日本の食卓には欠かせない調味料、醤油。
毎日の料理に活躍してくれますよね。
しかし、調味料以外の使い方をする人がいるようです。
醤油は飲むと熱が出るといわれており、仮病などで熱を出したいときに安易に手を伸ばそうとしている人がいるようです。
そこで今回は、醤油を飲んでから熱が出る時間や醤油を飲むことの危険性、さらに平熱や寝不足による発熱のことまで、さまざまな角度からご紹介します。
醤油を飲むと熱が出るのはなぜ?
そもそも、なぜ醤油を飲むと熱が出るといわれているのでしょう。
それには、自律神経が関わっています。
私たちの身体には、意思とは関係なく身体の機能をコントロールする自律神経が備わっています。
自律神経には、身体を緊張させ興奮させる交感神経と、身体を落ち着かせる副交感神経の2種類があります。
通常であれば、日中は交感神経が有利になり、夜から朝の時間にかけては副交感神経が有利になっています。
醤油のような塩分の多く含むものを大量に摂取すると、身体を緊張させ興奮させる交感神経が有利になるため、動悸や息切れがします。
つまり、醤油を飲んだ際の発熱は、交感神経が有利になったことによって、身体が興奮したことによるものなのです。
醤油を飲むと危険な理由
醤油を飲むと危険だということはご存知かと思いますが、なぜ危険なのでしょう。
付け醤油にした際に、箸などに付けて醤油の味見をしたことのある人は多いと思いますが、醤油は少量を口に含んだだけでもかなりしょっぱいものです。
醤油には大きく分けて、濃口醤油、薄口醤油、白醤油、たまり醤油、再仕込み醤油の5種類があり、醤油の種類によって差はあるものの、たいだい16%~18%ほどの塩分があります。
では、醤油の塩分と比較するために、海水を取り上げてみましょう。
海水浴へ行った際、思わず少量の海水を口に含んでしまった経験がある人は多いでしょう。
思わず顔をしかめたくなるくらいしょっぱく、口に入れた瞬間、吐き出してしまう人が大半でしょうが、実は、海水の塩分濃度は思ったより低く、3%です。
手間と時間をかけ発酵させ作られる醤油は、うま味成分がたっぷりと含まれています。
そのうま味があるため、醤油はしょっぱさを感じにくく、海水のほうがしょっぱく感じます。
海水のほうが塩分が高いと思われがちですが、実は醤油には海水の5倍~6倍ほどの非常に高い塩分が含まれているのです。
つまり、少量を口に含んだだけでもしょっぱく感じる海水よりも遥かに塩分が高い醤油を大量に飲むと、健康によくないということは、比較的容易に想像がつくのではないでしょうか。
醤油を手軽に熱を出すための材料として利用することはやめましょう。
醤油を飲んで熱が出る時間はどのくらい?
醤油など、塩分が含まれたものを大量に摂取すると、身体の中の水分に対し、塩分の濃度が上がります。
身体の中の水分に対して塩分が多い状態は、言い換えれば脱水になっているということです。
脱水になるのは、一般的に知られている暑い日や風邪などで熱が出た時だけではありません。
実は、塩分を摂りすぎた際にもなるのです。
醤油を大量に摂取すると、体内の細胞が脱水を起こします。
水分が足りなくなると、体内の水分で塩分濃度を薄めようと働くので、異様にのどが渇きます。
また、体内の水分をため込み、水分が細胞からあふれることで、脳や肺などがむくみます。
他には、発熱、頭痛、嘔吐、下痢、痙攣などが現れますが、症状はそれだけにとどまりません。
さらに進行することで、クモ膜下出血や、急性腎不全などを発症し、命に関わることもあります。
症状の現れ方には個人差がありますが、たいだい数時間以内に何らかの症状が現れることが多いです。
また、醤油を飲むことによって出る症状の中でも、熱が出るのは先述の通り、交感神経によって身体が興奮したことによるものですので、比較的早い段階で出ることが多いでしょう。
飲んですぐに出ることも少なくはありません。
体温は時間によって変動がある!
醤油を飲むと熱が出るとお伝えしましたが、今度は人間の熱、つまり体温の話をしたいと思います。
平熱は何度かと尋ねられ、高めか低めかはわかっていても、はっきりと答えられる人は少ないのではないでしょうか。
実は、平熱を知っておくことは、健康管理に非常に役に立つのです。
そもそも平熱は、かなり個人差があります。
ちなみに日本人の平熱を平均すると36度8分となっています。
一般的に、37度は微熱という認識がありますが、例えば平熱が日本人の平均である36度8分の人だと、37度では微熱とは限らないのです。
平熱は1日中一定ではなく、実は変動があり、起床時が一番低く、夕方に最も上がります。
そのため、起床時、午前中、午後、寝る前の4回計り、時間ごとの平熱を覚えておくとよいでしょう。
計る際は、食事中は、体温が上がりますので避け、食間や食前に計ります。
健康な時は、平熱の変動が1度以上になることはまずないですので、平熱を知っておくと病気の発見にも役に立つでしょう。
睡眠時間が足りないと熱が出るってホント?
寝不足が続いた時、風邪を引いたように熱っぽくなった経験はありますか?
37度から38度の熱や、悪寒、身体のだるさが現れ、風邪の症状と似ているため、風邪をひいたと思う人が多いのですが、その熱は風邪ではないかもしれません。
寝不足が原因の発熱を、ストレス性高体温症と言います。
一般的に発熱すると、醤油を飲んだ場合と同じく、自律神経の1つである身体を緊張させ興奮させる交感神経が活発になりますが、この場合は、ストレスによって交感神経が活発になっているので、風邪薬を飲んでも快方には向かいません。
症状を和らげるためには、睡眠をとることが何よりもの最善策です。
しかし、睡眠時間を確保するのが難しい場合は、副交感神経を優位にするために「音楽を聴く」「ぬるめのお湯で半身浴をする」などして、身体をリラックスさせるとよいでしょう。
醤油が完成するには、どれくらいの時間がかかる?
さて、醤油を飲むことは大変危険であるという話をしてきましたが、そもそも醤油は危険なものではありません。
日本料理の基本調味料であり、私たちの食卓に、欠かすことのできない存在である醤油。
醤油の話を少し掘り下げたいと思います。
醤油が完成するまでには、どのくらいの時間がかかるのでしょうか?
醤油は発酵食品です。
発酵食品といえば、納豆やヨーグルト、味噌を思い浮かべる人は多いでしょう。
しかし、それ以外にも私たちは多くの発酵食品にお世話になっています。
酒やみりん、酢も発酵食品ですし、あまり知られていませんが、和風だしに欠かせない鰹節や、ここ数年、ご飯よりも人気があるパンも発酵食品です。
さらに海外の調味料に目を向けてみると、豆板醤やコチュジャン、ナンプラーも発酵食品です。
このように見てみると、私たちは多くの発酵食品にお世話になっており、食卓には欠かせないものということがわかります。
そもそも発酵食品とは、微生物の活動によって元の物質が変化し、うまみや栄養価などの付加価値を付けたもののことです。
一般的に、発酵食品を作るのは微生物の働きですので、非常に時間がかかります。
醤油は、蒸した大豆や小麦に麹菌を混ぜ麹を作り、さらに塩水を混ぜて諸味を作ります。
そして、熟成された諸味を圧搾し加熱殺菌されたのち、瓶詰めにされて市場に出回ります。
醤油作りの中で、諸味作りは醤油の味を左右する重要な工程であり、早いもので6か月、長いものになると3年ほど熟成させます。
メーカーによってまちまちですが、醤油の製造期間は長いもので2~3年ほどと、醤油作りは大変手間と時間のかかるものなのです。
醤油を飲んで熱が出る時間は早い!
今回は、醤油を飲んでからどれくらいの時間で熱が出るのか、そして醤油を大量に飲むことの危険性や飲んだ時に出る症状など、平熱に関することから、さらに寝不足による発熱、醤油にまつわることなどさまざまな角度からご紹介しました。
醤油は、あくまで調味料であり、熱を出す材料ではありません。
先述の通り、醤油を飲むと比較的早い段階で熱が出ます。
しかし、熱を出すだけでは済まない、非常に大きなリスクを伴うことになります。
醤油を飲むことは、絶対にやめましょう。