栄養がたっぷり含まれたお米となると、玄米を選択して食べたくなりますが、食感に違和感を感じてあきらめてしまう場合も多いようです。
しかしながら、5分づき米と呼ばれる、玄米のよい部分を残しながら、白米の食べやすさを得られるお米があります。
栄養面から見た時に、玄米と5分づき米のどちらを選択すればよいか、その違いについて比べてみましょう。
5分づきの玄米とはどんなもの?
玄米は栄養があると言われていても、香りやプチプチとした歯ごたえが苦手で食べにくいと言う方も多いようです。
そのような方にも食べやすいお米が、5分づきの玄米になります。
5分づきの玄米とは、玄米を5割精米することで白米に近づいた、一般的に5分づき米や半づき米と呼ばれているものです。
5分づき米は玄米のヌカや胚芽の部分を5割削ることで、玄米の栄養・風味・甘みを残しつつも、白米の食べやすさを得られる食品です。
もしも玄米の食感や風味が苦手の場合は、食感も軟らかめの7分づき米と呼ばれる、より白米に近いお米を食べてみることがおすすめです。
その後に5分づき米を食べると、玄米の風味にも慣れて、おいしく食べられることでしょう。
5分づき米などの分づき米は酸化して味が落ちるのが早いため、大量に購入せず、精米後には早めに食べきることでおいしく食べられます。
また洗米時は玄米と違い優しく手早く洗い、2時間以上の浸水と、白米を炊く時の2割増しの水加減で炊くことで、玄米よりも食べやすくなります。
そして炊いた後はヌカ臭くならないように、保温時間は長くならないように食べきりましょう。
玄米と5分づき米の栄養の差は?
玄米はビタミンや食物繊維を始めとする、栄養をたっぷりと摂れる食品になります。
例えば、玄米の表皮を削った5分づき米の場合には、含まれる栄養素にどのような変化がみられるのかを見てみましょう。
まず、玄米に豊富に含まれるミネラルは、全体的に半減してしまうことになります。
そのミネラルの中でも、細胞の生まれ変わりに役立つ亜鉛や、鉄分の吸収やヘモグロビンを作るために大事な銅の量はほとんど変わりません。
また、ビタミンB群や食物繊維などは、表皮のヌカの部分に含まれるため、玄米に比べると半分以下に減っているものが多く見られます。
ところが、炭水化物の値が玄米は35.6kcalで、5分づき米になると36.4kcalと、栄養素の中では珍しく玄米よりも高くなっています。
炭水化物は食物繊維と糖質を合わせたものになりますが、7分づき米、白米と精米率が高まるにつれ、含まれる量は多くなっていくようです。
5分づきの玄米のカロリーと消費できる運動量は?
玄米のカロリーは100gあたりが165kcalで、お茶碗1膳分の160gでは264kcalです。
カロリーについては知ったものの、どういった運動を何分することで消費できるのかが気になりますよね。
そこで調べたところ、ウォーキングで99分、自転車で37分の有酸素運動をすることで、264kcalは消費できることとなるようです。
それでは、5分づきの玄米の場合はどうでしょうか。
100gあたりのカロリーを見てみると167kcalとなり、お茶碗1膳分になると約267kcalです。
これはウォーキングは100分、自転車で38分と消費できる運動量はほとんど変わらず、白米の場合もほぼ同様です。
また、他の運動でカロリーを消費する場合は、ジョギングは60分、水泳は37分、家事ではお風呂の掃除なら78分の有酸素運動が必要となります。
栄養素の含有量は玄米、5分づき米、白米と大きく違いはありますが、カロリーや消費できる運動量には、ほとんど差が見られません。
5分づきの玄米の持つ栄養で食べるメリットはある?
玄米に含まれる栄養素に比べると、5分づきの玄米の栄養素は、ビタミンや食物繊維などが大幅に減少しているようです。
ところが5分づきの玄米では、ミネラルの亜鉛や銅の含有量は、精米する前と比べてもほとんど変わりありません。
例えば亜鉛は、1日あたり成人男性で12mg、成人女性で9mgの摂取を推奨されている栄養素です。
もしも5分づきの玄米をお茶碗1膳食べると、1.12mgの亜鉛が摂取できることになります。
そもそも亜鉛は、すい臓でインスリンを作ったり、その他に抗酸化酵素を作るためにも必要な成分です。
そのインスリンは、食後に血糖値が上がった場合に、エネルギーにしたりタンパク質の合成にも関係する、大事な役割を持つホルモンです。
5分づき米も玄米と同様に、肥満予防対策におすすめのGI値が低めの食品になるので、血糖値の上昇は起こりにくく、すい臓への負担も減らせる食品になります。
ただし、今の食生活を見ると、栄養の摂り過ぎのため、肥満や生活習慣病になる可能性が高まっています。
よく噛んで消化するので満腹感を得られ、血糖値も上がりにくい特徴を持つ、5分づき米を食べることは、すい臓にも優しいため、メリットと言えるでしょう。
また、気になるようならば、ココアには亜鉛や銅が豊富に含まれるので、玄米から少し減った栄養素を持ったものを、食後の飲み物にするのもよい方法です。
精米する中で失った玄米の栄養素を補う食材は?
玄米を5分づき米に精米する中で、失う栄養素の中に、多く減少してしまうものがあります。
その分を補うために、おかずの食材としてぴったりのものがあればいいとは思いませんか。
その減少している栄養素としては、ミネラルのリン、ビタミンB6、不溶性食物繊維などが目立ちます。
例えば、ミネラルのリンは、カルシウムの吸収をよくするために必要ですが、高野豆腐やプロセスチーズに豊富に含まれます。
そしてビタミンB6は、脂肪の代謝をよくする働きがあり、鮭やカツオなどの魚類とバナナにも豊富です。
不溶性食物繊維は、よく噛むことを促す栄養素ですが、きのこ、れんこん、ごぼうなどに多く含まれます。
その他にも、体内で細胞を作るために必要な亜鉛は、クエン酸・ビタミンCと合わせると、栄養素の吸収がよくなります。
豊富に含まれるうなぎや牡蠣に、お酢やレモンを使って酢の物にすると、クエン酸やビタミンCも摂れるのでおすすめです。
銅は血液とのつながりが強く、ストレスを感じやすい人などは、体外に排出されてしまいやすいので、多めに取りたい栄養素です。
そのためには、牡蠣、レバー、大豆も併せて食べるようにするといいでしょう。
このように5分づき米に合わせて、おかずに入れる食材を選ぶと、失った栄養素の分も取り戻せることになります。
栄養面で低GIを意識した食事にも5分づきの玄米はおすすめ?
玄米は栄養が豊富で身体にいい、低GI食品と呼ばれています。
ところで5分づきの玄米は、低GI食品と考えて食べてもよいかが気になります。
まず、5分づきの玄米のGI値は58で中GI食品となり、55までが低GIの値である、そのラインに入っていた玄米とは違います。
ただし、5分づきの玄米も、よく噛んで食べることが必要になる、玄米の特徴を色濃く残したお米です。
そのため、GI値の低めの食品であり、ダイエット向きと考えられ、糖質の吸収もゆっくりで、血糖値は上がりにくい特徴を持つことになります。
もしも低GIを意識するならば、例えば、おでんをおかずにする時には、大根、たまご、牛すじ、こんにゃく、厚揚げなどの具材がおすすめです。
また、ごぼうやきのこ類は、精米する中で失った食物繊維が豊富な食材で、低GI食品のメニューとしてもよいでしょう。
きんぴらごぼうなどの煮物や、ごぼうときのこのサラダにするのも、おいしいおかずを作る調理法となります。
デザートにはビタミンCが豊富で、体内のインスリンの分泌も調整する、グレープフルーツはおすすめできますが、薬を服用している方は注意が必要です。
このように合わせるおかずや食材によって、より低GIを意識したメニューにすることができるでしょう。
栄養面より食べやすさを優先するなら5分づきの玄米がおすすめ
5分づき米は玄米よりも栄養価は下がりますが、一緒に食べるおかずを選択することで、失った栄養素は摂れることになります。
玄米の歯ごたえやクセが苦手で避けたい方は、無理をせずに5分づき米を食べて、おかずで栄養を補うようにするとよいでしょう。
また、5分づき米でもまだ苦手と感じる方は、より白米の食感に近づいた、7分づき米から食べるようにすると、玄米食に慣れやすいですよ。