肉の部位とカロリーは大きく関係します。
多くの人が、精肉コーナーや焼肉屋のメニューで、豚の絵をもとに「部位」を表示しているのをご覧になったことがあるのではないでしょうか。
牛や鶏でも言えることですが、豚肉も部位によって料理方法も変われば、美味しさも違います。
そして、部位によってカロリーも栄養組成も異なってきます。
豚肉はヘルシーですし、色々な料理に使用できますが、部位の違いを知って、普段の料理に、外食のメニューに生かしてください。
美味しく味わって、満足のいく食卓になりますよう祈っています。
豚肉の栄養とカロリー
豚肉は、骨以外に捨てるところがない食材です。
牛肉ほど細かく部位を分けているわけでもなく、特に固い部位もありません。
とても調理しやすく、牛肉ほど料理を選ばない優秀なお肉です。
しかし、豚肉は、人間に感染する恐れのある寄生虫やE型肝炎ウィルスなどを持っている可能性があります。
そのため、銘柄、産地に関わらず、しっかりと加熱調理することが必須です。
以前、牛刺し、ユッケなど、生と同じ状態で食べていた牛肉はあっても、豚刺し、豚ユッケは絶対にありません。
豚肉は良質なたんぱく質を多く含みます。
また、炭水化物をエネルギーとして体に行きわたらせるために不可欠なビタミンB群を豊富に含んでいます。
ビタミンB群は不足すると、疲れやすくなります。
豚レバーに含まれるビタミンB2は、炭水化物、脂質、タンパク質の代謝を促すビタミンです。
不足すると、皮膚や粘膜が敏感になり、口内炎などになりやすくなります。
豚は、日本で一番食べられている肉です。
とんかつのようなガッツリメニューから、しゃぶしゃぶのようなさっぱりメニューまで幅広く、洋食和食中華と応用が無限大です。
カロリーも、牛もも肉100gで246kcalになりますが、豚もも肉は100gで183kcalと、脂肪が牛より少ない分、カロリーは低くなります。
このような部分も、消費量に一役買っています。
豚肉の部位とカロリーの確認
豚肉は、部位によって利用される料理も幅が広がりますので、大まかな部位を確認します。
豚肉は、「ばら」、「ロース」、「かた」、「もも」、「ひれ」に分かれます。
そして、豚足や耳なども食用になります。
では、一般的に使用される部位のカロリーを確認します。
示すのは、調理前の生のお肉です。
ロース、脂身付可食部100gあたり
・カロリー 263kcal
・たんぱく質19.3g
・脂質19.2g
・炭水化物0.2g
もも、脂身付可食部100gあたり
・カロリー 183kcal
・たんぱく質20.5g
・脂質10.2g
・炭水化物0.2g
ばら、脂身付、可食部100gあたり
・カロリー386kcal
・たんぱく質14.2g
・脂質34.6g
・炭水化物0.1g
かた、脂身付、可食部100gあたり
・カロリー253kcal
・たんぱく質17g
・脂質19g
・炭水化物0.1g
ひれ、赤身、可食部100gあたり
・カロリー115kcal
・たんぱく質23g
・脂質1.9g
・炭水化物0.2g
となっています。
100gと栄養量の計算が合わない重さは、微量元素やビタミン、水分になります。
豚肉の部位別「料理使用例」
豚肉は、部位によって料理方法を変えると、より美味しく食べることができます。
保存ができるよう、塩を一定量加えてソーセージやベーコン、ハムなどにも加工されます。
「かた」は、肉のきめがやや粗く硬めのため、シチューやポークビーンズなどの煮込み料理向けです。
「ロース」は、脂肪を適度に含み、コクのある濃厚な味ですので、ローストポークや焼き豚にしたり、しゃぶしゃぶなどにも使用されます。
また、ハムとしても加工されます。
「ひれ」は、キメが細かく最上の部位なのでカツやステーキ向きですが、火を通しすぎるとパサつきが出ますので注意が必要です。
「ばら」は、脂肪が多く濃厚な味の部位になりますので、角切りにしたりシチューにしたりしますし、骨付きはスペアリブと呼ばれ、骨周辺はより美味しいです。
「もも」は、脂肪が少なくきめ細かいので、ローストポーク、ステーキ、焼き豚に向きます。
また、この部分をハムにするとボンレスハムになります。
そして、豚肉のカロリーは、先程記載した通りです。
脂肪が少ない部位なら、カロリーが低くなります。
他の部位でよく使用される部分とカロリー
今まで挙げた部位は、一般的に「精肉」になります。
豚肉は捨てるところが骨のみの優秀な食材です。
では、他の部位も確認します。
中華料理などでよく耳にするのが「豚足」です。
名前の通り、豚の足になります。
コラーゲン=たんぱく質を多く含み、煮込み料理や茹でて辛子味噌などで食べます。
美容にもよく、食べた次の日は顔が光るくらい潤っています。
可食部100gあたり茹でた豚足で230kcalになります。
1本の足は大きさにもよりますが、250~300g、そのうち食べることができる部分は50%程度になりますので、300kcalは超える計算になります。
食べすぎには注意してください。
また、沖縄での郷土料理や中華料理では、「みみ」を使用しています。
可食部100gあたり、150kcalです。
脂質はひれ肉程度に低く、骨も一緒に食べるのでカルシウムも摂ることができます。
また、軟骨と皮なのでコラーゲンも多く含み、ビタミン類も含まれています。
何より、軟骨を食べるため、よく噛まないと飲み込むことができないので、咀嚼を促します。
「味付けミミガー」として売られていることが多く、サラダやお酒のおつまみに向いています。
脂質が少ない部分であれば、カロリーは低くなりますが、噛む回数は格段に増え、咀嚼回数が多くなると、満腹感が早く来ますので、よりダイエットに向くと言えます。
まだまだ食用の豚肉の部位
また、内臓類は「ホルモン」として仲間分けされます。
豚ホルモンでおなじみですね。
タン、ハツ、レバー、ガツ(胃)、マメ(腎臓)、大腸、小腸、コブクロ(子宮)と焼肉でおなじみの部位がラインナップされます。
これらは、新鮮ならば匂いが少ないので焼肉などに使用されますが、料理に使う場合は必ず下茹でが必要です。
そして、部位によっても脂質の量が違うので、「ヘルシーだと思ったら意外とカロリーがある」のも、内臓系です。
ホルモンとして食べる小腸などに脂肪が多いのは、焼くときに実感しますが、タンもさっと火であぶって食べると軟らかいので、脂肪が多く含まれています。
反対に、筋肉の塊であるハツ(心臓)などは低カロリーになります。
内臓も、よく部位を選定して食べれば、ダイエットにも向きます。
このように、豚は余すことなく堪能できますので、好きな部位、ヘルシーな部位はもちろん、美味しく調理をして美味しく食べることが、豚の供養にもなるのではないでしょうか。
カロリーの確認も、調理するとき、焼肉で食べるとき、豚肉のどの部位の肉を買うか検討するときに、調べてみると面白いです。
豚肉の料理とヘルシーさとカロリー
ここまで、豚肉の部位とカロリーについてご紹介しました。
豚肉の部位で最もカロリーが低いのはひれ肉なので、「これを料理に多用したい!」と思う人はきっと多いですよね。
しかし、「カロリーが低いひれ肉を何でも料理に使えばいいのか」というと、決してそうではありません。
「ヘルシー」と「美味しい」は同等ではないからです。
味がない、塩気が薄い、ぱさぱさしているという食感や味は、いくらヘルシーにこだわった料理でも、美味しく食べることができなければ続けることができないものです。
料理によっては、豚肉が冷えると脂身が固まって白く浮いてきますが、それを取り除いて再度加熱すれば、脂肪分はカットされます。
そのため、料理する前の下ごしらえで、取り除ける脂肪を切り落とすのも一つの方法です。
脂肪1gは9kcalですので、カットした分、カロリーが減ります。
しかし、ボリュームも減りますので、野菜やイモ類などを組み合わせて料理をすると、タンパク質だけでなく他の栄養素も摂ることができます。
煮込み料理などは豚肉からうま味とコクが出ますので、調味料の使用も減らせますし、また下準備の段階でこしょうとハーブ類でしっかり下味をつければ、さらに使用する調味料を減らすことができます。
肉じゃがを豚肉で作る煮物や豚汁のような汁物はメインとしてでなく、少し使用で具材、だし感覚で利用でき、料理そのものにうま味とコクが出ます。
郷土料理でも多く使用され、日本人に深く愛されている豚肉を、工夫して取り入れ、栄養もばっちり補ってください。
カロリーは、タンパク質、脂質、炭水化物を含む限り発生しますし、どれに偏っても太る原因になります。
しかし、脂質が多いばら肉は購入価格も安く、実は様々な料理に使用されています。
汁物に入れたり、煮物に使用されたり、焼きそばやお好み焼きにも使え、煮豚などの煮込みにも使用できます。
また、しゃぶしゃぶにしても適度に脂肪が落ち、やわらかくさっぱり食べることができます。
使用する部位に合った調理をすると、さらに料理が美味しくなりますね。
カロリーを気にする人は、肉の使用量に注意すると、脂肪を摂りすぎずに済むでしょう。
料理のひと手間として部位を選んでみると、ヘルシーに味わうこともできますよ。
豚肉の楽しみ方を知ろう!
一口に豚肉と言っても、部位が異なれば含まれる栄養素の割合やカロリーが異なってきます。
豚肉は、部位や調理方法で、低カロリーにも高カロリーにも変化します。
豚肉を知り、うまく料理することで美味しく食べられ、健康にも注意できます。
いつも購入する豚肉を知って、色々な料理に合った部位を選んでみると、料理上手になるだけでなく、よりその部位を美味しく味わうことができるのでおすすめです。