日本人の実に10人中、3人がなんらかのアレルギーを持っていると言われています。
また、赤ちゃんも10人に1人が食物アレルギーを持つなど、大きな問題となっています。
代表的なのが、醤油にも含まれる小麦や大豆で、アレルギー患者の大半を占めています。
そんなアレルギーについて詳しく見ていきましょう。
醤油に使われる小麦はアレルギーの心配がある?無い?
アレルギー患者数は、年々増加傾向にあります。
周りを見渡せば、小麦アレルギーの方が一人はいるくらい、メジャーなものとなっています。
醤油の製造に欠かせない小麦ですが、アレルギー症状を引き起こす原因では無い事が明らかになっています。
アレルギーを引き起こすのは、小麦の中に含まれるタンパク質が、身体と反応するためです。
しかし醤油の場合、製造中にそのタンパク質は分解され、商品として完成した頃には検出されない事がわかりました。
原材料の表記に「小麦」と記載されていたとしても、心配する必要はありません。
醤油抜き生活をしなくて済むのです。
それでも気になる方の為に、小麦を使わずに製造した醤油も市販されています。
イチビキ社の「丸大豆しょうゆ」などが人気です。
厚生労働科学研究班の研究結果でも、過剰な食物除去や制限食は、生活に支障をきたしかねないとしています。
食物に含まれるアレルギー要素を明確に判断すべく、医師や専門家の指導を受けるべきとしています。
小麦は平気でも大豆アレルギーは大丈夫なの?
日本人のアレルギー人口動態を見ると、最も多いのは牛乳など乳製品アレルギー、次いで卵、そして先に述べた小麦アレルギーです。
ですが、大豆アレルギーの方ももちろんいます。
小麦も大豆もアレルギーの原因は同じで、アレルゲンによるものです。
アレルゲンはタンパク質によって構成されています。
ただ、大豆や小麦に含まれるタンパク質は、人体を構成するタンパク質とは別物の異種タンパク質と呼ばれます。
これが免疫反応として、アレルギーを発症してしまうのです。
余談ですが、花粉症のメカニズムも同様で、花粉に含まれるタンパク質が原因とも言われています。
大豆に含まれるタンパク質も、小麦同様に製造過程で分解され製品に成る頃には、検出されなくなります。
原材料に大豆や小麦と表示されていると、自己暗示をかけてアレルギー症状を引き起こしかねないのも事実です。
過敏になる必要は無いでしょう。
どうしても心配な方は、大豆も小麦も使われていない醤油を使いましょう。
キッコーマンでは大豆と小麦の代わりに、えんどう豆を使った醤油が販売されているので、こちらを利用しましょう。
原因は醤油以外?小麦アレルギーの症状
小麦アレルギーは幼少期に発生する事が多いですが、この時期に耐性を身に付けて完治する方も多いです。
幼少期は、体調不良の原因が食物性アレルギーではなく、例えば肌に付着した醤油にかぶれた、なんてことも普通にあります。
さて、アレルギー症状は主に2パターンあります。
即時型は口にした直後、数分から数時間以内で発症します。
花粉症や気管支炎がこのパターンの代表例です。
一方遅延型は、食後24時間~72時間後に発症するとされています。
症状は典型的な食物アレルギーですが、多岐に渡ります。
皮膚は蕁麻疹や痒み、目周りの腫れや痒み。
消化器系は口内炎や口、唇の痒み、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢。
呼吸器系は咳、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喘鳴(ゼーゼーといった呼吸)、呼吸困難。
神経系は、めまい、脈拍不全。
さらに小麦アレルギーで頻繁に見られるのが、全身に症状が発生するアナフィラキシー。
アナフィラキシーは、食後に運動すると強いアレルギー反応が起こり、血圧低下や呼吸困難を引き起こします。
原因は醤油以外?大豆アレルギーの症状
醤油のみならず、豆腐や納豆など様々な大豆製品を日常的に口にしており、また先述の通り、一概に醤油がアレルギーの原因とは言い切れません。
そもそも大豆アレルギーは、どのような症状を引き起こすのでしょうか。
典型的な例は、蕁麻疹や湿疹などです。
体内に異物が混入したと免疫細胞が感知すると、抗体がアレルギー物質と闘い始めます。
その証拠が蕁麻疹や湿疹なのです。
特に症状がでやすいのは顔で、猫アレルギーなど動物性アレルギーのように、目の周りが痒くなる症状が見られます。
これは結膜が影響しています。
結膜はアレルギー反応を起こす免疫細胞がたくさん存在し、過剰に反応しやすいのです。
また血管も集中しているため、目の周りに拡散しやすい条件が揃っている事も要因です。
目以外にも影響する場合があります。
循環器系が弱い方ですと、お腹を壊したり、下痢、吐き気を伴うかもしれません。
そして口や舌、唇などに痒みをもたらすケースも珍しくありません。
口周りに痒みや発疹が出たら、真っ先に食べ物を疑ってみましょう。
湿疹は醤油が原因?子供の様子からアレルギーを判断するには
大人でもアレルギーを発症しますから、免疫が弱く、消化器官が未発達な子供がアレルギーを発症しやすいのは、当然のことです。
最近は、食品袋にアレルギー物質が表示されている光景も珍しくありません。
ですが、製造工程や調理中に飛沫するなど何かしらの原因でアレルギー物質が混入する事で、発症するケースもあります。
ただ赤ちゃんはお腹を壊しやすいので、下痢・嘔吐がアレルギーによるものと断定するのは時期尚早です。
食物アレルギーの典型例は、蕁麻疹など皮膚に現れます。
それも食べてから2時間以内の即時型です。
蕁麻疹が伴わない場合は、食品添加物や調理方法、食器の殺菌消毒など、他の要因を追求する必要があります。
さて、赤ちゃんや子供は皮膚が敏感です。
何かに触っただけで、かぶれる事も珍しくありません。
食後に、口周りが炎症を起こしているように見える事もあるでしょう。
これは植物性アレルギーでは無く、口の周りに付着した食べ物が皮膚に炎症を起こした事が原因で、接触性皮膚炎と呼ばれています。
醤油やソースなど褐色の液体を拭き取らなかった、などが考えられるでしょう。
とは言うものの、心配があれば見識者や医師に相談するのが確実でしょう。
アレルギーの対処方法
深刻だったり気になる方は、医療機関で血液検査や負荷試験など、医師に従って治療を行いましょう。
さて、身体が発達した後に、小麦アレルギーや大豆アレルギーを発症すると少々厄介です。
幼少期ですと年を重ねるごとに免疫力が強くなるのため、耐性を作りやすくなり、アレルギーを解消できる場合が多々あります。
ただ大人は免疫力が低下の一途を辿るため耐性が付きづらく、アレルギーと生涯付き合っていく場合が多々あります。
2012年、食物アレルギー診療ガイドラインによれば、即時性食物アレルギーの患者は0歳児が最も多い結果となっています。
しかし、年を重ねるごとに指数関数的に患者数は減少しています。
ただ、20代を超えると患者数は6歳児並みに上昇し、年齢を重ねても患者数は緩やかな減少傾向です。
そこで、まずは小麦制限から始めましょう。
ゼロにすると余計に耐性が無くなるので、醤油など身体に影響しない量で身体を慣らしていきましょう。
時間をかけて摂取量を徐々に増やし、もし発疹など出た場合は再び量を減らしましょう。
これで目安がわかりますね。
また食後の運動は控え、数時間経ってからにしましょう。
アレルギーと付き合う為に
免疫力を強化する事で、アレルギー体質を変える事は出来ますが、風邪のようにいつ発症するか分からないのも事実です。
症状は決して楽ではありませんし、食事制限などストレスに感じるものです。
しかし、だからこそ健康と向き合う良い機会と捉え、前向きに付き合っていくのが懸命でしょう。