トウモロコシを栽培するのであれば、アワノメイガを知っておかなければなりません。
アワノメイガは、トウモロコシ栽培の代表的な害虫のひとつです。
この害虫の対策法を知り、少しでもトウモロコシ栽培に役立てていただきたいと思います。
アワノメイガとはどんな虫?
トウモロコシ栽培をしたことがある人は、必ず「アワノメイガ」という名前を目にしたことがあるはずです。
トウモロコシを育てる上で、避けて通れないのが、害虫のアワノメイガです。
アワノメイガは蛾の仲間で、幼虫がトウモロコシの茎や穂に入り込み、食害をします。
その被害の多さから、トウモロコシの天敵と言われています。
アワノメイガは、鱗翅目(りんしもく)メイガ科の一種で、黄褐色の斑紋が特徴です。
アワノメイガの幼虫は、体長5mm~2cmほどの黄白色のイモムシ状の虫です。
雄花に産卵された卵が孵化し、雄花や葉の付け根など、柔らかい部分から内部に侵入します。
もぐりこんだ穴から、黄褐色のフンを出すので、アワノメイガに食われてしまうと、すぐにわかるでしょう。
アワノメイガに食べられてしまったトウモロコシは、雄花が咲くころに茎が折れてしまったり、実が食い荒らされて売りものにならなくなってしまったり、食べられなくなってしまったりします。
アワノメイガをトウモロコシに寄せ付けない方法
アワノメイガは、幼虫がトウモロコシの茎や実の中に入り込んでからは防除が難しいので、まずは入り込まないようにすることが重要です。
種まき・定植後から、収穫するまで、防虫ネットをトンネル掛けしておくと、成虫が産卵するのを防ぐことができます。
少数栽培の家庭菜園であれば、袋掛けも有効な手段です。
ブドウ用の紙袋をかぶせ、穴の部分はホチキスなどで留めてしまいます。
これで、アワノメイガが侵入できないはずです。
受粉が終わった雌花に、キッチン用の水切りネットをかけておくという方法もありますよ。
農薬を使いたくないという人は、ネットなどを使って防ぐ、見つけたら捕殺するを徹底するしかありません。
アワノメイガは、雄花に引き寄せられて、トウモロコシ畑に飛来します。
主な発生時期は、6月中旬~8月頃です。
雄花が咲くと、トウモロコシ畑全体に飛来してきますので、雄花が咲いたら切り取っておくという方法もあります。
可能なら、受粉に必要な雄花以外は、切り取ってしまいましょう。
花粉が出なくなり、受粉が終わったら、雄花は早めに処分します。
切り取った雄花もアワノメイガの温床になってしまいますので、焼却などして完全に処分しましょう。
コンパニオンプランツを一緒に栽培する
また、コンパニオンプランツを植えておくのもおすすめです。
コンパニオンプランツとは、一緒に栽培することで、良い影響を与え合う植物のことを意味します。
アワノメイガは、マメ科の植物を忌避します。
ですので、エダマメやインゲンなどを、トウモロコシと一緒に混植すると良いですよ。
アワノメイガを寄せ付けないだけでなく、マメ科の根に付く根粒菌が、空気中の窒素を固定して、土壌を肥沃(ひよく)にしてくれます。
また、リン酸分などの養分を吸収しやすくしてくれるという効果も、期待できるのです。
ほかにも、農薬を使わない方法として、罠を使ってみるのはいかがでしょう。
ペットボトル(500ml)を用意します。
ハチミツ(黒糖でも可)と、ドライイーストを大さじ1~2程度ペットボトルに入れ、ぬるま湯を適量入れます。
発酵が始まると、発酵臭が出ます。
これが、アワノメイガをおびき寄せてくれます。
木酢液で忌避もしてみましょう。
500mlのペットボトルに木酢液を入れて、畑の近くにぶら下げるだけです。
アワノメイガ以外のトウモロコシ栽培の害虫
トウモロコシ栽培における敵は、アワノメイガだけではありません。
ほかの害虫についても、見ていきましょう。
■アワヨトウ
体長3cmほど、淡緑~褐色をしたイモムシ状の幼虫が、夜間に主に葉を食害します。
夜間に集団で食害し、食べる量が半端な量ではありません。
夜間に活動するため、「夜盗(よとう)」という名前がついているのです。
昼間は地面の浅いところに隠れているので、被害があった場合は、被害場所の近くを掘って探し捕殺します。
しかし、見つけにくいので、ふ化直後に葉裏に群棲しているときに、防除するのが良いですよ。
■アブラムシ
あらゆる植物に棲みつきます。
もちろん、トウモロコシも例外ではありません。
体長1~4mmの小さな虫が集団で棲みつき、実などの汁を吸ってしまいます。
モザイク病のウイルスを媒介するため、注意が必要です。
見つけたら、すぐに捕殺します。
テントウムシがアブラムシを食べてくれるので、テントウムシを引き寄せる植物を近くに植えるという方法もあります。
■カメムシ
カメムシも、茎や実の汁を吸う害虫です。
触ると悪臭を放ちます。
寄生されてしまうと、実が縮んだり、奇形になってしまいます。
見つけたら、すぐに駆除しましょう。
悪臭が手に付かないように、ガムテープなどを使うのがおすすめです。
栽培が難しいときは薬剤の利用を考える
トウモロコシの栽培は、難易度が高めなので、初心者には、あまりおすすめしません。
人工受粉が必要であったり、害虫被害に遭いやすいことなどが、難易度を押し上げています。
無農薬で栽培したいという気持ちもあると思いますが、トウモロコシの害虫防除は大変な作業です。
なので、思い切って、薬剤に頼ってみるのもひとつの手ですよ。
よく使われている薬剤をご紹介します。
★三明デナポン粒剤5
トウモロコシ専用殺虫剤です。
未成熟のトウモロコシを食害するアワノメイガ、ダイメイチュウを効果的に退治してくれます。
★トレボン粉剤DL
アワノメイガだけでなく、葉につくアブラムシ・アオムシ・・ヨトウムシ・カメムシなど、様々な害虫に効果がある殺虫粉剤です。
速効性があり、長い残効もあります。
上記2点の注意点としては、使用するとヤングコーンとして収穫することができないということです。
ヤングコーンを収穫したい場合は、「野菜用」の薬剤を使用する必要があります。
★トアロー水和剤CT
チョウ目害虫の幼虫に対し、安定した効果を発揮します。
有機農産物の日本農林規格(有機JAS)に適合する農薬で、薬臭・汚れがほとんどないことや、環境に与える影響が少ないとされています。
化学薬剤よりは効果が落ちると言われていますが、環境が心配な人は、こちらを使うのがおすすめです。
トウモロコシ栽培に挑戦してほしい理由
トウモロコシ栽培は難易度が高めとお話しましたが、アワノメイガに負けず、ぜひ自家栽培で挑戦してほしい理由があります。
トウモロコシは、野菜の中でも、特に鮮度が落ちやすい野菜です。
なんと、収穫してから24時間で甘みが落ち始めます。
採れたてが、何といっても、一番おいしい野菜なのです。
ですから、採れたてを食べられる自家栽培に挑戦してほしいと思うのです。
採れたてのトウモロコシを茹でて食べたら、スーパーで売っているトウモロコシはもう食べられませんよ。
ぜひ、自家栽培で味わってみてください。
しかし、誰でもトウモロコシ栽培に挑戦できるわけではありませんよね。
ですので、スーパーのトウモロコシを、少しでもおいしく食べられる裏ワザをご紹介しますね。
調理する直前まで、トウモロコシの皮は剥かないでおきます。
茹でるときは、皮付きのままのトウモロコシを茹でると、おいしくできますよ。
先ほどもお話しましたが、トウモロコシは鮮度が落ちやすいです。
買ってきたら、すぐに茹でたり、蒸したりして調理をしておくと良いですよ。
すぐに食べないのであれば、冷凍保存しましょう。
生のままで保存しておくのであれば、皮付きのまま、野菜室で保管しましょう。
しかし、おいしく食べられる期間は短いので、翌日までには食べた方が良いですよ。
甘い感動を味わおう
トウモロコシ栽培は害虫対策が大変ですが、収穫して食べたときの甘い感動がクセになります。
害虫にめげずに、頑張って育ててみましょう。
ぜひ、上記のアワノメイガ対策法を参考に、トウモロコシの栽培に挑戦してほしいと思います。