一家の食事を担う主婦の皆さんや、料理を趣味としている老若男女の皆さんに質問です。
「調理」と「料理」の意味の違いは、どこにあるかご存知ですか?
いつも何気なく使っていたけれど、正確な答えはスラッとでてきませんよね。
ここでは、「調理」と「料理」の意味の違いと、美味しい料理を作るためにも知っておきたい「料理の基本」や「美味しい料理の決め手」について紹介します。
料理のプロ!調理師になるには?
調理と料理は同じようで意味が異なります。
今回は調理と料理の意味の違いを解説しながら、美味しい料理について解説します。
この項ではまず、調理のプロである調理師について解説します。
調理師になるには、調理師学校を1年で卒業して無試験で調理師免許を取得する方法と、飲食店などで2年以上実務経験を積み調理師試験に合格して調理師免許を取得する方法の2つがあります。
調理師学校では料理の基礎から学ぶことが出来ますが、調理師にとって現場に出た時にものをいうのはやはり実務経験です。
実務経験がなくても免許は取得できますが、免許の有無に関わらず、就職後は下積みからスタートします。
学校で学ぶことは重要ですが、何といっても実務経験がなければ調理師として認められるのは難しいです。
中卒で未経験者可の求人を探し、下積みから始めて2年後に調理師免許試験を受けて免許を取得するという方法もあります。
不況により外食が減り、安価なファミリーレストランの利用者が増えている状況ですが、美味しいものを食べたいという職に対するニーズは今後も変わらないでしょう。
調理と料理の違いは?
料理のプロである調理師について解説しましたが、ここから調理と料理の違いについて解説します。
料理は調理よりも含まれている意味が広いです。
調理には「調える」といった意味があり、食材を加工して食べやすくする過程、またはその行為を指します。
食材を切る、焼くといった行為は調理に当たるので、料理する時の用具は調理器具と呼びます。
対して料理は食べ物を作ることや作ったもののことで、料理には調理の意味も含まれています。
広い意味で言えば食事を作る企画の段階から出来上がりまでが料理です。
また、料理をする過程や技術が調理、調理して出来上がったものが料理であるとも言えます。
飲食店などが多数の客のために職業として食事を作ることを調理、家族や仲間などの少数の人のために食事を作ることを料理という解釈もできます。
しかし、調理は作るという過程だけを指す言葉なので、飲食店を料理店とは呼びますが調理店とは呼ばないように、飲食店であっても作られた食事は料理です。
違いは料理をする過程や技術を調理、調理された食べ物が料理・・・料理の基本「さしすせそ」
調理と料理の違いについて分かりましたか?
次に料理の基本調味料についてお話ししましょう。
日本料理をするうえで「料理のさしすせそ」と呼ばれるものがあります。
味付けの基本となる5つの調味料の種類と、煮物などを作るときにそれらを使用する順序を示したものです。
さ…砂糖、し…塩、す…酢、せ…しょうゆ、そ…味噌、の順番です。
なぜ、せ…しょうゆになるのか分からない人も多いのではないでしょうか。
これは以前使われていた歴史的仮名遣いで「しょうゆ」を「せうゆ」と表記したことによるものです。
しかし、加える調味料に順序があるのはなぜなのでしょう。
どうせ全部混ざってしまえば同じことだと思う人もいるかもしれませんが、加える調味料に順序があるのには科学的根拠があるのです。
まず、砂糖を最初に入れるのは、その分子構造が大きく、甘みは材料になかなか浸透しにくいからです。
もし塩を先に入れると塩の分子構造が砂糖より小さいので、塩が先に材料に染み込み、塩の素材の引き締め作用で砂糖の浸透を防御してしまうのです。
そのため、砂糖を最初に入れ、次に塩を入れます。
料理する時に「さしすせそ」の順序を正しく知ろう!
引き続き調味料を入れる時の順序についてです。
塩で味付けをするときの注意点ですが、一度にすべての分量を入れないということです。少しずつ入れていって、最後の方で味を調えるのが良いでしょう。
塩は味付けの基本ですから、入れすぎると料理全体の味を大きく損なってしまいます。
塩の次に酢を入れますが、酢は火にかけると酸味が飛んでしまいますので、塩と同様に一度にすべての分量を入れない方が良いでしょう。
料理の種類にもよりますが、火を止める直前に酸味を調整するのがポイントです。
酢の次にしょうゆを入れます。
しょうゆは風味を生かすことが大切なので、これもやはり一度に入れずに数回に分けて入れるのが良いでしょう。
調理の最初に入れると煮詰めすぎてしまうので、後の方に入れるのはこのためです。
最後に味噌を入れます。
味噌汁を作るときなどに味噌は火を止めてから、とよく言われますが、味噌煮込み料理などを除いて仕上げに入れることにより風味を生かすことが出来ます。
味噌を最後に入れる理由はここにあります。
美味しい料理を作るためには調味料の性質の違いをしっかりと知って調理する必要があります。
美味しい料理の決め手はだしにあり!
先ほど説明したように、料理をする上での調味料について理解しておかないと美味しい料理は作れません。
ここからさらに美味しい料理の基本となる「だし」について考えていきましょう。
関東と関西ではその味付けにかなり違いがありますが、それはだしに違いがあるためです。
しかし、だしのうま味は全国共通です。
だしのうま味が全国各地の美味しい料理の基本になっているのです。
人の味覚は甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つから成り立っており、その中で美味しいという味覚がうま味です。
代表的なうま味成分はグルタミン酸やイノシン酸で、だしの素材として使用される昆布やかつお節に多く含まれています。
そのグルタミン酸やイノシン酸などのうま味成分を化学的に調合したものが化学調味料です。
だしを取るときに昆布を水に浸けておくのは、うま味成分が水に溶けやすい性質を利用したものです。
だしを取って、それを基本に調理すると美味しい料理が出来上がるのは、味覚のうちのうま味が、だしに溶け込んだうま味を感じ取るからなのです。
だしがきちんと取ってある料理は根本から美味しいのです。
だしは料理の種類によって使用する材料が違います
だしの取り方と素材には多くの種類があります。
だしに使われる素材とその取り方をいくつか紹介しましょう。
★だしの素材になるもの★
・かつお節
・まぐろ節
・そうだがつお節
・むろ節(ムロアジが原料)
・さば節
・さんま節
・煮干し
・焼あご(トビウオ)
・羅臼昆布
・利尻昆布
・日高昆布
・干しシイタケ
★だしの取り方(かつお節)★
かつお節でだしを取る場合は、薄削りの場合と厚削りの場合によって方法が違います。
・薄削りの場合
鍋に水を沸騰させ、沸騰したら弱火にします。
水1リットルにかつお節20g~40gを入れて約30秒間煮出して火を止めます。
かつお節が鍋の底に沈んでから濾します。
・厚削りの場合
鍋に水を沸騰させ、沸騰したら弱火にします。
水1リットルにかつお節50gを入れて約30分~40分間煮出して火を止めます。
かつお節が鍋の底に沈んでから濾します。
かつお節以外の節や混合液を使用する時は、しばらく沸騰させてから弱火に戻すと臭みがある程度消えます。
ここまで調理や料理についていろいろお話ししてきました。
調理と料理は同じ意味で使われることも多いですが、調理は料理をする過程や行為のことを指し、料理は出来上がったものを指しますが、過程のことも料理と呼ぶことがあり、違いははっきりしているわけではありません。
しかし、どちらの言葉を使うにしても、美味しいものを食べたいという食に対する人々の意識は昔から変わらないようです。
美味しいだしでワンランク上の料理作りを!
いかがでしたか。
美味しい料理を作るためには、だしの旨味が決め手になるのです。
また、料理に欠かせない調味料は毎日使うものだからこそ、食品添加物が使われていない天然素材のものを選んで使用するようにしましょう。
「今日の料理はひと味違って美味しいね」と家族や大事な人に言われるような、ワンランク上の料理作りをしてみてはいかがですか。