どんな料理でもどれぐらい塩分が入っているか気になるものですよね。
毎日味噌汁1杯を飲むと、塩分やカロリーの摂り過ぎになるのでしょうか。
ご自身の健康のためにも適切な塩分量を知っておくのは重要です。
私たちの食事に身近な味噌汁について、味噌汁1杯分の塩分量やカロリー、さらには減塩方法やダイエットについてご紹介していきます。
味噌汁1杯に含まれる塩分量は?1.5gの味噌汁を作るには?
味噌汁1杯分にはどれぐらい塩分が含まれているのでしょうか?
ここでの計算方法としては、味噌汁一杯が約160mlとして考えます。
そして、だしの素にも塩分が含まれていることを考えますと、味噌汁の塩分濃度が0.08~0.1%程度となります。
この計算式としては「ml×%=g」となるため、味噌汁の塩分量は約1.2~1.6gとなるわけです。
また、厚生労働省が目標としている塩分量は、男性で8gで、女性で7gされています。
例えばほかの食品と比較すると、カップ麺に含まれる塩分は約5.5g、きつねうどんの塩分は約5.3gとされており、その点からしても味噌汁の塩分はかなり少ないことがわかりますが、摂り過ぎにも注意は必要ですね。
それでは、ご自宅にある味噌で、塩分1.5gの味噌汁を作るとしたら、いったいどれくらいの味噌の量になるかを計算してみましょう。
わかりやすく、ここでは味噌汁の量を150ml(150g)とします。
まず、塩分濃度をみていきましょう。
お使いになる味噌の表示をご覧になってみてください。
このとき、食塩相当量が「100gあたり10g」と書かれていれば、味噌100gの中の塩分量は10gになりますので、味噌の塩分濃度は10%、ということになります。
次に味噌の量について計算していきます。
知りたい味噌の量を■とした場合、「作りたい塩分量÷表示の塩分濃度」という計算で知ることができます。
ここに数字を入れてみましょう。
1.5÷10/100=■
となりますが、少しわかりづらいので、10/100を0.1に置き換えます。
すると、
1.5÷0.1=15
という答えになりますので、これにより味噌の量は15gということになります。
味噌汁1杯分を減塩するには?
減塩のためにと、毎日の味噌汁を飲む習慣をやめてしまうのは、少しばかりさみしい気持ちになるのではないでしょうか。
それでは、塩分を減らしてもおいしく味噌汁が飲める方法をご紹介しましょう。
●昆布や鰹節などを使用して、だしの素は使わない
●減塩味噌を使用する
●野菜・海藻をたくさん入れるなど、具材を工夫する
●味噌汁1杯分の味噌の量を減らす
例えば、塩分濃度10%の味噌で、味噌汁1杯分の塩分量を0.8gに下げたいとき、
0.8÷0.1=8g
となります。
味噌汁は、だしや具材を工夫して飲むことによりたくさんの栄養素を摂取することもできるので、塩分が高そうだからと味噌汁を飲むことを敬遠せず、毎日楽しく飲めるようにしたいものですね。
味噌汁は低カロリーでダイエットに効果あり?
味噌汁は、含まれる具材によっては低カロリーで、ダイエットをしている方にとっても嬉しい一品です。
しかし、塩分量や使う具材などを誤ってしまうと、逆効果にもなりかねないので注意が必要です。
ここでは、味噌汁1杯分のカロリー、そしてダイエット効果などをご紹介します。
味噌汁のカロリーは、具材が入っていない状態で、白味噌の場合は1杯約41kcal、赤味噌の場合は1杯約15kcalと言われています。
ここからカロリーがどう増えるかは、どのような具材を使うかで変わっていきます。
例えば、白味噌を使った味噌汁で、使う具材が「わかめ・豆腐」だとすると、味噌汁1杯のカロリーは、白味噌41kcal+わかめ3kcal+豆腐17kcal=合計61kcalとなります。
このことからも味噌汁は、具材を入れたとしてもカロリーはそこまで高くないことがわかります。
また、味噌汁を飲むことにより体が温まり、さらには内臓も温められます。
内臓が温まると、内臓の働きが活発になり代謝が増えるので、「カロリーが消費しやすくダイエットに効果があるのでは?」、と言われています。
普段の生活から体を冷やさず、温めることを意識して、痩せやすい体を作りましょう。
高血圧や妊婦の方の味噌汁の塩分量はどのくらいが適切?
身体にいい味噌汁ですが、高血圧や妊婦の方にとっては塩分の摂り過ぎにならないか心配ですよね。
実は最近の研究により、味噌汁を飲んでも血圧には影響しないことがわかりました。
むしろ、味噌汁を飲む人は高血圧になるリスクが下がるという結果が出ました。
日本高血圧学会報告で日本人の生活を4年に渡り調査し、味噌汁を1日2杯以上飲む人にはそうでない人に比べて高血圧リスクが0.18倍も大幅に下がるという結果を出しています。
しかも、味噌汁での血圧上昇は他の塩分を摂取した時と比べて、味噌に含まれた塩分は血圧があがりにくいという結果もあります。
極端に味噌汁を飲むことを控えるのではなく、毎日1杯でも味噌汁を飲むことはむしろ身体にとっていいことなのですね。
ただし、妊婦の方が妊娠高血圧症候群と診断された際には、1日の食塩摂取が7~8gになるように気をつけましょう。
日本妊娠高血圧学会のガイドラインによると、極端に塩分制限をしてしまうと体内の血液量を減少させてしまうので、むしろ症状を悪化させてしまう可能性も指摘されていますが、この点においては現在でも議論がなされています。
赤味噌と白味噌の塩分やカロリーに違いは?
赤味噌・白味噌どちらを使用するか、各ご家庭によって違いますよね。
赤味噌・白味噌の違いを、味や色、塩分を含めてご紹介します。
「赤褐色」が「赤味噌」、「黄白色」が「白味噌」と呼ばれるものです。
見た目も味も違いますが、実は「赤味噌」「白味噌」ともに主原料は「大豆」です。
この二つに色や違いが出る主なポイントは、熟成期間と作り方です。
●赤味噌は、熟成期間1年以上、浸水時間が長い、大豆は茹でずに蒸す
●白味噌は、熟成期間1年以内から長くても1年半程度、浸水時間が短い、大豆は蒸すのではなく茹でる
では、赤味噌と白味噌それぞれを使用して作った味噌汁1杯分の塩分は、どれぐらい差があるのでしょうか。
上記のとおり、白味噌の熟成期間は1年以内から長くても1年半程度なのに比べ、赤味噌の熟成期間は長期となるため、短期熟成の白味噌は塩分が5%程度になり、長期熟成の赤味噌は塩分10%という数値になります。
塩分の差は、なんと倍です!
しかし、100gあたりのカロリーが赤味噌が186kcalに対し、白味噌のカロリーは192kcalです。
もちろん味噌の使い方や種類で変わってきますが、減塩をとるか、ダイエットをとるかでも選択する味噌の種類は異なるところでしょう。
1日1杯の味噌汁より3杯飲んだほうが乳がんや胃がんになりにくい?
多量の塩分摂取は、がんになる確率を高めやすくしてしまう、という話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
しかし、味噌汁の摂取量が多い女性は、乳がんになりにくいという調査結果が2003年に発表されました。
この調査は、味噌汁や豆腐などの大豆製品を摂る量と、乳がんの発生率の関係を4県14市町村に居住する40~59歳の女性21,852人を対象に10年間にわたって追跡調査したというものです。
「味噌汁1日1杯以下」の人を1として、「1日2杯」の人の発生率は0.74、「1日3杯以上」の人の発生率は0.6であることが判明しました。
この結果により、乳がんの発生率は、味噌汁1日1杯以下よりも、1日2杯で26%、1日3杯以上飲む人では40%も減っていることが確認されました。
また、味噌が胃がんの発生リスクを下げるということについて、「味噌汁の摂取頻度と胃がん死亡率との関係」を調べた、当時国立がんセンター研究所の疫学部長だった故・平山雄博士疫学調査によれば、男女ともに、味噌汁を飲む回数が多い人ほど、胃がんが理由の死亡率が低いことが判明したともされています。
これらのことから、味噌汁を飲むことによって、乳がんや胃がんになりにくいのではないか、という期待もされますね。
適切な塩分量を意識しつつ、毎日おいしく味噌汁を飲みましょう
味噌は「医者いらず」と呼ばれるほど身体にいい食品ですが、特に高血圧や妊婦の方にとって、塩分は気になりますよね。
また、ダイエットをされている方にとっても料理に含まれる塩分量は気になるものです。
「味噌汁は塩分が高そうだから食べるのを控えよう」ではなく、自分にとって適切な塩分量を知り、具材やだしなどを上手く使い、すすんで毎日の食事に取り入れ、健康に留意していきたいものですね。