トランス脂肪酸を含まない油を選んで健康生活を送りましょう

心血管系疾患リスクや、その他の健康被害に影響を及ぼすことが懸念されているトランス脂肪酸。

欧米では使用を規制する動きがありますが、私たちの身の回りの食品や食用油にはまだまだ多く含まれています。

この記事では、なぜ避けるべきなのか、その理由に迫ります。

また、トランス脂肪酸を含まない油にはどんな種類があるか、どのように使うかについての注意点も取り上げます。

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なぜトランス脂肪酸を含まない油を選ぶべきなのか?

2018年6月18日以降、アメリカ合衆国ではトランス脂肪酸の使用が全面禁止となりました。

カナダもこの動きに追従し、トランス脂肪酸を含まない油の使用のみを許可する見込みです。

理由は簡単で、「トランス脂肪酸は安全ではない」と判断されたからです。

では、トランス脂肪酸とは何でしょうか?

脂質そのものは人間に必要な三大栄養素の一つですが、その主成分が「脂肪酸」と呼ばれています。

通常、脂肪酸は分子構造が不安定な液状で、とても劣化しやすい状態になっています。

これを、使い勝手の良い固形にしたり、酸化しにくく劣化しにくい安定した状態にするために、水素を添加して加工します。

その過程で発生するのが「トランス脂肪酸」です。

結果として、賞味期限の長い、保管に便利な固形の植物油(マーガリンやショートニング)ができあがるわけです。

しかし、この「トランス脂肪酸」は一部の例外を除いてほぼ自然界には存在せず、人工的に作り出されたものなので、人間の消化器系では首尾よく代謝することができません。

そのうえ、善玉コレステロールを減らし悪玉コレステロールを増やすことによって、動脈硬化や心疾患のリスクを高めたり、脳の細胞膜の働きを悪化させることから、認知症の発症リスクを高めたりするといった人体への悪影響が報告されています。

そうした理由で、様々な国でトランス脂肪酸を含まない油の使用が推奨されているのです。

主な食品のトランス脂肪酸含有量ランキング

自宅で使用する油をトランス脂肪酸を含まないものに変えたとしても、他の食品から摂取してしまう可能性があります。

以下に、厚生労働省が調査し公表している主な食品をランキング形式でご紹介します。

いずれも、100gあたりのトランス脂肪酸含有量の平均値です。

1位 ショートニング 13.574g

2位 マーガリン 8.057g

3位 ファットスプレッド 5.499g

4位 パイ 4.752g

5位 クリーム(乳脂、植物油) 3.017g

6位 バター 1.951g

7位 クッキー 1.916g

8位 スナック菓子(コーン系) 1.715g

9位 植物油(ナタネ油など) 1.359g

10位 マヨネーズ 1.237g

11位 イーストドーナツ 0.673g

12位 スナック菓子(ポテト系) 0.308g

13位 菓子パン 0.204g

14位 食パン 0.163g

15位 即席中華麺 0.128g

いかがでしょうか?

サクサク食感のお菓子に多く使用されているショートニングは、桁違いであることがわかります。

また、スナック菓子でもコーン系よりもポテトチップスのほうがトランス脂肪酸を含まないという結果も興味深いですね。

WHO(世界保健機関)によると、健康増進のための目標基準として、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるように提示しています。

これは、1日当たり約2gに相当します。

上記のリストを見ると、2gなんて油断するとあっという間ですね。

できるだけ、トランス脂肪酸を含まない食品や油を選びましょう。

トランス脂肪酸を含んでいる身体に良くない油

今のところ日本では、トランス脂肪酸の使用を規制したり、含まない油の使用を強制したりする動きはありません。

ですから、消費者が自分で正しい知識を得て、良くない油を避け、身体に良い油を選ばなければなりません。

では、どのような油を避けるべきなのでしょうか?

代表的なものはマーガリンです。

最近はトランス脂肪酸の悪評を受けて、各メーカーの企業努力によりトランス脂肪酸フリーや不使用といった売り文句の商品が発売されています。

とはいえ、トランス脂肪酸が全く含まれていないマーガリンというものは、日本にはまだないようです。

さらに、ショートニングを使用したスナック菓子、クッキーや菓子パンなども避けたいところです。

加えて、トランス脂肪酸は油を高温で加熱した際にも生成されることも見過ごせません。

つまり、同じ揚げ物油を繰り返し使い続けると、それだけトランス脂肪酸を摂取することになってしまいます。

ファーストフードやレストランを使用する際は気を付けたいですし、ご家庭で揚げ物をするとしても、古い揚げ油を使い続けないようにしましょう。

トランス脂肪酸を含まない、ぜひ摂取したい良い油

一方、油脂そのものが悪いわけではないことも覚えておきたいものです。

冒頭でも言及した通り、脂質は、たんぱく質や炭水化物と同様に、人間に必要な栄養素です。

摂り過ぎは肥満の原因になりますから気を付けなければなりませんが、まったく摂取しないというのもバランスが欠けます。

それで、トランス脂肪酸を含まない、身体に良い影響を与える油をチョイスしましょう。

例えば、アマニ油やエゴマ油が挙げられます。

これらはα―リノレン酸という脂肪酸が含まれていて、老化を予防する油と言われています。

このα―リノレン酸は、必須脂肪酸と言われるオメガ3脂肪酸に分類されていて、細胞膜を安定させる働きがあります。

特に脳細胞の細胞膜が正常に働けば、神経伝達がスムーズになり、記憶力の向上や認知症の予防にも効果が期待できます。

さらに、アレルギー症状を抑制する効果も報告されているため、花粉症やアトピーなどに悩まされている方にも取り入れていただきたい油です。

ただし、とても酸化しやすく加熱に弱いため、そのままで使用することが望ましいとされています。

もし、加熱料理に使用したいのであれば、オリーブオイルが適切でしょう。

オリーブオイルに含まれているオレイン酸は、酸化しにくい油と言われています。

そして、善玉コレステロールを減少させずに悪玉コレステロールを減らす働きをします。

トランス脂肪酸とまったく逆の効果が期待できるわけですね。

結果として、血液がさらさらになり動脈硬化の予防や心筋梗塞のリスクを減らすといった効果が期待できます。

トランス脂肪酸を含まないアマニ油の使い方

先述した通り、アマニ油はトランス脂肪酸を含まない良質な油ですが、熱に弱く酸化しやすいため、最大限の効果を引き出すには加熱せずそのまま使用する必要があります。

この油でドレッシングを作ってサラダにかけたり、ヨーグルトやスムージーに混ぜたり、といった使い方が多いようです。

中でもおすすめなのがこのレシピです。

<梅香る和風カルパッチョ>

【材料 2人分】

・青魚の刺身(イワシやサンマなど)1パック
・タマネギ 1/2個
・大葉 2枚
・赤パプリカ 1/4個
・〇梅干し(はちみつ味) 2個
・〇アマニ油 大さじ2
・〇しょうゆ 大さじ1
・〇酢 大さじ1
・〇塩 少々

【作り方】

①タマネギは薄くスライスし、熱湯にさらし10分ほど置いてください。

その後、ざるにあけて水を切りつつ、冷まします。

②赤パプリカは5mmくらいの角切り、大葉は細切りにしておきます。

③梅干しは種を取り除いてみじん切りにし、②と〇印の調味料を加えてよく混ぜてください。

④お皿に水を切ったタマネギスライスを敷き詰め、その上に刺身を広げ、③のソースをまんべんなくかけます。

最後に、細切りにした大葉と赤パプリカを全体に散らして完成です。

アマニ油はもともとサラっとしていますが、梅をプラスすることによって青魚の臭みも消し、さっぱりと食べられるメニューです。

トランス脂肪酸を含まないオリーブオイルの使い方

「健康に良い油」というイメージがすっかり定着したオリーブオイルですが、すべてのオリーブオイルがトランス脂肪酸を含まないわけではないことも知っておかなければなりません。

実は、エキストラバージンとうたっていても、抽出し精製する過程で高温で加熱してしまっていて、結果として油が酸化してしまい、トランス脂肪酸を含んでしまっている製品もあります。

オリーブオイルを選ぶ際は、低温で圧搾されたもの(コールドプレス製法と呼ばれる)や非加熱で圧搾されたものをチョイスしましょう。

そんなオリーブオイルを使ったレシピです。

<ナスのオリーブオイル漬け>

【材料】

・ナス(大) 3本
・ニンニク 2かけ
・オリーブオイル(炒め用) 大さじ1
・〇オリーブオイル(漬け汁用) 大さじ4
・〇ワインビネガー 大さじ5
・〇塩 小さじ1
・〇コショウ 少々

【作り方】

①ナスはヘタを切り落とし、縦半分に切り、さらに縦に細切りにしてください。

灰汁をとるために水にさらします。

②ニンニクは薄切りにしてください。

③炒め用のオリーブオイルを引いたフライパンで、水を切った①のナスを炒めます。

④ナスがしんなりしたら密封できる容器に隙間なく敷き詰め、その上にニンニクを並べます。

⑤ナスがまだ冷めないうちに、〇の調味料をよく混ぜた漬け汁を容器に流し込みます。

⑥粗熱がとれたらふたをし、冷蔵庫で1晩寝かせたら完成です。

そのままでおつまみになりますし、パスタの具やカナッペのトッピングなどにも使える、万能な保存食になります。

ナスの皮の紫がにじんで、見た目にもきれいです。

トランス脂肪酸を避けて健康な身体作りをしましょう

中には「日本人は欧米人ほどトランス脂肪酸を摂取していないので、それほど神経質にならなくてもよい」と言う人もいるかもしれません。

とはいえ今の日本人は、昔ながらの和食よりも欧米人に似た食生活をしつつあることを考えると、それほど悠長なことは言ってられないのかもしれません。

最近の健康志向のおかげで、アマニ油やエゴマ油などの良質な食用油が手に入りやすくなりました。

ぜひトランス脂肪酸を含まない油を選んで、賢い消費者になり、健康で長生きできる身体作りをしましょう。