子どもの食の安全や健康、自身の健康や体力作りのために、家庭菜園を始める人が増えています。
きゅうりやナス、大根やネギと、野菜作りをしていますね。
しかし、米を作る人はあまりみかけません。
米は種籾から発芽させて苗を作り、育てていきます。
しかし、玄米も発芽することができますね。
それでは、玄米でも苗を作ることができるのでしょうか。
今回は、自分で玄米から稲作りをしてみたい人のために、玄米から発芽して苗にする方法のご紹介です。
玄米を発芽させて苗を作ろう!
小学生のころ、理科の授業や体験学習・校外学習でお米作りをしたことはありませんか?
苗を植えてお米を収穫する、という形のものです。
子どもたちに体験をしてもらうのは、この「田植え」と「稲刈り」ですね。
この時に子どもたちが田んぼに植えるのは、種ではなく苗になります。
そのため、子どもの中には「苗」というものが初めからできているのかな、と勘違いをしてしまう子もいます。
実際には、体験の協力をしてもらう農家の人たちが、種籾から発芽した苗を提供していますね。
稲は種籾という「種」から発芽して、苗になります。
苗を植えて育てると、稲になります。
稲を刈って脱穀し米ができます。
それでは、家庭にある玄米では苗を作ることができないのでしょうか?
実は、玄米からも苗を作ることができるんです。
もちろん、種籾から発芽させるのに比べると、ちょっと難しくなります。
しかし、玄米は発芽しますよね。
発芽玄米というものが販売されています。
玄米を美味しく炊く時にも、しっかりと吸水させて発芽させた方が良い、というのも良く耳にします。
私たちが、お米屋さんから購入する玄米でも発芽するということですね。
子どもたちに、苗はこうやってできるんだよ、と見せてあげたいと思いませんか。
家庭で玄米から発芽をさせて、苗を作ってみませんか。
種籾から苗を作るための発芽の条件
とはいっても、やはり玄米からの苗作りは簡単ではありません。
そこで、種籾が手に入るなら、もちろん種籾を使った苗作りをしてみましょう。
親戚や近所のお米屋さん、農協の方にお願いをしてみると良いかもしれません。
種籾は玄米にする前に状態で、米の周りに殻がついています。
子どもたちに見せて、ここから田んぼに植える苗が作れるということを、観察させてあげましょう。
種籾が発芽し、苗になるために欠かせないのは、「水」「適切な温度」「酸素」です。
種籾は重量に対して、15パーセントの水分を吸収すると、発芽します。
適切な温度は、水温と気温ですが、どちらも10度以下では発芽しません。
家庭で行う時は、冬は向かないので春先が良いですね。
逆に45度を超えると種籾は死んでしまいます。
お湯を使う時には注意しましょう。
また、周囲が暖かすぎてもカビてしまいますので、こまめな温度管理と水の入れ替えが大切です。
夏休みに自油研究で行う時は、要注意です。
一番最適の温度は32度なので、気温や水温が35度を超える真夏は、発芽する時に風通しの良い窓際や、冷房を使って部屋の温度を一定にしましょう。
風通しが悪いと発芽しないことがありますので、一定の温度でも冷蔵庫内などに入れないようにしましょう。
種籾が十分に吸水すると、芽と根がでます。
これを苗床に蒔きます。
苗床に蒔き覆土します。
やがて根が土の中に伸びて、幼芽が覆土の中から顔を出します。
幼芽や根は胚乳を養分として成長し、苗になります。
発芽しない玄米は苗になれない
種籾が手に入らない場合は、玄米を発芽させて苗にするという方法を取ります。
当たり前のことですが、玄米から苗を作るためには発芽しなければなりません。
玄米を炊く前に発芽させると美味しい、というのだから簡単に発芽するのだろう、と思われますが、発芽しないこともあります。
玄米が発芽しない原因は、ほぼ種籾と同じです。
まずは水温が低いということです。
水温はできるだけ20度以上にしましょう。
しかし、45度を超えてしまうと死んでしまいますので、30度くらいのちょっとぬるいくらいの水が最適です。
気温、室温も低いと発芽しません。
できるだけ暖かい空間にします。
玄米を炊く時にも、同じ注意がありますが、水はこまめに取りかえます。
カビや雑菌も、発芽できない原因になります。
玄米にカビが生えても発芽しません。
玄米ご飯を炊く時と同じ要領で発芽を促すことはできますので、半日に1~2回のペースで水を変えます。
また、購入時に発芽しない玄米に当たることもあります。
これは、農家が販売目的の玄米を乾燥させる時に、気温が高いと発芽しないそうです。
この場合は、玄米がすでに死んでしまった状態でスーパーマーケットやお米屋さんの店頭に並ぶので、発芽することはありません。
発芽した玄米を苗にする時、余っても発芽玄米ご飯として食べることができます。
心配な時は、複数のメーカーやお店の玄米を購入をしておきましょう。
発芽玄米として市販されているものよりも味も良いので、苗作りをする時は少し多めに用意して、発芽させて、余分な分は食べてしまいましょう。
家で玄米を発芽させて苗にしよう
それでは、家で苗を作ってみましょう。
水や温度、酸素の他に気を付けるのは、カビや雑菌です。
そのためにできるだけ、清潔な容器を用意します。
プラスティックカップや理科実験の時に使うシャーレでも良いです。
種籾が一番ですが、手に入らない時は新鮮な玄米を用意します。
きれいな水、キッチンハイターまたは、次亜塩素酸を用意します。
【方法】
①水100ml当たり、キッチンハイターを1~2滴入れます。
②プラスティックカップに玄米を入れて、その中に①の水を入れます。
③気温が25度以上の時は、そのまま風通しの良いところに置きます。
気温が低い時は、発泡スチロールの箱を用意し、その真ん中にプラスティックのカップを置きます。
その周りにフリースやタオルで、プラスティックのカップを断熱をします。
寒い時は、さらに使い捨てカイロを中に入れて温めるという方法もあります。
④苗床のための土を用意しましょう。
土は園芸ポットに入れて、十分に湿らせておきます。
ポットよりも一回り大きい、バケツか発泡スチロール容器を用意します。
⑤種籾、または玄米が発芽したら、用意したポットに蒔きます。
ここからはベランダや庭などの屋外で行います。
土の上にピンセット、または割りばしで一つずつ丁寧に並べます。
この時、芽が上になるように注意して蒔きましょう。
⑥芽の上にそっと、土を覆いかぶせます。
⑦バケツの中央に園芸用ポットを置きます。
ポットの周りに水を入れます。
この時、ポットの中の土よりも少し低めの位置まで水を入れます。
水を入れすぎないよう注意しましょう。
⑧数日後、幼芽が出てきたら水を増やし、少し水がつかるくらいにします。
これが育つと苗になります。
⑨家庭で育てる時は、このまま水を増やして、苗の下半分が水につかるようにします。
ちょっとしたバケツ田んぼの出来上がりです。
水をこまめに変えながら、苗を育てて稲にしましょう。
稲が育つ段階でも、発育のための肥料や害虫の駆除と色々な手間がかかります。
無農薬が難しいようなら、ほんの少し農薬に頼るのも一つの手かもしれません。
8月に稲刈りがしたい!玄米から苗を育てる最適な時期
日本のお米は秋に収穫をします。
地域によっては、田植えが4月頃のところもあれば、6月のはじめというところもあります。
関東地方圏内で育てる時は、3月から4月の初旬に発芽をすると、一番良い季節に稲が育ちます。
4月から5月に田植えの農家では、9月から10月の初旬には稲刈りになります。
6月初旬に田植えの農家では、10月末から11月が稲刈りです。
夏休みの自由研究にしたいなら、夏休み後半にできるだけ稲の形にしていきたいですね。
小学校低学年の自由研究は、半分は親の宿題です。
夏休みの後半に稲の形にするためには、3月中に発芽をさせましょう。
最近は暖冬の時も多いので、3月でも気温が20度を上回る日があります。
4月の初旬に苗になれば、そのまま観察を続けて、ぎりぎり夏休みの終わりには、稲が実るかもしれません。
そのためにも、その前の年の秋に近くの農家や農協にお願いをして、玄米は種籾を手に入れておきます。
冬の寒い間、なるべく冷たいところに置き、発芽しないように保存をします。
もちろん、早めに発芽させて、夏休みまでにある程度育ててしまうということもできます。
その場合は、3月の初旬に発芽させて、3月中に苗を育てて夏休みには、稲刈りができるところまで育てることもできます。
最近は、5月には夏日が続きますので、それも可能です。
来年の夏休みの自由研究は、米作りにしようと思った方は、さっそく種籾や玄米を手に入れておきましょう。
発芽玄米は苗になるの?
ここまでの流れで、発芽が難しいなら、はじめから発芽玄米を購入すればいいじゃないか、と思った人はいませんか?
確かに、スーパーマーケットや自然食品を扱う店には、発芽玄米という米が販売されています。
しかし、市販されている発芽玄米はそれ以上に成長したら困りますね。
そのため、市販されている発芽玄米は、発芽した後に急速に乾燥させています。
苗に育てるためには、発芽した玄米を湿気のある土に植えて育てます。
この時に、玄米の水分は急激に減少してしまい、苗を作るような状態ではなくなります。
さらに、急速に乾燥をさせるためには高温での熱処理になりますね。
玄米は45度以上では死んでしまいます。
そのため、市販された発芽玄米は急激な乾燥の時の熱処理で、ほとんど活きた玄米ではなくなってしまいます。
そのため、市販された発芽玄米から苗を作るのは難しいと思われます。
食べる時は、発芽玄米を購入しても良いですが、同じ発芽玄米でも玄米そのものが違ってしまいます。
家庭で玄米を購入して、発芽させた方が美味しいというのも、生きた発芽玄米だからかもしれません。
残念ですが、発芽の手間を省くことは難しいようです。
手間はかかりますが、普通の玄米から発芽をさせて、苗に育てましょう。
発芽して苗にして米作りは大変!
家庭で何気なく毎日食べているお米ですが、実際に玄米から発芽をさせて苗にするだけでも大変な手間です。
子どもと一緒に作ることで、食べ物に対する考え方が変わることもあります。
面倒だから、手間がかかるからと、私たちはつい楽なものへ流されてしまいますが、たまには手間を惜しまず美味しいものを手に入れてみたいですね。
ファストフードどころか、超スローフードの米作りを、ぜひ家族で体験してみましょう。