カレーを一晩寝かせるなら冷蔵庫!常温保存は危険がいっぱい

子どもから大人まで大人気のカレーは、簡単に作れて忙しい主婦のお助けメニューのひとつです。

「カレーは一晩寝かせると美味しくなる」というのはよく知られた話で、実際一度にたくさん作って2日連続で食べる人も多いと思います。

でも、作ったカレーを冷蔵庫に入れず常温で一晩寝かせると食中毒の原因になるって知っていますか?

カレーの正しい保存方法を再確認しましょう。

カレーは一晩寝かせると美味しくなるの!?

そもそも一晩寝かせたカレーは本当に美味しくなるのでしょうか?

答えは「半分本当で半分ウソ」です。
カレーは単純なようで実は奥が深く”美味しいカレー”を語るのが難しいのです。

カレーを一晩寝かせると美味しくなる理由は、時間と共に肉や玉ねぎと言った具材から旨味成分が溶け出し、カレールーとよく混ざり合うことでコクがアップするからです。

味覚を科学的に検証した結果に表れていて、一晩寝かせるとコクと旨味が増し美味しくなるのは事実です。

一晩寝かせる時のポイントは「冷ます→温める」という温度変化にあり、この工程によってカレーに一体感が生まれます。
さらに寝かせることでスパイスの角が取れ、全体が馴染みまろやかなカレーになるとされています。

しかし”半分ウソ”と言ったのはまろやかさが理由になります。
スパイスの香りは時間と共に飛んでしまうので、スパイスが効いていて刺激的なカレーが好きという人にとってはパンチ不足で、一晩寝かせたカレーは物足りなく感じるかもしれません。

最終的には”好みの問題”となってしまいますが、実際に作って食べ比べをして自分だけの美味しいカレーを探してみるのも楽しいでしょう。

その寝かせる方法として、そのまま鍋に入れたまま常温保存か、移し替えての冷蔵庫保存です。

どちらが良いか、次で正しく理解しましょう。

カレーを一晩保存するなら絶対冷蔵庫へ!

カレーは大鍋で作り余った分はそのまま一晩ガス台に放置…なんてことしていませんか?
「次の日に食べるから大丈夫」という考え方、実はとても危険なのです!

カレーを保存する時は季節を問わず冷蔵庫に入れましょう。
また朝作って夜食べるという場合でも常温に放置せず、必ず冷蔵庫で保存してください。
短時間だから、冬は室温が低いからという油断は禁物です。

カレーが常温保存に向かない理由のひとつが”じゃがいも”です。
じゃがいもはカレーに欠かせないという人は多いと思いますが、非常に傷みやすい食材でもあります。
常温で保存した場合早いと半日程度で腐り始め、異臭がしてきたり酸味を感じるようになってしまいます。

つまりカレーを日持ちさせたい時にはじゃがいもを入れない方が良いでしょう。

カレーの常温保存がNGな理由として、もう1つ挙げられるのが食中毒の危険性です。
幼稚園の行事や学校給食などで出されたカレーが原因となる集団食中毒事件が日本各地で起きています。

免疫力が高い人は症状が出ない、軽く済む場合もありますが、小さな子どもや高齢者、抵抗力が低くなっている人は重症化する恐れもあり大変怖い食中毒です。

カレーは煮込んで作るしスパイスを使っているため、”腐りにくい料理”と勘違いする人もいますが、実は傷みやすく食中毒の危険もある料理だということを覚えておきましょう。

一晩寝かせたカレーに潜む”ウェルシュ菌”の特徴

カレーが原因となる食中毒を引き起こす細菌は”ウェルシュ菌”です。

ウェルシュ菌は元々土の中や空気中に存在する菌で、じゃがいもや人参・肉類に付着している可能性が多くありますが、少量の菌では食中毒は引き起こしません。
しかし、カレーなどのとろみがある料理はウェルシュ菌の増殖に最適な環境な上、誤った保存方法をとると爆発的に菌が増殖し、たちまち食中毒の原因となってしまうのです。

ウェルシュ菌の主な特徴は、酸素を嫌う「嫌気性」と「熱に強い」の2点です。

まず嫌気性ですが、”酸素の少ない状態好む”というのが他の菌との大きな違いです。

カレーなどを長時間煮込んでいると中心部分は酸素が少ない状態になり、まさにウェルシュ菌にとっては最適な環境と言えます。
この問題を解消するためには定期的に鍋底からよくかき混ぜ、鍋の中全体を空気に触れさせることが重要です。

もう1点の熱に強いという特徴についてですが、ウェルシュ菌は熱に強い”芽胞”を作りだし高温でも生き残れるのです。

食中毒菌の多くは熱によって死滅するため75℃以上の加熱が有効な予防法になりますが、ウェルシュ菌は100℃以上・6時間以上の加熱でも死滅しないものもあり、一度増殖してしまうと完全に死滅させるのは不可能と言えるでしょう。

料理が腐敗するのと違い、ウェルシュ菌が増殖しても料理自体の味やにおいに変化は現れません。
そのため見た目や味で安全かどうか判断できないのもウェルシュ菌の怖いところです。

それでは、冷蔵庫のような冷温状況ではウェルシュ菌はどうなるのでしょう。

カレーを作る時に注意すべきこと

一晩寝かせたカレーによる食中毒の原因となるウェルシュ菌は、土の中や牛・豚などの腸内、川の水など自然界に多く存在しています。
そのためじゃがいもや人参などの野菜類、牛肉や豚肉などカレーの具材として多く使われる食材がすでに汚染されている可能性が高いのです。
食材にウェルシュ菌が付着すること自体は避けることが難しいでしょう。

ではカレーは全てウェルシュ菌に汚染されてしまうのか?というとそうとは限りません。ウェルシュ菌が入り込まないように出来ることを考えてみましょう。

食中毒を防ぐ上で最も大切で基本的なことは手洗いです。

調理の前に手を洗うことはもちろんですが、調理中もこまめに手洗いを心がければ、食材間での食中毒菌の行き来を防ぐことが出来ます。
ただ何となく手を洗うのではなく、指と指の間や手のひらのシワ、爪、手首までしっかりとこすり洗いするのが正しい手洗い方法です。

さらに野菜の汚れをしっかり落とすことも大切です。
特にじゃがいもや人参などの土が付いている野菜は流水で洗い流し、きれいな状態にしてから調理台・まな板の上に乗せる癖をつけると良いでしょう。

可能であれば野菜用と肉・魚用のまな板を分けるのもオススメです。
これはウェルシュ菌に限らずその他の食中毒を防ぐという意味でも、あらゆる食中毒対策として有効と言えます。

ウェルシュ菌が増殖しないようにカレーを冷蔵庫で保存することはもちろんですが、そもそもカレーの中にウェルシュ菌を入れない対策も忘れないようにしましょう。

カレーを一晩冷蔵庫で保存する時に注意すべきこと

カレーを一晩冷蔵庫で保存する時、最も大切なのは温度管理です。

カレーの中に潜んでいるかもしれないウェルシュ菌が一番増殖しやすいのが”20~55℃”と言われてます。

カレーやシチューのようにとろみのある料理は冷めにくく、鍋のまま放置しておくとこの温度帯の時間が長くなり、ウェルシュ菌にとって住みやすい環境が続くことになります。特に大きな鍋で大量に作った場合はより温度が下がりにくいため、ウェルシュ菌が爆発的に増殖する可能性が高くなってしまいます。

一晩寝かせた2日目のカレーを安全に食べるには、この危険な20~55℃の時間を可能な限り短くし、冷ました後は必ず冷蔵庫で保存することが何よりも大切です。

とろみがあるカレーの温度を素早く下げるには鍋のまま冷ますのではなく、保存容器などに小分けにするのがオススメです。
さらになるべく薄く広げるのもポイントのひとつとなります。

薄く広げることで温度が下がりやすくなるだけでなく、空気に触れる面が多くなるので酸素を嫌うウェルシュ菌の増殖予防には効果的な方法と言えます。

小分けにせずに鍋のまま保存したい場合は、鍋底を水につけてかき混ぜながら冷やしてください。
この方法で中心部までしっかりと冷めたことを確認してから冷蔵庫へ入れましょう。

カレーを一晩保存する時には
①なるべく早く冷ます。
②酸素に触れる面を多くする。
③必ず冷蔵庫に入れる。

この3点を守ってくださいね。

冷蔵庫で一晩寝かせたカレーの温め直し方は?

ウェルシュ菌の汚染を防ぐ作り方、作ったカレーを一晩寝かせる正しい保存方法は分かりましたが、食べる直前まで気を抜くことは出来ません。
冷蔵庫で一晩保存したカレーの正しい温め方の3つのポイントを説明します。

1つ目のポイントは電子レンジではなく鍋に入れ火にかけて温めるということです。
電子レンジは手軽ですが加熱具合にムラが出来やすいので、面倒くさがらず保存容器に小分けにしたカレーも再度鍋に移し加熱してくださいね。

2つ目はよくかき混ぜながら温めるということです。
カレー全体をかき混ぜることで加熱ムラが防げるうえに、カレーが空気に触れるので酸素に弱いウェルシュ菌にとっては効果的です。

最後はカレーの中心温度が75℃で1分以上になるようにしっかりと加熱することです。
火にかけていると鍋肌からフツフツと沸いてきますが、そこで火を止めてしまっては中心付近の加熱は不十分になってしまいます。
鍋のふちが沸騰してきたら焦げ付かないように底から混ぜ、鍋の中心までしっかりと沸騰させそのままの状態で1分以上加熱しましょう。

以上の3点を押さえて2日目の美味しいカレーを堪能してください!

正しく寝かせて美味しいカレーを食べましょう!

一晩寝かせるとグッと美味しさの増すカレーですが、実は食中毒の危険と隣り合わせでした。

今まで常温保存でも大丈夫だったからと油断せず、「カレーを一晩寝かせるなら冷蔵庫」を合言葉に、正しく寝かせた美味しいカレーを楽しみましょう。