トマトは、家庭菜園でも人気の野菜です。
実を大きく、甘く育てたいですよね。
そうなると、重要なのは「肥料」です。
トマト栽培では、有機質肥料の油かすや、化学肥料を上手に組み合わせて栽培していくと良いですよ。
トマト栽培は油かすなどの有機質肥料と化学肥料を組み合わせる
トマトは彩りもよく、育てやすいので家庭菜園初心者の人には、ぜひ育ててほしい野菜です。
トマト栽培で大切なのは、「肥料」です。
初心者には、ちょっと加減が難しいかも知れません。
まず、肥料の種類についてお話します。
肥料には、大きく分けて2種類あります。
有機質肥料と化学肥料です。
それぞれ見ていきましょう。
【有機質肥料】
動物の糞・魚粉・骨粉など動物性のもの、油かす・米ぬかなどの植物性のものからできた肥料です。
天然肥料とも言います。
特徴は、効果がゆっくりで、長持ちします。
土壌中の微生物により分解されたものを、植物が吸収していくためです。
ただし、独特の臭いがするものが多いです。
また、虫が湧きやすいという欠点もあります。
【化学肥料】
鉱石や空気中の窒素ガスなど、自然界に存在する無機物を原料にして、合成して作った肥料です。
化学的に作られたものなので成分にムラがなく、水に溶ければ、すぐに根に吸収され、効果を発揮します。
使う量が明確にわかるので、誰にでも使いやすい肥料です。
しかし、化学肥料を使い続けると、土壌中の微生物が減り、土の質が悪くなってしまうという欠点もあります。
トマト栽培では、どちらを使っても良いのですが、できれば有機質肥料と化学肥料の良いところを、うまく組み合わせて使うと良いですよ。
有機質肥料【油かす】について
トマト栽培に欠かせない肥料ですが、代表的な有機質肥料である「油かす」についてお話します。
油かすは主に、なたね油を搾ったあとの、搾りかすから作られています。
販売されているものは、油を搾ったあとのカスに、魚粉や骨粉を混ぜて肥料にしたものです。
植物を育てる上で必要な3大栄養素の「窒素」「リン酸」「カリ」が含まれています。
有機質肥料のため、効果はゆっくりで持続性があります。
環境にも優しい、安全な肥料のひとつです。
この3大栄養素についても触れておきますね。
・窒素
葉や茎の生長を促してくれます。
・リン酸
花や実の生長を促してくれます。
・カリ
根を健康にしてくれます。
トマト栽培では、窒素が多すぎてしまうと、つるぼけの状態になってしまいます。
ですから、リン酸とカリが、きちんと含まれている肥料が必要になるのです。
また、油かすには、独特の臭いがすることがあります。
家庭菜園では、窓のすぐそばで栽培することもありますよね。
臭いが気になるようであれば、臭いを抑えた「発酵油かす」も販売されています。
効果に変わりはないので、こちらを使っても良いですよ。
トマト栽培では元肥に油かす、追肥に化学肥料を使う
トマトのように果実をつける植物は、もともとの土だけでは養分が足りません。
あらかじめ、土の段階で元肥を施しておきましょう。
そこからは、トマトの生長に合わせて、肥料を補っていきます。
元肥に使うのは、効果が長く持続する肥料です。
前項でお話した、油かすでできた有機質肥料などを使いましょう。
追肥では、即効性のある化学肥料が適しています。
トマトに肥料を与えるときに気を付けてほしいのは、「与えすぎ」という状態です。
与えすぎてしまうと、「肥料焼け」を起こしてしまいます。
「肥料焼け」は大量の肥料により土の中の肥料成分が濃くなってしまい、根の機能を害して、しおれさせてしまったり、枯れさせてしまったりすることです。
さらに、元肥として大量の肥料を与えてしまうと、「つるぼけ」という状態になってしまいます。
「つるぼけ」とは、葉やつるばかりが伸び、花付きや実付きが悪くなってしまうことです。
元肥は控えめにし、追肥で肥料切れを防ぎましょう。
元肥は、苗を植え付ける2週間前までに施しておきます。
掘り起こして耕しておいた土に、苦土石灰と堆肥、元肥も一緒に加えて、よく混ぜておきます。
元肥が1ヶ所に固まってしまうと、その部分の肥料成分が濃くなり、肥料焼けを起こしてしまうので、全体に均一に混ざるようにしておきます。
育て方によって肥料の与え方を変える
具体的に、トマトに追肥をするタイミングは、プランター栽培と畑栽培では違ってきます。
それぞれ見ていきましょう。
▽プランター栽培
プランター栽培では、培養土を使うことが多いと思います。
培養土はすでに元肥が含まれているので、さらに油かすなどを混ぜる必要はありません。
苗を植え付けてからは、しばらく追肥しなくても大丈夫です。
1段目に咲いた花が実になり、その実が膨らみはじめた頃に追肥を始めます。
プランターの場合、追肥の頻度は肥料の種類によって変わってきます。
液体肥料、化学肥料などの即効性のある肥料の場合は、はじめの追肥から2週間おきに追肥を行います。
緩効性の固形肥料の場合は、最初の追肥から1ヶ月おきに追肥を行いましょう。
▽畑栽培
元肥を施してあるため、プランター栽培の場合と同じく、植え付けてからしばらくは追肥は必要ありません。
1段目に付いた実が、ピンポン玉くらいの大きさになったら、1回目の追肥を行います。
そして、3段目の実がピンポン玉くらいの大きさになったら、2回目の追肥を行います。
5段目程度しか育てないのであれば、追肥は、この2回で十分です。
それ以上育てる場合は、5段目、7段目の実が膨らんできたら、追肥を繰り返しましょう。
使う肥料は、薄めた液体肥料か化学肥料でOKです。
両方に共通する注意点は、肥料が、じかに根に触れないようにすることです。
根を傷めてしまうため、20~30cmほど離して入れるようにしましょう。
肥料が多すぎた場合トマトはどうなる?
きちんと元肥の油かすを土に混ぜ、実がなったら追肥を行えば、トマトはしっかり育ってくれるでしょう。
そのままトマトが育てば、元肥や追肥に成功したといえますが、時には失敗してしまうこともあります。
失敗すると、どのようになってしまうのかもお話しておきます。
肥料が多すぎた場合の症状です。
▽窒素過多
最も起こりやすい失敗です。
・苗が育ちすぎる
・葉が内側に丸まっている
・茎が太い
・茎が縦に割れている
・花房の先からまた芽が出ている
などの症状が出ます。
この状態になると、見た目でわかると思うので、見つけやすいはずです。
▽リン酸過多
葉のところどころが少し枯れてしまうだけなので、判別がしにくいです。
リン酸が過多になると、鉄欠乏や亜鉛欠乏にもなってしまいます。
▽カルシウム過多
葉の周りが枯れてしまいます。
あまり症状として出ないので、判断がしにくいです。
対策は、様子を見ながら行っていくようにしましょう。
どの肥料も、だんだんと消費されていきます。
窒素過多の状態になってしまったら、水やりを控え目にし、土を乾燥させます。
理由は、窒素が吸収しにくくなるからです。
わざとわき芽を伸ばして、肥料を使ってしまうという方法もありますよ。
肥料を流すために、水やりの頻度を上げる方法もありますが、水のやりすぎで根が腐ってしまうこともあるので、注意してください。
肥料が足りなかった場合の症状
反対に、肥料が足りなかった場合は、このようになります。
野菜を育てる上で必要な、3大栄養素があるとお話しましたね。
これが不足すると、トマトに障害が出てしまいます。
▽窒素不足
葉の色が薄くなったり、葉の生長が悪くなります。
下の方の葉が薄くなったら、要注意です。
窒素が足りなくなったとき、下の葉から上の葉に窒素を回すことによって起きてしまう症状です。
土づくりの段階で、注意しておきましょう。
土づくりのときに、油かすや堆肥を土に混ぜ込みますよね。
堆肥が未熟であったりすると、窒素不足になることがあります。
通常、3大栄養素が含まれている肥料を与えていれば、窒素不足になることはありません。
▽リン酸不足
先端の新芽や、下の葉が小さくなってしまいます。
はじめは大きな葉が出ていたのに、突然小さな葉が出てきたという場合には、リン酸不足を疑いましょう。
葉脈が紫色になることもあります。
通常、リン酸を施肥しないということはありませんが、窒素成分のみの肥料を与えてしまった場合は、リン酸不足になってしまいます。
▽カリ不足
葉のふちから、黄色く変色します。
実の表面が壊死し、白っぽくなってしまいます。
▽カルシウム不足
実のお尻の部分が腐ったようになり、茶色くなってしまう「尻腐れ病」になってしまいます。
▽マグネシウム不足
下葉が黄化します。
▽鉄不足
上部の葉の色が抜けてしまいます。
これらの症状は養分不足だけでなく、害虫や寒さに当たることによって出ることもあるので、ほかの症状も確認し、総合的に判断して対策をしましょう。
愛情を込めて育てることが大切
トマト栽培の肥料についてお話してきました。
肥料も大切なのですが、しかし最も大切なのは、愛情を込めて、手間暇を惜しまず育てていくことですよ。
トマト栽培では、わき芽かきや摘果といった、大切な作業がほかにもあります。
手を抜かずに育てて、大きくて真っ赤な果実を収穫しましょうね。