日本という狭い国の中にも、それぞれの地方独特の食文化がありますね。
ご自分の生まれ育った地域では普通だと思っていた食べ物も、もしかしたら普通ではないのかもしれません。
どこの地方でも食べられている赤飯ですが、実は赤飯にも地域性があります。
北海道・青森の赤飯は、なんと甘納豆で作るんですよ。
北海道・青森の赤飯や変わった赤飯についてお話してきたいと思います。
北海道・青森で食べられている甘納豆赤飯とは
日本は、そんなに大きな国ではありませんが、地域による料理の独自性はバラエティーに富んでいますね。
少し県境をまたいだだけで、まるで違った食事文化になってしまいます。
お隣の市というだけでも、家庭の味付けがだいぶ違ってきますよね。
日本全国で食べられている共通の料理でも、それは言えます。
例えば赤飯です。
赤飯にも地域性があり、甘い味付けの赤飯が食べられている地域があるんですよ。
それは、北海道と青森県などの北の方の地域で食べられているようです。
そんな、北海道と青森の赤飯には、甘納豆が加えられています。
甘納豆は小豆よりも存在感がありますので、初めて見る人はびっくりしてしまうかもしれません。
コンビニなどで売っている赤飯のおにぎりも、甘い味付けになっています。
なぜ、北海道や青森で、甘い赤飯が食べられるようになったのでしょう。
甘納豆赤飯の歴史は、それほど古くありません。
このレシピが生まれたのは、北海道です。
北海道の私学の学長をしていた南部明子さんという女性が、このレシピを全国に広めたと言われています。
昭和20~30年代ころ、このレシピがラジオや新聞で紹介され、甘い赤飯が広まったとのことです。
手間が掛からず簡単に作れるこの甘納豆赤飯は、忙しい女性を応援したいという気持ちが現れているようです。
北海道や青森では、どこでも手に入りますので、お出かけの際は試食してみてください。
北海道・青森のコンビニおにぎりも甘納豆赤飯
カップラーメンも、関東と関西で味付けを変えているそうですね。
そのくらい、地域によって、食文化の違いがあるということです。
全国的なコンビニチェーン店でも、この地域性のある赤飯に着目しています。
大手のコンビニチェーン店で売られている赤飯のおにぎりですが、実は北海道と青森の地区だけ、味付けを変えています。
ご想像の通り、甘いのです。
北海道や青森で普段食べられている甘い赤飯が、そのままおにぎりになっているのです。
北海道・青森の人にとって、赤飯は甘いのが当然です。
しょっぱい赤飯を食べて、カルチャーショックを受けた人も少なくないようですよ。
コンビニチェーン店では、北海道・青森で赤飯を甘くしたところ、売り上げが上がったそうです。
全国どこに行っても同じ味が食べられると思っていたコンビニのお弁当ですが、このように地域性を重視しているものもあるんですね。
地方に旅行に行ったときに、その土地独自の味付けと、自分の地元の味付けを比べてみるというのも楽しいかも知れません。
変わった赤飯は甘納豆赤飯だけじゃない
甘納豆赤飯のように、変わった赤飯を食べているのは、北海道や青森だけではありません。
他の地域でも、ちょっと変わった赤飯が食べられています。
◎長野
長野県の軽井沢周辺の地域では、赤飯に小豆ではなく、甘く煮た花豆を入れます。
小豆に比べて豆の皮が破れにくく、豆も大きくて見栄えの良い赤飯ができます。
◎新潟
中越地方の一部で食べられている「醤油赤飯」。
赤飯と言っても醤油で味付けされているので、どちらかというと「おこわ」といったイメージです。
豆は金時豆を使っています。
ささげが高価であまり手に入らなかったことから、この赤飯が作られるようになったそうです。
◎関東
関東では小豆ではなく、ささげで赤飯を作ることが多いようです。
小豆は皮が割れやすいので、縁起が悪いとされ、ささげが使われることが多くなったとのことです。
◎千葉
千葉県特産の落花生が使われた、落花生赤飯があります。
生落花生を甘煮にし、小豆と一緒に炊き上げたものです。
◎福井県
大野市の辺りでは、さといもの赤飯が作られます。
さといもをころ煮にして、もち米、小豆と一緒に蒸したものです。
昔からこの地域では、季節の祭りで出されるごちそうです。
北海道・青森の甘納豆赤飯の作り方
それでは、北海道や青森で食べられている甘納豆赤飯を作ってみましょう。
【材料】
・もち米 2合
・水 2合弱(好みで減らしてください)
・甘納豆 1袋(金時豆がおすすめ)
・食紅 微量
・塩 適量
・ゴマ 適量
1)もち米を一晩水に浸けておきます。
2)もち米をザルにあげ、炊飯器に入れます。
炊飯器のメモリに合わせて水を入れますが、柔らかめが好きな人は多め、硬めに炊き上げたいときは、少なめにしてください。
炊飯器におこわモードがある場合は、そのメモリに合わせます。
3)食紅を入れます。
ごく微量で大丈夫です。
入れすぎると、けばけばしくなってしまいますので、つまようじの先くらいの気持ちで入れてください。
4)甘納豆を上に全量載せます。
平らにならします。
このとき、混ぜてはいけません。
上に載せて、ならすだけです。
5)あとは、炊飯器のスイッチを入れるだけです。
炊きあがったら、全体を混ぜ、軽く蒸らします。
盛り付けたら、お好みでゴマ塩を振ってください。
これに、さらに砂糖を入れるレシピもあります。
大人になって忘れていたけれど、子供の頃よく食べていたなあ、と懐かしい気持ちになる人もいるはずです。
お祝いごとでなくても、久しぶりに炊いてみてはいかがでしょうか。
軽井沢地方で食べられている花豆を使った赤飯
北海道・青森の甘い赤飯は甘納豆を使いますが、長野県の軽井沢周辺で食べられている甘い赤飯は、特産の花豆を使います。
花豆を甘煮から作るレシピもありますが、簡単に作れるよう、甘煮になっている商品を使ったレシピをご紹介します。
【材料】
・花豆の甘煮 1パック
・もち米 2合
・水 適量
・塩 小さじ1/2
・酒 少々
1)もち米を洗い、炊飯器に入れます。
2)花豆の甘煮をお好きなだけ入れ、水を入れます。
水の量は、おこわモードがあれば、おこわモードの水量に合わせてください。
おこわモードがなければ、もち米の量から10%~20%少ない量の水加減にしてください。
塩・酒も、このとき入れます。
3)炊き上がったら出来上がりです。
花豆は、ひとつひとつの粒が大きいので見栄えが良いですね。
小豆に比べ皮が破れにくいため、縁起が良いとされ、この地方で食べられてきました。
甘い赤飯だけじゃない!甘いお雑煮?!
北海道・青森で食べられている、甘い甘納豆赤飯についてお話してきました。
やはり、地方独特の食文化を知ると面白いですね。
しかし、日本中に存在する不思議な甘い食べ物は、赤飯に留まりません。
香川県では「あん餅雑煮」という、お雑煮があるそうです。
お雑煮に入っている餅が、あんこ入りという衝撃のお雑煮です。
白みそで味付けされていますので、「おしるこ」とは別物です。
白みそのお雑煮に入っているお餅が、あんこ入りということです。
県外の人が食べた感想を見てみると、予想外においしい、という意見が多かったです。
あんこの甘さが白みその甘さと合っていて、違和感は感じないそうです。
このお雑煮の発祥は、砂糖が特産だった香川の農民が、「お正月くらいは甘いものが食べたい、だけど食べているところをお殿様に見られたら叱られるから、あんこを餅で包んでお雑煮に入れて食べよう」
という思いで作ったと言われています。
今でも香川県民の半数以上が、このあん餅雑煮を食べているとのことですので、これも地方に伝わる家庭の味なんですね。
その地方の家庭の味を大切にしよう
赤飯という、ひとつの食べ物だけでも、これだけ様々なバリエーションがあるのですから、やはり日本は食文化の豊かな国であると感じます。
ご自分が住んでいる地域に伝わる食文化を知っておくと、また地域への愛着が増しますよね。
一度外に出てみないとわからないのが、それぞれの家庭の味の大切さです。
これからも、この食文化を大切にしていきたいですね。