最近は色々な味の鍋が流行っていますよね。
トマト鍋や豆乳鍋などはすっかり定着した感じがあります。
鍋は具材を切ってさえおけば調理が楽なので重宝する料理ですが、続いてしまうと飽きるのも早いですよね。
市販の鍋の素を使用するといつも同じ味で、余計に飽きてしまうという方もいると思います。
そんな時、味噌を隠し味に使ってみませんか?
知られざる味噌の実力
なぜ鍋の隠し味に味噌をおすすめするかというと、まず第一に「うまみが増える」ということがあげられます。
そして、栄養素がたくさん含まれているということもおすすめしたいポイントです。
味噌に含まれる栄養素は非常に豊富です。
・たんぱく質
・炭水化物
・脂質
・一価不飽和脂肪酸
・多価不飽和脂肪酸
・飽和脂肪酸
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ビタミンB6
・ビタミンB12
・ビタミンE
・ビタミンK
・パントテン酸
・ナイアシン
・葉酸
・カリウム
・亜鉛
・鉄
・カルシウム
・マグネシウム
・ナトリウム
・銅
・リン
・灰分
なんとこれだけの栄養素が詰まっています。
夏場に鍋を食べる人もいらっしゃるかもしれませんが、味噌はこれだけのミネラルやビタミンを含んでおり、塩分もありますので、味噌をひとさじ加えるだけで脱水を防ぐのにも有効なんです。
また、これだけたくさんの栄養素の他に、きちんと旨味成分があるので、味に深みが出ます。
味噌を入れると料理の味が少しマイルドになるので、塩気を足す時に味噌を使ってみてください。
トマト+味噌?おしゃれな鍋にも隠し味で
味噌などの旨味成分の元はアミノ酸です。
アミノ酸には大きく分けて3つの種類があります。
グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸です。
旨味成分というのは、掛け合わせれば掛け合わせるだけ味が複雑になり、相乗効果で美味しくなります。
例えばトマト鍋には、トマトに含まれている旨味成分のグルタミン酸と、具材のお肉に含まれている旨味成分のイノシン酸があります。
これだけでも旨味成分と旨味成分の掛け合わせなので大変美味しいのですが、味噌を少し加えると、グルタミン酸がさらにプラスされる上に、味噌が味に奥行きを持たせてくれます。
トマト鍋はシメにチーズをいれてリゾットなどを作ったり、スパゲティを入れたりすると思いますが、その時に使うチーズにもグルタミン酸は含まれています。
鍋のシメが美味しいのは科学的にも証明されていることなのですね。
豆乳鍋の場合は、ちょっと勝手が変わってきます。
まず、豆乳自体にはあまり旨味成分は含まれていません。
同じ大豆なのに味噌には含まれているのはなぜかというと、「発酵」という手順を踏んでタンパク質を分解するからなのです。
その味の補強として、味噌と粉末のかつおダシなどを入れてあげると良いでしょう。
味噌のグルタミン酸とかつおダシのイノシン酸で、鍋がぐっと美味しくなります。
市販のスープそのままでも十分美味しいですが、ひとさじ味噌を隠し味にいれると、本当に風味がますのが感じられると思います。
隠し味だけじゃない!味噌を主役にした鍋たち
味噌は隠し味に入れるのも美味しいのですが、味噌を主役にした鍋料理も多数存在します。
例えば牛鍋です。
今ではしょうゆ味の方が主流ですが、元々は味噌味で食べるのが一般的でした。
今でも老舗では味噌味で提供しているところがあります。
そして牡丹鍋も味噌味です。
牡丹鍋は牛鍋の流行を受けて生み出された料理なので、当時の一般的な牛鍋のように味噌味で提供されることが多い料理です。
味噌は臭みを消すのにも役立ちますので、獣の肉を食べるのには欠かせない調味料なんです。
他にも東北地方では「味噌かやき」という鍋料理があります。
これは魚や肉など好きな具材を、味噌としょうゆをベースにしたタレで煮込んで食べる料理です。
たらなどの淡白な白身魚にも合いますし、サバの味噌煮缶などを利用してさっと作れるところも魅力です。
「味噌かやき」を作る際には、具材はメイン1種と豆腐、ネギのみというのが基本スタイルです。
普通の鍋より具材が少なく寂しいと思えるかもしれませんが、味噌が味に深みを出してくれているので十分美味しいんですよ。
味噌味の鍋は肉でも魚でも合いますので、食べたことがない方はチャレンジして見てくださいね。
味噌を隠し味に入れた鍋は冬場に最適!
実は味噌を隠し味に入れた鍋は、冬場に食べるととても良いんですよ。
なぜかというと、味噌は体を温めてくれる効果があるからです。
冷え性の人にも最適な調味料だと言えます。
基本的に、塩辛いものや発酵食品は体を温めてくれると言われています。
塩分が含まれていて、さらに発酵食品である味噌はうってつけというわけですね。
しょうゆも発酵食品で、塩分が含まれているため体を温める効果はあります。
実際に「梅醤番茶」と言って、古くから梅干しと醤油を入れた番茶を飲んで体を温めるという知恵はありました。
しかし、それよりは「味噌汁」などの方がより身近かと思います。
鍋の隠し味に味噌をいれるのは、栄養摂取だけでなく、体を冷えから守ってくれる効果もあるのです。
昔は獣の肉を使った鍋を「薬食い」として食べていましたが、これも大体が味噌味だったと言われています。
味噌は日本が誇る素晴らしい調味料なのですね。
味噌を隠し味にした鍋のレシピ
ではここで、前項の「トマト+隠し味の味噌」の組み合わせで、体が温まる唐辛子を入れたレシピをご紹介しますね。
【材料】
・鶏肉 1枚
・しいたけ 6個
・えのきだけ 1袋
・じゃがいも 中くらいのもの3~4個
・人参 中くらいのもの1/2本
・厚揚げ 4個
・白菜 3~4枚
・玉ねぎ 中くらいのもの1個
・もやし 1袋
・他、ブロッコリーやほうれん草、アスパラガスなどお好みで
【だしの材料】
・だし(コンソメ、ブイヨン、昆布だし、カツオだしなど) 400cc
・カットトマト缶 2缶
・甘酒 大さじ1
・塩麹 大さじ2
・醤油麹 大さじ2
・味噌 大さじ4
・豆板醤 小さじ1
・黒胡椒 少々
【作り方】
①具材を食べやすい大きさに切っておきます。
厚揚げは油抜きし、じゃがいもは下ゆでします。
②鍋にだしの材料を全て入れて混ぜ、具材を入れて加熱します。
具材を切りそろえるのが大変ですが、下ごしらえさえ終わればあとは煮込むだけなので簡単です。
ほうれん草など煮崩れしやすいものは、じゃがいもや人参などがすっかり煮えてしまってから入れたほうが良いです。
シメにはリゾットやスパゲティなどを使って、チーズをたっぷりふりかけるのがおすすめです。
鍋料理は「小鍋仕立て」が嬉しい?粋に食べよう
江戸時代の鍋料理は、今のように大きな土鍋をみんなでつつくものではありませんでした。
「小鍋仕立て」といって、小さめの1~2人分が入る土鍋に、お客様のぶんだけ用意するのがその当時の料理屋の常識で、それは料亭でも小料理屋でも一膳飯屋でも変わりません。
小鍋仕立てだと自分のペースで食べられて、さらに「おもてなし」感がアップするので人々は好んだのですね。
牡蠣の土手鍋にしろ、湯豆腐にしろ、全て小鍋仕立てなのは提供する側からすると一苦労ですが、お客様は喜んで食べたと言います。
江戸時代はしょうゆにあまり馴染みがない人が多く、「煎り酒」と呼ばれる調味料と味噌を隠し味などに使うことが多かったようです。
煎り酒は湯豆腐を食べるつけだれなどにも使用された、当時の万能調味料です。
梅干しを入れた日本酒を煮詰め、風味をつけたものを「煎り酒」と呼び、しょうゆ代わりに人々はこぞって使用しました。
店によって味も違うので、行きつけの店の煎り酒を分けてもらう人も多かったようです。
醤油のように煮しめたような色もつきませんので、雪見鍋など大根おろしを使うものなどにはより好まれました。
野菜や豆腐、魚の鍋は煎り酒で、肉の鍋は味噌で、と使い分けられていたようです。
煮えばなを食べるのが江戸っ子の食べ方です。
少々手間はかかりますが、小鍋仕立てでさっと食べるのも粋かもしれませんね。
美味しく食べて温まる「鍋」料理
鍋は体が冷えやすい女性には嬉しい料理ですよね。
さらに味噌を隠し味にすることで、より体を温めてくれて、さらに旨味までプラスされるのは喜ばしい限りです。
夏場でもクーラーの効いた職場などで冷えてしまった体を温めるのに、ぜひ鍋を作ってみてください。
しっかりとミネラルやビタミンをとって、元気な体を保ちましょう。