今や日本人の国民食とも言える『カレー』。
皆さんには、どんなこだわりがありますか?
十人いれば十通りの作り方があり、アッと驚く隠し味を使う人もいます。
数ある隠し味の中でも、意外な食材と言えば和の調味料「味噌」です。
「味噌入りカレーはどう作る?」「なぜ美味しくなる?」などの疑問から、余ったときのリメイク料理までご紹介します。
カレーの隠し味のアレコレ
小さな子どもから大人まで大人気で、忙しいときのお助けメニューと言えばカレーです。
男女問わずカレーの作り方には、譲れないこだわりがある人も多いのではないでしょうか?
市販されているルーの種類も豊富で、スパイシーなものからマイルドなものまで様々です。
書かれている作り方通りでも、もちろん美味しくできます。
また、ほんの少し工夫するだけで、一味違ったオリジナルカレーに変身するのも、魅力のひとつと言えます。
カレーの隠し味の定番と言えば、りんご・ハチミツ・にんにく・生姜・ヨーグルトなどがあります。
子ども用にマイルドさをプラスしたいときには、甘みのある果物や乳製品がおすすめです。
大人用にガツンとした刺激が欲しいときには、香味野菜やスパイスを加えると、同じカレーでもガラっと表情が変わり、家族みんなで楽しめますね。
他にも、苦みやコクを与えてくれるチョコレートやコーヒー、夏にぴったりの爽やかなカレーになるトマト、複雑な味が深みを出してくれるソースなど、カレーの隠し味は実に奥が深い世界です。
中には、使う具材によって、隠し味を使い分けるというこだわり派の人もいるほど、印象を左右するのが隠し味です。
まだ試したことがないものは、ぜひ一度お試しください。
そこで今回、カレーの意外な隠し味として、ぜひご紹介したいのが「味噌」です。
洋食であるカレーに、和の調味料である味噌を入れるの?と驚かれるかもしれませんが、絶妙なコクと旨みを与えてくれる立派な隠し味になります。
なぜ味噌がおすすめなのか、カレーに加えるタイミングなど、詳しく見てみましょう。
カレーの隠し味に伝統調味料の味噌が使える!
日本人の食生活と味噌は、切っても切れない関係にあります。
特に味噌汁は、毎日欠かさず飲むという人も多いでしょう。
他にも、煮物や炒めものなど、色々な和食に使われる味噌は、洋風のカレーとあまり結びつかないかもしれません。
ですが、カレーに加えるとコクが出て、美味しくなると言われています。
そもそも味噌とは、大豆・塩・麹で作られる、伝統的な発酵食品です。
味噌は1300年以上も前に中国から日本に伝わったとされ、日本人の食生活に合わせて、少しずつ形を変えながら定着しました。
味噌は使われる麹の種類や味、色によって様々な種類に分けられ、地域によって特色があります。
味噌は製造過程で発酵させているため、ただしょっぱいだけでなく、甘みや独特の渋み、旨みが特徴です。
その複雑な味わいがカレーにコクを与え、隠し味として少量入れるだけで、一晩寝かせたような深みまで出してくれます。
あくまで隠し味なので、味噌そのものの味は感じられませんが、引き立て役として良い働きをしてくれます。
味噌は、どの家庭の冷蔵庫にも必ずある食材だと思いますので、気軽にチャレンジできるのも、おすすめポイントのひとつです。
いつもと一味違うカレーを作ってみたいと思ったとき、ぜひお試しください。
味噌の塩分とカレーの隠し味としての適量
では、実際にカレーの隠し味として味噌を入れるとき、どのくらいが適量なのか確認していきましょう。
味噌は、りんごやチョコレートなど、他の隠し味と違い、調味料です。
そのため、味噌自体に塩気があり、入れ過ぎるとカレーがしょっぱくなってしまいます。
あくまで、カレーの旨みを引き出すための隠し味なので、適量を守りましょう。
味噌は味の違いで、甘口味噌・辛口味噌、色の違いで、赤味噌・白味噌などに分けられますが、塩分の違いは次の通りです。
甘口と辛口の違いは、仕込むときの食塩量と麹の割合によって変わります。
名前からイメージする通り、辛口味噌の方が塩分濃度が高く、しょっぱいとされています。
味噌の種類やメーカーによって差はありますが、具体的な塩分濃度は甘口味噌で7%前後、辛口味噌で12%前後です。
味噌の色の違いは、熟成期間の違いによって生まれます。
白味噌は、熟成期間が短く、塩分濃度は低くなります。
赤味噌は、1年以上発酵・熟成させて作られるため、腐敗しないように、塩分濃度を高めにしているのです。
実際、加える量は6人分のカレーに対し、大さじ1くらいが目安になります。
先程説明したように、味噌の種類によっても塩分濃度が変わってくるため、甘口味噌は少し多め、辛口味噌は控えめに調整すると良いでしょう。
最初は少なめに加え、味見をしながら、ちょうど良い量を見つけてください。
カレーの隠し味として味噌を入れるタイミングは?
カレーの基本的な作り方は、材料を炒め、水を加えて煮込み、ルーを溶かすと実に単純です。
小学生や料理の苦手な人でも、カレーなら作れるという人も多くいるはずです。
では、どのタイミングで隠し味を入れたらよいのでしょうか?
実は、その答えは、隠し味に使う食材によって異なります。
例えば、香味野菜のにんにくや生姜は、具材と一緒に炒めることでより香りを引き立たせ、カレーに香ばしさを与えてくれるでしょう。
ただし、ニンニクや生姜の香ばしさよりも辛みやパンチが欲しいときは、出来上がり直前に、すりおろしたものを加えるという手もあります。
もうひとつ代表的な隠し味であるハチミツは、加えるタイミングによって、カレーのとろみに影響を与えるので、注意が必要な食材です。
ハチミツには、とろみを分解する酵素が含まれています。
低温(75℃以下)のカレーに加えると、その酵素の働きで、サラサラとしたカレーになってしまいます。
とろみのあるカレーにしたいときは、具材を煮込む段階で加えるのがポイントです。
味噌を隠し味として使う場合のタイミングですが、味噌はルーを溶かしたあと、出来上がりの直前に加えるのがおすすめです。
味噌汁の作り方でも言われているように、味噌を入れた後にグツグツ長時間煮込んでしまうと、せっかくの風味が飛んでしまうので、最終段階で味を見ながら加えましょう。
味噌と同じように、苦味と香りがポイントとなるコーヒーも、仕上げのときに加えると良いとされています。
味噌は、とろみのあるルーカレーだけでなく、スープカレーの隠し味としても使えます。
スープカレーの場合も入れるタイミングは同じで、仕上げのときに加え、沸騰させないように注意すると、より味噌の風味が楽しめるでしょう。
味噌の種類とは?カレーの味を引き立てるのはどれ?
味噌とひと口に言っても、日本全国には様々な種類があり、地域によって、かなり特徴があります。
まずは、それぞれの味噌の特徴について、知ることから始めましょう。
味噌の中で、最もポピュラーなのが、米麹で作る米味噌です。
米味噌は、含まれる米麹の割合で甘口・辛口に分かれますが、辛口の米味噌が最もクセが少なく、万人受けする味噌と言えます。
一方、麹の比率が高い甘口の白味噌は、京都などで多く使われていて『西京味噌』とも呼ばれます。
白味噌は熟成期間が短く、甘みとコクが特徴です。
次に、名古屋など東海地方の食文化に深くに根付いているのが、大豆と塩だけで作られる、豆味噌(赤味噌)です。
味噌カツや味噌煮込みうどんなどに使われている色の濃い味噌で、一度は目にしたことがあるでしょう。
独特の色は熟成期間の長さによるもので、甘みが弱く渋みがあるのが特徴です。
最後に、九州や四国などが主な産地の麦味噌についてですが、味はほんのりと甘く、麦の香りが最大の特徴です。
麦麹の粒が残っているため、味噌汁を作るときには、味噌こしを使う必要があります。
ざっくり分けると以上のようになりますが、実はカレーの隠し味として使えない味噌はありません。
味噌自体の塩分にさえ注意すれば、冷蔵庫に常備している味噌で、十分にカレーの美味しさを引き出してくれます。
具体的には、渋みのある豆味噌はカレーの味に深みを与え、甘口味噌は、コクとまろやかさを与えるでしょう。
味噌汁と同様、数種類の味噌を混ぜると、香りや味わいに変化が生まれ、新しい発見があるかもしれません。
味噌入りカレーのリメイクは麺料理2種がおすすめ!
自宅でカレーを作るとき、わざと多めに作って、何日間か食べ続けるという人も多いと思います。
実際、一晩寝かせたカレーが好きという人や、2日目以降はうどんやドリアなどにリメイクして、食べる機会も多いでしょう。
そこで、隠し味に味噌を使ったカレーの、おすすめリメイク麺料理を2つご紹介します。
ひとつめは、カレーのリメイク料理として定番の、カレーうどんやカレーそばです。
残ったカレーを出汁でのばし、水溶き片栗粉でとろみを付け、うどんやそばと合わせるだけで作れる、お手軽リメイク料理です。
普通のカレーでも、もちろん美味しくできますが、隠し味に味噌を使ったカレーと出汁の相性は、言うまでもありません。
もうひとつのおすすめは『味噌カレー牛乳ラーメン』です。
味噌とカレーと牛乳!?と、耳を疑ってしまうような組み合わせですが、青森のご当地ラーメンとして存在しています。
カレーのスパイシーさと、牛乳のまろやかさが絶妙だと、30年以上も地元で愛されています。
作り方は、カレーを中華スープと牛乳でのばし、味噌で味を整えるだけです。
中華スープと牛乳は、3:1~4:1くらいの割合が良いでしょう。
牛乳を入れずに中華スープでのばすだけでも、美味しいカレーラーメンになりますが、味噌と牛乳の意外な相性の良さを、ぜひ一度体験してみてください。
今回ご紹介したのは2種類の麺料理でしたが、もちろん定番のドリアやトーストに乗せても、美味しく食べられます。
隠し味の味噌は発酵食品なので、乳製品との相性が良く、チーズを使ったリメイク料理が特におすすめです。
美味しいカレーを、より美味しく食べるリメイク料理を研究してみるのも、面白いかもしれませんね。
隠し味をうまく使ってオリジナルカレーを作りましょう
日本の伝統的な調味料である味噌の、意外な活用法は参考になりましたか?
味噌の種類によっても味わいが変わってくるので、色々と試してみると、料理の幅がさらに広がるでしょう。
他の隠し味もうまく取り入れて、お店にも負けないオリジナルカレーを作ってみてくださいね。