様々な料理の本やネットのレシピを見ると、食品や醤油などの調味料を量る時に1カップ、大さじ1、といった表示があります。
この1カップや大さじ1は、きちんとした計量用のもので量ることで、正確に計量することができます。
しかし、レシピによっては大さじ1とあるものと、15ml、15ccとあるものがあります。
今回は料理によく使うけど、ちょっとわかりにくい醤油の単位について、わかりやすくお伝えします。
醤油の大さじのccという言葉の意味
水は大さじ1杯が15ml、つまり15ccで15gです。
ではmlとccの違いは何か、というと全く同じことです。
正確には、mlは容積を示すことが多いため、水や醤油、油などの液体の場合に使う単位とされています。
レシピの中で見るccという単位は「cubic centimetre」、つまり立法センチメートルの略で1cm×1cm×1cmの体積を表している言葉を省略して表したものです。
正確には単位ではありません。
ccは㎤を表すものです。
本来ccは、国際単位系や日本工業規格(JIS)では使わない単位となっています。
日本の計量法においては、ccを使わずに㎤を使うのが正しい使い方になります。
しかし日本では車の排気量や、運転免許などの公文書でもこのccが使われています。
そして、液体や気体の場合は個体のように1辺1cmと測ることができませんので、㎤という単位は不適格となり、一般的にccと使われています。
たしかに料理のレシピでも、このccを使っているものの方が、mlで表記しているものよりも多くあります。
そして容積と体積は同じことになるため、mlと㎤は全く同じこととなります。
醤油も水も大さじ1は15cc
同じ液体でも水や酒、酢は、ccもmlもgも全く同じ数値になります。
そのため、大さじ1は15cc=15ml=15gになります。
これを基準に他の調味料や食品を量ると、水よりも軽い油は同じ大さじ1でも15ccなのに、12gになります。
これは、私たちが子どもの頃から「油は水に浮く」ということを知っているように、油は水よりも軽いため、同じ量を大さじ1に入れても、重さも軽くなるということです。
これはバターやマーガリンも同じで、個体に見えるバターでも重さは水よりも軽くなります。
では、醤油はどうかというと、水に垂らすと醤油は水の中に沈んでいきます。
つまり、水よりも重くなります。
同じ大さじ1でも、醤油は15cc=15mlであるのに、15gではなく18gになります。
他にも、みりんやソースも醤油と同様に水に沈みますので、水よりも重いということがわかると思います。
醤油の大さじをccで表す理由
レシピなどで醤油大さじ1と書いてある場合、ccやmlの単位を使うことが多いのは、こういった数値の違いがあるのが理由なのです。
例えばレシピに、大さじ1(15cc)ではなく、大さじ1(18g)と書いてあるとします。
そのレシピを見た人は、水は大さじ1(15g)なのに醤油はなぜ違うのか、レシピの書き間違いではないのか、と勘違いしやすくなりますね。
特に、料理の初心者にとってはわかりにくいはずです。
さらに、レシピの分量が1人分の分量の時に、家族4人分や友人たちと10人分作る場合は、もっと面倒になります。
大さじ1では面倒だから計量カップで量ろう、と思った時に、18gとなっていたら、そこから計量カップに合わせてccに数値を直す計算をしなければなりません。
レシピに15ccと記載してあれば、4人分で60cc、10人分で150cc、とすぐに計量カップで量ることができます。
こういった面倒な計算や理屈をイチイチ考えながら料理をする人はあまりいませんね。
誰にでも簡単でわかりやすいレシピを作るためには、ほとんど液体である醤油や酒・油・みりんは大さじ1と書くか、その隣に注釈で15cc、または15mlと書きます。
計量スプーンの様々な種類
前項でご説明したとおり、レシピに記載されているのは、ccやmlが多いです。
実際に醤油などの調味料をはかるとき、計量スプーンを使う人が多いのではないでしょうか。
料理のレシピにある大さじは、計量スプーンの一番大きいものを指します。
最も種類が多い計量スプーンは、小さじ1/8からあり、1/4、1/3、1/2、2/3、1、大さじ1/2、そして大さじ1です。
それぞれがまるでマトリョーシカのように重なって6種類、7種類が1つのリングに繋がれて販売されているものがほとんどです。
一般的には2/3、1/3と大さじ1/2の3本がない5本組が多く、キッチン道具の老舗のものや、有名人が作ったブランドや会社の製品が人気です。
最も正確なのが和田助製作所の業務用の計量スプーンで、7本組、9本組、中には大さじ2が測れるスプーンもついた11本組のものもあります。
計量スプーンにも色々あり、ステンレスが一般的ですが、プラスチックや木製のものもあります。
中にはおしゃれなデザインに特化したものもあります。
凝った柄やデザインのものは正確に量るというよりも、おしゃれに料理を楽しむためのものと考えられます。
醤油大さじ1の15ccを正確に量る方法
醤油大さじ1を正確に15cc量るのは、意外と難しいということをご存知ですか。
液体には表面張力があり、これを含めて大さじ1になります。
そのため、こぼれないくらいに入れて、大さじ1を量ったつもりになっても、それは正しく大さじ1ではないため、15ccになりません。
料理のレシピは正確な量で書いたあることが多いため、適当に量っていると、大さじ3杯、4杯と量っているうちに誤差が出てきます。
数杯で小さじ1杯分くらい違ってしまいます。
正確に量るためには、大さじを目の高さにします。
そこに醤油を注ぎ、こぼれ落ちる寸前まで注ぎます。
これが大さじ1、つまり15ccになります。
また、たくさんの種類の計量スプーンがなくても、大さじの内側にメモリがついているものがあります。
その場合は、メモリのところにしっかりと合わせて醤油を入れると、大さじ1/2杯などを正確に量ることができます。
大さじ1/2杯は、正確に量れば、7.5ccになります。
醤油を大さじで正確に量った方が良い理由
料理のレシピ通りに作っても、正確に量らないと誤差が出てしまいますね。
でも、小さじ1くらいの誤差が出ても問題ないと思っていませんか。
しかし、塩分に気をつけなければいけない体質や病気を持っている人にとっては、醤油1杯の量も正確に量る必要があります。
近年、日本では1日に必要な塩分の目標量が男性は9mg、女性は7.5mgになっています。
醤油の塩分濃度は濃口で16~17%、溜醤油で15~17%、淡口・白醤油が17~19%になります。
また、減塩と書いてある醤油の場合は9%以下と決められています。
醤油を大さじ1、15cc摂ると、18g中16%として2.88g取ったことになります。
刺身や寿司につけて食べた場合は、小皿に出した醤油を全て使うわけではありませんが、1日の1/3の塩分を摂ることになります。
これが減塩醤油であれば、大さじ1の15ccでも塩分濃度は9%になりますので、1.6gとなり、かなりの塩分濃度を減らすことができます。
しかし減塩醤油の問題点は、物足りなくて使いすぎてしまうことです。
せっかく減塩されていても、使う量が増えてしまえば全く意味がありません。
また、色が濃い醤油の方が塩分は高そうですが、実は逆で、白い醤油や淡い醤油の方が塩分は高くなります。
その場合は、少なめに使うことが大切です。
醤油を正しく計量して健康的な食生活を
1日に必要な塩分量は男性で9g、塩なら大さじ1/2杯、醤油なら大さじ3杯分です。
これを知っていると、1日に摂る塩分量の目安がわかります。
塩分を摂りすぎないためにも、醤油の大さじ1杯が15ccで塩分の量が2.8gと知っていることは、塩分量に気を付ける上でとても大切なことなのです。
醤油を正しく量り、健康的な食生活にしていきましょう。