毎日食べるお米、炊飯器で炊いた後に保温する方は多いことでしょう。
しかし、保温したお米が、黄色く変色していることはありませんか?
今回は、保温したお米が黄色くなってしまう理由や原因を解説していきます。
そして、お米が黄色くなってしまったときの味や栄養、黄色くならないための対策方法も併せてご覧ください。
炊飯器で保温するとはどういう状態?
炊飯器でお米を保温するとは、ご存知の通り、「炊いたお米を食べごろの美味しい温度に保つ」ということです。
現代では、タイマー機能付きの炊飯器が一般的になっていますから、この機能に頼って炊飯をされている方は多いことでしょう。
朝炊いて、夕方まで保温しておくなどといったことも可能ですから、食事のたびにご飯を炊かなくてもよい、という点で、忙しい毎日に大変便利な機能といえますね。
ところで、この食べごろの温度というのは、実際にどの程度の温度なのでしょうか。
炊飯器の説明書によれば、メーカーさんごとに細かな違いはあるものの、一般的には72~74度ということです。
お茶などの温かい飲み物の飲み頃の温度が80~90度であることを考えると、意外に高めな温度でお米を保温していることがわかります。
実は、この高めな保温温度こそが、炊飯器の中でお米が黄色く変化する原因の一つなのです。
炊飯器の中でお米が黄色くなるのはなぜ?
炊飯器の中でお米が黄色くなる原因は、いくつかあります。
①お米の精米不足によるもの
お米を精米する際、ぬかの部分が取り切れていない場合に起こります。
ぬかが、お米の表面に残った状態で炊飯すると、お米が黄色く変化してしまうのです。
②メイラード反応によるもの
メイラード反応とは、糖とアミノ酸が結びついて、茶色の物質を作り出す反応です。
こちらのメイラード反応により、食べ物は香ばしさやコクが増すといわれています。
例にしてみると、ホットケーキの茶色やトーストの焼き色などが、それにあたります。
炊飯器の72~74度という高めな温度でお米のメイラード反応が進みやすく、お米が黄色っぽくなるのです。
時間がたてばたつほど、メイラード反応は進みます。
③菌の繁殖によるもの
菌とは元々、土壌や植物などの自然界には普通に存在している、枯草菌という菌です。
菌というと身構えてしまいますが、枯草菌自体、食べても問題はないものです。
枯草菌は高温でも生き延びるため、お米を炊飯しても生き残り、炊きあがった後も保温状態の炊飯器の中で増えるため、お米を黄色く変色させます。
枯草菌も時間の経過とともに繁殖が進みます。
炊飯器のお手入れ不足(内ぶたの洗浄が十分でない等)も、枯草菌が増える原因の一つです。
黄色くなったお米の味や匂いはどうなる?
炊飯器の中で起こったメイラード反応は、糖とアミノ酸の化学反応による変化です。
それによって黄色く変化したお米は、独特の、おこげのような香ばしいような匂いになります。
匂いが変わることで当然風味も大きく変わり、いわゆる真っ白な炊き立てご飯の甘い味と香りではなくなってしまうのです。
このように、お米の色、味、香りが変化するメイラード反応ですが、体にとって害のある変化ではありませんので、メイラード反応により黄色くなったお米でも、食べることはできますよ。
枯草菌の繁殖により黄色くなったお米ですが、腐敗したような匂いがします。
納豆菌と枯草菌は同じ種類の菌です。
その胞子が炊飯器の中で長時間保温したことで増えると、納豆のような匂いに変化するのです。
味はというと、やや酸っぱいような味ですが、。枯草菌自体は悪い菌ではありませんので、枯草菌の繁殖により黄色くなったお米を食べても、体に害はありません。
ただし、いずれにしても、炊き立てのお米の味とはだいぶ違った印象の味わいになることは確かです。
お米のおいしさの秘密とは?
お米のおいしさは、水、でんぷん、たんぱく質、脂質、ミネラルの一定のバランスで成り立っています。
その中のでんぷんには、アミロース、アミロペクチンの二種類があります。
アミロースはパサついた触感を生み出し、アミロペクチンは粘りと程よい歯ごたえを生み出します。
この二つのうち、どちらか一方だけでは、美味しいお米はできません。
アミロース、アミロペクチンの二つのバランスで、お米のおいしさが決まるのです。
炊飯器で保温するなかで、メイラード反応により黄色くなったお米においては、糖の構造が壊れ、苦みを持った物質がつくられます。
枯草菌の繁殖により黄色くなったお米は、やや酸味のある味に変化しするとお話ししましたね。。
食品によっては、メイラード反応や菌の繁殖によって、風味やうまみ、コクが増すものもあります。
しかし、様々な成分の絶妙なバランスのもとでうまみが決まるお米については、このような変化は、あまりうれしくない結果といえますね。
黄色くなってしまったお米では、お米本来のおいしさを味わうことは難しいようです。
黄色くなってしまったお米を美味しく食べるには?
炊飯器の中での保温により黄色くなってしまったお米は、変化していないお米に比べて、お米としての風味が低下する、ということがわかりました。
それでは、黄色くなってしまったお米を、再びおいしく生き返らせる食べ方としては、どのようなものがあるのでしょうか。
それには、変化したお米の味を気にせず楽しめるように味をつけて炒める、汁気を加えるなどが挙げられます。
炒める方法としては、チャーハンやチキンライス、ドライカレーなどがあります。
お米にしっかりと味付けをして、さらに油を使うことで、パサついた触感をカバーすることができる調理法です。
汁気を加える方法としては、雑炊やお茶漬けなどがあります。
こちらは、だしの良い風味によって黄色くなったお米の味をカバーし、さらに汁気が加わることで、お米のパサつきを気にせず食べることができますよ。
そのほかにも、工夫やアレンジ次第で、メニューの幅がどんどん広がりそうです。
お好みの方法で、黄色くなってしまったお米を美味しくよみがえらせましょう。
炊飯器の中でお米が黄色くなるのを防ぐコツ
炊飯器の中でお米が黄色く変化するのを防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。
その対策として、次のような方法が挙げられます。
●古いお米はできるだけ使わないようにする
お米は古くなると酸化し、炊いたときに黄色っぽくなる恐れがあるためです。
●硬水で炊かない
硬水に含まれるミネラルが、お米のメイラード反応を促進するためです。
水道水、または軟水のミネラルウォーターで炊くのが良いでしょう。
●炊飯器内を常に清潔に保つ
釜だけではなく、内蓋などもまめに洗いましょう。
お米を炊いた際の汚れを炊飯器の中にそのまま放置しておくと、枯草菌がより繁殖しやすくなるためです。
●長時間の保温はできるだけ避ける
時間がたてばたつほど、メイラード反応は進みます。
また、菌も時間とともに増殖していきます。
お米を炊いたら長時間の保温はせず、早めに電源を切り、残りはラップにぴっちりくるんで、冷凍保存しましょう。
きれいに掃除をした炊飯器で、新しいお米を普通の水道水または軟水で炊く。
保温はほどほどにすることで、お米が黄色くなることを防ぐことができます。
お米のおいしさを楽しむ工夫を!
毎日口にするものだけれど、意外と知らないことの多いお米。
炊飯器で保温する過程で黄色に変色したり、味や香りが変化する可能性があることがわかりましたね。
様々な成分の絶妙なバランスで成り立っている、日本のお米を存分に味わうために、お米を上手に扱えるよう心掛けていきたいものですね。