栄養豊富で健康的なことから、いま熱視線を浴びている玄米。
白米に精米すると、栄養の量も減ってしまいます。
玄米の構成や栄養素など、玄米のアレコレについて詳しく見ていきましょう。
今回の記事では、玄米の精米方法や、含まれている栄養についてお話します。
玄米の精米方法
米粒の構成は表面から、もみがら・胚芽・ぬか層・胚乳の順に層別されてます。
ぬか層を取り除かれたお米を胚芽精米と呼び、これから胚芽を取り除くと我々が普段口にしている精白米になります。
玄米を精米するには主に3つの方法があります。
・自宅で手作業
・精米所の精米機
・自宅用の精米機
自宅で手作業で精米する人は、現代ではほとんどいないと思いますが、最も伝統的な手法は、瓶に玄米を詰めてすりこぎ棒でぬかを落としてく方法です。
機械精米が浸透する以前は、この手法で精米されていました。
それなりの量を精米するには手間が掛かり、昔は子どもの仕事という位置づけでもありました。
時間と労力をかけた分、最も美味しさを感じられるかもしれませんね。
無人精米所は、都心では見かけませんが、全国的にもっともメジャーな精米方法として馴染んでいます。
10kg100円が相場で、10分程度で仕上がる手軽さが魅力です。
また、近年の健康志向により、玄米を自宅で精米する方が増えてきました。
この需要に合わせ、小型の家庭用精米機が広く流通するようになりました。
容器に玄米を注ぎ、後はスイッチを押すだけで精米が完了するシンプルさと、新鮮なお米を直に味わえる点が消費者を満足させています。
家庭用精米機の種類
前項でご紹介した家庭用精米機について、詳しくご説明します。
家庭用精米機は、かくはん式と圧力循環式の2つに大別されます。
特に一般的に浸透しているのがかくはん式で、ジュースミキサーのように羽根を回転させ、お米同士やカゴ壁面との摩擦を利用して精米していく方式です。
低コストでコンパクトな外観、精米に要する時間の短さが支持を受けている要因です。
また最近は、精米歩合を選択出来る機能も一般化しています。
精米歩合が高いほど白米に近づき、低いほど玄米のままに近くなります。
ただ、この方式は、羽根を回転させることと米粒が暴れて接触することで、米が欠けるリスクが高いのも事実です。
回転数の設定など可能な機種もありますが、それでも砕米の発生は避けて通れません。
そして、音が大きいのも難点に挙げられます。
これは短時間で済むから、と我慢する方が多いようです。
圧力循環式は、お米屋さんなど、プロが精米に使う事で知られています。
圧力をかけて、玄米同士をこすり合わせて精米していきます。
圧力が低く熱も発生しにくいため、お米の品質を保つことが出来ます。
一般の流通量が少ないのは、性能が良いため高価であることが原因です。
精米すると量はどれくらい減るの?
精米の方法について、おわかりになりましたでしょうか。
ところで、収穫した稲穂から精米をすると、量が大きく減ってしまうという光景を見たことがある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
収穫時は稲穂の大きさから収穫感を味わえるものですが、籾殻に米粒が入っていなかったり精米を繰り返すと、白米の量が微々たるもの、ということもあります。
精米によって取り除かれるぬか層は、玄米全体に対し10%程度と言われています。
10kgの玄米を精米すると9kgの白米が出来上がり、重量は1kg減る事になります。
もっとも、精米歩合をどの程度にするか、使用する精米機の性能によっても重量は増減します。
近年の健康ブームによって、玄米の健康効果が注目されるようになりました。
そして、ぬかに含まれる栄養素が注目を浴びる風潮に合わせ、分つき米と呼ばれる精米歩合別の玄米が流通し始めました。
現在では、玄米・3分づき・5分づき・7分づき・白米が主に流通しています。
3分づき米は、表皮の3%(ぬか層を30%)削ったもので、玄米よりは柔らかいものの、食べ慣れてない方には独特の食感があるので、よく咀嚼することが必要になります。
5分づき米は、ぬか層を半分まで削り、まさに玄米と白米を足して2で割った風味と食感を楽しめます。
7分づきは玄米初心者にとって、導入しやすい玄米と言えるでしょう。
歯ごたえや香りが白米ベースですが、ほんのり玄米を感じられるのが魅力です。
玄米には大量の栄養が含まれている!
前項でお話した通り、近年玄米の健康効果が注目されています。
研究の結果、玄米のぬか層に栄養が豊富に含まれている事が明らかになりました。
食物繊維は整腸作用があり、お通じが良くなることで知られています。
また、貧血予防に有効な鉄分は、白米の2倍含まれている事が明らかになっています。
さらに玄米に多く含まれているビタミンEには抗酸化作用や不妊予防など、女性にうれしい健康効果が期待できるのです。
その他、タンパク質や良質な油分など数多くの栄養が含まれており、これらが玄米を完全栄養食と呼ばせる所以でもあります。
100gあたりに含まれる糖質量は72.5gで、精米の75.5gよりも少ないのが特徴です。
糖質過多になると肥満の原因となりますが、この数値から見ても玄米がヘルシーであることがわかります。
そして、玄米にはデトックス効果を発揮するフェチン酸もまた大量に含まれています。
食物の残留農薬を気にされている方もいるかと思います。
胚芽には農薬や水銀など、稲穂になる過程で浴びた有害物質が含まれるケースがあります。
またそれ以外にも、空気中の菌や食品添加物など体内に有害物質が滞留しているのも珍しくありません。
しかし玄米に含まれるフェチン酸は、これらを体外へ排出する効果を持っています。
その解毒作用の強さは、食品研究の世界でも注目されているのです。
玄米の美味しい炊き方、水の量は?
このような素晴らしい栄養を含んでいる玄米を、もっと食べたいものですね。
玄米を炊くにあたり注意すべき事は、白米よりも硬いことです。
加えて、精米されていないため水の浸透に時間がかかります。
よく研いで玄米の表皮を剥がし、水を染み込み易くさせましょう。
玄米を研ぐには、握るなど、米同士をこすり合わせることを意識して洗う事で、汚れや表層を取り除くことができます。
泡立て器など使えば効率的に研げますし、冬場など手を使わずに済むのでおすすめです。
炊飯器で炊く際は、いつもの炊飯スイッチは押さずに、玄米モードに切り替えましょう。
もし設定が無い場合は、水の量と玄米を1.5対1の割合にすると美味しく炊きあげることができますよ。
土鍋で炊く際は、炊飯器と同様に、水の量と玄米を1.5対1の割合で鍋に入れ、弱火で30分煮ます。
続いて、強火で10分煮立たせます。
その後火を消し、15分ほど蒸らす事で、ご飯がよりふっくらします。
蓋をしていると泡で中が溢れるかもしれません。
上手く空気を抜いて泡を除去しましょう。
玄米茶で痩せられる?!
玄米には、食べる以外の楽しみ方もあります。
玄米茶です。
純粋に味を楽しむために飲むのも良いですが、玄米に豊富に含まれている栄養素の中にはダイエット効果をもたらすものもあります。
精米ではこうはいきません。
もっぱら玄米茶は、緑茶など他のお茶とブレンドして飲むのが一般的で、流通している物もこの類いがほとんどです。
効果効能ですが、玄米茶に含まれるガンマオリノザールは、肥満や糖尿病の予防効果を発揮する事がわかっています。
また悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化予防も期待することができます。
玄米に含まれている、アミノ酸の一種であるギャバは、中性脂肪を減らしコレステロール値を下げる働きをします。
同時に血圧を下げる効果もあるので、高血圧対策にも一役買ってくれます。
さらにリラックス効果をもたらすアルファ波を増やす効果も注目されており、空腹時に飲む事でイライラ防止に役立ちます。
注意点として、玄米茶にはカフェインが少なからず含まれています。
過剰摂取には注意して、適量を楽しみましょう。
玄米は食生活の新たな楽しみ
お米の研ぎ方や精米の方法など、玄米は白米よりも気を使う場面が多いです。
ですが、見方を変えればご飯を美味しく食べる工夫が身に付きますし、食べるだけで栄養補給になります。
白米同様に、雑炊やおにぎりなど食べ方のバリエーションも豊富なので、食事の楽しみを増やすことが出来ますよ。