お弁当作りには、冷凍食品の存在は本当にありがたいものです。
中には、余ったおかずを冷凍しておいて、そのままお弁当に詰めて自然解凍して食べているという人もいるようです。
実は、食品を自然解凍するのは、食中毒の危険が潜んでいるのです。
食品の冷凍、自然解凍について調べました。
自家製冷凍食品を自然解凍しても大丈夫?
自然解凍OK!と表示してある冷凍食品が増えてきましたね。
お弁当に1品足りないとき、夜ご飯に1品足りないとき、冷凍食品は便利です。
自然解凍OKの冷凍食品であれば解凍する手間もいらず、そのままお弁当に入れられるという手軽さから、利用する人が増え、数を増やしているようです。
しかし、自然解凍OKの冷凍食品をマネして、自宅で作ったおかずをシリコンカップに入れ冷凍し、そのままお弁当に入れている人もいるのではないでしょうか。
実はこれについては、食中毒の危険性が指摘されています。
自家製冷凍食品に関する注意喚起は、すでに行われています。
レシピサイトでも注意書きがあるくらいです。
販売されている自然解凍OKの冷凍食品は、最新の冷凍技術を使い、厳しい検査を通っているので、販売が認められているのです。
厳しい検査とは、
『35℃定温に設定した保存装置を使用し、9時間保存後に細菌試験ならびに官能試験を実施する』
というものです。
この状態でも細菌が増殖しないのですから、食品会社の冷凍技術は称賛に値しますね。
自然解凍は食中毒のリスクがあることを認識する
とはいっても危険性を周知のうえで、今まで自家製冷凍食品を自然解凍して、1度も問題が起きたことがないと豪語して使い続けている人もいます。
確かに、ニュースなどで自家製冷凍食品で食中毒になったという話は聞いたことがありません。
実際に、自然解凍した食品を食べても、すぐにお腹を壊すというわけではありません。
腐敗しているということと、食中毒になるということは違うからです。
腐敗しているもので食中毒になるのであれば、味噌や納豆でもお腹を壊してしまうことになります。
単純に腐敗しているだけでは、食中毒になりません。
食中毒とは、特定の病原微生物が食品の中で増殖し、毒素を生産し、食べた人に下痢や嘔吐などの病原微生物特有の症状を起こすことを言います。
腐敗より病原微生物の増殖が速いこともあるので、腐ってないと思って食べても、あとから食中毒になるということも起こりうるのです。
自家製冷凍食品のレシピは、レシピサイトで簡単に検索できますし、書籍としても販売されています。
販売されている書籍のレシピは、やはり普通のフリージングとは違ったポイントがあるようです。
ですが、素人のレシピでは危険が伴います。
もし、自家製冷凍食品を自然解凍で使いたいならば、書籍に載っている方法を守ることや、冷凍庫の保存状態が悪かったらきっぱりあきらめるなど、きちんとリスクを認識しましょう。
食中毒を防ぐためのテクニック
お弁当の食中毒を防ぐためには、いくつかのテクニックがあります。
せっかく作ったお弁当が、食べるまでに悪くなってしまっていたら悲しいですよね。
暑い季節には特に注意したいですし、寒い季節でも危険性は同じです。
食中毒には、細菌性・ウイルス性・化学性・寄生虫・自然毒など、主に5種類に分けられています。
お弁当でいちばん心配なのは、細菌性の食中毒です。
細菌性の種類をさらに細かくご紹介しますと、
ブドウ球菌・サルモネラ菌・O-157・腸炎ビブリオ・カンピロバクター菌・病原性大腸菌などなどです。
どれも聞いたことがある名前だと思います。
食中毒を防ぐための基本はこちらです。
◎付けない
◎増やさない
◎殺菌する
75度で1分以上加熱すると、菌を殺すことができると言われています。
ちょっとした工夫で食中毒を防ぐことができますので、ぜひ実践しましょう。
・お弁当に食べ物を詰めるとき、お酢を1滴垂らして、キッチンペーパーで伸ばし、殺菌する。
・食材に素手で触らない。
・加熱したものは、冷めてからお弁当箱に詰める。
・果物類は別の容器にする。
冷凍したミニゼリーを保冷剤代わりに入れるという人もいますが、自然解凍の間に水滴が付いてしまいますので、お弁当とは別にするなど、工夫が必要になります。
お肉の自然解凍も食中毒のリスクあり
お弁当の冷凍食品についてお話してきました。
次は、一般家庭でも、よく使われるお肉の冷凍保存についてお話していきます。
一般家庭でも、安く買ったお肉を冷凍保存しておくことは、日常的にあるかと思います。
しかし、冷凍した食材を自然解凍すると、食中毒のリスクが高まります。
例えば、お肉を解凍するとします。
カチカチに凍っているお肉を冷蔵庫に移して解凍するのは、時間がかかります。
朝、冷蔵庫に移しておかなければ、夕食には間に合わないでしょう。
今日の夕食で使いたいのに、まだお肉はカチカチのまま。
そうなったとき、ついつい常温に置いて解凍してしまっていませんか。
食品の細菌が繁殖する温度は、5度から60度の間と言われています。
室温は大体20度から22度くらいと考えると、食品にとっては、とても危険な温度といえます。
お肉の中心部分まで常温になるころまで、何時間常温にさらされていたでしょうか。
火を通すから大丈夫と思っていても、殺菌するためには、しっかりとお肉の中心まで火を通す必要があるのです。
食中毒になってからでは遅いのですから、ご家族の健康を守るという意味でも、食品の管理は大切です。
冷凍したお肉を解凍する方法①
お肉を解凍するには、冷蔵庫での解凍が食中毒の心配もなく、手間もかかりませんが、自然解凍よりも時間がかかります。
安全に、早くお肉を解凍するのにおすすめなのは、冷たい水を使って解凍する方法です。
密閉袋を用意します。
お肉を入れて、冷たい水の入ったボウルに沈めます。
水の温度が上がらないように、30分ごとにお水を取り替えましょう。
ただ、たいてい30分くらいで解凍ができるので、そんなに水を取り替えることはないようです。
もうひとつ、裏ワザがあります。
アルミ製の鍋を2つ用意します。
ひとつめの鍋に、鍋底から3cmくらいお水を入れておきます。
もうひとつの鍋を裏返しにして、平らな場所に置きます。
裏返した鍋の上に、ラップした冷凍肉を置きます。
さらに、冷凍肉の上に、水を入れた鍋を置きます。
冷凍肉を、2つの鍋でサンドしている状態です。
これで、少量のお肉であれば5分くらいで解凍できます。
ただ、冷凍したお肉が厚すぎたり、均等に平たくなってないと、上に鍋がおけませんので、使えない場合もあります。
アルミ鍋でなくても、熱伝導率の良い金属であれば代用できるそうですよ。
冷凍したお肉を解凍する方法②
冷凍した食品を解凍するのに、電子レンジを使う方法も一般的ですね。
電子レンジで上手に解凍するためのテクニックをご紹介します。
①カチカチに凍った状態で電子レンジに入れる。
少し解凍が進んだ食品ですと、水分が出てしまっていることがあります。
水分が出てしまうと、電子レンジは、その水分に反応して解凍ムラができてしまいます。
解凍ムラを出さないために、カチカチの状態で電子レンジにかけます。
②電子レンジの機能を活用する。
電子レンジには、「解凍」や「手動」というボタンが付いています。
すぐにお肉を調理するという場合には、「解凍」を使います。
調理済みの食品や少ない量を解凍したい場合、「手動」で電子レンジの出力を調整しましょう。
弱加熱というボタンがあれば、それを使います。
「半解凍」というボタンが付いている機種もあるようです。
③お肉を解凍するときはクッキングペーパーを使う。
ラップで包んだまま解凍している人も多いと思いますが、ラップは外します。
クッキングペーパーを敷いた容器に載せて解凍することにより、お肉から出た余分なドリップを吸い取ることができます。
余分な水分がなくなるので、加熱ムラができにくくなります。
これは魚を解凍するときにも使えます。
このような解凍方法や、自然解凍を使い分けて、暑い季節も食中毒を防いでいく工夫をしていきたいですね。
食中毒の危険はどこにでもある
冷凍した食品を保冷剤代わりに、お弁当に入れている人をよく見ます。
冷凍食品では保冷効果を得られませんので、きちんと保冷剤を入れた方が良いでしょう。
食品の自然解凍を、自宅で行っている人も多いと思います。
食中毒の危険は、どこにでも潜んでいることを考えて、気を付けて調理していきたいですね。