数ある果物の中でも、圧倒的な人気を誇るのがイチゴです。
毎年1月~2月になると、お店では先を競うようにイチゴのフェアが開始されますよね。
そんな人気のイチゴを、プランター栽培してみましょう。
イチゴは多年草なので、親株から伸びているランナーから子苗を作ることができるのです。
今回は、親株から新しい苗を作る方法をご紹介したいと思います。
イチゴを自分で栽培したい!イチゴについて
イチゴは、バラ科の多年草の一種で、真っ赤な可愛らしい見た目をしています。
その可愛らしさから、洋服や小物などのデザインに使われていることも多いですよね。
美味しく食べている部分は、じつは、果実ではないのをご存知でしたか?
この部分は、花の一部なのです。
イチゴの本当の果実は、その周りにあるゴマのようなツブツブなのです。
この事実は、意外と知らない方も多かったのではないでしょうか。
イチゴの品種は、少し前までは東の「女峰」、西の「とよのか」と言われるほど、この2つがほとんどでした。
しかし、現在市場に出ている品種は、とても数が増えています。
「アイベリー」や「あまおう」など、粒が大きいイチゴも人気があります。
「章姫」「さがほのか」なども、スーパーでよく売られていますね。
「あまおう」「紅ほっぺ」「とちおとめ」「さちのか」「さがほのか」が、イチゴの5大品種となっています。
なんと、この5品種だけで、全体の生産量の約8割を占めているのです。
品種改良が今後も進み、さらに美味しいイチゴが登場するのが楽しみですね。
次は、自分でイチゴを栽培する際の、ランナーの取り扱い方法についてお話します。
イチゴの栽培においてのランナーの取り扱い方
ここからは、イチゴの栽培についてお話します。
同じ赤い色をしているトマトなどの場合は、来年度になったら種から育てたり、苗を購入する必要があります。
しかし、イチゴの場合は多年草なので、その年成長した親株から伸びている、つるから子苗を作ることができます。
つまり、来年も収穫することができるのです。
このつるの扱いを上手に行えば、来年は手間を省いた栽培ができるのです。
イチゴの株元から、つるが伸びてきます。
このつるはランナーと呼ばれるもので、成長しながら先っぽに子株を付けて、増加していきます。
イチゴの実の収穫最盛期にも、ランナーは伸びていますが、このランナーは株元から切ってしまいましょう。
頑張って成長しているのに切ってしまうのは、ちょっと可哀相な気がしますよね。
しかし、切らずにそのままにしていると、成長にかかる養分が分散されてしまい、甘くならなかったり実が大きく成長しない原因になってしまうのです。
ランナーから子苗を作る時期は、早くても6月中旬からが良いでしょう。
親株の成長状態にも左右されますが、だいたい1株から10本くらいのランナーが伸びて、1番目の子苗ができます。
その子苗からもランナーが伸びて、2番苗、3番苗と、結果的には1株から10~30株くらいはできます。
秋に植え付けるまでに、青々とした元気な苗を選んでおきましょう。
イチゴのランナーから子苗を栽培する手順①
イチゴのランナーから子苗を栽培する手順をお伝えする前に、イチゴに含まれる主な栄養素と、その働きについても知っておきましょう。
イチゴの赤い色素成分のアントシアニンは、ポリフェノールの一種です。
ブルーベリーと同様に、眼の疲れや視力回復に効果的です。
さらに、活性酸素を減少させ、がん予防にも有効とされています。
イチゴに多く含まれるビタミンCは、風邪予防や疲労回復などに効果が期待できます。
<作業手順>
①ランナーを間引きましょう。
プランターでの栽培は、およそ縦横20cm×65cmくらいのサイズに、2~3株植えることが多いと思います。
1株でも、数多くの子株ができます。
そこで重要なのが、来年用のイチゴの子苗を作るときは、だいたい何株くらい作るのかを先に決めておくことです。
どのランナーを残すのかも、大きなポイントです。
まず、一番収穫量が多かった丈夫な株を選び、そこから太くて元気のある、よく伸びている苗を残しましょう。
実が良くなった親株の性質は、子苗にも引き継がれるのです。
親の性質を受け継ぐなんて、人間の遺伝と似ていて、生命の神秘を感じますね。
元気な子苗を育てるためには、弱々しい株やランナーは思いきって、切ってしまいましょう。
ランナーを数多く残したままの子苗作りも、養分が分散してしまうのでやめましょう。
②子苗の選び方
丈夫なランナーを残したあと、どこの子苗を取るのかも重要です。
1番苗は、生育が不安定なことが多いので避けましょう。
1本のランナーからできる3~4株の子株のうち、親株にもっとも近い2番苗や3番苗の中で、元気なものを選びましょう。
イチゴのランナーから子苗を栽培する手順②
引き続き、イチゴのランナーから子苗を栽培する手順についてお伝えしますね。
③ポット上げ
育苗用のビニールポット(3.5号)に元肥入りの培養土を入れます。
その真ん中に穴をあけて、親株から伸びているランナーの子株を切らずに、針金などでUピンを作り、ランナーを押さえて子株の根を浅く植えましょう。
この方法以外にも、ビニールポットを使用せずに、親株が植わっているプランターの何も植えられていない場所に、上記のように植えるやり方もあります。
④子苗の管理方法
イチゴの苗は、暑さにとても弱いです。
イチゴの苗をダメにしてしまうのは、おもに暑い夏です。
イチゴの収穫が無事に終わり、ホッと気を許した時期が、じつは危険な落とし穴なのです。
そのため、直射日光がガッツリと当たってしまうと葉やけをしてしまうので、日傘をかけているような感じで適度に遮光しましょう。
また、ビニールポットでは水が乾燥しやすいので、夏場は早朝と夕方に必ず様子を見てあげましょう。
土がカラカラに乾燥しすぎないように気をつけながら、通常通りの水やりをします。
上手く管理が行われていれば、およそ3週間くらいで根付きます。
成功しているかの確認方法は、根元を優しく引っ張ってみましょう。
スルッと抜けないようであれば、大丈夫です。
根付きを確認したら、親株と繋がっているランナーを切りましょう。
2番苗を使ったとしたら、親株と繋がっていたランナーの他にも、3番苗に繋がっているランナーもあると思います。
それを切り離せば、子苗の出来上がりです。
10月中旬くらいになったら、プランターなどに植え付けて、来年の栽培を開始しましょう。
親株は残して栽培しても大丈夫?
ランナーから子苗は完成したとして、栽培していたイチゴの親株を残したままで、実を収穫できないのかという疑問を持つ方も、いらっしゃいますよね。
親株の寿命は2~3年なので、収穫は可能なことは可能なのですが…。
親株を残すのは、おすすめできません。
その理由も、しっかりお伝えしますね。
正しい管理を行い、肥料もしっかりと与えて元気があったからといっても、多くの実を付けた親株は疲れています。
人間も、働き過ぎは体に良くないですよね。
疲れている親株からできる実は、小さかったり収穫量も減る傾向があります。
また、イチゴには連作障害といって、毎年同じものを同じ場所で育てていると、生育不良になったり病気に感染しやすくなったりします。
そのようなことから、古い親株は抜き取って、処分したほうが間違いないでしょう。
さて、栽培しているイチゴが甘くなかったとしたら、原因はどこにあるのでしょうか。
主に…
・品種の問題
・肥料、土の問題
・日当たりの問題
・株の手入れの問題
などが関係しています。
甘くて美味しいイチゴを食べるためにも、上記のポイントを再確認する必要があります。
栽培しているイチゴを甘くするためのポイント
ランナーから栽培したイチゴが甘くなくて、酸っぱかったら、がっかりしてしまいますよね。
前項でも少し触れましたが、どうすれば甘くなるのかについて、細かくみていきましょう。
☆甘く育つ品種を選ぶ
当たり前の話ですが、ちゃんと甘くなる品種を選んで栽培しましょう。
「夏姫」「カレンベリー」「あまおう」「女峰」がおすすめです。
☆摘花(てきか)と人工授粉を行う
イチゴを甘くするには、正しい管理も重要になります。
イチゴは、沢山の白い花を咲かせて、それが実になります。
糖度を高めるためには、咲いている花を全部咲かせて、実をつけさせてはダメです。
実に変わる前に、花を3~5輪残し(摘花)、養分を集中させたほうが良いのです。
小さく実がなった状態では、3~5個残して、それ以外は取り除きましょう。
☆適した肥料を与える
チッ素成分量が多い肥料を使うと、株が大きく葉ばかりが茂って、花や実に栄養分が行き渡りません。
イチゴの糖度をあげるためには、発酵油かすや骨粉、バッドグアノなどのリン酸成分の多い肥料や、イチゴ栽培専用の肥料を活用しましょう。
☆日当たり良好な場所で育てる
夏から苗を育てるケース以外は、日当たりの良い場所で日照時間を長くして育てるのが基本です。
日が当たっている時間が長いと、株も丈夫に育ち、よく実もなるので、日当たりが悪い場所で育てたものよりも甘くなります。
☆ハウス栽培やトンネル栽培をする
ハウス栽培ができたらベストですが、家庭菜園では、なかなか困難ですよね。
ビニールなどを使ったトンネル栽培は可能だと思いますので、やってみてください。
ちょっと手間をかけてあげることで、糖度が高くなりますよ。
イチゴの栽培に挑戦してみよう
この記事では、親株から新しい苗を取る方法についてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
イチゴは家庭菜園初心者でも、比較的簡単に育てられます。
栽培に成功して、甘くて美味しいイチゴが収穫できるといいですね。