オーガニック野菜の宅配サービスが普及した事で、有機栽培への注目度が上昇しています。
それに伴い、世界のオーガニック事情はどうなっているのでしょう。
また今後サービスを利用する場合、どれを選べば良いのでしょう。
今回の記事では、それを比較検証していきます。
オーガニック野菜と無農薬野菜って何が違うの?比較してみた
近年、宅配サービスの拡充で身近になったオーガニック野菜ですが、オーガニック野菜と無農薬野菜の決定的な違いは、文字通り農薬が使用されているか否かです。
オーガニック製品って無農薬で育てられているのでは?
と思われる方もいるかもしれませんが、農林水産省公認の農薬(もちろん化学物質は含まれておらず、自然界に存在する物質で作られた天然の物)は使用出来ます。
日本は世界と比較しても、農薬の使用率が高い事を耳にされた事がある方も多いことでしょう。
なぜなのでしょうか。
それは、世界的に見ても稀な日本の気候が影響しています。
世界平均でも見ても高温多湿な日本の環境は、病気や害虫が発生し易い状況にあります。
農業で最も手間がかかり、作物が失われる原因が害虫であり、その駆除作業に多大な労力を費やす必要があります。
費用対効果を考えれば、農薬を利用するのは仕方がないとも言えます。
ゆえに、日本のオーガニック農産物のガイドラインを定める農林水産省のJAS法でも、先述のような条件を満たした農薬なら使用可能としているのです。
上記の理由により、オーガニック野菜には農薬が使用されているのです。
そして無農薬が意味するのは、その駆除を全て手作業で行っているということです。
オーガニック野菜生産の裏側に迫る!JAS法と農薬の必要性について
JAS法についてもう少し触れていきます。
農林水産省が有機栽培を行う為に定めたルールがこのJAS法であり、これに合致した農場・工場・作業員はJAS認定を受けられます。
ただし、宅配員は認定が無くてもなれます。
そして商品にJASシールを添付し、オーガニック製品として販売する事が出来るのです。
言い換えれば、これが無いとオーガニックと謳うことが出来ません。
しかし認定を受けていなくても、「オーガニック野菜」としてPRしているケースもあります。
これはガイドラインに沿って農作物を作っていれば認定を受けていなくてもオーガニックを名乗る事が出来る為なのです。
この場合、JASシールは貼れません。
ところで、先述の通りJAS法に認められている農薬も存在します。
と言うのも、日本では農薬を用いないと大変効率が悪く、出荷量は通常比較で40%も減少すると言われ、単価がハイパーインフレを起こす可能性があるためです。
農薬の主な目的は除草・害虫駆除・殺菌です。
雑草も野菜同様に、土から栄養を吸って成長します。
野菜が吸収する栄養分が減るのは防ぎたい所です。
また、害虫は果実をエサにしますので商売敵なのです。
そして、目に見えないレベルの菌が、根から農産物を駄目にしてしまうことも多々あるのです。
農薬を使用しなければ、農業が成り立たないということがわかりますね。
どちらのオーガニック野菜が新鮮?直売所と宅配サービスを比較!
日々の買い物でも気になるのは、野菜や果物の鮮度です。
最も新鮮な状態であろう直売所での購入と比較して、宅配サービスの物は果たしてどうでしょうか。
農産物の流通についておさらいします。
オーガニック野菜を例にすると、農家で収穫されたら、売り物になるか規格品定めされます。
そして洗浄・計量など行いパッキングされます。
箱詰めされた品は直売所に運ばれ、検品後にお店に並びます。
産地の立地にもよりますが、収穫後は最短で即日、大抵は翌日に陳列されることになります。
なお、スーパーに卸される場合、直売所ではなく市場にて同様に検品されます。
その後、農協など通じて各地のスーパーに配送されます。
配送時間など加味すると、最短でも2日かかることになります。
離島であれば、さらにもう1日かかるでしょう。
そして農家から直接発送されるケースが殆どの宅配サービスですが、農家で検品を終えたら発送されます。
最短翌日、普通に見積もって2日が目安となります。
スーパーが最も時間がかかり、直売所と宅配サービスはあまり差がないようです。
宅配サービスを利用するメリット
宅配サービスを利用する利点を考えてみましょう。
・時間が空き、疲労が減る
スーパーへ買い物に行く手間が省けると、時間的余裕が生まれますね。
その時間は自由時間です。
会社帰りにスーパーに寄る時間帯を好きに使えるだけではありません。
仮に買い物時間が30分とした場合、1日のうちのどこか好きなタイミングでその30分が使える事になり、時間のコントロールが出来るということになります。
子供の送り迎え、習い事などやりたい事が出来るでしょう。
・好きな物を好きな時に好きなだけ買える
宅配サービス最大の魅力は、物が必要になったら買えてしまう手軽さです。
しかも取り扱っている商材は大抵、旬を迎えたものです。
全国の農家と契約している場合、南北に伸びる日本の気候が最大の武器です。
例えば同じ品種のオーガニック野菜でも、収穫の時期がズレるため、消費者は旬の時期を常に味わう事が出来るのです。
良い物がいつでも手に入るのは、世界と比較しても日本の宅配サービスの特権と言えるでしょう。
厳選!オーガニック野菜宅配サービス
それでは、特徴など交えて宅配サービス各社を紹介していきます。
・業界No.1の品揃え「Oisixオイシックス」
野菜や果物に加え、海産物など生鮮食品まで幅広く扱うオイシックス。
その数は業界トップクラスです。
登録者は約200万人に上るなど、圧倒的な人気を誇っています。
契約農家は全国1000軒以上で、入会費・年会費無料なのも魅力的です。
セットメニューや1品注文も対応可能です。
ただ、オーガニック野菜の取り扱い数が少ないのも事実です。
・オーガニック農産物宅配の老舗「大地宅配」
1975年創業、有機農産物販売を40年以上行ってきた業界の老舗、大地宅配。
契約農家は全国2500軒以上と、他社と比較しても圧倒的な数を誇ります。
安くて美味しい野菜を提供してくれることが、消費者満足度を100%近く獲得出来る理由です。
注意点として、定期便は毎週か隔週のみとなります。
・取り扱う野菜はすべてJAS認定「ビオマルシェ」
ビオマルシェが扱う野菜は、全てJAS認定を受けています。
農産地は西日本が中心ですが、全国の農家と取引し、関東地方にも直営店があります。
1,300円以上の買い物で、送料が無料になります。
入会費と年会費が必要です。
世界と日本のオーガニック事情を比較検証してみる
「日本はオーガニック後進国である」と耳にされた方も少なくないのではありませんか?
例えば、ドイツのスーパーマーケットに行くと、大量生産された野菜の他に、有機農法で作られたオーガニック野菜が必ず売っています。
またオーガニック専門店も街のいたるところに存在します。
ドイツだけではありません。
ヨーロッパ全土を始め、オーガニック大国のオーストラリアやニュージーランド、アメリカでも同様の光景が広がっています。
宅配サービス以外で、日本でオーガニック製品を見つけようとすると大変です。
都心に専門店が数店舗ある程度でしょう。
日本のオーガニック農家は全体の約0.2%(2015年)ですが、スイスでは13.1%と比較にならないほどの差があります。
また世界のオーガニック市場の上昇率は、2000年の179億ドルに対し2015年は816億ドルと5倍近く成長しています。
加えて有機農業を導入する国は同時期86から179カ国と、世界の殆どの国でオーガニック文化が養われているのです。
日本でも近い将来、さらにオーガニックが広まっていくと考えられます。
日本のオーガニック文化は特殊環境下にある
日本で有機農産物を生産する事は、他国に比べて手間がかかります。
屋内や工場で土を使わずに食物を生産する水耕栽培が注目されていますが、キノコを除く全ての作物はJAS認定を受けられず、有機農産物とは言えない現状があります。
このような背景を知った上で食べるオーガニック野菜は、より有り難みを感じながら食べられることでしょう。