お米は玄米でも精白米でも、炊く前と炊いた後では、水の量が含まれて重量が変わります。
私たちが日頃、本やインターネット上で目にする「食品成分表」のカロリー表示は、可食部100gあたりの数値が書かれています。
可食部とは、野菜の皮や根など食べられない部分を除いた、食べられる部分のことです。
そのため、食品成分表にあるカロリーは、生の玄米と炊いた玄米では、当然変化してしまいます。
お米100gを炊くと、ご飯は200~230gになります。
今回は玄米を使ったご飯の、炊く前と炊いた後とのカロリーについてご紹介します。
炊く前の玄米のカロリー
玄米は、籾殻を除いた米粒のことです。
胚芽とぬか層がのこっているため、薄いベージュ色をしています。
玄米の栄養価は炭水化物が78.4%でそのうちの75%が糖質、3%が食物繊維になります。
他には、たんぱく質が6.8%、脂質が2.7%、鉄や亜鉛と言ったミネラル、ビタミンB群、葉酸などのビタミンです。
胚芽やぬかを取り除いた精白米は、炭水化物が78~83%でたんぱく質が6.1%、脂質が0.9%になり、それ以外が玄米と同じようにミネラルやビタミンになります。
精白米は、食物繊維が0.5%となるため、炭水化物のほとんどは糖質です。
ミネラルも少ないため100g中の糖質は83%弱になります。
しかし、玄米にはぬかがふくまれるため、ぬかの脂質分は精白米よりも高くなります。
そのため、玄米のほうが脂質は多くなりますが、糖質は精白米の方が多いということです。
皆さんの中には、糖質を減らした方が良い、脂質を減らした方が良いと色々な意見がありますが、お米1つでもこんな違いがあるんですね。
私たちが「カロリー」と呼ぶエネルギーになる栄養素は、炭水化物の糖質、脂質、たんぱく質を合わせたものになります。
糖質は1gで4kcal、たんぱく質は1gで4kcal、脂質は1gで9kcalです。
炊く前の玄米は、100g中の糖質が75.4gで301.6kcal、たんぱく質が6.8gで27.2kcal、脂質が2.7gで24.3kcalで、100g中のカロリーは353.1kcalになります。
一方、精白米は糖質が82.1g、たんぱく質が6.1g、脂質が0.9gとなります。
カロリー計算をすると、精白米のカロリーは362.9kcalで、玄米よりも10kcalほど高くなってしまいます。
玄米の方が体に良い、ダイエット効果があるといわれているのは、こういった理由もあるかもしれませんね。
炊く前の発芽玄米のカロリーや栄養素
玄米の中でも、籾殻をのぞいた後に、水につけて発芽させた発芽玄米と言うものがあります。
発芽玄米の方が、精白米とあわせて炊くことができると、最近人気です。
玄米と発芽玄米の違いは、発芽をさせているというところですが、実はカロリーも違いがあります。
つい、同じ玄米なら白米と混ぜて食べられるほうが、面倒ではないと考えて、こちらを選んでいませんか?
しかし、発芽することで普通の玄米よりも栄養価があがるものもあれば、下がるものもあります。
炊く前では、カロリーは玄米よりも発芽玄米の方が、わずかですが高いです。
発芽玄米の100gあたりのカロリーは356kcalで、玄米よりも3kcalほど増になりますね。
あと増えるのは、女性の間で話題の「葉酸」と「ギャバ」と言う成分です。
他にも、カルシウム・マンガン・亜鉛などは発芽玄米の方が多くなります。
一方、たんぱく質やビタミンB群、カリウムは玄米の方が多くなります。
玄米の中で眠っている胚芽が成長することで、わずかですが栄養価が違ってしまいます。
特に、カリウムは玄米が230mgに対して発芽玄米は150mgと3割以上減少してしまいます。
もちろん、精白米になると89mgとさらに減少しますので、どちらが良いか、と考えて選ぶのはご自身と言うことになりますね。
玄米よりも発芽玄米の方が増えるものもあるなら、精白米の方が増えるものもあるのでは?
そう思われるかもしれませんが、精白米は、「芽」そのものがなくなりますので、精白米になって増えるのは、残念ですが糖質だけですね。
玄米の炊く前と炊いた後のカロリーの違い
玄米は吸水させてから炊き上げます。
玄米を炊く前には、洗って汚れを落とし1時間以上吸水をさせます。
この時の水は、玄米を炊くための水ですが、玄米のおよそ1.5倍の分量が必要です。
100gの玄米に150gの水を入れると250gになります。
ここから蒸発分を引いて、炊きあがった玄米ご飯は200~230gになります。
炊く前に353kcalの玄米がご飯になると、200~230gになり、カロリーはほとんど変わりません。
水はノンカロリーですので、重量が増えても水が増えるだけなので、炊く前も炊いた後も、カロリーは同じということです。
普通のご飯茶碗一杯分は玄米ご飯で150gくらいになります。
玄米ご飯のカロリーは、100gで165kcalです。
ご飯茶碗一杯は150gとすると165kcal×150g/100g=247.5kcalになります。
玄米ご飯のお茶碗は一杯分で247.5kcalということですね。
精白米はご飯になると100gで168kcal、発芽玄米は100gで167kcalです。
お茶碗一杯分が同じように150gなら、精白米は168kcal×150g/100g=252kcal、発芽玄米は167kcal×150g/100g=250.5kcalになります。
玄米と精白米の違いはわずか4.5kcalになります。
玄米の方がカロリーが低いと言われますが、食べる量によっては玄米でもカロリーをたくさん摂ってしまいますね。
玄米のカロリー以外の栄養の特徴
玄米のカロリーは炊く前で100g中353kcal、精白米は358kcalですが、大切なのはカロリーだけではありません。
玄米の特徴はビタミンB群の一つ、ビタミンB1を含むことです。
ビタミンB1やビタミンB2は、糖質をエネルギーにする働きがあります。
ビタミンB1が不足すると、糖質をエネルギーにすることができません。
余った糖質は身体の中で脂肪になってしまいます。
また、ビタミンB群の中のビタミンB1は不足すると、脚気やウエルニッケ症という中枢神経が侵される病気になる恐れがあります。
ビタミンB1は、お米の胚芽の部分やぬかの部分に存在していますので、精米をしてしまうと玄米の5分の1になってしまいます。
そのため、ビタミンB1を含む玄米は、精白米よりも糖質をエネルギーにする働きが高くなります。
さらに、玄米には精白米の6倍の食物繊維が含まれています。
食物繊維は消化管を刺激し、働きを活発にします。
便秘予防の効果もあるため、玄米はカロリーが低いということだけではない、ダイエット効果や健康効果を持っているのです。
精米機を使って玄米を好みのお米に
精米機が家庭にある方は、ご飯を炊く前に玄米を精米することができますね。
精米したての白米は、スーパーで購入する白米以上の美味しさです。
最近では、この精米機の性能もどんどんと進化し、家庭用でも玄米と精白米の違いだけでなく、5分つきや3分つきといったぬか層をお好みに合わせて、精米できるものもあります。
それだけでなく、胚芽米や無洗米までつくことができるため、家庭で毎日お好みのお米を食べることができます。
胚芽米は、発芽玄米や玄米とはまた違い、ぬかだけを落として胚芽を残したお米のことです。
胚芽米はぬかに含まれていた栄養分はなくなってしまいますが、胚芽そのものの栄養をとることができます。
普通の精白米と同じ炊飯方法で炊けるのも良いですね。
ビタミンB1や食物繊維も残っています。
味は精白米とほぼ同じなのに、栄養価が高いため、玄米ご飯が苦手でもこれなら食べられるという人もいます。
カロリーは、ちょうど精白米と発芽玄米の間というところでしょうか。
炊く前なら100g中357kcalになります。
無洗米は普通の精白米よりも、さらに周囲のぬかがきれいに取り除かれますが、カロリーは精白米と全く同じです。
精米機なんてあっても邪魔なだけと思っているかもしれませんが、色々なお米を自在に作ることができます。
美味しいお米を食べたいという方にはお勧めのアイテムですね。
玄米を使って美味しい炊き込みご飯
それでは、せっかくですので玄米を使った炊き込みご飯をご紹介しましょう。
炊く前にしっかりと吸水時間をとることで、ふっくら柔らかいご飯になります。
【材料 4人分】
・玄米 300g
・にんじん 90g
・油揚げ 1枚
・干しシイタケ 4枚
・干しシイタケの戻し汁 150ml
・水 390ml
・酒 30ml
・みりん 15ml
・醤油 30ml
・塩 一つまみ
・青じそ 4枚
・白いりごま 適量
【作り方】
①玄米は4~5時間前から水390mlに吸水させておきます。
②油揚げは油抜きをし、5mm幅に切ります。
③にんじんは千切りに、水で戻した干しシイタケはいしづきをとり、5mmに切ります。
④土鍋ににんじん・油揚げ・干しシイタケ・酒・みりん・醤油・塩・水と戻し汁を入れます。
⑤玄米を入れて軽く混ぜ合わせます。
⑥火をつけて沸騰したら弱火にします。
弱火で10分炊きます。
⑦10分経ったら、火を止めて蓋を取らずに20分蒸らします。
⑧鍋から茶碗に盛り付けて、千切りにした青じそと白いりごまをかけます。
カロリーは、青じそと白いりごまを除くと、1人当たり320kcalになります。
低カロリーで美味しい炊き込みご飯ができました。
ぜひ、作ってみてください。
家庭で炊くことができる美味しい玄米ご飯
玄米を炊く前と炊いた後は、カロリーは変わりません。
カロリーが減っていると見えるのは、食品成分表上100g中のカロリーが書かれているからです。
玄米が吸水することで、重くなりますが、水なのでカロリーが変わらないということです。
玄米は精白米よりも低カロリーだけでなく、色々な栄養素も含みます。
炊飯器も進化している今、ぜひ家庭で美味しい玄米ご飯を炊いてください。