醤油といっても、地域や製法により、それぞれの持ち味があります。
そのため、風味や味も異なるものです。
醤油の種類を大きく分けると、「白・薄口・濃口・再仕込み・たまり」の5種類があります。
醤油を種類ごとに使い分けると、料理の幅がグンと広がりますよ。
今回は、薄口醤油と濃口醤油の違いや、それぞれの醤油の使い方についてご説明していきます。
一般家庭で最も使用される醤油は濃口醤油
一般的に馴染みがあり、「醤油」として多くの方が使用されるのは、「濃口醤油」です。
濃口醤油は、関東地方で生まれた醤油です。
関東地方の味付けは、かつおだしを使用したものが多いですよね。
そのかつおだしに負けないように、醤油本来のうまみが強い濃口醤油が好まれているのです。
濃口醤油は、日本の醤油の8割もの割合を占めてるといわれています。
ただ、濃口とされていますが、色合いも塩分濃度も丁度真ん中にあたります。
関西の地域では薄口醤油と濃口醤油を併用して使用しますが、関東の地域では濃口醤油のみを使用することも珍しくありません。
濃口醤油は、大豆と同量の麦、そして塩を原料としたもので、色が濃く香りや味もバランスがよいものです。
基本はどんな料理にも合いますが、肉じゃがなどの煮物や照り焼き、味付け卵など、しっかりとした味付けの料理などに特に向いている醤油です。
また、冷奴やお刺身など、食材に直接かけたりつけたりすることにも向いているため、幅広く使える万能醤油として多くのご家庭で愛用されています。
濃口醤油と薄口醤油の違いって?
薄口醤油は、関西で生まれました。
「大豆・麦・塩」を主な原料として作られる濃口醤油と違って、薄口醤油は、「大豆・麦・塩・米」で作られています。
米が含まれていることが大きな違いですね。
また、薄口醤油には甘酒も加えることがあるため、ほのかな甘みを感じられます。
そのため、濃口醤油のようなパンチのきいた味ではなく、まろやかな味の醤油になります。
そして、色が薄いのは、製造の違いにあります。
薄口醤油は色を薄くするために、発酵・熟成中の温度設定を低めに設定し、醸造時間を短くして作っています。
この色の薄さで多くの方が勘違いしてしまうのが、濃口醤油より、薄口醤油の方が塩分が少ないという間違いです。
薄口という言葉と色が薄いことから、一見塩分も控えているように感じてしまいますが、実際は、薄口醤油の方が塩分濃度は高くなります。
通常、濃口醤油の塩分濃度は16%に対し、薄口醤油の塩分濃度は18%です。
なぜ、薄口醤油の方が塩分が強いのかといいますと、色は薄く仕上げつつも、味付けはしっかりとできるようにと造られているものだからです。
そのため、濃口醤油と同じ分量で料理に使うと、塩辛くなってしまうこともあります。
薄口醤油を使用するときは、味を見ながら調整していくといいでしょう。
薄口醤油の使用方法の注意点!
一般的な濃口醤油と比べて、薄口醤油は使い慣れていない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、使用方法の注意点についてご説明していきます。
・色の薄さに注意
薄口醤油を料理に使用するときは、「色の濃さ=味の濃さ」でないということを忘れないでおきましょう。
普段濃口醤油に慣れていると、どうしても薄口醤油の色の薄さから、醤油を足してしまいがちです。
・レシピの醤油は濃口醤油のこと
今ではレシピ本の他にも、レシピサイトで簡単に料理の作り方を検索できる時代になりました。
レシピサイトは、誰でも一度は活用したことがあるのではないでしょうか。
ここで注意しなければならないのは、「醤油大さじ1」などの表記です。
これは、基本「薄口」と表示されていないものであれば、「濃口醤油」のことを指しています。
そのため、薄口醤油をベースに使用してしまうと、塩分量の違いから塩辛く仕上がってしまうこともあります。
間違っても、薄口と表示されていないものであれば、薄口醤油を使用しないよう注意しましょう。
薄口醤油に向いている料理って?
薄口醤油は、素材の色を生かし、だしの風味を効かせることができる醤油です。
そのため、新鮮でクセの少ない食材には非常に向いている醤油です。
ここでは、薄口醤油に向いている料理をいくつかご紹介していきましょう。
・茶碗蒸し
・うどんつゆ
・魚や野菜の煮物
・お吸い物
・出し巻きたまご
・おでん
いずれも、食材の味や色を生かし、さっぱりとした仕上りの料理ばかりです。
魚や野菜といった、目で見ても美しい料理に仕上げるためには、薄口醤油は欠かせないでしょう。
特に色の薄い白身魚や、かぶ、大根、レンコンなどの煮物はとても綺麗に仕上げることが出来ます。
また、まろやかな味は、昆布だしとも相性が抜群です。
かつおだしを主に使用している関東のうどんつゆは、だしが前面に出て角がある味付けが多いですが、関西のうどんは薄口醤油をベースとしていますから、上品な味わいになります。
ただ、塩分濃度が高いので、あまり砂糖と合わせた味付けには向いていません。
煮物などは、甘辛いタイプではなく、だしを効かせた上品な味付けがおすすめです。
薄口醤油と濃口醤油の保存方法
醤油は、一度封を開けると、空気に触れてしまうため酸化が進み、風味や味が落ちてしまいます。
料理のベースとなる醤油は、保存状況が非常に大切です。
開封前と開封後の適切な保存場所についてご説明していきましょう。
・「薄口・濃口」はどちらも冷暗所での保存
開封前であれば、常温保存が可能です。
保存する際は、直射日光の当たらない冷暗所で保存しましょう。
開封前の保存期間ですが、濃口醤油で1年半、薄口醤油で1年とされています。
長い間常温保存できる醤油ですが、ストックのしすぎには注意しましょう。
・開封後は冷蔵庫で保存
先ほどもお話したように、開封後醤油は徐々に酸化し、風味や味が落ちてしまいます。
そのため、冷蔵庫での保存がおすすめです。
開封後は、1ヵ月を目安に使い切れるようにしましょう。
現在では、「密閉ボトル」となる酸化を防ぐための容器に入った醤油も多く販売しています。
この製品であれば、冷蔵庫に保存しなくても、風味や味が開封後でも損なわれません。
醤油の酸化が気になる方は、こういった醤油を使ってみるのもいいかもしれませんね。
それぞれの醤油の使い方
ここまで、主に薄口醤油と濃口醤油を取り上げてきましたが、冒頭でもお話したように他にもいくつか醤油があります。
特徴を見ながら、上手く醤油を使い分けてみましょう。
・白醤油
白醤油は、薄口醤油よりもさらに発酵を抑えて造られています。
そのため、色は醤油の中で最も薄く、それと同時にうま味やコクも抑えられています。
また、糖分が多く、甘みが強いのも特徴です。
薄口醤油同様、素材本来の味を生かす料理に最適で、「漬物・お吸い物・うどんつゆ」などの料理に向いています。
・再仕込み醤油
再仕込みとあるように、醤油を2度製造するような製法が取られています。
色も濃く、濃厚な味わいが特徴的ですが、塩分濃度は14%と最も塩分が低い醤油になります。
味わいが濃厚で高価なことから、「お刺身・冷奴」など、卓上でつけ醤油として使用するのが一般的になります。
・たまり醤油
濃口醤油が大豆と麦を半々で使用しているのに対して、たまり醤油は大豆のみで造られる醤油です。
大豆のタンパク質からのうま味成分も強く、味も濃厚でトロリとしているのが特徴的です。
たまり醤油は加熱すると、綺麗な赤みを帯びるといった特徴があります。
また、砂糖との相性もいいことから、「照り焼き・佃煮」などの甘辛い料理にもぴったりな醤油になります。
醤油を使い分けて料理上手に
醤油と一口にいっても、それぞれの風味や味、また向いている料理など、選ぶ醤油によっては味も大きく変化します。
それぞれの特徴を知ることで、どの醤油がどんな料理に適しているか分かることができますね。
醤油を使い分ければ、料理の幅が大きく広がりますよ。