最近では、テレビでお掃除の裏ワザ紹介をよく目にします。
そのお掃除でよく使われているのが、重曹です。
テレビを見て重曹を買ってみたという人も、いるのではないでしょうか。
この重曹、使えるのはお掃除だけではないんです。
野菜の農薬除去や、玄米を柔らかくする効果も持っているんですよ。
そんな重曹の底ヂカラをご紹介します。
重曹ってどんなもの?
重曹は、自然界や体内にも存在する「ナトリウム化合物」のひとつで、「重炭酸曹達」の略称で重曹と呼ばれています。
弱アルカリ性で、酢のような酸性の液体をかけると、二酸化炭素と水に分解されるシンプルな化学物質です。
重曹が日本で使われるようになったのは、明治時代と言われています。
当時は掃除にも使われていましたが、合成洗剤の登場により、その存在は忘れられてしまいました。
しかし、近年、環境への意識が高まったことで、再び注目を集めるようになります。
そのまま排水しても環境を汚さず、しかも洗浄能力も高い重曹が、再び表舞台に立つことになったのです。
最近では、その洗浄能力の高さから、野菜の農薬を洗うのにも使われています。
そして、料理でも使えるので、玄米を炊くときに重曹を入れると食べやすく、柔らかく炊き上がります。
掃除・料理・食品の洗浄にも使われる重曹ですが、販売されている重曹を見ると、いくつか種類が分かれています。
ホームセンターなどでは、食品のコーナーに重曹が置いてあったり、掃除のコーナーにも重曹は置いてあります。
料理用と掃除用の重曹とでは、何か違いがあるのでしょうか。
重曹には種類がある!野菜や玄米に使うときには注意!
掃除用の重曹と料理用の重曹は、厳密に言うと違うものです。
同じ重曹といっても、3種類に分けられています。
・薬用
・食用
・掃除用
となります。
違いは、精製度合いです。
「薬用」は、最も精製度合いが高く、ほぼ100%精製してあります。
純度が高いため、薬品としても使われます。
薬局で手に入りますが、ほかのものと比べて、高価です。
「食用」は、薬用ほど精製されていませんので、少しキメが粗めです。
ベーキングパウダーの代わりに使われたりもするので、「膨らし粉」と言われることもあります。
野菜のアク抜きや、食材を柔らかくするために使われます。
野菜の農薬除去や、玄米を炊くときに使いたいのであれば、薬用か食用を使いましょう。
それ以外にも、口に入っても安心な成分のため、食器洗いや掃除、入浴用にも使えます。
「掃除用」は、上記2つに比べて、精製度合いが低いものです。
少しくらい口にしても害はありませんが、使い道は、掃除や消臭などに限られます。
キメが粗いので、掃除の際の研磨剤としても使うことができます。
掃除用の重曹は、100円ショップでも手に入ります。
掃除にしか使わないというときには、そちらでも十分ですね。
しかし、子どもがいる場合には、「食用」を準備しておくと安心ですよ。
重曹の持つ力!どうして農薬除去や玄米に使えるの?
重曹は、料理にも掃除にも使える、有能な化学物質であることはお話しました。
なぜ重曹は、料理に使えば食材を柔らかくし、掃除に使えば、汚れ落としの役割を果たしてくれるのでしょう。
重曹の作用には、次の5つがあります。
①軟水化
硬水に重曹を加えると、硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルと、化学反応が起こります。
そうなると硬水が軟水に近付き、水が柔らかくなります。
②発泡
酢やクエン酸など、酸性のものと合わさると、中和して発泡します。
また、熱が加わると二酸化炭素が発生し、細かい泡が発生します。
この作用が、パンの膨らし粉として使われたり、掃除では泡が汚れを浮かせて、落としやすくしてくれます。
③中和
重曹は弱アルカリ性ですので、酸性の油汚れと結合して中和し、汚れを落としやすくしてくれます。
④研磨
重曹は、水溶性の結晶でできているので、お水と合わせると研磨剤として使えます。
あまり粒子が粗いものを使うと、ステンレスなどにキズがついてしまう可能性がありますので、目立たないところで試してから使ってください。
⑤消臭
生ごみ、冷蔵庫、靴箱などの消臭に使えます。
これらの臭いは、酸性の物質でできています。
ですので、重曹が中和して臭いを分解してくれます。
また、吸湿作用もしてくれます。
料理には、①・②の作用が働き、掃除には②・③・④・⑤の作用が働きます。
このような働きのおかげで、野菜の農薬除去や、玄米を柔らかく炊くことができるわけです。
野菜の農薬除去!重曹を使って洗おう
野菜の農薬除去や、玄米を柔らかく炊くこともできる重曹は、すごいですね。
農薬を除去できる理由は、農薬の塩素化合物が重曹のナトリウムと結合するため、と言われています。
野菜や果物の残留農薬の落とし方を、いくつかご紹介します。
■重曹水スプレー
まず、重曹水を作ります。
【材料】
・水 240cc
・蒸留ホワイトビネガー 240cc
・重曹 大さじ1
・レモン汁 20滴
材料をすべて混ぜ、スプレー容器に入れます。
野菜や果物にスプレーして、5~10分置いたら洗い流します。
■重曹水
重曹だけでも洗浄できます。
【材料】
・水 適量
・重曹 小さじ2
大き目のボウルに水を張り、重曹を入れます。
野菜や果物を浸けて、1分~2分程度で引きあげます。
流水で、よく洗い流しましょう。
重曹で完全の農薬が除去できるわけではありませんが、水道水で洗うだけよりも安心です。
農薬除去だけじゃない!重曹のチカラ
重曹は、野菜の農薬除去だけでなく、ワラビやタケノコなどのアクの強い野菜のアク抜きにも役立ってくれます。
【ワラビのアク抜き】
重曹の量に気を付けてください。
入れすぎると、ワラビが溶けてしまいます。
重曹の量は、水の量の1%以下にしてください。
①ワラビの根本と、開きすぎている頭の部分を切り落とします。
②ワラビを水洗いします。
③鍋に水を入れ、火にかけて沸騰させます。
④沸騰したら重曹を入れます。
⑤火を止め、粗熱を取ります。
⑥ワラビを入れます。
ワラビが、すべて浸かるようにしてください。
⑦一晩置きます。
ワラビがお好みの柔らかさになったら完了です。
流水で洗い流して、そのまま食べることができます。
【タケノコのアク抜き】
タケノコのアク抜きは、1リットルの水に対して、小さじ1の重曹を入れます。
①鍋に、水1リットルと重曹小さじ1を加え、沸騰させます。
②タケノコの皮をむき、半分に切ります。
③鍋にタケノコを入れます。
④30分弱火で、ゆでます。
水が減ったら、足してください。
⑤竹串がスッと通るようになったら、OKです。
そのまま料理に使えます。
上記以外にも、魚に揉みこめば臭み取りになり、エビの下ごしらえに使えば、エビがプリッとしますよ。
次の項では、玄米のおいしい炊き方をご紹介します。
重曹を使って玄米を柔らかく
重曹は素材を柔らかくしてくれるため、玄米を炊くときにほんの少し加えると柔らかく、食べやすくしてくれます。
炊き方は簡単です。
いつも通りに洗って、浸水させた玄米を炊くときに、耳かき1杯程度の重曹を加えるだけです。
これだけで、いつもの玄米よりも、おいしい玄米になります。
「耳かき1杯」ということをお忘れなく。
あくまで、ほんの少しです。
入れすぎると、重曹の味が出てしまいます。
白いご飯を炊くときにも、重曹は使えます。
玄米と同じように、重曹をほんの少し加えて、炊くだけです。
5合でティースプーン1/4~1/5程度の量です。
これで、古米もモチモチ新米同然に復活しますよ。
注意点としては、重曹は入れすぎてしまうと、ご飯が黄色くなってしまうというところです。
食べることはできますが、気になるという人は、ごく少量から始めてみると良いですよ。
また、重曹の臭いが出てしまうということもあります。
「くさい」と感じる人もいるようですので、苦手と感じたら、重曹を入れないほうが良い場合もあります。
掃除だけでなく、野菜の農薬除去からアク取り、おいしいご飯炊きと、重曹は生活全般に大活躍です。
ぜひ、一家にひとつ、常備しておくことをおすすめします。
重曹で家事が快適
掃除にも料理にも使えて、しかも安全で環境にやさしいのですから、重曹をもっと活用していきたいですね。
洗剤ではないので、洗剤を使いたくないところにも安心して使えます。
ひとつあるだけで、家中で大活躍ですね。
重曹を使って、家事を快適にしていきましょう。