ご飯をおいしく炊くために重要となるのが水の量です。
水の量を間違えると、炊いたご飯がべちゃべちゃしたり、逆に硬くて食べづらく困ってしまいます。
また、米を何合炊こうとしたか忘れた、土鍋で炊きたいけど目盛りがないため水の量が分からないというご経験をされた方もいらっしゃると思います。
今回は、炊飯を失敗しないために、米と水の量の正しい重量の割合をご紹介します。
重量と体積の違い
色々なレシピを見ていると、「砂糖10g」と書かれているものと、「砂糖大さじ1杯」と書かれているものがありますが、この違いをご存知でしょうか。
これは、重量と体積の違いです。
前者の重量はそのものの重さを表しており、正確な数値を知ることができます。
一方、後者の体積はある容器の中にそのものが入っている量を表しており、正確な数値ではありません。
なぜならば、例えば砂糖大さじ1杯をすりきりで量っても、指でギュッと押すと砂糖の隙間が小さくなってもう少し砂糖が入りますよね。
量る人によって同じ体積でもその重量が変わってしまうからです。
なお、液体の場合、体積と重量は密度という概念からほとんど同じ数値となります。
つまり、水の量は体積1立方cmで重量も1gとなりますが、米1合を計量カップで量る場合、体積は約180mlですが重量は約150gとなるということです。
米と水の量の正しい重量の割合は?
米1合の重量は約150gであり、そのとき炊飯に必要な水の量は、米の重量の1.5倍が良いといわれています。
【米の水加減(重量比)】
米(g):水の量(g)=1:1.5
つまり、米1合(150g)を炊くためには、225g(=150g×1.5)の水の量が必要ということになります。
ちなみに、体積比の割合で水の量を計算する方法もあります。
【米の水加減(体積比)】
米(ml):水の量(ml)=1:1.2
米1合の体積は180mlのため、このときに必要な水の量は216ml(=180ml×1.2)ということになります。
しかし、体積比で計算する場合、米粒が大きい品種だと容器に入れたときの隙間が大きくなり、1.2倍の水の量ではご飯が柔らかくなり過ぎるということが起きてしまいます。
したがって、確実に計量できる重量比で計算したほうが、より正確に水の量を知ることができます。
ただし、米の種類や状態、炊飯器の種類、人の好みでも最適な水の量は異なります。
あくまでも基本的な水の量を知る目安として、米の重量との割合で計算する方法を覚えておきましょう。
要注意!米と水の量の重量比計算ポイント
水の量は、米の重量との割合から目安を計算できるとご紹介しましたが、そのときに注意すべきポイントが2つあります。
1つ目は、米の状態による水の量の違いです。
一様に米の重量の1.5倍の水の量がベストとは限りません。
米には収穫したての新米と、収穫して時間が経った古米があります。
新米の場合は、米自体に水の量が多く含まれているため、普通の米よりも少な目の水の量にするようにしましょう。
一方、古米は乾燥して水分がほとんどなくなっているため、普通より多めの水の量が適しています。
これを考慮せず、普通に米の重量の1.5倍で計算すると、新米の場合はべちゃべちゃに、古米の場合は硬めのご飯が炊きあがることになります。
2つ目は、米の重量を量るタイミングです。
米は水で洗う前の乾いた状態で重量を量りましょう。
米は水を吸収するため、洗っただけでも米が膨れ重量が増えてしまいます。
炊飯の工程の一つである浸水を30分~1時間すると、1合150gの米は200gほどまで膨れます。
この状態で米の重量を量り、単純に1.5倍した水の量で炊飯するとべちゃべちゃなご飯が炊けてしまいます。
浸水した状態の米は1.2~1.3倍に膨らんでいるため、浸水した米で体積で計算する場合は、計量カップ1合分に対して同じく軽量カップ1杯分(180ml)の水の量でだいたいちょうど良いです。
ご飯を炊くときの水加減を考えるときは、これらの注意ポイントを意識するようにしましょう。
米の種類による水の量の違い
これまでは白米に限った話をしてきましたが、米の種類によって適正な水の量は異なります。
●無洗米
精米した米の「肌ヌカ」を特殊な加工で取り除いた、研ぐ必要のない米です。
通常の精米された白米より米粒が小さくなるため、計量カップで1合を量ると隙間が小さくなり、重量が白米より重くなる可能性があります。
重量を量るならば問題はないですが、計量カップを使用して体積で計算する場合は、白米よりも少し多めの水の量にするようにしましょう。
●玄米
精米する前のもみ殻だけ取り除き、ヌカを残したままの米です。
玄米を炊くときの水の量は白米よりも多く、重量だと玄米(g):水の量(g)=1:2の割合が良いといわれています。
なお、炊くときの水の量が多いため、白米より吹きこぼれを起こす可能性が高くなります。
玄米を炊く場合は、5合炊きなら3合までなど、炊飯する釜の容量の半分くらいまでを目安にするようにしましょう。
●もち米
赤飯やおこわなどを作るときに使う、モチモチとした食感の米です。
もち米を炊くときの水の量は白米よりも少なく、重量だともち米(g):水の量(g)=1:0.8~0.9の割合が良いといわれています。
また、吸水率が高いので、もち米は浸水する必要はありません。
米の重量が分からないときの裏技!
ご飯を炊くときの水の量は、米の重量から計算すれば良いと分かりました。
しかし、キャンプなどで計量カップも何も量るものがない場合、どうすれば良いか困ってしまいますよね。
そのときに役立つ裏技を、2つご紹介します。
1つ目は、洗米した米を平らにした表面に手の平を押し当て、手の甲と手首が90度になるように腕を垂直にし、手首まで水を入れるという方法です。
2つ目は、洗米した米を平らにして、表面に中指を立てて、指の関節1つ分まで水を入れる方法です。
ただし、手の大きさや指の長さは人それぞれのため、あくまでも目安です。
一番良い方法はしっかりと米の重量を量って水の量を決めることですが、何も計量できるものがなく困ったときは、これらの方法を頭の片隅に覚えておいても良いかもしれません。
米の重量に対して水の量を間違えたときの対処法
ご飯を炊くとき、水の量に気をつけていても、思ったご飯の硬さにならなかったということがあるかもしれません。
考えられる原因としては、以下のことが考えられます。
・浸水時間や蒸す時間が適正ではない
・米の重量を量り間違えた
・新米から古米に変えた
・米の品種を変えた
などがあります。
しかし、ご飯の炊き方を失敗したからといって捨ててしまうのはもったいないですよね。
そこで、炊飯において水の量を間違えたときの対処法をご紹介します。
ご飯が硬く炊けた場合は、米2~3合に対して大さじ1杯程度のお酒を加え、再炊飯してください。
お酒の匂いはなくなり、アルコールもとんで無くなるため、子供がいらっしゃるご家庭でも実践できます。
この対処法でも難しい場合は、チャーハンやリゾットなどの料理にしてしまいましょう。
また、ご飯が柔らかく炊けた場合は、残念ながらご飯が復活するような対処法はないため、お粥などにしておいしくいただきましょう。
自分好みの水加減を研究しよう!
炊飯器の目盛りでも十分に水加減は調整できますが、よりおいしく炊くためには米の重量との割合から計算することをおすすめします。
また、それぞれの米や炊飯器の特徴、気温などによって炊き上がりが異なるため、自分好みの最適な水加減を経験から探していくのも楽しいですよ。
この計算があれば目盛りがなくても水の量が分かるので、土鍋での炊飯にも挑戦してみてはいかがでしょうか。