお米と同じ水加減で炊いてしまうと、お水が少なすぎて、硬くてポロポロの食味に炊き上がってしまい、美味しくありません。
ですので、水加減はいつもより多めに、だいたい大さじ1~2杯(15cc~30cc)くらいを目安に増やすと、美味しく炊けます。
無洗米の種類にもよりますので、お好みの水加減を見つけてくださいね。
最近は、無洗米専用の計量カップも市販されています。
何グラムかが分からなくても不便ではありませんが、どのくらい多いかを知っておくと良いですね。
無洗米専用のカップであれば、すり切り一杯で150グラムが計れます。
こちらで計った場合は、水加減は普通米と同じように、内釜の目盛りに合わせて炊けばOKです。
1合にたくさんのメリットが詰まった無洗米
無洗米が河川の水を守るために開発されたことや、1合が何グラムかが分かったところで、次に、家庭でのメリットをみていきましょう。
研がなくて良いメリットには、研ぐ時間の節約があります。
忙しい現代人には嬉しいですね。
次に、炊きあがったお米に食味の差がないことです。
無洗米は、出初めの頃、飲食店が時短と食味の安定のために、使い始めたという経緯があります。
精白米を炊くにはまず、お米を研がなくてはなりませんが、実は研ぎ方やすすぎ方によって、炊きあがりに差が出てしまいます。
米研ぎが足りなければ、ぬか臭くなり、変色の原因にもなります。
研ぎ過ぎれば、ビタミンB1やナイアシンなどの栄養素が流れ出てしまいます。
この点、無洗米ならば、栄養を損なうことなく、研ぎ方による味の差が出ません。
以前、まだ無洗米の製造工場が少なかった頃は、無洗米の品種も限られ、ぬか成分の除去技術もまだまだ途上にありました。
また、消費者の意識も、お米は研ぐものという固定観念があり、無洗米は美味しくないというイメージのままでした。
しかし今では、技術開発が進み、肌ぬかまで除去しても、うまみ層がしっかり残せるようになって、むしろ研ぐより美味しい無洗米が増えています。
1合でも美味しく無洗米を炊くには?
時間の節約や安定した炊きあがり以外にも、まだまだメリットはあります。
それは、節水効果です。
精白米の洗米時に使用される水道水は、お米を3合(450グラム)研ぐ場合、およそ4.5リットル使うと言われています。
その点、無洗米は洗わなくて良いので、水道代の節約にもつながりますね。
また、無洗米は災害時や緊急時など、お水が自由に使えないときでも、洗わずに利用できるのがメリットです。
無洗米を何グラムかそのまま鍋に入れ、備蓄水やミネラルウォーターを計量して加えれば、非常時でも美味しいご飯を食べることができます。
また、節水だけでなく、冬場などに冷たいお水でお米を洗う必要がないのも、とても助かりますね。
無洗米1合に加えるお水の量は、先ほども触れたように、精白米より若干多めです。
お水を加えたら、次に大切なのが、充分な浸水です。
美味しく炊くためのポイントです。
お米全体をまんべんなく浸水させるために、底からゆっくりかき回して、お水となじませてください。
浸水時間は夏場で30分、冬場では45分~1時間くらいです。
無洗米を利用された方はお気づきだと思いますが、浸したお水が白く濁り、ぬかがまだ残っているように感じますよね。
実は、これはぬかが残っているわけではなく、デンプンの濁りなので、このままの状態で炊いて大丈夫です。
無洗米は、精白米と正味量が違う?それは何グラム?
無洗米を、価格の点からみていきましょう。
精白米に付着しているぬかは、約3パーセントと言われていますので、5キログラム袋で精白米は正味、4.85キログラムになります。
無洗米の方が、ぬかを落としてあるぶん、同じ5キログラムでも正味量が多くなりますね。
およそ1合お得という計算です。
普通の計量カップで計ると、無洗米は160グラム入ってしまいますので、炊きあがりが多すぎる場合は、専用のカップで計量をオススメします。
値段は、無洗米の方が高価格と言われていますが、最近は普通のお米も無洗米も、それほど価格差がないようです。
技術開発が進んだこともあり、むしろ無洗米の方が低価格だったりする場合もあります。
ただ注意しなければならないのは、本来加工用として使う崩れたお米や、未成熟米が混入していて低価格なものもあるようです。
お米の粒が、極端に小さいものは、避けて購入してくださいね。
それから、精白米を研ぎ洗いしているうち、うっかり流しにこぼしてしまった、なんていう経験はありませんか?
何グラムもこぼすことはないまでも、無洗米なら、ひと粒もムダになるお米が出ませんね。
そんなところも、良い点だと思います。
無洗米はどのくらい日持ちするの?買い置きするなら何グラム?
米袋を見ていただくとわかりますが、お米には賞味期限が記載されていません。
あるのは、精米年月日のみです。
お米は保存食糧ですので日持ちはしますが、それでも精米年月日を基準にして、なるべく早く食べきることをオススメします。
美味しく食べられる期間は保存状態にもよりますが、春なら1ヶ月、梅雨時と夏場は3週間くらいと、案外短いのです。
お米は温度が下がると、酸化の速度も遅くなりますが、冬でも2ヶ月くらいを目安に使い切るようにします。
酸化するのはお米に付着しているぬかですが、ご承知のように無洗米は、ぬかがあらかじめ落とされているので、保存性は高くなりますね。
このように、無洗米は精白米より酸化しにくいので、ある程度、買い置きが可能である点もメリットだと思います。
無洗米1合を160グラムで計算した場合、毎日2合炊くとすると、米10キロを31日くらい、5キロを15日くらい、3キロを9日くらいで食べきれることになります。
無洗米の銘柄により、米粒の大きさも様々ですので、ご家庭で購入した無洗米が、1合あたり何グラムになるかを一度は確認してみてくださいね。
それが分かったら、美味しい期間内に食べきれる量を買うようにしましょう。
研がずに炊ける無洗米で、美味しさとエコライフを
お米を洗う手間がなく、時間とお水を節約できるメリットや、自然環境への負担も少ない無洗米。
最近は、銘柄も増えて、全国の米どころで、美味しい無洗米が次々に誕生しています。
米粒の大きさや、食味もいろいろあり、甘みや香りも銘柄ごとに様々です。
その中からお気に入りの無洗米を見つけて、その美味しさとエコライフを楽しんでみてはいかがでしょう。