日本人の食卓に欠かせないものといえば、味噌汁ですよね。
しかし、味噌汁は塩分が多いイメージがあります。
高血圧の人は塩分濃度を薄めに作ったり、減塩味噌や無塩味噌を使ったりしているのではないでしょうか。
今回は、味噌汁に最適な塩分濃度の詳しい解説と簡単に作れる味噌汁のレシピをご紹介します。
塩分の摂りすぎは体に悪い?
塩分の摂りすぎた食生活をしていると、高血圧につながります。
塩分を摂取すると、食塩に含まれているナトリウムが血液中に増えます。
すると体内のナトリウムの濃度を下げるために体内を循環する血液量が増えます。
その結果、血管の壁にかかる負担が大きくなり、血圧が高くなってしまうのです。
たまに塩分の高い食事をするくらいでは問題ないのですが、毎日塩分を摂りすぎているとナトリウムの排出が十分に行われなくなります。
こうなると、常に血圧の高い状態になってしまうのです。
そして、高血圧が続くと血管が常に張り詰めた状態になるため、血管が硬くなってしまいます。
これが高血圧による動脈硬化で、動脈硬化は心筋梗塞、大動脈瘤、腎硬化症、脳梗塞などの恐ろしい病気につながります。
ただし、食塩に含まれるナトリウムやカリウムは体のさまざまな機能を正常化する働きがあり、塩分不足も良くないです。
つまり、適切な塩分量を摂取するのが大切になってきます。
味噌汁も、適切な塩分濃度で作れば毎日飲んでも全く問題ありません。
1日に必要な塩分はどれくらい?
先ほどもお伝えしたように、塩分は摂りすぎも良くありませんが、不足するのも良くないです。
では、1日にどのくらい、何グラム摂ればいいのでしょう。
厚生労働省が設定している目標値は、男性が8gで女性が7gです。
日本高血圧学会では、1日6g未満にすることを推奨しています。
さらに、WHO世界保健機関は1日5g未満を推奨しています。
しかし、日本人の1日の平均塩分摂取量は、男性が11.1gで女性が9.4gとなっています。
つまり、ほとんどの日本人は塩分を摂りすぎていることになります。
しかし、塩分摂取量を、急にWHO世界保健機関が推奨する1日5g未満にするのは難しいです。
なぜなら、日本人は昔から味噌汁や漬物など塩分濃度の高い食事を摂ってきたからです。
とは言え、やはり健康のことを考えるならば、毎日の食事の塩分量を見直して、徐々に塩分を控えるようにしていきましょう。
最初は、厚生労働省が設定している目標値(男性は8g、女性は7g)を目指して減塩にチャレンジしてみましょう。
味噌汁の塩分濃度はどれくらい?
一般的なレシピで1杯の味噌汁に含まれる塩分量は1.5g程度です。
味噌汁はだいたい1杯150mlなので、塩分濃度は1%になります。
味噌は100gあたり10~12gの塩分を含んでいます。
使用する味噌によって含まれる塩分量は変わってくるので注意しましょう。
1杯の味噌汁に大さじ1杯というレシピが多いですが、味噌の大さじ1杯は18gなので塩分量が多くなってしまいます。
小さじだと6gになるので、小さじを使うと量を調整しやすいです。
ここで、ほかの食べ物の塩分量を見てみましょう。
あくまで目安ですが、全て一人前で、ラーメン6g、カレー2.7g、コンビニのツナおにぎり1.5g、たくあん一切れ0.4gとなっています。
塩分量の多いイメージのある味噌汁ですが、適切なレシピで作ればそれほど塩分量は高くありません。
味噌汁は毎日作るものですから、一度、使っている味噌の塩分量を調べて適切な量を把握しておくことが重要です。
正確に塩分濃度を測りたいなら、塩分濃度計を使いましょう。
簡易的なものなら、手頃な値段で購入できます。
味噌汁の塩分濃度を下げる方法
単純に味噌の量を減らしてしまうと、普段飲んでいる味噌汁より味が薄くなってしまいます。
そこでおすすめなのが、減塩味噌です。
減塩味噌は、普通の味噌よりも20%程度塩分が少ないです。
普段の味噌の分量で減塩味噌を使用して作ると、味が薄く感じるので、しっかりだしを取りましょう。
だしをしっかり取れば、味噌の塩分濃度が低くても、満足感を得られます。
面倒に感じるかもしれませんが、パックタイプや顆粒タイプのだしを使えば簡単に作れます。
たまに味噌の種類を変えたり、具材を豊富にしたりすると満足感が高くなるのでおすすめです。
ただ、味噌を変える際の注意点としては、含まれている塩分量を必ず確認することです。
例えば赤味噌など、味噌の種類によっては塩分量が多いことがあるので、使う量には気をつけましょう。
塩分量を減らすと「味気ない」と感じる人は、徐々に塩分量を減らして舌を慣らしていくといいです。
味噌汁は血圧を下げる効果があるって本当?
実は、「味噌汁には血圧を下げる効果がある」という実験結果があります。
大手の味噌メーカーが味噌の成分を解析した結果、血圧を下げる効果のあるペプチドを発見しました。
さらに、ラットの実験では同じ塩分濃度の味噌汁と食塩水では、味噌汁の方が血圧上昇を抑制していることが分かりました。
人に対しての実験でも、「長期間味噌汁を飲んでも、1日の適切な量さえ守れば血圧は上がらないどころか下がる」という結果になっています。
つまり、味噌には血圧の上昇を抑える効果があるとわかったのです。
味噌汁には、野菜や海藻、貝類などの具材がよく使われるので、さらに血圧の上昇を抑える効果が期待できます。
今まで、血圧が高めで味噌汁を控えてきた人も、きちんと塩分濃度を計算すれば安心して味噌汁を飲めます。
毎日味噌汁を飲めば、高血圧の予防にもつながるのですね。
適切な塩分濃度で簡単に作れる味噌汁のレシピ
味噌汁は面倒なイメージを持っている人もいるかもしれませんが、だし入りの味噌を使えば簡単にできます。
今回は仕事が終わって帰宅後でも適切な塩分濃度で簡単に作れる味噌汁のレシピをご紹介します。
【材料 1人分】
・減塩味噌 15g (塩分量1.5g)
・水 150cc
・豆腐 1/8丁
・乾燥わかめ 少々
・長ねぎ 少々
【作り方】
①豆腐をさいの目切り、長ねぎは小口切り、乾燥わかめは水で戻して水を切っておきます。
②鍋に水150ccを入れて火にかけ、豆腐、わかめを入れ、煮立たせます。
③具材に火が通ったら一度火を止め、味噌を溶き入れて、煮立たせないように注意しながら火を入れます。
④沸騰する直前で長ねぎを加え、火を止めて完成です。
ポイントは、味噌を入れたら煮立たせないことです。
味噌は90℃以上になると、香りが飛んでしまいます。
もっとも美味しいとされるのが、香りの立つ75℃です。
そのため、沸騰直前で火を止めてお椀によそうと、食卓に並ぶ頃には丁度いい温度になっています。
もっと簡単に作りたい場合には、カット野菜や冷凍されたものを具材に使い、豆腐やわかめも乾燥させてある味噌汁用のものを使うといいでしょう。
水の計量も、お椀で1杯分、具材もお椀に入れて量ると簡単で、洗い物も少なくて済みます。
大きな鍋だと1人分は難しいので、小さな味噌汁用の鍋を用意すると作りやすいです。
毎日の味噌汁で健康に暮らそう
日本人の食卓に欠かせない味噌汁。
高血圧の人が増えたこともあり、塩分が多いイメージの味噌汁は控えられてきましたが、実際にはそれほど塩分は含まれていません。
むしろ味噌汁に含まれる栄養素は、健康につながる大切な日本食です。
高血圧で味噌汁を控えていた人も、適切な塩分濃度の味噌汁で健康的な食生活を送りましょう。