玄米は、体に良いといわれています。
そのため、カロリーは低いのではないかというイメージが強いですよね。
しかし、実は玄米のカロリーは、あまり低くありません。
今回は、茶碗1杯分のカロリーや糖質を白米と比較検証していきます。
そして、それでも玄米はダイエットに向いているとされる理由をお話しましょう。
玄米1杯分のカロリーはどれくらいあるの?
玄米のお茶碗1杯分(150g)のカロリーは、248kcalです。
白米のお茶碗1杯分(150g)のカロリーはというと、252kcalになります。
わずか4kcalしか違わないため、ちょっと意外な気がしますよね。
では、ダイエットのもう一つの指標となる、糖質も比べてみましょう。
玄米のお茶碗1杯分(150g)の糖質は51.3g。
白米のお茶碗1杯分(150g)の糖質は55.2gです。
こちらも、わずか4g程度の違いしかありません。
玄米は白米に比べ、カロリーも糖質も低いとはいえないようです。
ほかの食品とも比べてみましょう。
食パン1枚(8枚切り)のカロリーは122kcalです。
2枚で244kcalですから、玄米1杯分は8枚切り食パン2枚分とだいたい同じです。
菓子パンはどうでしょうか。
ダイエットの敵といわれるデニッシュパンは、1個317kcalとさすがに高カロリーです。
しかし、ドーナッツやあんパン、クリームパンやチョココロネ、ジャムパンやあんまん・肉まん全て、玄米1杯分よりカロリーが低いのです。
玄米ご飯を食べるときは、おかずや汁物も一緒に摂りますから、カロリーはさらに高くなります。
できるだけ低カロリーな食事をしたいなら、玄米食より菓子パン1個のほうが良いということになりますね。
しかし、そのような食事を続けていれば、健康的とはいえません。
玄米が優れている理由は、カロリーを度外視しても、体に良い栄養素がたくさん詰まっているからなのです。
低カロリーではないのに玄米がダイエットに向く理由とは?
玄米1杯分のカロリーは、さほど低くはありません。
にもかかわらず、玄米がダイエットに向いているとされる理由はいくつかあります。
①豊富な食物繊維
食物繊維は体内の余分なものを排出して腸内環境を整え、便秘を解消してお腹をすっきりさせるため、ダイエットの大いなる味方です。
玄米にはその食物繊維が、白米の5倍も含まれているため、ダイエットに有効といわれるのです。
②硬くて噛み応えがある
玄米は外皮が固く、噛み応えがあります。
お茶碗1杯をいただくにも、しっかりとよく噛まなければならず、量が少なくても満腹感が得られやすくなります。
③低GI食品
私たちの体は食物を摂ると、血糖値が上昇します。
上昇するスピードが速いと糖分の吸収が速いため太りやすく、スピードが遅いと吸収がゆっくりなため、太りにくいといいます。
このスピードを表す指標となる数値がGI値です。
GI値が高い食品は太りやすく、低いj食品は太りにくいと考えられます。
白米のGI値は81、玄米のGI値は55です。
カロリーも糖質も白米とほとんど変わらない玄米ですが、GI値は大きく差がついています。
玄米は白米に比べるとGI値が低いため糖の吸収が遅く、太りにくいのです。
④優れた栄養素の宝庫
玄米には糠や胚芽部分が付随しているため、白米にはない栄養素がたくさん詰まっています。
特にたんぱく質やビタミン、ミネラルは豊富で、玄米を食べればほかにおかずはいらないといわれるほどです。
ダイエットに向いている成分も含まれているようですが、どんな栄養素が含まれているのでしょうか。
玄米1杯に含まれるすごい栄養とは?
玄米1杯に含まれる栄養素の中でも特に豊富なのは、以下のようなものです。
・ビタミンB群
玄米には、ビタミンB1やB2などのビタミンB群が豊富です。
ビタミンB群は代謝に関わり、疲労を素早く回復させ成長を促します。
特にビタミンB1とB2は炭水化物の代謝を促進し、エネルギー産出に寄与していますから、太りにくい体質へと改善してくれます。
また、皮膚や粘膜の働きを正常にしたり、ビタミンB1は脳の働きも活発にします。
こうした優れた効能を持つビタミンB1は白米の約5倍、ビタミンB2は白米の約2倍含まれているのです。
・ビタミンE
アンチエイジングビタミンとして知られるビタミンEは、強い抗酸化作用の働きで、加齢による活性酸素の増殖を防ぎ、体内を若く健康的に保ちます。
頭痛や肩こり、冷え性の緩和にも効果的です。
こうした効果の高いビタミンEが、白米の約6.5倍も含まれています。
・ミネラル
玄米にはカルシウム、マンガン、カリウム、マグネシウム、鉄、リンなど私たちの健康に欠かせない必須ミネラルが豊富に含まれています。
このように、玄米には優れた栄養素がたくさん含まれています。
カロリーもしっかりあるため、かつて玄米を食べていた日本人は、おかずがほとんどない粗食であっても体を壊さず健康を維持することができていました。
それが江戸時代になり、一般庶民も精白したお米が食べられるようになると、江戸庶民の間では脚気が大流行しました。
玄米に含まれていたビタミンB1が白米にはほとんど含まれておらず、かといって現代のように豊富なおかずで栄養を補えなかったからです。
それくらい玄米食は栄養豊かな食事といえるのです。
玄米にはデメリットもある!
栄養豊富で体に良い玄米ですが、デメリットもあります。
・意外にカロリーが高い
体に良いということで低カロリーに思えますが、実は白米と変わらないくらいカロリーがあるということはお伝えしましたよね。
茶碗1杯の白米と置き換えるだけでは、痩せることはできません。
ダイエットを考えるなら量を少なくする、または、おかずを減らすなどの工夫が必要です。
・硬くておいしくない
玄米は白米と比べると、ポソポソと硬い食感が特徴なので、しっかりとよく噛まなければなりません。
そのため、満腹感が得やすく、少食につながるメリットがあるのですが、硬さをイコールまずさと感じてしまう方も多くいます。
柔らかくしっとりしたご飯が好みの方にとって、玄米はおいしくないと感じることも多いようです。
・消化が良くない
玄米は硬くて食物繊維が豊富なため、ダイエットには向いていますがその分消化が悪く、胃腸の弱い方やお年寄り、小さな子供にはおすすめできないご飯です。
・フィチン酸がミネラルを奪う?
玄米のサイトで必ず紹介されているのが、フィチン酸の有害性についてです。
フィチン酸には、農薬や水銀といった有害物質と結合して体外に排出するデトックス作用がありますが、体内のミネラルと結合して排出させてしまう作用もあるといわれています。
そのため、フィチン酸を含んでいる玄米を摂取すると、体内のミネラルが失われてミネラル欠乏症になるなどと一部で騒がれています。
しかし、この説には科学的な根拠がありません。
そもそも玄米に含まれているのはフィチン酸でなくフィチンといって、すでにミネラルと結合された状態で存在しています。
そのため、体内のミネラルを奪って排出させるようなことは全くありません。
茶碗1杯のカロリーが高くてもダイエットに効果的な玄米の食べ方
玄米は食物繊維が豊富でデトックス効果が高く、太りにくい体質作りに欠かせない栄養素も含まれているため、ダイエット中でも食べて問題ない食品です。
しかし、だからといって茶碗1杯分の白米をそのまま玄米に置き換えるだけでは、痩せるどころかかえって太ってしまう可能性があります。
玄米のカロリーは白米と大差なく、しかも白米より栄養が豊富だからです。
いつも通りのおかずを食べていたら、栄養過多になるかもしれません。
玄米でダイエットを考えるなら、おかずを控えるくらいでちょうど良いのです。
昔の日本人のように、一汁一菜の粗食を目指しましょう。
おすすめは、玄米のおにぎりです。
おにぎりにすれば、お弁当はもちろん、小腹が減ったときのおやつにもなります。
具は白米のおにぎり同様、海干しやおかか、昆布などでOK。
玄米自体に香ばしい風味があるため、少し塩気を加える程度でおいしいおにぎりになります。
コンビニおにぎりのように、鶏の唐揚げや焼き肉カルビといった具材はカロリーが高くなるので控えましょう。
玄米おにぎりを1個か2個に、わかめや豆腐、野菜などのみそ汁を添えてお腹を満たせば、栄養バランスの取れたダイエットの献立になります。
おすすめ!カロリー控えめでダイエット向きな玄米おにぎり
茶碗1杯の玄米は、カロリーも糖質も白米とそれほど変わりません。
したがって、いつものご飯を玄米ご飯に置き換えるだけでは痩せるとは限りません。
しかし、おにぎりにすれば、冷えたご飯によるレジスタントスターチでダイエット効果が増します。
レジスタントスターチとは、消化されにくいデンプンのことです。
ご飯は温かいものより、冷えたもののほうがレジスタントスターチが増えます。
よって、1杯の温かいご飯より、1個の冷えたおにぎりのほうがデンプンが消化されにくく、糖の吸収が抑えられるため、ダイエットに向いているといえるのです。
そこで、おすすめの玄米おにぎりをご紹介しましょう。
・シンプル玄米おにぎり
玄米ご飯に塩をまぶし、おにぎりを作ったら白ゴマや黒ゴマをふってのりを巻くだけのシンプルなおにぎりです。
玄米自体に香ばしい風味があるため、これだけでも十分おいしいのです。
・玄米の焼きおにぎり
醤油や味噌を塗って、焼きおにぎりにしてみましょう。
香ばしい風味が、アップしますよ。
・玄米混ぜご飯おにぎり
具材をおにぎりの中に入れるのもいいですが、複数の素材をご飯全体に混ぜてもおいしく、栄養バランスの点でも効果的です。
例えば、じゃこと細かくちぎった梅干を合わせたものを混ぜたり、余りもののひじきの煮つけやカツオのなまり節などもいいですね。
話題のサバ缶を、生姜と醤油でそぼろ風にしたものを混ぜるのもおすすめですよ。
変わったところでは、かつお節と細かくちぎったチーズの組み合わせはいかかでしょうか。
全体を軽く醤油で混ぜると調和します。
いろいろ工夫して、オリジナルおにぎりにチャレンジしてみてくださいね。
健康に良い玄米を上手にとり入れよう
玄米は、白米に比べるとカロリーの点でも糖質の点でも大差ありません。
しかし、血糖値の上昇を抑えたり、高いデトックス効果があるなどのダイエットに適した性質を持っています。
また、栄養面も素晴らしく、おかずを必要としません。
かつての日本人の粗食を支えていた大きな屋台骨であった玄米を、今一度見直してみませんか。
きっと、あなたの健康つくりに役立つはずです。