香ばしい焼きたてのパンが手に入ったときは、うれしくて気分が上がりますね。
そんな焼きたてのパンが、自宅で作れるとしたら、どんなに食卓が楽しくなるでしょうか。
しかし、パン作りは難しそうと思っている人も、たくさんいると思います。
パン作りを知るには、まず何で失敗するか、原因を考えてみましょう。
こちらではパン作りの失敗しやすいポイントについてお伝えしたいと思います。
パンを作るためには発酵が大切
近年では、ホームベーカリーも普及して、簡単に自家製パンが楽しめるようになり、自宅でパンを焼く人も増えてきているようです。
パン作りは基本的に、
・強力粉
・砂糖
・塩
・ドライイースト
・水
この5つの材料で作ります。
シンプルですね。
これだけ見ると、そんなに難しいようには感じませんね。
工程は、
こねる→1次発酵→ベンチタイム→2次発酵→オーブンで焼く
このようになります。
1次発酵や、ベンチタイムなど聞きなれない単語が出てきます。
パン生地を作るためには欠かせない発酵ですが、これがパン作りの中で一番難しいと思います。
パン生地はイーストによって発酵しますが、このイーストというものが、生地に含まれる糖分を分解し、炭酸ガス、アルコール、有機酸などを作ります。
これによってできた炭酸ガスをグルテンが包み込み、生地が膨らみます。
ベンチタイムとは、1次発酵のあと、生地を分割してから生地を休ませる工程のことです。
生地を分割し成形する段階で、生地が傷ついて、生地内に発生したガスが抜けてしまいます。
そうなると、縮みやすい生地になってしまいます。
ベンチタイムをとることで、再び生地内に軽く発酵が起き、生地に張りが出ます。
パン作りについて簡単に説明しましたが、パンは生きているといいます。
生きものなので、扱いを失敗すると、うまく焼けないのです。
では、そのうまく焼けない原因をご説明していきます。
パン作りの失敗は温度が原因?
パンを手作りし始めると、必ずぶち当たる壁があります。
第1の壁は「気温」です。
冬にはうまく作れたのに、夏になったら上手くいかない。
分量は同じなのに。
このような悩みを持つ人は、少なくありません。
失敗の原因はシンプルに気温です。
気温が高くなると、室温も高くなり、自分の体温も高くなっています。
そのため、パン生地をこねている間に生地の温度も上がります。
パンは気温が高くなると、生地がゆるく柔らかくなり、逆に寒くなると固く締まってこねにくくなります。
なので、ここで重要になってくるのが、気温に合わせて水の温度も変えるということです。
夏は、冷水(氷を入れた水)、冬はぬるま湯(体温程度)で生地をこねます。
春と秋は日によって気温差が激しく、温度調節が難しくなりますが、あまり難しく考えず、体感温度で寒いと思えば常温水、暑いと思えば氷をひとつ足してみるという感じで良いでしょう。
水分の温度を変える以外にも、季節によって水分量を変えるということもあります。
梅雨などの雨が続くようなときは、200gの強力粉に対して、水を小さじ1杯程度(5㏄)減らします。
逆に乾燥している季節では、同様に水を小さじ1杯程度足しましょう。
発酵の見極めが失敗を防ぐポイント
第2の壁は「発酵」です。
生地をこねたあと、1次発酵させますが、いつ発酵が終わったのかわからないという意見が多いのです。
確かにわかりにくいと思います。
生地の大きさが2倍程度になったら完了と、いろいろなレシピに書いてありますが、その大きさがよくわからないですよね。
時間を計っても、季節によって変わってくるので、あてになりません。
結果、発酵しすぎてしまったり、発酵が足りなかったりという失敗が起きます。
焼きあがったときに、膨らまない原因にもなります。
そんなときは、プラスチックの保存容器を活用します。
その際は、フタ付きの透明の保存容器を用意してください。
パンを発酵させるときは、ボウルで発酵させることが多いと思いますが、ボウルでは大きさが把握しにくく、いつ2倍の大きさになったのかわかりにくいのです。
プラスチックの保存容器であれば、大体の大きさがわかりやすく、生地量の目安が付けやすいです。
フタがあるため、乾燥も防げます。
透明なので、横から見たときに、生地がどのくらい膨らんだかわかりやすいですね。
メモリが付いている保存容器もあるので、発酵前のメモリを覚えておくと、よりわかりやすいです。
もう少し上級になってくると、指を挿してみるという確認方法があります。
フィンガーテストといいます。
このやり方は、指に強力粉を付け、パン生地に人差し指を第2関節くらいまで挿します。
指を抜いた後、生地の戻り具合やへこみ具合をを確認します。
へこんだところが気持ち戻る程度の状態が、発酵がちょうど良い状態です。
何度か経験してみないとわからないと思いますので、とにかく何度か挑戦してみましょう。
パンに焼き色が付かない原因は何?
第3の壁にいきます。
「焼き色」の問題です。
レシピ通りの焼き時間で焼いても、パン屋で売っているような、おいしそうな焼き色が付かないのです。
原因はこのようなことが考えられます。
・予熱が足りない
・オーブンの温度が低い
・発酵しすぎてしてしまった
家庭のオーブンはそれぞれクセがありますので、レシピ通りの温度設定だと、失敗してしまうことがあります。
基本的にオーブンの温度が低ければ、焼き色は付きません。
焼き色が付かなかった場合、まずはオーブンの温度を疑います。
・予熱を50℃高くする
・予熱を10分長くする(予熱完了の合図が出てから10分放置する)
このようにしてみてください。
それからオーブンですが、扉を開けたら、のんびりしていてはいけません。
扉を開けた瞬間、オーブン内の温度は下がります。
予熱の意味がなくなってしまいますので、扉を開けたら素早く天板をセットし、すぐに扉を閉めてください。
扉は、そっと開けてください。
勢いよく開けると、中の熱い空気が勢いよく飛び出してきてしまいます。
発酵しすぎの問題は、発酵の際、酵母が糖分を分解してしまうので、生地の中の糖分が減ってしまうことによります。
糖分は焼き色を付ける元なので、糖分が減ってしまうと当然、焼き色も付きにくくなってしまいます。
その際は、発酵時間を調整しましょう。
ホームベーカリーで失敗してしまう原因
手軽に焼きたてパンが楽しめるホームベーカリーを、持っている家庭も増えてきていますね。
一度使うと、あまりのおいしさに、市販のパンは食べたくなくなってしまうかもしれません。
材料を計って入れるだけで、焼き立てパンが食べられる、そんな簡単なホームベーカリーですが、ちょっとした理由で失敗してしまうことがあります。
簡単ゆえに、シンプルな失敗もしやすいようです。
・生地を混ぜるためのパン羽根を付け忘れる
・イーストを入れ忘れる
などです。
上記の理由ではパンが焼けないのは当然ですが、パン羽根もセットしたし、材料も全部入れたというのに、成功しないという場合の原因は何なのでしょうか?
まず考えられるのは、材料が古くなっているということです。
特にイーストは、保存状態が悪いと発酵力が低下し、うまく発酵しません。
中力粉や薄力粉を使った場合も、パンが膨らみません。
国産の小麦粉も膨らみにくいです。
米粉もそうです。
それから、ダイエット中でもパンを食べたいという理由で、合成甘味料を使ってパンを焼こうとしても、うまくいかないようです。
イーストが発酵するために、糖分が必要だからです。
自分で材料を調節するだけで、あとは全部やってくれるのがホームベーカリーの利点でありますが、いくら簡単なホームベーカリーでも材料の調節だけで失敗するのです。
ホームベーカリーもオーブンと同じようにクセがありますので、使いこなせるようになるまでには、やはり何度も挑戦しないといけないようですね。
失敗したパンの活用法
パン作りに挑戦したけれど、失敗してしまったというときは、違う料理にしてしまうのもひとつの手です。
生地が膨らまなかったら、このようにしてみてはいかがでしょう。
・薄く延ばしてピタパン・ピザ生地にする
・水を足してこね直し、うどんやニョッキのようにする
もし、焼きがったものが膨らんでいないなどの失敗作であれば、
・フードプロセッサーで刻んで、パン粉として使う
・薄く切ってカリカリに焼く
・揚げてラスクにする
生焼けになってしまった場合は、ゆっくりとトースターで加熱すると焼けますが、ふわふわの風味は失われてしまいます。
パン粉などにする方が良いでしょう。
パンが膨らまない原因は、やはりイーストの入れ忘れが多いようですね。
しっかり材料を用意してから、パン作りを始めましょう。
失敗しても再チャレンジしよう
色々とご紹介してきたパン作りですが、やはり一番大切なのは、発酵の部分だと思います。
この部分さえマスターすれば、パン作りがぐっと楽になるでしょう。
1度や2度の失敗ではコツをつかむのは難しいので、失敗してもめげずに何度でも挑戦することが大事です。
頑張っておいしいパン生活を手に入れましょう!