玄米は糠や胚芽部分を含んでいますから栄養価が高く、健康に良いお米として人気が集まっています。
その玄米を発芽させてから炊くと、ふっくらとしてとてもおいしく、栄養価もさらに高くなると評判です。
しかし玄米を発芽させるには、浸水時間を長くしなければなりません。
どのくらいの時間がかかるのか、時間を短縮する方法はあるのか、発芽した玄米はどうすればおいしく炊けるのか、などについて今回はお話ししたいと思います。
玄米が発芽するには浸水時間がどれくらいかかる?
玄米を発芽させるには、浸水時間がとても長くかかります。
季節や気温によっても変わり、特に寒い冬は夏場の倍以上の時間がかかるので、時間のある時にまとめて作っておくことをおすすめします。
それではさっそく作り方をご紹介しましょう。
①洗米
玄米はもみ殻だけを取り除いたお米なので、もみ殻カスやごみなどの不純物が混ざっています。
ボウルに玄米を入れ、水を注ぎ入れて軽くかき回すと、この不純物が浮き上がってきますから、手で取り除いてください。
水を取り替えながら、この作業を2~3回繰り返します。
その後、玄米を両手に取り、拝むように外皮と外皮をこすり合わせて洗います。
こうすることで外皮に傷がつき、傷口から水が滲みこんで柔らかく炊けるのです。
この作業も2~3回繰り返したら、サッとすすいでざるに上げます。
②浸水
玄米を洗ったら、いよいよ水に漬けます。
ボウルに玄米を入れ、お米がつかる程度の水を入れます。
浸水時間がたつにつれ、お米にも水にも変化が現れます。
水は徐々ににごり、糠のような臭いがしてきます。
お米も徐々にふっくらした感じになってきます。
雑菌が繁殖するといけないので、水は何回か取り替えます。
特に夏場は気を付けてください。
冬場は逆に発芽に時間がかかるので、ボウルにふきんをかけるなどして、少し保温した方がいいでしょう。
浸水時間は12時間以上、できれば17時間以上がいいといわれています。
発芽までの時間はまちまちですが、夏場なら1日(~2日)、冬なら2日(~3日)かかるようです。
③炊飯
発芽した玄米は炊飯器で普通に炊けます。
発芽から炊飯まで時間をおかないのが、おいしくふっくら炊くコツです。
玄米を早く発芽させるために!浸水時間を短くするコツは?
玄米を発芽させるには、浸水時間をとても長くとらなければなりません。
少しでも早く発芽させるには、どうすればいいでしょうか。
・水ではなくぬるま湯を使う
水に漬けておくより、ぬるま湯につけておいた方が早く発芽します。
温度は35度前後が良いとされています。
熱いお湯のほうが早く発芽しそうですが、酵素が死んでしまうのでかえって発芽しません。
ぬるめのお湯をたっぷり入れるのが良いようです。
・いったん水から上げて発芽を待つ
長時間水(またはぬるま湯)につけっぱなしにするのではなく、24時間たったらいったん水から上げます。
密閉できる容器に入れたり、濡れふきんをかぶせるなどして、お米を乾燥させないようにして放置します。
すると、糠のような臭いもせずに玄米が発芽するのです。
浸水時間が長いと確かに吸水はしますが、ある程度まで水を吸うと、もうそれ以上は吸えなくなる飽和状態を迎えます。
飽和していながらまだ水につかっているからこそ、特有の臭いを発するのだといいます。
飽和していたらいったん水から上げ、後は酵素が働いてくれるのを待つのが、この方法です。
浸水させ続けるよりも、半日くらい早く発芽するようです。
・発酵器を使う
発酵器をお持ちなら、使ってみてもいいでしょう。
速く、衛生的に発芽させられます。
浸水時間を長くしてでも玄米を発芽させたい理由は?
玄米は白米にくらべ、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、体に良い栄養素がとても豊富に含まれています。
これを発芽させると、さらに栄養価が高くなるのです。
特に、ギャバという成分が3倍にも高まることに注目が集まっています。
ギャバはストレスを緩和し、頭の働きを良くしたり、リラックス効果があるといわれています。
神経が疲弊する現代社会に、強く求められている成分なのです。
味も、発芽させることによって、甘みが加わるといいます。
おいしくなって栄養価も高まるなら、ぜひ発芽させたいですよね。
さらにもう一つ、発芽させる重要な理由があります。
玄米には、一部で毒といわれている成分が含まれています。
アブシジン酸といって、穀類に含まれている植物分泌ホルモンです。
アブシジン酸は環境や鳥獣の攻撃から種子を守るために、あえて発芽を抑制する役目を持っています。
このアブシジン酸を、ヒトが体内に大量に蓄積すると、細胞のミトコンドリアを阻害されて体調不良を招くといわれています。
そこで、玄米を発芽させてしまうことで、アブシジン酸が持つ毒を無毒化しているのです。
このように浸水時間を長くしてでも玄米を発芽させるのには、
・栄養価が高まる
・味がおいしくなる
・玄米の毒を無毒化できる
という3つの理由があったのです。
玄米はどれくらいまで発芽させればいい?
玄米は、浸水時間を長くして発芽させれば栄養価も高まり、味もふっくらおいしくなります。
しかし、発芽させ過ぎても、せっかくの栄養が発芽にとられてしまうといいます。
だったらどれくらいまで発芽させればいいのでしょうか。
だいたい0.5~1.0mmで充分といいます。
玄米の胚芽部分が白っぽく、ふっくら膨らんでいる状態です。
もやしのようにひげが伸びていたら、発芽させ過ぎです。
最初のうちは明らかなひげが出てくるまで発芽していないと思い込み、必要以上に発芽させてしまう傾向があるようです。
長い浸水時間中、こまめにお米を観察するといいでしょう。
何回か水を取り替えながら、臭いにも注意して、お米の状態を見てください。
出来れば6時間ごとくらいに水を取り替えると、お米の状態に気づきやすくなります。
徐々にみずみずしくなり、胚が今にも発芽しそうに白く膨れていたら、栄養価がMAXになっています。
芽が出るのを待たずに、浸水を終了してOKです。
発芽した玄米をおいしく炊く方法
浸水時間を長くとって発芽させた玄米は、出来るだけ早く炊いてしまいましょう。
時間がないときは、発芽した玄米を密閉できる容器に入れて、冷蔵庫で保存しておきます。
発芽した玄米は、普通の玄米に比べて栄養価はもちろん、おいしさもアップしているため、普通の炊飯器で炊いてもおいしく炊けます。
玄米モードがあれば、その目盛りに水を入れ、2合なら小さじ1/3杯の、3合なら小さじ2/3杯の天然塩を加えて軽く混ぜ、蓋をしてからスイッチオン。
後は炊き上がるのを待つだけです。
塩を加えるのはミネラルを補給するのと、柔らかく炊くためです。
よりおいしく炊き上げたいなら、圧力鍋を使うのがおすすめです。
発芽させなくても柔らかくもちもちに炊きあがりますから、発芽させていたらさらに柔らかく、おいしく炊き上がります。
また、圧力鍋がなくても土鍋があれば、とてもおいしく炊けます。
玄米の1.2~1.5倍の水と、天然塩を加えて軽く混ぜ、蓋をしたら中火~強火にかけます。
沸騰して来たら弱火にして25分、じっくり炊きます。
30秒ほど強火にして、余分な水分を飛ばしてから火を止め、そのまま10分以上蒸らします。
蓋を開けて、上下をひっくり返すように大きく混ぜたら出来あがりです。
おかずなしで、おかわりできるほどのおいしさです。
それでも発芽しない玄米もあるって本当?
浸水時間を長くとり、こまめに水を取り替えて、今か今かと発芽を待っているのに、ちっとも発芽しない…。
そんな経験をお持ちの方も多いと思います。
なぜ、玄米が発芽しないか原因を探ってみましょう。
・質の良くない玄米
どんなに手間をかけても、残念ながら全ての玄米が発芽するとは限りません。
特に最近は脱穀後、品質管理のためにお米を大量に強制乾燥させるといいます。
その際高温で乾燥させれば、玄米の胚芽がダメになってしまう可能性があるのです。
胚部分がやられてしまったら、どんなに手を尽くしても発芽しません。
自分できちんと発芽させたいなら、最初から発芽可能をうたった玄米を購入すべきです。
信頼できる販売店か、ネット上で発芽をうたう玄米を販売しているお店もありますから、活用してみてください。
・浸水するお湯の温度が高すぎる
速く発芽させたいばかりにぬるま湯を使って浸水させる時、お湯の温度が高すぎると発芽しません。
35度を目安にしてください。
ぬるめのお風呂よりさらにぬるい温度です。
温度計があればきちんと測ったほうがいいでしょう。
手間がかかるからこそ愛おしい!発芽玄米の魅力を味わって
玄米を発芽させるには、季節や温度によっても変わりますが、1日~3日も浸水させておかなくてはなりません。
腐敗させないよう、こまめに水を取り替えながら、発芽させ過ぎにも気を付けましょう。
手間がかかりますが、出来あがりのおいしさは格別。
さらに栄養価をアップさせ、玄米の毒を無毒化させるメリットもあります。
ぜひ一度、チャレンジしてみてくださいね。