お正月が過ぎ、1年で最も寒い時期も終わろうとする頃から気になり出すのが花粉症です。
辛いくしゃみや鼻水、目のかゆみなど、毎年繰り返される症状にウンザリされているかたも多いことでしょう。
この花粉症に効果が期待できるといわれているのが玄米です。
玄米に含まれる米ぬかに秘密がありそうなのですが、果たして本当に効果的なのでしょうか。
今回はその真偽を中心に、玄米の優れた健康効果や花粉症対策についてお話しいたします。
玄米の米ぬかには花粉症改善効果が期待できるの?
玄米はご存知の通り、精白する前のお米です。
茶色い部分は糠と呼ばれ、発芽部分を含んでいるためビタミンやミネラル、食物繊維など、白米には含まれていない貴重な栄養が豊富に詰まっています。
中でもガンマ-オリザノールという成分には抗アレルギー効果があり、免疫力を高め、花粉症による炎症を鎮める効果が期待できることがわかっています。
ガンマ-オリザノールには他にも下記のような効果が期待できると言われています。
・コレステロール値の低下
・潰瘍の改善
・更年期障害や自律神経失調症の改善
その優れた効能は治療薬として使われているほどです。
玄米をいただくだけで薬としての効果が得られるなら、ぜひ試してみたいですよね。
玄米の糠には他にもさまざまな健康効果が期待できます。
さっそくご紹介いたしましょう。
花粉症だけじゃない!玄米には生活習慣病予防効果が期待できる
ガンマ-オリザノールという成分に花粉症の症状を減らす効果が期待できることがわかりましたが、玄米の糠部分には他にもさまざまな健康効果が期待できる栄養素が備わっています。
特に優れているのは生活習慣病予防効果です。
加齢やストレス、不摂生な食生活などが積み重なると、血液がドロドロになって血管障害から高血圧や動脈硬化、糖尿病、脳梗塞、ガンなどを発症し、場合によっては命を落とすことにもなりかねません。
玄米には、こうした疾病に効果的な栄養素がいろいろ含まれているのです。
・フィチン酸
がん予防に効果が期待できるといわれている成分です。
・イノシトール
ビタミンB群の一つであるイノシトールには、コレステロール値や中性脂肪値を下げる働きや、肝機能を向上させる効果が期待できます。
また糖尿病予防にも効果的と言われています。
・GABA(ギャバ)
アミノ酸の一種であるギャバには、高い血圧を下げて正常に戻す効果が期待できます。
高血圧は生活習慣病につながる最も危険な兆候であるにもかかわらず、多くのかたが対策をとっていないといわれています。
科学的にも証明されたギャバの血圧降下作用は、正常な血圧までも下げてしまうものではありません。
安心して摂取できますね。
また、ギャバにはストレスによるイライラを鎮めて精神を安定させたり、動脈硬化や高脂血症を改善する効果も期待できます。
健康に不調を感じはじめるようになったら、玄米食がおすすめです。
花粉症対策効果をサポートする玄米の栄養素とは?
玄米に含まれるガンマ-オリザノールという成分に花粉症を抑える効果が期待できることがわかりましたが、その他にもアレルギー対策に有効な成分がいろいろと含まれています。
・食物繊維
玄米には白米の約5倍もの食物繊維が含まれていますから、便秘を改善したりダイエットに効果的です。
また腸内環境を整えるので免疫力の向上にもつながり、花粉症などアレルギー疾患にも有効です。
・ビタミンB6
肌の健康を維持し、皮膚の再生を促す、免疫機能の正常化には必須の栄養素です。
不足するとアレルギー症状が出やすいといわれています。
玄米の糠部分には、このビタミンB6が100g中3.27㎎含まれています。
これは唐辛子に次いで第2位の多さです。
唐辛子は毎食必ず食べるわけにはいきません。
その点玄米ご飯なら、無理なくアレルギーに効果的な栄養が摂取できますよね。
・ビタミンE
若返りビタミンとも言われるビタミンEには、高い抗酸化作用があります。
花粉症などのアレルギー反応を起こすと大量の活性酸素が生成されますから、抗酸化作用のあるビタミンは必須といえます。
完全栄養食品!玄米に含まれる凄い健康効果
玄米には、ほとんど全てのビタミンやミネラルが含まれているため完全栄養食品といわれています。
玄米さえ食べていれば、1日に必要な栄養素がほぼすべて賄えてしまうのです。
主な栄養素と、期待できるその健康効果を見てみましょう。
・ビタミンB1
玄米にはビタミンB群が豊富に含まれています。
B群は互いに連携しながら食物の消化を助け、代謝を促して身体機能の働きを高め健康を維持します。
中でもビタミンB1は、神経を正常に保ったり、疲労回復に欠かせない栄養素です。
ビタミンB1が不足すると脚気になります。
かつて日本人の主食は白米ではなく玄米でした。
飢饉などで米が手に入らないと、たちどころに栄養失調に陥るリスクがあり、特に脚気になる子どもが多かったといわれています。
逆に言えば、それだけ玄米には多くのビタミンB1が含まれているのです。
・ビタミンE
若返りビタミンとも言われるビタミンEには、その高い抗酸化作用から花粉症対策に有効なだけでなく、肌の新陳代謝を促すためシミやしわにも効果的といわれています。
特に女性にはうれしいビタミンです。
・カリウム
浮腫みを解消し、毒素を体外に排出させる作用のあるミネラルです。
他にも血圧を調整するなどして、健康維持に大切な栄養素といわれています。
・マグネシウム、リン、亜鉛など
これらミネラルは現代の食生活では不足しがちです。
発芽のエネルギーを秘めている玄米には、こうした希少な成分が豊富に含まれています。
他にもさまざまな栄養素が、血液から、皮膚粘膜から、腸内から免疫力を高め、健康を維持するよう働きかけてくれます。
これが、玄米が健康食といわれる所以なのです。
玄米が花粉症を治すのではない!花粉症を寄せ付けない体質になろう!
花粉症シーズンになると、○○を食べると治る、とか、××が効果的など、毎年新たな食べ物が推挙され、その都度スーパーの陳列棚からその商品がなくなる現象が起きますよね。
しかし、1つの商品だけで花粉症が治るなら、これほどラクなことはありませんよね。
玄米は花粉症に効果的だとわかりましたが、花粉症を治すのではなく、あくまでも花粉症をはじめとしたアレルギー疾患に有効と思われる成分が含まれているだけのことです。
ですから、花粉症が改善しないからといって玄米は効果がない、というわけではありません。
それよりも花粉症を受け付けないような体質にすることが、根本的な解決につながります。
そのためにはまず、今の食生活から免疫力を高めるような食生活へと改善することが大切です。
では、どういう食事をとれば効果的といえるのでしょうか。
花粉症を寄せ付けない体質に改善するのに効果的な食べものとは?
玄米は花粉症に効果的な食べ物と言われていますが、玄米だけで花粉症が治るわけではありません。
どんな食べものが花粉症の症状に有効なのか、また花粉症にならない体質へと改善するにはどういったものを食べればいいかお話しいたします。
・食物繊維の多い食品で腸内環境を改善
食物繊維はダイエットに有効なだけでなく、腸内環境を改善してお腹から免疫力を高めてくれるため、花粉症などのアレルギー疾患に有効です。
食物繊維には水溶性と不溶性とがあり、水溶性には海藻、野菜が、不溶性には穀類、豆類、ナッツ類が該当します。
どちらか一方食べればいいというのではなく、どちらもバランス良く食べることが大切です。
玄米は不溶性食物繊維です。
おかずには同じ不溶性食物繊維の納豆や、水溶性のわかめの味噌汁、野菜のおひたしなどをつけるとバランスがいいでしょう。
おやつに数粒のアーモンドを食べるのもいいですね。
・タンパク質とビタミンで粘膜や細胞を強くする
免疫力はタンパク質が不足すると低下します。
体の土台となるタンパク質をしっかり摂って、皮膚や粘膜を強くしましょう。
また皮膚や粘膜を強くするビタミンには、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6があります。
レバー、うなぎ、サンマに豊富に含まれているので、積極的にいただきましょう。
またサンマやサバ、イワシなどの青魚には、DHAやEPAが豊富に含まれています。
これらにはアレルギー症状を抑える働きがあるため、特におすすめです。
・抗酸化作用で免疫細胞を活性化
アレルギー症状で炎症を起こすと活性酸素が発生します。
活性酸素を除去して免疫細胞を活性化させるには、抗酸化作用の高い食品の摂取が効果的です。
緑黄色野菜や海藻の他に、にんにく、ネギ、シソ、生姜など香りの強いものも該当します。
また緑茶にも効果が期待できます。
ぜひ、これらをバランス良く取り入れ、食事全体で花粉症を撃退するようにしましょう。
玄米で花粉症のない健やかな体へ
もともと健康食として認知されていた玄米に、ガンマ-オリザノールをはじめ花粉症に有効といわれている成分が豊富に含まれていることがわかりました。
しかし、ただ玄米を食べれば花粉症が治るというわけではなく、食生活全体で免疫力を高めるように、改善することが大切です。
現代病ともいえる花粉症を撃破するためにも、まずは白米を玄米食に替えて、健康的な食生活へと足を踏み出してみましょう。