料理をする人は知っている方がほとんどと思われる、大根の下茹で方法。
大根の下茹では米のとぎ汁でする事、とよく料理本にも書かれていますね。
ではなぜ、大根の下茹でには米のとぎ汁を使うのか、そして米のとぎ汁以外での代用はできないのかを説明していきます。
大根の下茹でを代用せずに米のとぎ汁でする方法
煮物料理にする時用の大根の下茹でを代用せずに米のとぎ汁でする方法を説明します。
1.大根を水で洗って汚れを落としたら、内側にある筋まで皮を厚めに剥きます。
この筋を取る事で、食べた時にこの筋が残らず柔らかく食べられるからです。
さらに大根に、十字に隠し包丁を入れると、より一層味が染み込みます。
2.大根をお好みの大きさに切り面取りします。
3.鍋に大根を並べ、米のとぎ汁を大根がヒタヒタになるまで入れます。
米のとぎ汁は1回目の分から使うとほこりや汚れがついているので、2回目からの物にしましょう。
4.鍋を火にかけ沸騰したら、大根がおどるくらいの中火にして落し蓋をします。
竹串がすっと通るまで茹でます。
大根の厚みによって多少の違いはありますが、おおよその目安時間は約20分です。
この段階で柔らかく茹でないと後に料理で使う時、味が中まで染み込みづらく固いままになるので要注意です。
また、柔らかくなった大根は煮崩れしやすいです。
そのため、茹でた鍋をそのまま流しに持って行き、流水で冷たくなるまで鍋の水を入れ換えると、崩れるのを防止できます。
5.茹でた後、米のとぎ汁の臭いを取るために、再度水から茹でてください。
水にさらして臭いを取る方法もあります。
ここから先はお好きな料理に仕上げてください。
代用せずに米のとぎ汁で大根を下茹でする理由①アクを抜いて甘味を増やす編
大根の下茹でを、代用せずに米のとぎ汁で行った場合
①大根の独特の臭いやえぐみ等のアクを抜いて甘味を増やします。
②柔らかく仕上がるので、味が染み込みやすくなります。
以上2つのの効果があります。
それぞれの理由を説明していきます。
まず、大根独特の臭いやえぐみ等のアクを抜いて甘味を増やす事ができる理由を説明します。
米のとぎ汁にはデンプンが含まれています。
デンプンには、大根独特の臭いやえぐみ等のアクにくっ付き取り除く効果があります。
また大根は、デンプンの消化酵素「ジアスターゼ」を含みます。
「ジアスターゼ」には、消化不良を改善し、胸焼け・胃もたれを防止する働きがあります。
これは胃腸薬にも配合されているほどの成分です。
大根に含まれている「ジアスターゼ」が、米のとぎ汁に含まれるデンプンを分解し、分解されたデンプンが糖分へ変化します。
この糖分を大根が吸収する事により、大根の甘みが増えます。
代用せずに米のとぎ汁で大根を下茹でする理由②柔らかく茹で上がる編
次に大根が柔らかく茹で上がる理由を説明していきます。
代用せずに米のとぎ汁を使って大根を柔らかく茹で上がるのは、米に含まれるデンプンが威力を発揮します。
米のとぎ汁で下茹でをして温度を上げる事によって、大根の細胞壁が壊れます。
細胞壁が壊れることにより、大根が白く透明になり、柔らかくなります。
生のままだと、細胞壁に覆われていて固く、細胞壁がまさに「壁」となり、味が入るのを邪魔して中まで染み込ませません。
また、米のとぎ汁から出るデンプンは野菜から出たアクを包み込んで、繊維の中に再び戻るのを防ぐ効果もあります。
そして、アク抜きをすると、野菜が持っている旨味や甘味が引き出されて上品な味に仕上がり、下茹ですることで煮汁の味が食材に染みやすくなります。
ただし畑で採れたばかりの大根にはアクがまわっていませんので、下茹でをせず、そのまま煮ても大丈夫です。
大根を下茹でする時の米のとぎ汁の代用とその効果
大根の下茹でをする時に、米のとぎ汁を捨ててしまった場合や、米のとぎ汁が手元にない場合に代用できる物はあるのかを説明していきます。
まずは代用としてお米を使って下茹でする方法です。
米をひとつかみして、鍋にサッと入れることで、米のとぎ汁を入れた時と同じような効果を得られます。
この時ガーゼの小袋に米を入れることで、米が鍋の中でバラバラにならないので便利です。
次に、同じデンプンなので、米とぎ汁の代用として小麦粉や片栗粉で下茹でする方法もあります。
小麦粉や片栗粉を使う場合は、小さじ1杯程度です。
やり方を簡単に説明します。
1.大根を3cm位の輪切りにします。
2.大根がかぶるくらいの水を入れて、片栗粉を小さじ1杯入れます。
皮を厚めに切り、隠し包丁をして面取りをした大根です。
大根の下茹で時間は、大根に串を刺してすっと通るようになるまで煮込むとよいです。
茹で汁が若干とろみがある感じになりましたが、米のとぎ汁で下茹でした時よりヌカっぽさがなくなります。
また米ぬかで代用する方法もあります。
方法は片栗粉と同じです。
トロリとした味わいの上品な大根に仕上がります。
実はなんと大根の下茹でに使うのは、昔は米ぬかが正統派で、米のとぎ汁が代用だったそうです。
しかし、茹でている間の「匂いが強い」との話もあります。
大根の下茹でに使用して余った米のとぎ汁の活用法
代用せずに米のとぎ汁を使って大根を下茹でした時に、米のとぎ汁が余った場合の活用方法があります。
活用法1:
食器洗い
米のとぎ汁が持っている成分が、界面活性剤と一緒の役割を果たすため、食器洗いに米のとぎ汁を利用します。
米のとぎ汁に漬けてから、食器を洗います。
余分な油が落ち、それを洗うので、洗剤がいつもより少なく済みます。
活用法2:
水周りの掃除や拭き掃除
洗面所やシンク等の水周りの掃除に利用できます。
洗うスポンジやタオル等を米のとぎ汁で浸し、洗面所やシンク等の汚れている水周りを磨きます。
洗面所やシンクに付着した油分・水アカを落とせます。
また、床の拭き掃除にも利用します。
米のとぎ汁には、洗浄効果やワックス効果があります。
ですので、米のとぎ汁で床の拭き掃除をしたら、綺麗に光りワックスをしたような床になります。
スプレータイプのボトルに入れるとやりやすいと思います。
活用法3:
美容
実は米のとぎ汁は美容にも利用できます。
米のとぎ汁は特に肌に良いと言われています。
それは、ビタミンB1・B2・E・セラミド等の肌に良いとされる美容成分が米のとぎ汁に多く含まれているからです。
大根の部位別調理法
大根を代用せずに下茹でする方法や理由などは説明しました。
では最後に大根そのものについても付け加えます。
大根は部位別で適した調理法が違うのを知らない方も多いかもしれませんね。
そこでなぜ大根の部位別に調理法が変わるのか説明します。
実は大根は、一番上の葉に近い部分が甘みが強く、一番下の部分は辛味が強いのです。
大根の旬は冬なので、地面より上に出ている部分は寒さで凍らないようにするために、糖度を上げて甘くなります。
下の部分は土の中で、虫の被害を受けないために辛くなっているのが理由です。
では、大根の部分別による調理方法について紹介します。
三等分した状態の大根を想像すると分かりやすいです。
まず一番上の葉に近い部分、大根の上部に適した大根の調理法は大根おろしやサラダ等が適しています。
葉に近い程、辛味が少なく水分が多いからです。
次に大根の中央部に適した大根の調理法は煮物が適しています。
中央部分の大根は、辛味が少なく、煮崩れもしにくいからです。
米のとぎ汁で下茹でする時やその代用で下茹でする時、またおでんや煮物には、中間に当たる真ん中が味の染み込み具合や煮崩れしにくいことから丁度良いでしょう。
最後は大根の下部に適した大根の調理法についてです。
お味噌汁の具や漬物、炒め物が適しています。
下部での大根おろしは、辛味の強い大根おろしになりますので、好みによって使い分けると良いでしょう。
余談ですが、大根は、皮付近に筋があるため、皮は厚めにむいた方が口当たりが良くなります。
大根の下茹ではとても大切!米のとぎ汁がなくても大丈夫
大根の下茹でがとても大切という事、そして米のとぎ汁が無くても代用の物があるので大丈夫だと分かり心強くなりました。
また、米のとぎ汁が余っても活用方法が様々にあるので、今度大根の下茹でをする時に、多めの米のとぎ汁を取り、余らせて活用してみてください。