魚を煮付けるときに、下処理として霜降りという、日本料理の調理の基本があります。
魚の下処理の霜降りをするメリットは、どのようなことか説明していきながら、魚の下処理方法の霜降りの手順を解説します。
そして、霜降りをしてから作る魚料理のレシピをお伝えします。
霜降りをするだけで魚が美味しくなり、料理のレパートリーも増えます。
魚の下処理工程の霜降りとは
魚の下処理は、いくつかの方法があります。
その中でも、魚の霜降りは、とても丁寧な下処理の仕方と言えます。
霜降りをするメリットは、もちろん、魚の臭みを取り除くことができることです。
そして、他の魚の臭みを取り除く方法と違うところは、合わせて魚のぬめりを取ることができることです。
また、霜降りをすることで、魚の余分な脂肪を取り除くことができます。
魚の嫌な臭いや雑味がなくなりますから、煮魚や鍋ものに、魚を入れるときに霜降りにしておくことで、煮汁やスープがすっきりと美味しく仕上げることができます。
また、霜降りをすることで、魚の表面にゼラチン質の膜ができます。
これが魚の煮崩れを防いでくれて、さらに旨みも閉じ込めてくれるのです。
魚に霜降りをすることで、料理のでき上がりの風味が、ぐっとアップします。
そして、魚の臭みを取ることで、少ない調味料でも美味しく仕上げることができるのです。
魚の下処理・霜降りとはどのようなこと?
魚の下処理の霜降りとは、魚に熱湯をかけることを言います。
魚を煮るときに、魚の臭みを料理に感じさせないようにするための下処理が、霜降りなのです。
魚だけではなく、お肉を煮るときにも、霜降りをすることで、肉の臭みを取り除いてくれます。
豚の角煮やもつ煮込み、ビーフシチューなどの、下ごしらえにも霜降りが使われます。
魚を調理するときに、魚を焼いたり揚げたりする調理では、魚の臭みの元となる脂や魚の血合いが、高温で熱せられることで取り除かれます。
そして、焼く調理や揚げる調理では、魚の嫌な臭みや雑味がしなくなります。
しかし、魚を煮る料理の場合は、魚の素材そのものを鍋に入れて、だしや水も入れて、火をかけて調理をします。
そのため、煮ることで魚の嫌な風味が、そのまま煮汁に移ってしまうのです。
そこで、日本料理の基本である、霜降りが必要なのです。
霜降りは、湯引きとも言います。
魚に熱湯をかけると素材の表面が白くなることから、霜降りと呼ばれています。
魚の下処理のひとつ・霜降りの手順
魚に熱湯をかける下処理が霜降りなのですが、ここでは丁寧な霜降りの仕方をお伝えします。
まず、霜降りをしたい魚の素材を、ボウルの中に入れます。
そこに、90度~95度くらいの熱湯を、魚にたっぷりとかけます。
ボウルにたっぷりとなるくらい、お湯を注いでください。
ここでポイントは、100度の熱湯にしないことです。
魚の表面のぬめりや、汚れなどを固めて洗い落すには、90度くらいで十分なのです。
あまり熱すぎると、魚の皮が破れてしまうこともあり、魚を傷つけてしまう原因になるのです。
沸騰直前、もしくは沸騰した熱湯に、少し水を差してから使いましょう。
90度くらいの熱湯を加えたら、箸などを使って全体を軽く混ぜます。
表面が全体的に白くなったら、差し水をして冷ましましょう。
ボウルに手が入れられる熱さになったら、魚をボウルの中で洗ってください。
魚の表面の汚れや血合い、魚のうろこを丁寧に取り除きます。
そのボウルの中の汚れたお湯を捨て、きれいなお水で洗ってください。
きれいになった魚の素材を取り分けて、ザルなどに移せば、下処理は終わりです。
この方法が、霜降りの基本です。
覚えておいてください。
丸のままの魚の下処理方法。霜降りでも工夫を
魚の下処理方法として、丸のままの魚の霜降りの場合は、魚のお腹の中なども水の中で、しっかり洗うことも大切です。
そして、丸のままの魚の霜降りのときには、魚の顔やひれの付近などは特に鱗が残っていないのか、よく確認することが大切です。
霜降りをしながら鱗を取り除くときに、鱗取りで取りにくい部分を指で1か所ずつ、魚の鱗が残っていないか確認してください。
丁寧に鱗を取り除き、魚のお腹の中もしっかり洗うことで、魚を調理したとき、料理の仕上がりが本当に違ってきます。
丸のままの魚の場合は皮が破れやすいので、鍋に落し蓋を落として、熱湯が直接、魚にかからないようにするのがポイントです。
特に魚のあら煮やお吸い物を料理する場合は、霜降りをしっかりするのとしないのでは、味が全然変わってしまいます。
味の薄い上品な味付けのモノや、魚を煮るときに臭み消しに生姜などの薬味が入らない料理こそ、しっかりと霜降りをしないと、美味しい料理にならないのです。
霜降りをしてから作る魚の煮付け
魚をうまく煮付けるには、できるだけ新鮮な魚を用意して、魚の下処理を丁寧にすることです。
魚の鱗をきれいに取り除き、腹に切り込みを入れて内臓を取りだした後は、腹の中をきれいに洗い流してください。
そして、霜降りの工程に入ります。
魚の煮付けの下処理は、霜降りを必ず行ってください。
サバの味噌煮も、霜降りをすることをオススメします。
サバは特に臭みが残りやすいので、下処理が大事です。
霜降りの前にサバに塩を振り、よくサバの水分を出した後に霜降りをすることで、サバの臭みがなくなります。
そして、煮込み時に臭み取りの生姜を入れることです。
さらに魚の煮付けのポイントは、お酒やみりん、醤油とお水で作った調味料に魚を入れるとき、必ず沸いたところで魚を投入することです。
サバの味噌煮も、同様です。
調味料が沸騰して、お酒などの煮きりが済んだ後に、沸騰しているところに魚を入れないと、臭みが残ります。
どんなに調味料の割合が良いレシピでも、薬味を入れても、魚を煮付けるときに下処理ができていないと、本当に美味しい魚の煮付けはできません。
魚の下処理を霜降りをしてからお吸い物を作る
魚のアラを使って出汁を取る、お吸い物を潮汁(うしおじる)と言います。
アジやサバ、ヒラメなどでもできます。
しかし、潮汁は鯛が最も上品で、旨味もあって美味しいと思います。
スーパーでも、鯛のアラは安価で売られていますので、その作り方をご紹介します。
まず下処理として、鯛のアラに塩を振って混ぜ合わせ、20~30分ほどおきます。
ここで、鯛の生臭みを取り除くわけです。
時間をおいた後に、90度くらいの熱湯を注ぎ入れて、箸で全体をさっと混ぜます。
これで霜降り完了です。
お吸い物は、下処理がちゃんとしていないといけません。
霜降りが、とても大切です。
霜降りをした後は、鯛の切り身を流水の中で表面のぬめりや血合い、鱗などの汚れを手で落としてください。
次に、鍋に水と昆布、洗った鯛のアラを一緒に入れます。
鯛のアラは水から昆布と一緒に火にかけて、じっくり出汁を引き出すことが大切です。
お酒を少し入れても良いでしょう。
鍋を、中火~弱火の間くらいの火にかけます。
すぐに沸かすのではなく、10分くらい時間をかけて、ゆっくりと鯛の出汁を取ってください。
ゆっくりと沸く火加減が最適です。
火にかけていると、水がどんどん白く濁ってきます。
沸く温度に近づくにつれ、アクもたくさん出てきます。
そこで、沸く直前に昆布を取り出し、お玉などを使って出てきたアクを、しっかり取り除きましょう。
アクを取り除き終えたら、火加減を弱火に落として、10分くらいもう一度、鯛のアラから旨味を引き出します。
そして、ここで塩加減を調整してください。
これで、潮汁の完成です。
また、お吸い物もよいですが、火を止めてお味噌を足して、味噌汁にするのもオススメです。
魚の下処理は霜降りをして丁寧に調理すること
魚の臭みを取る下処理は、魚を調理するためには必要です。
中でも、霜降りは、とても丁寧な下処理と言えます。
魚の臭みを取り除くだけではなく、熱湯をかけることで余分な脂も取れて、ヘルシーなだけではなく、味の染み込みも良くなります。
魚の煮付けは、どうしても身が崩れてしまいます。
しかし、霜降りをすることで、魚を煮付けたときに身が崩れるのを防ぐことができます。
ひと手間かけて、魚を美味しく調理してください。