味噌は大豆、麹、塩だけを原料としたシンプルな食材です。
それだけに、各原料の配分が味噌の決め手となります。
麹を多くすれば甘め、塩を多くすれば辛目の味が出来ます。
今回ご紹介する美味しい手前味噌の作り方は、大豆1kgに対して麹が2kg。
麹が多めの甘口のお味噌です。
作り方をご紹介する前に、まず味噌のお話から始めていきます。
味噌と暮らす
味噌は地域によってさまざまな種類があり、家庭によっても味が違います。
いずれにしても材料は大豆と麹と塩で、一番の違いは麹の種類です。
米麹なら米味噌、豆麹なら豆味噌になります。
もう一つは塩の量と麹の量です。
塩が多ければ辛口になり、少なければ甘口に、麹が多ければ甘口になり、麹が少なければ辛口になります。
今回は大豆1kgに対して麹2kgなので、少し甘口です。
そして、味噌の作り方で最も重要なのは酸素にふれないことです。
落としラップをぴっちりとして、むやみに開け閉めして中をのぞかないことです。
最初の2ヵ月は10度以下に保ち、それ以上の気温になるようなら冷蔵庫に入れます。
3ヵ月ぐらいから食べられますが、時間がたった方がより熟成が進み、角のとれたまろやかな味になります。
味噌の発酵の話
美味しい味噌の作り方として大切なことは、作る時期です。
寒仕込みという言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、一年中で最も寒い時期、1月~2月の厳しい寒さが発酵物を仕込むのに最適です。
なぜなら、この寒い時期には低温に強い植物性の乳酸菌が繁殖しやすく、逆に雑菌は繁殖しにくいからです。
日本酒、味噌、醤油などの日本を代表する発酵物も、この時期に作られます。
毎年、秋から年末にかけて出回る新大豆1kg用意しておいてください。
麹は出来ればスーパーなどで売っている乾燥麹よりも、せっかく手作り味噌なので、麹屋さんで取り寄せた生の麹で作りたいものです。
最近では、インターネットで全国各地の麹屋さんや味噌屋さんから、生の麹をを取り寄せることができるので、是非利用してみて下さい。
作り方①大豆1kgを煮る
【材料】
・大豆(乾燥) 1kg
・生麹 2kg
・塩 500g
・焼酎 少々
※水を含むと大豆の量が倍になるので、記載分量のすべて半量で作ることもできます。
【道具】
ボウル(大、小)・ざる・厚手の鍋・味噌保存容器(2個)・お玉・重し・ガーゼ・ラップ・ビニール袋
【作り方:大豆を煮る】
①大豆1kgはさっと洗い、大きめのボウルか鍋にいれて、たっぷりの水に一晩浸します。
②ふっくらともどったら、浸した水ごと鍋に入れて火にかけ、沸騰する少し手前で火を弱めます。
③火をかけると大量の泡がでてくるので、ふきこぼれないようにお玉ですくいとります。
アクはどんどん浮いてくるので、こまめにすくいとりながらゆでます。
焦がさないように、鍋底からまぜながらゆでます。
④3~4時間かけてじっくりとゆでるので、途中で水が足りなくなったら足して、柔らかくなるまでゆで続けます。
⑤1粒つまんでみて、かんたんにつぶれる硬さになったら、茹で上がりです。
この状態で約2kgになります。
⑥麹は大きめのボウルに入れてさっとまぜて、固まりはくずし、塩を1/4量位加えて両手で混ぜ、全体に混ざったら再び1/4量位を加えて混ぜ、これを繰り返します。
作り方②麹と大豆1kgの混ぜ合わせ
【作り方:麹と大豆を合わせる】
①茹で上がった大豆1kgををざるにあげて少し冷まして、ゆで汁はとっておきます。
冷ましすぎるとつぶれにくくなるので、少し熱いくらいでいいです。
②大豆をビニール袋に入れて口をしばります。
ビニール袋の上から手のひらの付け根で力強く押して大豆をつぶします。
大豆のつぶがなくなるまで力強く押し付けます。
ここでつぶれ方が粗いと、味噌の口当たりが悪くなってしまいます。
ビニール袋がつぶれたら、袋ごともう一枚の袋に入れてつぶします。
③ほとんどの大豆がつぶれてねっとりしてきたら、まぜ終わりです。
テーブルにビニールシートなどを敷いて大豆を取り出して、リング状に土手を作ります。
大豆の中央に塩きりした米麹をひとつかみ入れて、外側から土手をくずして麹にまぜこむようにこねていきます。
手のひらで体重をかけるようにしてしっかりとこねて、大豆と麹が完全にまざるまでこねます。
④よくまざったら再びリング状の土手を作り、同じようにして麹を入れてまぜていき、これをくりかえして全量をまぜ合わせます。
⑤大豆と麹をまぜていくと、ぼそぼそとして水分が足りなくなってくるので、先ほどとっておいたゆで汁を少し加えてやわらかさを調整して、上下を返すようにして全体にムラがなくなるまでこね上げます。
麹と大豆1kgの味噌玉の作り方
【作り方:味噌玉を作る】
①大豆1kgと麹がまざりあって、耳たぶぐらいのかたさになったら出来上がりです。
一度山型にまとめてみて、ひびわれないくらいのちょうどよいかたさになっていたら、しっかりと空気を追い出してまとめます。
②両手でキャッチボールをするようにして空気を抜き、手のひらでたたいてさらに空気を抜きます。
空気をしっかりと抜くことで、味噌が空気にふれる面積を少なくします。
失敗しないための作り方です。
③こね終えた味噌を、おにぎり大のボール状に丸めます。
味噌玉の出来上がりです。
④味噌玉を、焼酎で拭いた保存容器に力いっぱい投げ入れます。
容器と味噌の間に空気が入らないようにするためです。
3、4個投げ入れたら空気を抜くようにして、手で押さえ込み、隙間をなくします。
さらに投げ入れて同じように空気を抜き、これを繰り返して全量をきっちりと詰めます。
押さえこむようにして味噌を平らにし、手の平で表面をなめらかにして、量を低くするように押し込みます。
⑤味噌の表面がなめらかになったら少量の焼酎を注ぎ入れて、手でなでるようにして塗り広げて、味噌が空気に触れないようにします。
⑥ぴっちりと落としラップを張り付け、ラップと味噌の間に空気が残らないようにします。
⑦最後に容器の内側についた味噌を焼酎で湿らせたペーパータオルできれいに拭き取り、ふたをして、室内の涼しい場所に保存します。
大豆1kgから作る味噌の最後の工程
【作り方:天地返し】
1~2ヵ月が経って、少し色が変わっていたら味噌を一度、保存容器から取り出して、上下が逆になるように再び詰める作業をします。
これを天地返しと言います。
味のムラをなくして、まんべんなく熟成させるための工程です。
①容器ごと逆さにして、勢いよくとり出します。
もしくわ、縁から包丁やナイフを差し込んですき間を作って取り出します。
②容器は洗って乾かして、焼酎で消毒して、味噌玉を作って詰め直します。
同じように落としラップをして冷暗所に保存します。
※もしカビが生えていたらその部分を取り除き、全体を混ぜます。
味噌の大敵はカビです。
空気が入るとカビが生えやすくなるので、詰める際にはペッタリと保存容器に叩きつけるようにして、味噌の中の空気を押し出します。
全部詰め終えたら、容器全体をトントンと軽く床にぶつけると、さらに空気が抜けます。
夏場なら週に1回、冬場なら3週間に1回程度、カビが生えていないかチェックします。
地味な作業ですが、同時に味噌作りが成功するかどうかの大切な作業です。
手間をかけただけ、美味しい味噌ができること間違いありません。
そして半年ほどおくと熟成して、香ばしい手前味噌の完成です。
以上が大豆1kgで作る手作り味噌の作り方です。
美味しい手前味噌を作りましょう
味噌は塩と麹のバランス、熟成期間、さらに熟成中の気温や天候、その年の大豆の出来などによって味が大きく変わります。
毎年安定した味の味噌を作るのは、なかなかたいへんですが、逆に毎年味が変わるからこそ、味噌作りは面白いともいえるのです。
今回記載の分量で2単位出来るので、小家族の場合は半量で作って下さい。
是非挑戦してみて下さいね。