甘酒を飲んだことがない方でも、その名前を一度は聞いたことがあるかと思います。
お正月に神社に初詣に行くと、境内で配っていたりすることもありますし、最近ではスーパーの棚で見かけることも多くなりました。
しかし、ひと口に甘酒といっても、いろいろと違いがあることはご存知でしょうか?
今回は、麹と水だけでシンプルに作られた、シンプルな甘酒の紹介をします。
甘酒の種類 酒粕と米麹
昔から親しまれている甘酒ですが、主に、麹を元に作る甘酒と酒粕で作る甘酒との2つの製法があります。
酒粕で作る甘酒というのは、文字通り酒粕をお湯でのばし、砂糖などを加えて飲みやすくしたもので、多少ですが酒粕に含まれているアルコール分が入ります。
スーパーですでに瓶詰め、もしくは紙パックに充填されているものなどは、加熱してアルコール分を飛ばしてはあります。
しかし、お酒が原料であることから、アルコールが苦手な人や子供が大量に摂取するとアルコール分に反応してしまうこともあります。
反対に、麹を元に作る方の甘酒は『酒』という名前ではあるもの、原材料が米麹と水だけなので、アルコール分がほぼ含まれていません。
でんぷんを酵素で分解して糖化させた自然な甘みが特徴です。
甘酒に含まれる糖分はブドウ糖が主なので体に吸収・消化されやすく、オリゴ糖も含まれるため、腸内環境も整えてくれます。
甘酒を家で作る利点
麹と水だけで作る甘酒には、アミノ酸やビタミンB群などの栄養素をはじめとする、様々な栄養素がたくさん含まれていて、その栄養価は点滴薬とほぼ同等であるともいわれています。
また、米麹にはコウジ酸が豊富に含まれています。
このコウジ酸は、メラニンの生成を抑える働きがあるので、色白肌を作り、シミやそばかすの予防に効果的であると言われています。
健康と美容に有効的な効果があると最近評判なのは、そのためです。
けれども、麹は生きていますから、麹を発酵させて甘酒を作ると、そのままではどんどん発酵が進んで行ってしまいます。
それを防ぐため、市販の甘酒は火入れという作業を行って、麹の発酵を止めて安定した状態を作ってから、出荷されているものがほとんどです。
これでは、せっかくの生きた麹菌がもたらす益を、存分に体に取り入れることができません。
生きた麹菌の良さを存分に摂取するには、生の甘酒を自分で作ってしまうのが、一番手軽ではないでしょうか。
本当に麹と水だけで作れるの?
ありがたいことに、麹を元にした甘酒を作るのはとても手軽で簡単です。
まず肝心の米麹を手に入れることが必要となりますが、最近はスーパーなどでも手軽に買うことができますし、インターネット通販などでもたくさんの種類が出回っています。
スーパーなどでは、乾燥麹を見かけることの方が多いと思います。
インターネットでも、扱っている店舗がたくさんあります。
手間が気にならないのであれば、酒蔵から直接購入するのも良いかもしれません。
作られた麹をそのままパッケージングした生麹と、フリーズドライ加工を施した乾燥麹のどちらを使っても作れますが、どちらも同じ要領で作れます。
生麹はフレッシュな材料を使用することができますが、低温で管理しなければなりません。
反対に乾燥麹は、フレッシュ感では劣るかもしれませんが、常温保存ができるため扱いが楽であるという利点があります。
まずは少量から購入してみて、気に入った味のもの、扱いやすいものを見つけてみてください。
ごはん(おかゆ状に炊いたもの)を使って作る方法もありますが、麹と水だけを使って簡単に作ることもできます。
麹と水だけで甘酒を作る方法
材料は、本当に麹と水だけです。
生麹を使う場合は1:1の割合で、乾燥麹を使う場合は、1:2の割合になるまで、水の量を増やしてください。
まずは水の温度を60度くらいになるように温めます。
これを麹とよく混ぜ合わせたら、その温度をキープできるように発泡スチロールなどの保温箱に入れてください。
隣に熱湯を加えたカップなどを置いておくと、よりしっかり温度が保てると思います。
もしくは炊飯器の保温機能を利用するという方法もあります。
蓋をぴっちり閉じてしまうと、温度が高くなりすぎてせっかくの麹菌が死んでしまうので、蓋の間に菜箸を噛ませるなどの工夫をして、すこし温度が逃げるようにしてあげると60度前後を保ちやすいかと思います。
ヨーグルトメーカーなどをお持ちの方は、設定温度を60度にするだけです。
どの場合も4時間から6時間ほどで甘酒の出来上がりです。
ちょっと味を見てみて、少し甘みが足りないかなと思ったら、保温時間を延ばしてみてください。
その際に、温度が下がり過ぎていないかのチェックを必ずすることが大事です。
簡単に甘酒を食事に取り入れる方法
麹と水だけで作った甘酒は、もちろんそのまま飲むのもOKです。
ぶつぶつした感触が苦手な方は、軽くミキサーにかけてみてください。
口当たりがなめらかになり、飲みやすくなると思います。
水や豆乳で割ってみたり、生姜などを足してみるのもおすすめです。
甘みが軽やかになります。
スムージーに足してみたり、生の果物やドライフルーツを足して一晩おくと、デザート感覚で食べることもできます。
凍らせるとシャーベットのようにもなりますよ。
カブやキュウリなどの野菜の漬け床として使うのもおすすめです。
その際には、食べやすい大きさに切ってから、塩もみをして水分を少し抜いてから漬けると良いでしょう。
その他には、お料理に甘みとして使ってしまうのもおすすめです。
例えば、南蛮漬けの漬け汁は基本的に醤油・砂糖・酢を混ぜるかと思いますが、そのときに砂糖の代わりに甘酒を甘味料として使ってみてください。
なるべく加熱しないで甘酒を口にできる方が、麹の栄養素を存分に摂取できるかとは思いますが、火を入れたお料理でも優しい甘みがとてもおいしいですよ。
麹と水だけの甘酒にも注意点が
健康効果の高い麹と水だけの甘酒ですが、摂取するうえで注意しなければならない点もあります。
甘酒の甘みの主成分は、体内に吸収されやすいブドウ糖です。
飲む点滴とも呼ばれるのは、その体への吸収性の良さも理由のひとつです。
体に吸収・消化されやすいということは、血糖値の急上昇を招きやすいということです。
夏バテのときなど、急速にエネルギーを補給して体力を取り戻すのにはぴったりですが、血糖値に気をつけなければならない方は、十分に注意してください。
スポーツドリンクが脱水したときの水分補給に向いているけれども、糖尿病患者の方は飲んではいけないと言われるのと同じ理由です。
素早く体に吸収され過ぎてしまうので、インシュリンの生成が追いつかない方には向いていません。
また、健康体の方でも、なんでも取り過ぎは体によくありません。
いくら体に良いものだとは言っても、カロリーオーバーにもなってしまいます。
簡単に作れる甘酒、ぜひ作って健康と美容生活に取り入れてみてください
麹と水だけで作る甘酒は、栄養価が高いうえに、手軽に作れます。
簡単なひと手間で、おいしく健康と美容に役立つのなら一度試して体への効果を実感してみてはいかがでしょうか。
素材がシンプルなので、甘酒を食べる方法をいろいろ考えてみるのも、楽しいと思いますよ。