醤油のアルコールは悪者?添加物だらけで作られた醤油もある

日本の食卓に欠かせない醤油。
ほとんどの日本人が毎日、口にしていると思います。

毎日のことだから、できるだけ添加物やアルコールが入っていない上質のものを使いたいですよね。

今回は、醤油について調べてみましたので、醤油を買う際に参考にしてみてください。

醤油の始まり

和食に欠かせない調味料である醤油ですが、実は添加物を多く含むことがあり、注意が必要です。

今回はアルコールなどの醤油の添加物と醤油について詳しく解説します。

日本人にとってなじみの深い醤油ですが、世界でも「soy source」として親しまれつつあります。

ところで醤油はどのようにして誕生したのでしょうか。

歴史上の史料に「醤油」の文字が登場したのは安土桃山時代からです。
ただし、それ以前から醤油のようなものは存在したそうです。

日本の夏は暑く梅雨は湿度が高くカビが生えやすいという自然条件を利用して、穀物に麹菌を生やした麹を使用して発酵食品を作る技術が確立し、味噌、醤油、日本酒などの醸造物が生まれました。

醤油の起源は古代中国から伝わった「醤」という食料を塩でつけたものです。
野菜などを使ったものは「草醤」、魚を使ったものは「魚醤」、穀物を使ったものは「穀醤」といい味噌や醤油はこのうち「穀醤」に当たります。

日本での醤油の起源としてはかなり多くの説がありはっきりしませんが、鎌倉時代に覚心という僧が中国から持ち帰った径山寺味噌の製法が和歌山に広まり、味噌桶の底に溜まった液体から醤油が生まれたという説があります。

添加物としてアルコールが入っている醤油は悪いもの?

醤油は保存期間を長くするためと生産コストを抑えるために添加物を使用していることが多いです。
この添加物としてアルコールを含んでいることがあります。

食品添加物というと身体に悪いという印象を持つと思われますが、アルコールの場合はそう言い切れるわけではありません。

醤油にアルコールを加えるのは白カビの発生を防ぐためです。
この白カビは身体には無害なのですが風味や香りを失うということで、現在では発生を防ぐ対策をしています。

白カビの発生を防ぐには「塩分が高いこと」「窒素量が多いこと」「アルコール濃度が高いこと」の3つが必要です。
醤油によってはこの3つのうちの1つが低いことがあります。

例えば淡口醤油はうま味成分である窒素量が少なく、白カビを抑えるには塩分を高めるかアルコール濃度を高めるかをしなければなりません。
そういう場合は塩分を低くするためにアルコール濃度を高くすることになります。

醤油の栓を開けた時に良い香りが立ち上ってくるのはアルコールの揮発効果によるところもあり、発酵過程でアルコールは自然発生しています。

しかし、安価に流通させることを目的としてうまみ成分を低くした醤油にアルコールを添加する場合もあります。
そのため、添加物にアルコールが含まれているからいいとも悪いとも言えず、作り手がどのような意図でアルコールを添加しているかで判断をしなければなりません。

添加物・アルコール不使用のオススメ高級醤油

先ほど解説した醤油に含まれるアルコールなどの添加物を含まない醤油は、保存が効きにくく生産にもコストが掛かっているため価格も高いです。
しかし、添加物を多く含む醤油に比べて味も香りも良く、健康にも良いのでオススメです。

ここでいくつか紹介します。

・丸中醸造醤油
容量720ml 価格1555円 製造元:丸中醤油株式会社 原産地:滋賀
国産の大豆と小麦を使用しています。
塩も天日塩を使用しています。

・下総醤油
容量290ml 価格880円 製造元:ちば醤油 
原材料の丸大豆、小麦、塩すべて国産の厳選されたものだけを使用し、伝統の木桶でゆっくり熟成されました。

・国産特別栽培生醤油
容量1000ml 価格1048円 製造元:ヤマキ醸造
国産の特別栽培大豆、小麦を自然豊かな神泉の名水を使用し、昔ながらの製法によって杉樽で醸造されています。

・超特選むらさき
容量1000ml 価格692円 製造元:チョーコー
厳選した材料を使い、しっかり発酵・熟成させた特級「超特選」濃口醤油です。
ほのかな甘みと冴えた色合い、芳醇な香り、まろやかな味を兼ね備えた逸品です。

・生詰無添加生しょうゆ
容量720ml 価格486円 製造元:フンドーキン
国産丸大豆と国産小麦を使用し、加熱処理をしていないのでもろみ由来の芳醇な香りと味わいが生きた食品添加物無添加の醤油です。

添加物で作られた醤油

スーパーなどで売られている醤油は値段の差が非常に大きいですが、実は醤油だと思われているもののうち、価格の安いものにはアルコールなどの添加物を使った醤油ではない「醤油風調味料」があるのです。

醤油の原料は「丸大豆、小麦、塩」で、本来は非常に時間を掛けて作ります。
出来上がるまでに1年以上掛かるものもあります。

時間を掛けて作る昔ながらの製法によって作られた醤油は、大豆のたんぱく質が分解してできる20種類ものアミノ酸の旨味、大豆の脂肪分が分解してできるアルコール分などの風味も良いのが特長です。
しかし、もっと速くコストをかけずに醤油が出来ないかという考えから、代替品の開発が始まりました。

醤油の旨味はアミノ酸ですが、このアミノ酸は時間をかけて発酵させなくても化学調味料で簡単に作ることが出来ます。
大豆も油を搾った残りかすの脱脂加工大豆で代用できます。

こうして出来た安い醤油の代用品は香りも味もないので、本物らしく添加物で味と香りを付けます。
さらに日持ちを良くするために保存料も加えます。

このようにしてできたのが醤油だと思われている「醤油風調味料」なのです。

スーパーの寿司などについている魚の形をした容器に入っているものは醤油風調味料だと思ってよいでしょう。

アルコールの入っていないハラル醤油

醤油の添加物について解説をしていますが、国際化の進む現代の日本で問題となっていることがあります。

イスラム法においては豚肉などの食べ物を食べることが禁じられています。
このようなイスラム教徒が食べることが出来ないものをハラームと言います。

反対にその他の食品においても食べてよいものには加工方法、調理方法に関して一定の基準が求められており、この基準を満たした食品をハラールと言います。

イスラム教徒は東南アジアのシンガポール、マレーシア、インドネシアだけで3億人、世界全体で19億人とも言われています。

そんなイスラム教徒の多くは日本に来ることを望んでいます。
そして、日本に来て和食を食べることを楽しみにしています。

しかし、ここでハラールが問題となってきます。
日本にはハラールの基準を満たした食材、調味料、レストランがほとんど存在しないので、イスラム教徒は多くの日本食を楽しむことが出来ません。
醤油は日本食には欠かせない調味料ですが、添加物にアルコールを含むことがあります。
イスラム教徒はアルコールを飲むことを禁止されています。
そのため、イスラム教徒向けには原材料表示にアルコールの記載がない、アルコール無添加の醤油を選ぶ必要があります。

さらにイスラム教徒に安心してもらうために、醤油の発酵過程で発生する微量のアルコール成分も制限したハラール認証取得済みの醤油を使うと良いでしょう。

ハラールは豚とアルコールを避ければよいわけではない

イスラム教徒が食べることの出来るハラールについて、もう少し詳しく解説します。

日本料理で特に厳しくチェックされるのは醤油です。

醤油は添加物にアルコールを含むことがあり、製造過程でもアルコールが発生してしまうことがあるため、イスラム教徒向けの食事に使用することは難しいです。

豚以外の動物でも食用にするためには適切に屠殺されている必要があるため、ビーフステーキのような料理も無条件に食べられる訳ではありません。

また、牛の骨をろ過材として利用した食材も、その牛が適切に屠殺されているか証明する必要があります。

調味料やふりかけなどはメーカーが主成分を企業秘密にしている場合が多かったり、一般的なアルコール洗浄液を使えなかったり、ハラール対応には多くの労力が必要です。

ハラールはイスラム教徒だけのためのものという印象が強いですが、全ての原材料が明確になるということは食材に対して安心できるということでもあります。
実際に特別なことをしなくても、うどんやそばなど原材料がシンプルなものはハラール認証が簡単に済みます。

日本を訪れる観光客のイスラム教徒はもちろん、日本食の海外への輸出などでこれからもハラールを意識した活動がより身近になってきます。
食事に全く制限のない日本人にとっても、イスラム教やハラールのことを知ることはこれから重要になるのは間違いありません。

毎日食べるものこそ安心な調味料を使う

醤油は味噌と並んで日本の食事に大きく関わっている調味料です。

できるだけ添加物の少ない、シンプルな材料で作った醤油を使いたいものですね。

どんなに新鮮で美味しい魚を買ってきても、使う醤油が醤油風調味料だとしたら、添加物の含まれた魚を食べているのと同じになってしまいます。

毎日のことだからこそ、安心で美味しいものを選んでみませんか。