カロリーを摂りすぎると太る、という言葉が一般的になったのは昭和50年代に入ってからです。
それ以前は、カロリーなどという言葉を意識する人はほとんどいませんでした。
むしろ、高度成長期はガリガリのやせ細った日本人よりも、肉や乳製品をしっかりとった欧米人に負けない身体を作るということが、学校の目標でもありました。
しかし、バブル期に入ると肥満という問題が起こり、太ることは悪い事、不健康なこととなります。
そのころから、カロリーの摂りすぎは太る、ということを誰もが意識するようになります。
ところで、なぜカロリーを摂り過ぎると太るのでしょうか。
今回は、カロリーと太る仕組みについてのご紹介です。
カロリーを摂りすぎると太るという仕組みの前に
まずは、カロリーと太る仕組みのお話の前に、自分がどれくらいのカロリーを1日に摂ると良いのか、ということをお話しましょう。
まず、私たちは自分の命を維持するために「基礎代謝量」というカロリーが必要になります。
基礎代謝量は年齢や体重によって違いがあり、最も高くなるのが、男子は15~18歳の高校生で1日1610キロカロリー、女子は12~14歳の中学生で1日1410キロカロリーになります。
これは身長が一番伸びる成長期であることも関係しています。
そして、年齢とともに低下し、20代の女性は1日1110キロカロリーになります。
50歳以上の女性は1日1100キロカロリーで、小学校低学年並になります。
そして本来ならば30代、40代は20代よりも低下するはずですが、2017年に発表された基礎代謝量は30代40代の方が、1日1150キロカロリーと高くなっていました。
なぜこのような現象が起こってしまったのか、というのはまた後程お話をしましょう。
ここで、みなさんはまず自分の年齢の世代に必要な「基礎代謝量」のカロリーがわかりました。
ここに、身体活動レベルに応じた消費エネルギーの数値をかけて、1日に必要な推定エネルギー必要量を計算します。
例えば、家でゴロゴロと過ごす休日や、専業主婦で色々な活動や運動が好きではない人は1.4~1.6倍します。
20代なら1554~1776キロカロリーになります。
30代なら1610~1840キロカロリーです。
一方、宅配の仕事や自転車で配布をする、看護師や体育の教員・保育士は仕事内容もハードになります。
身体活動レベルが高くなり、1.9~2.2倍します。
特に、運動選手や仕事と運動を両立しているノンプロや、実業団のアスリートの人なら2.2倍しましょう。
同じ20代でも、アスリートの女性なら2442キロカロリー必要になります。
一般的に、スーパーのレジなどの立ち仕事や保険の外交など営業で外回りの仕事をしている人、仕事と家事育児を両立している人、家事育児・介護で精力的に活動をしている人は、1.6~1.9倍します。
20~40代の女性の多くはココに当てはまる人が多いかもしれませんね。
20代なら1776~2109キロカロリー、30~40代なら1840~2185キロカロリーです。
このように、年齢と活動によって推定エネルギー必要量が違いますので、自分の年齢と活動の数値を知っておくと良いですね。
カロリーの摂りすぎで太る仕組みとは
自分の推定エネルギー必要量を知って、意外と食べられると感じた人と、意外と食べられないと思った人がいるのではないのでしょうか。
意外と食べられると感じた人は、一日に摂っているカロリーがそれほど摂りすぎになっていない人ですね。
意外と食べられないとがっかりした人は、普段食べすぎになっている可能性が高いです。
もちろん、カロリーだけでは一概に摂りすぎとは言えませんが、まずは簡単にカロリーとの関係をお話ししましょう。
皆さんは、朝ごはんを簡単に菓子パンで済ませている人はいませんか?
菓子パンは満腹感をあまり感じなくても、カロリーは高いです。
デニッシュペストリーは1個のカロリーが336キロカロリー、メロンパンが293キロカロリーになります。
1個では物足りないと、2個食べてその他にコーヒーに砂糖やミルクを入れると、朝食だけでおよそ650キロカロリーほどになります。
昼ご飯は職場近くの人気のラーメン店に行きます。
ラーメンは店や味、具によってカロリーは様々ですが、背脂たっぷりのラーメンや、サービス中だからと大盛にすると、1杯で800~1500キロカロリーになります。
カロリー控えめの店でも、500キロカロリーは超えます。
夕飯は家でカレーライスとサラダにします。
本場のインドカレーは本来ダイエット食なのですが、日本の家庭でカレールウを使用して作るカレーは、脂質が高い高カロリー食になります。
カレーライスは並盛でおよそ560~600キロカロリーです。
他にも食後のデザートでカップのバニラアイスで350キロカロリー、ポテトのスナック菓子を一箱食べて270キロカロリー、ペットボトルのミルクティーを飲んで185キロカロリー摂ったとします。
全部のカロリーを合計すると、この人は1日でおよそ2500キロカロリー以上摂取していることになります。
女性の1日の推定エネルギー必要量は2000キロカロリー前後になりますので、明らかに摂りすぎですね。
カロリーとなる栄養素は、糖質・脂質・たんぱく質です。
そのため、カロリーが多いというのは、この三つの栄養素を摂りすぎているということです。
そして、この摂りすぎたカロリーが「糖質」の場合は、余った分が体脂肪として身体に蓄積されることになります。
余った脂質のカロリーも脂肪となり身体に蓄積されます。
これがカロリーの摂りすぎで太る仕組みになります。
太る仕組みと基礎代謝量で消費するカロリー
しかし、不思議なことに食べても太らないという人がいますね。
明らかにカロリーオーバーなのに、全く太るということと無縁な人です。
大食い選手権などに出ている人は、いずれも標準体型です。
中には、いったいどこに入るのだろうというくらい細い人もいます。
彼らが太るということに無縁なのは、どういった仕組みなのでしょうか。
まず、彼らが一般の人と圧倒的に違うのは、基礎代謝量の高さです。
大食い王などに出る人は、生まれつき基礎代謝量が異常に高い人になります。
それでは、一般的な人ならどうなのでしょうか?
はじめに基礎代謝量は年代によって違い、女性の場合は中学生がピークで、その後低下するというお話をしました。
ところが、20代の女性と30代、40代の女性では、本来高いはずの20代の女性よりも、30代、40代の平均の方が高くなっています。
20代の女性は、本来なら基礎代謝量は高くなるはずです。
ところが、現代の20代の女性は、30代以上の女性よりも低体温の人や筋肉量が少ない人が多くなっています。
低体温の原因には、間違ったダイエットやストレス、バランスの悪い食生活や生活態度、運動不足があげられます。
現代の30歳未満と30歳以上では、子どものころの運動量がまず違います。
特に40代後半よりも上の人は、子どものころの遊びも、学校の体育の授業時間も、部活の活動内容も身体を動かす機会が多かったため、子どものころから自然についた筋肉量や骨量の蓄えが高い女性が多いようです。
また、子育て中の女性も多く、仕事と家事・子育ての両立で毎日の運動量が半端ではない人もいます。
子育てが終わった40代後半の女性は、バリバリ仕事をしている人もいますが、余裕があると運動や趣味にと活動をしている人もいます。
中には、介護と仕事・育児をこなす40代女性もたくさんいます。
デスクワークに追われて毎日運動をする時間もない20代の女性よりも、30代以上の女性の方が筋肉量が多くなる生活内容になっているのかもしれません。
こういった日々の積み重ねや、それまでに蓄積してきたものの違いが、今の30歳未満と、30歳以上の女性の基礎代謝量の逆転を生んでいるのかもしれませんね。
基礎代謝量が高いと、同じカロリーを摂っても、太るということにつながりにくいということになります。
基礎代謝量を上げてカロリーをエネルギーに変える身体作り
基礎代謝量を上げるためには、筋肉量を増やして体温を上げることが一番です。
20代と50代の基礎代謝量が10キロカロリーしか違いがない、ということは、中には20代でも50代以上の人と同じくらい代謝機能が老化してしまっている人もいるということになります。
基礎代謝を上げて、カロリーを摂っても太ることにつながらない仕組みを作るためには、どんな生活が必要でしょうか。
まずは、1人暮らしでワンルーム、ユニットバスの人でも浴槽にしっかりとつかりましょう。
シャワーだけで済ませてしまいたくなりますが、シャワーだけでは体温を上げることはできません。
夜遅くまで起きている生活も、痩せるためのホルモンの分泌を阻害します。
早寝としっかりした睡眠は、ダイエットにもなります。
10代の中高生の時に、ミニスカートで過ごすのはやめましょう。
肉と野菜をたくさん食べましょう。
1人暮らしになると、つい面倒になりカップ麺やカレーライス、菓子パンでとりあえずお腹が満足する食生活になってしまいます。
野菜というとサラダになりますが、サラダは身体を冷やす食べ物になり、体温を上げることができません。
また、太るからと糖質や脂質を抑えた無理なダイエットをすると、身体が冷えてしまいます。
筋肉量も減ってしまいます。
適量をしっかりと摂ることも大切です。
体温を上げて、筋肉を増やし基礎代謝量を上げましょう。
バランスの良いカロリーの摂り方が太る仕組みを防ぐ
食生活のバランスを摂ることも大切です。
カロリーだけを見てしまうと、過多になってしまうことがありますが、カロリーをどの栄養素で摂るかも大切になります。
糖質や脂質は、摂りすぎると余った分は「体脂肪」となり、太ることになります。
しかし、たんぱく質は筋肉や血液・細胞・酵素・皮膚・ホルモン・内臓などの様々な成分となります。
アスリートの人は、一見ほっそりして見えますが、身長と体重から算出するBMI値はそれほど低くありません。
普通の人はBMI値が18.5でも、体脂肪率が20パーセントという人が多くいます。
たんぱく質は1g当たり4キロカロリーとなり、糖質と同じカロリーを持っています。
ここで、同じ200キロカロリーを摂取する食べ物が2種類あるとします。
この食べ物の中に含まれる成分が糖質50gの200キロカロリーなのか、たんぱく質25gと糖質25gの200キロカロリーなのかによって、身体のどんな組織になるかの違いが出てきます。
糖質50gの場合は、余分な分は体脂肪になりますが、半分の25gがたんぱく質なら筋肉や血液・皮膚などの組織になりますね。
これが本当の低糖質ダイエットです。
カロリーを摂ると太るからと、カロリーが低いものを選ぶ人がいますが、大切なのは余らないカロリーを摂るということです。
これが太らない身体を作るための仕組みです。
カロリーだけではない!太りやすい身体の仕組みを作っている場合
脂質が太る、というイメージが高いのは、脂質は1gあたり9キロカロリーになるからです。
しかし、私たちは脂質を摂ることで細胞膜や胆汁酸、骨芽細胞、女性ホルモンを作ることができます。
体温を上げる働きもあるため、低体温で基礎代謝量を下げてしまうということを防ぐこともできます。
もちろん、脂質は摂りすぎるとそのまま脂肪になります。
飽和脂肪酸を多く含む動物性の脂質は、高血圧やコレステロール値を上げてしまう原因にもなります。
そこで、脂質もバランスよく摂ることがとても大切になります。
英米では、マーガリンを生成する時にできるトランス脂肪酸が、肥満や心疾患の原因になると2018年に規制をかけることにしました。
しかし、その代用として使われているのが、飽和脂肪酸を多く含むバターやココナツヤシ油などです。
同じヨーロッパでも、イタリアや南フランス、スペインはオリーブオイルを良く摂っています。
オリーブオイルや魚油・えごま油に含まれる不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸とバランスを摂り、コレステロール値を下げる働きがあります。
日本では、昔から魚の油をたくさん摂っていました。
和食中心の人は、脂たっぷりのハンバーガーやピザ、バターたっぷりのお菓子を食べるという習慣がありませんでした。
そのため、マーガリンを摂ってもあまりトランス脂肪酸の摂りすぎを問題視する人がいませんでした。
しかし、20代の人の中で太ることを気にして油全体を控えているのに、お菓子や肉で飽和脂肪酸を多く取ってしまっている人がいます。
一見太っては見えないけれど、血液中はドロドロで筋肉や骨量が少ないのに体脂肪はある、という人ですね。
これは、今現在では痩せて見えますが、ちょっとの油断で一番太りやすい身体の仕組みを作っています。
カロリーだけを気にしていては、太りやすい身体を作ってしまうということです。
カロリーに摂り方が大切!太る仕組みを改善
カロリーは摂りすぎれば太ります。
カロリーになる栄養素は、摂りすぎると脂肪になるものが多いため、太りやすい仕組みになっています。
しかし、食事のバランスや運動、生活内容を変えるだけで、基礎代謝量を上げて、カロリーをエネルギーに変えて消費しやすい身体を作ることもできます。
身体全体のバランスを考えて、カロリーを摂っても太ることにつながらない身体になれば、摂りすぎを気にすることがなくなるかもしれませんね。