和食独特の調味料である”みりん”。
皆さんは使っていますか?
その歴史はかなり古く戦国時代に生まれたというから驚きです。
甘辛味の煮物に欠かせないみりんですが、うっかり買い忘れてしまった…
そんな困った時にみりんの代用として使える「料理酒+α」の技を2つ紹介します。
みりんは何からできている?どうやって作る?
肉じゃがや照り焼きなど家庭でもおなじみのメニューに使われるみりんですが、何から作られているか知っている人は少ないかもしれません。
砂糖とは一味違う上品な甘さの秘密を覗いてみましょう。
みりんの原材料はもち米、米麹(糀)、醸造アルコール(焼酎など)と実にシンプルです。
シンプルがゆえに材料の良し悪しで味に差が出ると言われています。
質の高いもち米、本格焼酎を原材料として作られるみりんはそのまま飲んでも美味しく、料理に加えると素材本来の味を最大限に引き出してくれると人気です。
みりん独特の香りやうまみ、砂糖が入っていないのに甘みがある理由はみりんの作り方にありました。
みりんは蒸したもち米・米麹・醸造アルコールを混ぜ合わせた「もろみ」を熟成させて作られますが、この熟成中に麹菌の酵素がもち米のデンプンを糖類に、たんぱく質をアミノ酸などへ分解し甘みやうまみが生み出されます。
そうして熟成したものを圧搾・ろ過してやっとみりんが完成します。
熟成期間は短いもので約40日、昔ながらの製法では約2年にもなるという非常に時間の掛かる作業です。
みりんの味わいは単純ではありませんが、成分としては大きく分けて”アルコールと甘み”なので料理酒と甘さを足せば代用も可能です。
本みりんとみりん風調味料の違いとは?
お店で売られているみりんは大まかに分けて「本みりん」「みりん風調味料」「発酵調味料(みりんタイプ)」の3種類があるのを知っていますか?
どれも同じ「みりん」という言葉がついていますが、本みりんとその他の調味料には様々な違いがあります。
1つ目の違いは含まれているアルコール度数と価格です。
本みりんのアルコール度数は約12~15%で酒税の対象となるため、他の2つに比べて高価です。
みりん風調味料はアルコール度数1%未満で酒税の対象外となり、比較的安く手に入ります。
残りのみりんタイプは8~20%と商品によってアルコール度数に幅があります。
みりんタイプは本みりんと同じくらいのアルコール度数ですが、塩を加えることで飲用に適さないとして酒税の対象外となり、みりん風調味料と同じくらいの価格で買うことが出来ます。
また原材料も大きく違います。
本みりんは先ほど述べた通りもち米・米麹・焼酎で作られていますが、その他はみりんに味を似せるために色々な材料が使われています。
特にみりん風調味料は水あめなどの糖類が主な原料で、そこに化学調味料や香料を混ぜ合わせているため、みりんとは全くの別物と言えます。
みりん風調味料もみりんタイプも塩が添加されている商品が多く、本みりんの代用として使う時には塩辛くならないよう注意が必要です。
みりんの代用として後ほど紹介する「料理酒+α」の料理酒も基本的には加塩されているものなので他の調味料で調整しましょう。
みりんの役割とは?
「レシピに書かれているから」「甘みを付けたいからとりあえず」などなんとなく使われることの多いみりんですが、実はいろいろな効果が期待できます。
みりん本来の働きを知って正しく使えば、いつもの料理がワンランクアップするかもしれません!
まずみりんと言えば独特の甘みです。
一般的に料理に使われる上白糖の甘み成分はショ糖だけなのに対し、みりんの甘み成分ははブドウ糖・オリゴ糖など数種類の糖が含まれているため、複雑で広がりのある甘さになります。
口に入れた時にただ甘いのではなくまろやかに感じられるのは、麹菌の働きのおかげです。
甘みと同様に麹菌の働きによって得られるのがコクとうまみです。
熟成中にもち米のたんぱく質が分解され、うまみ成分であるアミノ酸へと変化します。
このみりん自体のうま味成分と素材本来の味が相まってコクが生まれるのです。
みりんには砂糖では出せない照りやツヤを出す効果もあります。
みりんに含まれる数種類の甘み成分が加熱されることで美味しそうな照り・ツヤがつきます。
肉や魚の照り焼き、里芋の煮物など照りがあるだけで食欲をそそられるから不思議ですよね。
他にはみりんに含まれるアルコール分が煮崩れを防ぐ、味を染み込みやすくする、生臭みを消すなどの効果が期待できます。
先ほど紹介した「みりん風調味料」や「みりんタイプ」を使った場合、味わいは近くなるかもしれませんが、上記と全く同じ役割を果たすことは出来ません。
うっかりみりんを切らしてしまい料理酒などで代用する場合も、これらすべての効果を期待するのは難しいですが、工夫次第で近づけることが可能です。
みりんの代用その①「料理酒+砂糖」
みりんを買い忘れた時のために覚えておくと便利なのが代用レシピです。
それぞれメリット・デメリットも一緒に確認しましょう。
まず1つ目のみりん代用レシピは「料理酒(または日本酒)と砂糖」を使う方法です。
レシピにみりん大さじ1とある場合「料理酒大さじ1+砂糖小さじ1」で代用するのが目安となります。
使う砂糖によって多少風味に変化はありますが、完成した料理の甘みはみりんを使ったものと大差はないでしょう。
料理酒+砂糖をみりんの代用として使う時のメリットは、わずかですがカロリーを抑えられるということです。
みりん大さじ1のカロリーは約42kcalなのに対し、料理酒大さじ1は約18kcal+砂糖小さじ1は約15kcalで合計33kcalとなります。
元々みりん自体料理に使う分量が少ないのでダイエットに効果があるとは言えませんが、一応メリットと言えるでしょう。
一方デメリットはみりん特有の照りやツヤはあまり期待できないことです。
みりんと砂糖では含まれる糖類に違いがあるため照りが出にくいとされています。
照り焼きを作る時は代用その②の方法をオススメします。
「料理酒+砂糖」の代用方法は肉じゃがなどの煮物、汁物や麺のつけ汁などあっさり目の料理に適しています。
みりんの代用その②「料理酒+ハチミツ」
みりんの代用2つ目の方法は「料理酒(日本酒)+ハチミツ」です。
ハチミツは砂糖に比べて少々クセがありますが、うまく使えば料理がまろやかな仕上がりになります。
みりん大さじ1と書かれているレシピの場合、「料理酒大さじ1+ハチミツ小さじ2/3」を目安に加えましょう。
ハチミツは上白糖よりも約1.5倍甘みを感じるとされているため、砂糖で代用するよりも少な目で大丈夫です。
そのため砂糖で代用するよりもさらにカロリーを抑えられるという嬉しい面もあります。
料理酒+ハチミツで代用する際のメリットは、みりんに近い照りやツヤが期待できることです。
ハチミツ自体にツヤがあるので少量でも照り焼きなどは艶やかになります。
さらにハチミツには肉や魚の匂いを抑える作用があるため、砂糖で代用するよりもみりんに近い効果が得られるでしょう。
しかしハチミツは採取された花によって独特の香りやクセがあるため、料理の邪魔をしてしまう可能性もあります。
ハチミツを食べ慣れていない人は、比較的クセの少ないアカシアやレンゲのハチミツを使うのがオススメです。
一方あまりメジャーではありませんが、そば、栗の花から採れるハチミツはクセが強いため使える料理が限られてきます。
料理酒+ハチミツの代用方法は鶏の照り焼きや里芋の煮っころがしなど、比較的濃い目の味付けで照りを付けたい料理に合うでしょう。
みりんを「料理酒+α」で代用する時の注意点
家にある調味料で出来るみりんの代用方法を2つ紹介しましたが、注意点も合わせてチェックしましょう。
まず料理酒の塩分についてですが、みりん同様酒税の対象外にするために食塩を添加した商品があります。
ほとんどの商品で無塩タイプは”清酒”加塩タイプは”料理酒”と表記されています。
今まで気にしたことがない人はお店で食品表示を確認してみてくださいね。
基本的に和食のレシピに書かれている”酒”とは塩分を含まないものを指しますが、実際は無塩・加塩を気にしている人は少ないかもしれません。
普通に料理に使う場合もみりんの代用として使う場合も、清酒・料理酒どちらでも大丈夫ですが、加塩タイプのものは醤油などで塩分の調整が必要になります。
塩分の摂り過ぎが気になる人は、無塩タイプの清酒を使うか日本酒を使うとよいでしょう。
もう1点気を付けたいのが甘みの違いです。
みりんはブドウ糖やオリゴ糖など数種類の糖類が含まれているため複雑な甘みがあります。
みりんを使った煮物などはただ甘いのではなく、まろやかで柔らかい甘みが感じられます。
一方の上白糖はショ糖が主な成分で、クセがなくすっきりとした甘みが特徴です。
みりんの代用として使っても違和感はありませんが、コクがなく物足りない印象になります。
もう1つのハチミツは花の蜜なので種類によって香りや味わいが大きく異なるため、使うハチミツによって料理の味わいに差が出ます。
素材の組み合わせによっては合わないものもあるかもしれません。
どちらの甘みを使う場合も、まずは少量加えてみて味を確認しながら調整してくださいね。
みりんの代用でも美味しい和食は出来る!
甘みとコク・煮崩れ防止など働き者のみりんですが、買い忘れてピンチの時には身近な調味料で代用が出来ることがお分かりいただけましたか?
みりんがなくても慌てず、用途に合わせて「料理酒+砂糖orハチミツ」を選んで美味しい和食を楽しみましょう!