日本の食卓に欠かせない調味料といえば味噌。
昔は各家庭で作るのが一般的だったそうですが、現在は市販品を買う人がほとんどでしょう。
しかし、最近になって家庭で自家製味噌を作る人が増えています。
今回は、家庭でも簡単にできる味噌の作り方のご紹介と市販品との違いを解説していきます。
味噌はどうやってできるの?
味噌には大豆が使われることは知っていても、どうやってできているかを知っている人は少ないのではないでしょうか。
味噌は、大豆と塩、麹菌を混ぜあわせて発酵させたものです。
発酵食品なので、時間の経過によって色や風味が変わっていく楽しみもあります。
大豆、塩、麹菌のなかでも重要なのがカビの一種である麹菌です。
カビと聞くと不衛生なイメージがありますが、乳酸菌や納豆菌などと同じように食べられます。
麹には麦麹、米麹、豆麹と種類があり、それぞれ味わいが異なります。
味噌作りにおいて、麹がもっとも重要にあることを覚えておきましょう。
今回ご紹介する味噌の作り方は、もっともポピュラーな米麹を使用した簡単な作り方をご紹介していきます。
味噌作りに慣れてきたら、米麹以外の麦麹や豆麹の味噌にもチャレンジしてみましょう。
それぞれ作り方は今回ご紹介する米麹の味噌と同じですので、好みの麹を見つけるのも楽しいですよ。
市販と手作り味噌の作り方の違いは?成分は同じ?
一般的にスーパーなどで市販されている味噌と手作りの味噌では作り方が異なります。
市販の味噌のほとんどが輸入された海外産の大豆を使用しており、その大豆も遺伝子組換えの大豆です。
自家製の味噌の場合は仕込みで半年から1年近くかけて味噌を作りますが、市販の味噌は「速醸法」という製法で作られています。
速醸法とは加温できる部屋を利用して、強制的に発酵を早め、3ヶ月程度で味噌を完成させます。
速醸法は早く、簡単に味噌ができますが、うま味や香りが少ないです。
人工的にうま味を加えたり、見た目をよくする添加物が多く含まれています。
また、商品の均一化のためにアルコールやエタノールで発酵を止めています。
つまり、市販の味噌は重要な成分である酵素が生きていない味噌、ということになります。
安価で手軽に購入できますが、海外産の原料や作り方をみると手作りの味噌のほうが安心で美味しいといえるでしょう。
簡単な味噌作りに必要な道具
味噌の作り方は人それぞれで道具も異なることがありますが、今回は気軽に作るために揃えやすい道具を準備していきます。
味噌を作るために必要な道具は、味噌を入れる容器、大きめの鍋、茹でた大豆を潰す道具(ミキサーやマッシャー)、はかり、大きめの容器、ザルの6つです。
大豆は茹でると2倍程度に膨らむので、十分に余裕のある大きめの鍋を用意しましょう。
圧縮鍋があると茹でる時間を短縮できるので、おすすめです。
茹でた大豆は潰すので、ミキサーやマッシャーなど潰す道具を用意しましょう。
茹でた大豆をビニール袋に入れて、すりこぎ棒などで叩いても簡単です。
大きめの容器は、大豆と麹、塩を混ぜ合わせるために使用します。
よく混ぜ合わせないと仕上がりにムラができてしまうので、大きめの容器で均一に混ぜ合わせます。
そして、1番重要なのが、味噌を入れる容器です。
味噌を入れる容器は木製の木桶や陶製の味噌かめ、ホーロー製の容器などいろいろあります。
外気温に影響されにくい木製や陶製が味噌の品質を考えると1番ですが、扱いやすさや価格を考えるとおすすめはプラスチック製です。
プラスチック製の容器は、軽くて扱いやすいですし、価格も安く、種類も豊富です。
長期的な保存には向きませんが、数年程度なら変色などの影響はそれほど受けません。
簡単に作る!味噌作りの材料
味噌作りに必要な材料は大豆、麹、塩の3つだけです。
大豆の種類や塩の種類により味わいが変わりますが、1番重要なのは麹の種類です。
主に米麹、麦麹、豆麹の3種類があります。
その名の通り原料は米、麦、豆で、その種類によっても味が変わってきます。
地域によりますが、もっとも多く使われているのが米麹です。
入手もしやすく、味も食べ慣れている人が多いので、初めて味噌を作るなら米麹をおすすめします。
そして、意外かもしれませんが、味噌の甘口、辛口を決めるのは塩ではなく、麹の割合です。
麹が多く入っていると甘口になり、少ないと辛口になります。
今回ご紹介している作り方は、標準的なレシピですが、自分の好みによって麹の量を調整してみるのもいいでしょう。
初めての味噌作りの場合は失敗の少ない、今回ご紹介しているレシピの分量が簡単でおすすめです。
家庭で簡単!味噌の作り方
味噌を作る作業の手順は少ないです。
どの作業も簡単ではありますが、丁寧に行わないと雑菌の繁殖の原因になります。
味にも影響がでるので、丁寧に作ることを心がけるようにしましょう。
【材料】
・大豆 1300g
・麹 2000g
・塩 800g
【作り方】
①大豆を水でよく洗い、大豆が完全に隠れる程度のたっぷりの水(分量外)に10時間以上浸けます。
② ①の大豆を鍋に入れて、多めの水(分量外)で5、6時間(圧力鍋なら30分程度)煮ていきます。
③煮え具合を確認し、指で簡単に潰れるくらいになっていたら、ザルにあけて流水で冷やします。
④粒が残らないようにミキサーなどを使い潰します。
⑤麹と塩をよく混ぜます。
⑥ ⑤に潰した大豆を加えてよく混ぜます。
⑦ ⑥を容器に空気が入らないように詰めて入れていきます。
⑧空気に触れないように上にラップを敷き、落し蓋をして重石を乗せます。
以上の分量で作ると約6kgの味噌ができます。
1日1杯の味噌汁を飲むと1年間で消費できる量です。
上手に作るコツを説明していくと、まず大豆は水に浸ける際と煮る際の水は多めにしましょう。
大豆は水を含んで大きくなるので、たっぷりの水がないと、大豆が水からでてしまいます。
大豆を潰す際はミキサーなどがない場合は、ビニール袋に入れてすりこぎ棒や足で潰すと簡単です。
茹でて潰した大豆、塩、麹の全て混ぜたときに耳たぶくらいのやわらかさになっているのが理想です。
もし硬かったり、水分が少ないようなら、大豆を煮た際の煮汁を少しだけ足しましょう。
容器に入れて蓋をしたら、あとは熟成を待つだけです。
気温の変化の少ない直射日光の当たらない場所が保存に適しています。
味噌の表面カビの対処法とカビが生えにくい作り方
味噌を作っていると高い確率で遭遇するのが「カビ」です。
表面はラップなどで覆っていても、どうしても空気に触れるのでカビが生えやすくなります。
カビが生えた際は、カビの部分をスプーンで味噌ごと取りましょう。
多少のロスがでますが、カビさえ綺麗に取ってしまえば食べられます。
カビの発生を抑える3つの方法をご紹介します。
1つ目は、味噌を空気に触れさせないことが重要です。
ラップや布などで空気が入らないようにしっかりと覆うとカビの発生を抑えられます。
2つ目は、重石をしっかりすることです。
重石をすることで味噌の水分が上に上がってきます。
水分が上に上がるとカビは生えたとしても、表面の一部です。
3つ目は、もっとも簡単な方法で、空気の触れやすい味噌の表面に霧吹きなどでアルコールを吹きかけます。
アルコールには消毒効果があるので、カビが生えにくくなります。
消毒に使うアルコールには米焼酎、ホワイトリカーなどを使いましょう。
以上がカビを防ぐ方法です。
カビは面倒くさいからと作り方を簡略化させたり、あとから水分を足すなどで発生しやすくなります。
レシピの分量をしっかり守り、保存する気温や直射日光に注意すればカビが全体に広がることは少なくなりますよ。
味噌を作って毎日を健康に過ごそう
味噌は日本人には欠かせない調味料の1つです。
毎日の料理に使うものだからこそ、素材から選ぶことができる手作り味噌をおすすめします。
最初は難しいと感じるかもしれませんが、一度作り方に慣れてしまえば、簡単に作れます。
自分だけのオリジナル味噌を作って家庭の味にしてみてはいかがでしょう。