体に良い、ザ・日本の発酵食品味噌。味噌汁の作り方は簡単!

発酵食品が注目されています。

発酵食品は、含まれる微生物の力で、食品の栄養成分が吸収されやすくなります。

さらに、微生物自体に腸内環境を整えたり、内臓脂肪を減らす働きがあるものもあるんですよ。

体に良い発酵食品は、積極的に取り入れたいものですね。

今回は発酵食品の中でも、日本人となじみの深い味噌にアプローチします。

味噌のすごい話と、味噌汁の簡単な作り方をご紹介します。

味噌汁の前に、まずは味噌の作り方のお話

日本人にとって馴染みのあるスープ、味噌汁。

昔、味噌は家庭で作ったものですが、今はスーパーに行けばどこにでも手に入るので、味噌を手作りする人は料理好きな人という印象がありますね。

ひとつ例に挙げてみると、信州味噌はたった3つの原料(大豆・米・塩)で作られています。

作り方は、まず米に麹菌をつけて米麹を作り、蒸したり茹でたりした大豆をつぶします。

そして、麹・大豆・塩をよく混ぜ、保存容器に入れてじっくりと熟成します。

つまり、蒸してつぶして混ぜるだけということです。

手順としては簡単です。

熟成中の味噌の中では、大豆のたんぱく質と米の炭水化物を、麹菌がゆっくりゆっくり分解します。

このとき、麹菌と一緒に自然界にある乳酸菌や酵母も働くので、味噌の中では複雑な化学変化が起きているのです。

仕込む前の味噌を口に入れると、ただただ塩辛いだけです。

しかし、最終的に出来上がった味噌は、たんぱく質がうま味に変化します。

脂質・糖分・ビタミン・ミネラルといった栄養素をバランスよく含み、ヒトの体に吸収されやすい形になっているのです。

また、麹菌はカビの一種であることもご存知でしょうか。

ほとんどのカビは毒素を出しますが、麹菌は毒素を出さない、良いカビ菌なのです。

麹菌は昔から、味噌以外にも日本酒・酢・醤油などにも使われていて、日本の国菌にも指定されています。

こんなにすごい味噌が日本にあるのですから、ぜひ毎日食べたいですね。

朝の味噌汁は毒消しにも

昔からの言い伝えでは、朝に味噌汁を食べると体に良いとされています。

さらに、味噌汁は二日酔いにも良いといわれています。

味噌に含まれるコリンという物質には、肝臓にアルコールが蓄積するのを防ぐ作用があります。

そのため、お酒を飲んだ翌朝に味噌汁を飲むと、アルコールが早く抜けるというわけです。

ほかにも体に良いという話があります。

女性の11人に1人が罹るともいわれる乳がん。

ある機関では、大豆製品からのイソフラボン摂取量と女性乳がん発生率の関係を調査しました。

その結果、味噌汁を食べている女性ほど、乳がんの発生率が低下することがわかりました。

特に1日3杯以上味噌汁を飲む人は乳がん発生率が0.6倍です。

つまり40%も減少するということです。

閉経後の女性に限ると、イソフラボンをたくさん摂っている人は、ほとんど摂らない人の約1/3の乳がん発生率です。

体に良い大豆製品は、簡単にバランスよく食べたいですね。

まずは朝1杯の味噌汁から始めましょう。

次項では、作り方のコツをご紹介します。

塩分を控えたい人は具だくさんの味噌汁がおすすめ

しかしここで、アレが気になる人も多いのではないでしょうか。

そう、塩分量です。

味噌汁1杯に含まれる塩分は、決して少なくはありません。

味噌の種類にもよりますが、味噌大さじ1杯=約2gの塩分が含まれています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015年版」では、1日に摂取する塩分の上限は男性8g未満、女性7g未満となっています。

高血圧を患っている場合の食事療法としては、男女とも6g未満が目安になっています。

つまり高血圧の人は、3度の食事で味噌汁1杯ずつ飲むだけで、1日の摂取目安となってしまうということです。

塩分が気になる方は作り方の工夫をしましょう。

まずは具だくさんにすることです。

具を多くすることで、味噌の使用量が控えめになりますし、具に含まれるカリウムが塩分を体外に排出しやすくしてくれます。

使う味噌も、白味噌のように塩分が控えめのものを使うとよいでしょう。

昆布やかつお削り節などで、だしをしっかり取ってうま味を出したり、七味やしょうがなど薬味を使ったりすることで味覚を満足させることもできます。

簡単な工夫で、塩分を控えめにしたりカバーしたりすることは可能です。

念のために付け加えますと、塩は天然の保存料です。

味噌の熟成中に、悪い菌が増えずに長期保存できるのも、塩のおかげです。

ですので、味噌の塩分を悪者扱いせず、上手に付き合っていくことが大切です。

基本の味噌汁の作り方は簡単

味噌汁を作るとき、だしを取るのが面倒と感じる方も多いと思います。

・昆布は水から入れて沸騰させる前に引き出す
・かつお削り節はお湯が沸いたら火を止めてから入れて、1~2分してかつお節が沈んだら漉す

などの手順は、慣れてしまえば良いのですが、少し手間ですね。

忙しいときには、顆粒だしを使えば簡単です。

基本の味噌汁の作り方

【材料 2人分】

・だし汁 500ml
・味噌 大さじ2
・味噌汁の具(大根・ジャガイモ・ほうれん草・鶏むね肉など) お好みで

【作り方】

①味噌汁の具は、食べやすい大きさに切っておきます。

②だし汁を中火にかけて煮立ったら、食べやすい大きさに切った野菜や肉類を、煮えにくいものから順に入れます。

③具が軟らかくなったら、火を止めて味噌を溶き入れます。

④味噌汁の具のうち、豆腐・ワカメ・ねぎなど軟らかいものがあれば、味噌を溶き入れた後に入れて、軽く熱を加えます。

ポイントは、味噌を入れてから沸騰させないことです。

沸騰させると味噌の良い香りが飛んでしまいます。

味噌に含まれる酵素を摂りたいという方は、だし汁を少し冷まして60度のお湯にしてから味噌を溶き入れます。

この場合、味噌汁はあまり日持ちません。

作るたびに食べ切るようにしましょう。

簡単!おいしいねぎ味噌の作り方

毎日味噌汁を作れば良いのですが、仕事をしていると余裕が無くて疲れる日もありますね。

そんなときは、ねぎ味噌を作り置きすることをおすすめします。

ねぎ味噌の作り方

【材料 作りやすい分量】
・長ねぎ 1本
・味噌 1カップ
・かつお削り節 10g

【作り方】

①長ねぎは細かく刻みます。

②ボウルに長ねぎとかつお節と味噌を入れて、よくかき混ぜます。

とっても簡単に作れるでしょう。

ねぎ味噌は、お湯で溶けば味噌汁がわりになります。

お酒のおともにちょっとつまんだり、豆腐の薬味にしたり、お茶漬けにもおすすめです。

会社勤めの方は、ラップなどにくるんで会社に持参して、お湯を注いで味噌汁として召し上がってはいかがでしょう。

基本的に冷蔵庫で保存して、1~2週間で使い切ってください。

全国の味噌汁・味噌鍋の作り方の簡単な紹介

日本各地には、味噌を使った簡単でおいしい味噌汁・味噌鍋があります。

その簡単な作り方をご紹介します。

身近な材料で作れるものばかりなので、皆さんの家の食卓で日本縦断するのも楽しいですね。

・北海道の石狩鍋

昆布だしと鮭の味噌鍋です。
鮭のアラも使った濃厚な味です。

・北海道の鉄砲汁

カニが取れるオホーツク海沿岸地域の鍋。
カニの足から身を取り出す様子が鉄砲のように見えるところからついた呼び名です。

・秋田県男鹿半島の石焼鍋

木桶の中に味噌味の汁と魚介類の鍋材料を入れて、真っ赤に焼けた石を入れて作る鍋。
じょわーっと湯気が立つ様子は壮観です。

・山形県の納豆汁

その名の通り納豆と、豆腐・油揚げ・コンニャク・芋茎を煮たものです。
豆尽くしですね。

・山梨県のほうとう

かぼちゃが入っているのがポイントです。

・大阪府のかす汁

味噌と酒粕が入った、ポカポカ温まる汁です。

・九州のもつ鍋

柔らかくゆでた牛豚もつと、にんにく・味噌味がおいしい鍋です。

・鹿児島県のさつま汁

さつま芋などの根菜類、コンニャク、鶏肉を煮て作られます。

まずは味噌汁を食べる食習慣を!

日本で昔から食べられてきた味噌。

食べることと健康が結びついているという研究結果は、説得力のあるものです。

まずは簡単な具だくさん味噌汁から作ってみてください。

作り方は各家庭でアレンジして、わが家の味ができるといいですね。

味噌汁のほかにもいろいろな食べ方がありますので、ぜひチャレンジしてみてください。